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SCESH、中国にて「Project Morpheus」を初公開
PS4版「FFXIV」、「ストリートファイターV」の中国展開も発表
(2015/7/29 22:09)
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアの中国法人SCE上海(SCESH)は7月29日、明日より開幕するゲームショウ「ChinaJoy 2015」の開幕に先駆け、プレスカンファレンス「2015 PlayStation Press Conference in China」を中国上海にて開催した。本稿では速報として、「Project Morpheus」の中国初出展情報をはじめ、大きな発表を中心に紹介したい。
昨年に続いて2年連続のChinaJoy出展となるSCESHは、目玉コンテンツとしてSCEWWSが現在開発しているVRシステム「Project Morpheus」を出展し、一般公開することを発表。「Project Morpheus」は、3月のGDC 2015で、いわゆる新型Morpheusを発表して以降、アジアでも順次公開され、台湾、香港に続いてこれで3地域目となる。
出展スタイルは、いわゆる“参考出展”で、2016年上半期に発売を予定している日本や欧米とはステータスが異なるが、“体感型”デバイスは伝統的にアジアでは相性が良く、実質的には発売を前提とした出展となる。
出展タイトルは、SCEWWSの「THE PLAYROOM VR(Monster Escape)」、「THE DEEP」The Deep」をはじめ、中国のゲームファンが大好きな日本のコンテンツとして「SUMMER LESSON(2015 Summer Demo)」と「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project: VR Tech DEMO」の4タイトルを用意。
発表会にはSCEWWSプレジデント吉田修平氏が参加し、自ら「Project Morpheus」が実現する先進性について説明した。とりわけ説明に熱を込めていたのは中国で大人気のコンテンツ“初音ミク”のフィーチャーしたテックデモ「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project: VR Tech DEMO」。こちらは先週香港で開かれた「Ani-Com & Games Hong Kong 2015(ACGHK 2015)」ではあえて出展せず、上海のゲームファンのために取っておいたことをアピール。
逆に香港で出展されていた「サイバーダンガンロンパVR 学級裁判」や「The London Heist」などはセンサーシップの関係から出展を見送っており、タイトル数としては少ないのだが、いよいよ中国にも「Project Morpheus」が上陸することになる。
サードパーティータイトルでは、PS4版「ストリートファイターV」と「ファイナルファンタジーXIV」の中国展開がサプライズ発表された。何がサプライズかというとタイトル発表そのものではなく、いずれも前例のない発表内容であることだ。
「SFV」については、2016年春発売予定の未発売のタイトルを、センサーシップが通っていないにも関わらず、「正式発売準備中!」として発表することが前代未聞だ。もちろん、事前に一定のセンサーシップは受けているが、すでに中国当局と一定の信頼関係と、勘どころを掴んでいることがわかる。
「FFXIV」については、すでに中国でPC版をShanda Games(盛大遊戯)が運営しているため、センサーシップは問題ではないが、中国でPS4向けのMMORPG自体が初の試みとなることに加え、中国運営元のShandaはSCEとのパートナーシップがない。このため、SCEとスクウェア・エニックス、お互いにラブコールはしていたものの、サービスするのは難しいのではないかというのが関係者の見解だった。当の吉田氏自身も、5月のパリで取材した際は、「難しい」と語っていたほどだ。
さて、「ストリートファイターV」は、プロデューサーの小野義徳氏が登壇。トレーラーが公開されると、会場からは歓声があがり、歓迎ムードに包まれた。会場での新発表は行われなかったものの、ChinaJoy会場では先日発表されたケンをプレイアブル出展することを発表。さらに中国のファンに向けて、フォロワー数が50万人に達したという小野氏のWeiboを通じて新たな情報を発信していきたいと抱負を述べた。
発売時期については、「中国のセンサーシップが通り次第、できるだけ早いタイミング」とし、明言を避けたものの、簡体字へのフルローカライズを約束し、「SFV」のすべてのストーリーが簡体字で楽しめることをアピールした。ChinaJoyでは、「SFV」のステージイベントに加えて、「SFIV」のゲーム大会も予定。小野氏は「『SFV』のケンがどうなったのか試してみて欲しい」と会場への来場を呼びかけた。
「SFV」のセンサーシップについては、先述したようにChinaJoy会場に出展する時点で、一定のセンサーシップは通過しており、グローバルで2016年春発売予定と、まだ時間があることから、グローバルとほぼ同時発売ということも考えられる。
そして「ファイナルファンタジーXIV」についてはプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏が登壇。吉田氏を紹介したSCESHプレジデントの添田武人氏は、「発表できることを大変喜んでいる。水晶の導きのもとで幻想の旅に出ましょう」とまで語り、その中国展開を大歓迎した。
公開されたトレーラーは、「FFXIV: 新生エオルゼア」ではなく、最新版である「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」のものが流され、PS4版では最初から「蒼天のイシュガルド」で行く方針を明確にした。
吉田氏は、中国のユーザーに向けて、カジュアルゲーマーからコアゲーマーまでを対象にしたグローバル向けのMMORPGとして、スクウェア・エニックスが総力を挙げて開発運営を行なっているタイトルと紹介。ユーザー数はグローバルで500万人にも達することを報告し、PS4版の中国展開では、PC版の運営を行なっているShanda Games(盛大遊戯)をメインパートナーに、PS4まわりのサポートについては、SCESHが間に入り、3社による協同プロジェクトとして進められる。
サービス開始時期は2016年とし、スクウェア・エニックスの新たな中国向けタイトルの目玉として、SCESHの中国向けPS4タイトルの目玉として、これから1年以上掛けてじっくり仕上げていく方針。ビジネスモデルについてもパッケージを発売するか否かを含め、これから調整していくという。
発表会後には、SCEWWSプレジデントの吉田修平氏、カプコンの小野氏、スクウェア・エニックスの吉田氏の3氏とグループインタビューも実施された。そちらについては後ほど詳しくお伝えしたい。