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「FFXIV Las Vegas Fan Festival」デベロッパーズパネルに権代光俊氏が登場!
バトルに関する未公開情報が続々披露、パッチ2.4でアートマついに緩和へ
(2014/10/19 13:37)
現在ラスベガスで開催されているMMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」のオフラインイベント「FFXIV Las Vegas Fan Festival」。会期初日となる10月18日のトリを飾るイベントとして「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」開発チームによりデベロッパーズパネルが開催されたのでその模様をお伝えしたい。
デベロッパーズパネルに登壇したのは、吉田直樹プロデューサーと、「新生FFXIV」のバトル全般を担当しているバトルディレクターの権代光俊氏。権代氏は、人前に出るのが苦手なので、これまで出る機会を意図的に避けていたというが、「ついに順番が回ってきたしまった」と笑顔で語った。
今回語られたのは文字通り、バトルチームのすべてだ。権代氏率いるバトルチームは、レベルデザインチーム(5人)、エネミーデザインチーム(4人)、バトルシステムチーム(3人)、F.A.T.E.チーム(4人)の4チーム構成で、それらが複雑に連携し合ってバトルコンテンツの開発を進めている。
ちなみにカッコ内の数字は「新生FFXIV」開発初期の人数で、権代氏によれば、本来はもっとスタッフがいるべきだが、バトル班は仕事を回せるようになるまで時間が掛かるため、スケジュールがタイトなことを考慮し、人数を増やすよりも、現状の人数で最大のパフォーマンスを出すことを重視したという。この結果、F.A.T.E.は280もの数をわずか4人で作らざるを得なかったという。
レベルデザインでは、街やフィールド、ダンジョンなどのマップデザイン、モンスター、各種ギミック、ボスなどあらゆる要素が含まれる。とりわけ街やフィールドのデザインは「旧FFXIVで非常に評判が悪かったため、権代氏は「新生FFXIV」の担当になってから一番最初に頑張ろうと決めた部分だという。
続いてレベルデザインの仕事の流れについて、「遺跡探索 カルン埋没寺院」をモチーフに初公開の資料を交えながら解説が行なわれた。新規コンテンツのレベルデザインを行なう際は、まず権代氏が2Dベースでマップデザインを行ない、ギミックもある程度書き入れた状態で、BGチーム、アートチームにも相談してモックアップデータを用意してもらいながらイメージを膨らませていく。
吉田氏は、権代氏の解説を受けて、カルンは出来上がった結果、レベリングダンジョンとして長すぎたため、ハードでの流用も視野に入れながら、再構成を行なったという。カルンはそれ以外にも蜂に殺されまくったり、ボスが強すぎたり、何かと曰く付きのダンジョンだが、レベルデザインは、デザインとアート、バランス調整が複雑に入り交じりながら開発が進められていることがわかる。
次にエネミーデザインは、モンスターと、ボスバトルの設計を担当する班で、3つのパターンでデザインされているという。1つ目は通常モンスター。これは過去に何度か語られているように通常モンスターのAIは、「ファイナルファンタジーXII」でメンバーの行動を制御するのに使われていた「ガンビット」で制御されており、「新生FFXIV」ではプレーヤーではなく、開発チームが開発ツールとして使っているところがおもしろい。
吉田氏は唐突に「そろそろ皆さんも使いたいですよね?」と切り出し、「魔導アーマーにガンビットを組み込んで、魔導アーマー同士を戦わせるコンテンツはどう?」と、いきなり具体的なプランを権代氏に提示。権代氏は来場者の歓声に苦笑しながら、「3.0(蒼天のイシュガルド)の開発が一段落したら何か考えたい」と否定しなかった。
2つ目はボスモンスターの設計。これは完全に専用プログラムが組まれている。通常のモンスターは自分と相手(プレーヤー)しか判断の基準がないが、ボスモンスターは導入されたギミックによって、バトルフィールドすべての状況を判断して行動を行なうようになっている。
吉田氏は補足としてボスモンスターの設計では、「レベルデザインのレベルからギミックも含めてフルコーディングでデザインしているから、単純に外のフィールドに出して戦わせることが非常に難しい」と述べ、「新生FFXIV」ベンチマークのように蛮神イフリートを一般フィールドに出して戦わせるようなことは、実装そのものは可能でも、コンテンツとしてバランスも取った上で実装するのは現実的ではないようだ。
3つ目はミッションやクエストでたびたび遭遇するインスタンスバトル。こちらはガンビットとスクリプトの組み合わせで作られており、バトル制御そのものはガンビット、増援ギミックなどのタイミングはスクリプトで制御しているようだ。
吉田氏によると、膨大な数のジョブクエスト/クラスクエストは1人の担当の手によって作られたものだという。また、忍者について、まったく新しいデザインのジョブであるため、クラスクエストやジョブクエストはクリック連打でストーリーを飛ばさずにじっくりプレイして欲しいとアドバイスした。どうやらストーリーにジョブを使いこなす上でコツのようなものが語られるようだ。
そしてここで非常にユニークなファンフェスならではのデータが紹介された。それはどのスタッフがどのコンテンツの設計を担当したかというもの。すべてのコンテンツは権代氏と吉田氏の承認がいるため、基本的には同じバランス、味付けになるはずだが、これを見るとまったくそうではなく、スタッフの味付けがそのままコンテンツに反映されていることがわかった。
中でも特徴的なのがD氏で、「新生FFXIV」屈指の高難易度コンテンツである「極タイタン」を皮切りに、「アルテマウェポン」、そして現行最上位のコンテンツ「大迷宮バハムート:侵攻編」を担当。ギミックの複雑さとタイミングのいやらしさで確かな共通点があり、D氏には、会場から称賛の意味での激しいブーイングが贈られていた。
おまけでパッチ2.4での担当リストも追加公開され、D氏はやはり「大迷宮バハムート:真成編」を担当。ここでも歓迎の怒号が響き渡り、会場は大いに盛り上がった。「新生FFXIV」ファンはどうもマゾが多いようだ。
3つ目のバトルデザインでは、バトルシステムの企画、アルゴリズム、クラス/ジョブデザインポリシー、バトル難易度ポリシーなど、興味深い話が語られた。バトルシステムの設計は、主に権代氏の担当で、単純にバトルコンテンツのみならず、レベルアップによるキャラクターの成長や、レベルシンクのバランシング、報酬の中身などもバトルデザイン班の担当になるという。ちなみにギルの排出に関しては権代氏ではなく、生活系のコンテンツを担当している河本氏の担当となる。「ギル系の苦情は僕ではない」と逃げを打っている感じがおもしろかったが、この発言に会場がどよめき、これを受けて吉田氏は「次回は河本をここに連れてくる」と約束。
バトルに欠かせないアルゴリズムについては、権代氏は「旧FFXIV」と比較して大きく変えたポイントだという。「旧FFXIV」でバトルプランナーを担当した松井聡彦氏(現「FFXI」プロデューサー)のチューニングは、パラメータの種類が多く、最強の組み合わせを目指して装備を考える楽しみがあったものの、その反面ライトユーザーには難しいところがあったと振り返った。
吉田氏は「初めてやった人が、どのパラメータを重視したら強くなるのかわからないと、それが辞める理由になる。とにかくわかりやすくしてくれ、というのが僕のオーダー」だったとコメントし、吉田氏のオーダーを受けた権代氏は、ライトユーザーに優しい設計を目指しながら、それでいて開発しやすさも確保、吉田氏が目指す「わかりやすさ」と「開発のしやすさ」を最優先する形で設計が行なわれていることを解説した。それでも2.0(「新生FFXIV」)リリース時は、ツインタニア(大迷宮バハムート:邂逅編第5層のボス)のバランスが取れず、困ったという逸話も披露された。
クラス/ジョブについては、「新生FFXIV」にもジョブチェンジシステムがあるため、プレーヤーが複数のジョブを遊ぶことを想定し、ジョブ毎に見た目や装備、アクションを変えるだけでなく、プレイ感そのものが変わるように、ジョブ別に異なる仕組みを導入したという。
また、各ロール毎に2つのジョブを用意し、片方の操作をなるべく簡単にすることで、誰でも遊べるように心がけたという。この場合、タンクならナイト、ヒーラーなら白魔道士などがそれに当たる。ただし、シンプル=イージーではなく、シンプルだからこそやらなければならないこともあったり、プレイによる差は出るように設計しているという。その設計哲学は、上手い人がヒーローになれることではなく、繰り返して経験を積むことで、上手くなったことが実感として得られるチューニングだという。
最後に吉田氏との連携については、権代氏がまず担当分野のプランを作り、それをプロデューサーの吉田氏とシナリオ担当の前廣氏にはかり、シナリオ的な盛り上がりの側面や、キャラクターの成長曲線を見越し、プロモーション計画を踏まえた上で、ストーリーとバトルをフィッティングを行なっていくという。
当初の計画から変化があったものとして、忍者の実装時期と、クリスタルタワーが紹介された。忍者はその実装によってバトルバランスに変化があるため、フロントラインと一緒に入れた方がいいと考えていたという。クリスタルタワーについては、24人向けのエンドコンテンツという当初の設計を辞めて、24人で気軽に楽しめるお祭り的なコンテンツに変えたという。
ここで吉田氏が、またも唐突に「ゾディアックウェポンも長くなってきたから、アートマどう? 調整しないの?」と権代氏に切り出した。権代氏も異論なしという感じで、さっそくパッチ2.4で調整が入ることが決まった。
話だけ聞くと、吉田氏が緩和推進派、権代氏が緩和反対派という感じだが、実態はまるで逆のようで、吉田氏によれば、権代氏は確実にドロップするものが大好きでゾディアックウェポンに関しては「吉田さんには悪いけど、僕は作りません」と断言して、実はアートマで止まっているという。一方吉田氏は、しっかり難関を突破し、ノウスまで言っているという。
権代氏は話を吉田氏との連携に戻し、バトルに関しては、基本的にバトルチームで決定し、どっちを取るのもありというケースでのみ吉田氏のジャッジを仰いでいるという意外な事実を明らかにした。これを受けて吉田氏は「これでゲームのすべてを僕が作っているわけではないということがわかったでしょう」と嬉しそうな顔をしながらコメント。バトルに関しては権代氏の裁量が非常に大きいようだ。
ふたりの連携についてもう少し話を聞きたかったところだが、ここで吉田氏がサウンドディレクターの祖堅正慶氏を呼び上げ、祖堅氏がまだ見ていないという「蒼天のイシュガルド」トレーラーを鑑賞。再生後、ビッグサプライズとして現在レコーディングを行なっているという祖堅氏率いるPrimalsのライブを、ファンフェス2日目のクロージングセレモニーで行なうことを告知。会場は大歓声に包まれた。
吉田氏はここでもサービス精神を忘れず、トレーラーの主人公が竜騎士になっていることを受けて、権代氏に「竜騎士はレベルキャップ開放でどうなるの?」と質問したところ。権代氏は「良い質問。ただ、まだ明日もあるんで(笑)」と明言は避け、代わりに吉田氏は「竜騎士のジョブクエストを終わらせておくと、よりおもしろいんじゃないか」とヒントと出した。明日のイベントでの発表にも注目したい。
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