先行体験
ケモノたちの愛らしさと血みどろの復讐劇が調和。「戦場のフーガ3」ファーストインプレッション
今回も壮絶なバトルの予感
2025年3月15日 10:00
- 【戦場のフーガ3】
- 5月29日 発売予定
- 価格:
- 通常版 4,180円
- デラックスエディション 6,380円
- デラックスエディションアップグレードパック 2,200円
サイバーコネクトツーのドラマティックシミュレーションRPGの最新作「戦場のフーガ3」が5月29日に発売となる。プラットフォームはプレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC(Steam、Epic Games Store)。
「戦場のフーガ」シリーズの特徴は、犬や猫を擬人化した「イヌヒト」や「ネコヒト」達が暮らす浮遊大陸が舞台の、同社が過去作より展開する「リトルテイルブロンクス」と呼ばれる世界観や設定が採用されていること。「ケモナー」といった俗称があるように、こうした擬人化キャラクターは「のらくろ」の時代から古く長く愛されてきたモチーフの1つだ。
「戦場のフーガ」シリーズについては、過去2作品をプレイしてきたが、本作のストーリーは基本的に平和な「ガスコ」という国の子供たちが、悪の軍事国家「ベルマン帝国」の魔の手から、両親や仲間を救う物語である。そして子供たちを救うのは謎の超巨大戦車「タラニス」で、非常に強力な多砲塔兵器である上に、仲間の命を犠牲に放つ最強(最凶)の兵器「ソウルキャノン」を装備する諸刃の剣のような兵器なのだ。
今回シリーズ3作目が発売するということで、その第1章のみをプレイできる機会が得られた。ファーストインプレッションとして、本作の雰囲気などについて簡単に紹介していきたい。なお、本稿で紹介する内容については開発中となっているため、製品版と異なる可能性がある点については、予めご了承いただきたい。また、シリーズ2作品についてのレビューもあるので、詳細についてはそちらをご覧頂ければ幸いだ。
マルトの失踪?そして子供たちは再びタラニスに……
「戦場のフーガ」シリーズの魅力の1つは重厚なストーリーだ。今回もプレイした第1章の内容は正に本作のプロローグとも言える部分となっており、冒頭から畳みかけるように衝撃の展開が起こる事になるので、それらについて詳しく紹介していきたい。
ゲームを開始すると、カットシーンではラジオから流れる謎の呼びかけに応えたマルトが過去にタラニスと出会ったあの「禁忌の洞窟」に出向くと、そこには2作目の時に雲海に沈めた筈の「タラニス」がなぜか再びそこに存在していた。さらにそこにいたのは、長男のはずのマルトが「兄さん」と呼ぶ威圧感のある謎の男。マルトからなぜここにいるかを問われると、マルトのことを知る兄と呼ばれた男は、意味深に「お前をこれ以上、闘わせないためさ」と告げたあと、呪術を使う仲間たちの手により、マルトは気絶させられてしまう。
公式の情報によると、彼らはベルマン帝国の魔導特務部隊 魔血騎隊の4人組、パイロック、ティーレ、アッシュ、サイクだが、第1章の段階ではその名前が明らかにされていない。マルトが「兄さん」と呼んだ男、アッシュは果たして本当の兄なのか? また、その意味深なセリフ「お前をこれ以上、闘わせないためさ」にはどんな意味が含まれているのだろうか。
そして場面はマルト失踪から数カ月後、再びタラニスに乗り込んだ子供たちの戦いへと転換する。雰囲気的には物語の終盤とも言えるような場所が舞台となっており、再び侵攻を開始したベルマン帝国の拠点とも言える巨大な飛空船に乗り込んだタラニスは、ベルマン帝国にさらわれたマルトを救出すべく、単独での突入を試みていた。
しかも、すでに仲間の半数は本作定番の悪しき最強兵器「ソウルキャノン」の犠牲となってその儚き命を失っていた。シリーズを通してプレイしてきた身としては、だからお前ら、いつも使うなって言ってんだろ! と叫びたくなる。
タラニスには新たな謎の精神体「シャティ」が搭載されており、タラニスの制御や周囲の索敵などを行なってくれるようだ。
ここでスキップしなければ本作のチュートリアルとして、いつもの戦闘モードの説明が行なわれる。今回も砲塔それぞれの担当者が決まっており、それらを組み替えることで、的確に敵を撃退するシステムは健在だ。担当する仲間たちごとにスキルを習得しており、攻撃時に使う事で、効率よく敵を倒したり、自身の回復などが行なえる。
こうしたスキルに加えて、本作では新たに「弱点コンボ」と呼ばれる新システムが追加になった。弱点攻撃を行なう事で、相手の攻撃順序を遅らせるシステムは過去作と同様だが、今回は連続で弱点攻撃を成功させることでコンボが発生し、与えるダメージが増加するのだ。さらにバーストシンボルがMAXまで溜まるとバーストアタック発動でさらに大ダメージが与えられるようになった。コンボ時にはダメージアイコンが変化し、コンボ継続中の様子が確認できるようになっており、これまで以上に局地的な戦術が重要になっている。
順調に歩を進めていると、マルトの声が聞こえる謎の箱が出現。機械仕掛けのように見える小さな小箱で、明らかに人が入らないサイズのため、戸惑いを覚える子供たち。その後、いよいよ最終戦へと突入し、強敵を撃破する。ただし無事に撃破してもいい事なんて何も起こらない。
なんと謎のマルトの声の機械が銃弾を受けると、そこからは血が流れ出る。加えてベルマン帝国の諸悪の根源と言える初代皇帝レバー・カイザーの声でその中にいたのが実はマルト本人だったという衝撃の事実を子供たちに突きつけるのだ。加えて周囲には今まで姿を隠していた大量の敵勢力が新たに出現する!
この発言を聞いた子供たちは敵に取り囲まれた圧倒的に不利な状況も重なり、絶望のどん底に突き落とされる。そして絶望のどん底に落ちた子供たちが取ったのは最悪の選択……それこそが、本作で新たに強化された忌々しい「ソウルキャノン」の強化版、複数の仲間の命と引き換えに発動できる「メガソウルキャノン」だ!
ソウルキャノンの時以上に、禍々しいビジュアルへと変貌を遂げたこの最凶兵器から繰り出される攻撃は超凶悪! 周囲を取り囲んだ敵の勢力をあっという間になぎ倒してしまうが、折角ここまで生き残った子供たちも誰も残っていないのだ……。
ここで死んでいった仲間たちの悲劇をあざ笑うかのように出てくるカットシーン。何とマルトは生きていた! まんまとレバー・カイザーに騙されてしまったのだ。どうしてこんな事に……と悔やむマルトの意識はここでフェードアウトして、謎の空間に飛ばされる。そこにはシリーズではお馴染みの謎の人物、マエストロが登場し、マルトに「やれやれ、これまで見た中でも最悪の結果じゃないか」と告げ、再度時間が戻される……そのタイミングで謎の空間に亀裂が走り、これまでマエストロとしか会った事のなかった空間に謎の男の声が響く! そして意識が戻ったマルトは、ベルマン帝国の牢に掴まっていたのであった……といったところで第1章は終了となる。
次から次へと怒涛の展開が続いてきたが、いかがだっただろうか。「戦場のフーガ」シリーズにはタイムリープの要素もあり、これまでにも時を遡る際にはこの謎の空間を通して過去に遡ってきた。その際に案内してきたのが、この謎の人物マエストロだったわけだが、今回はさらに別の男の介入があるなど、これまでと異なる展開が見えてきた。この謎の空間が何なのか、さらにはマエストロの正体さえも明らかになるのかもしれない。
また、主人公のマルトが囚われてしまう展開になってしまったが、逆にマルトを操作してベルマン帝国から脱出するようなエピソードもあるのだろうか?そうでなければ、子供たちは同じ過ちを繰り返してしまうと思うので、この辺りのストーリーの展開がどうなるのか、続きが気になるところだ。
変わらない安心感と胸躍る新たなストーリーに期待大
以上、「戦場のフーガ3」のファーストインプレッションとして、第1章の内容のみを簡単に紹介した。ざっくりプレイした感触としては、シリーズを通して基本的なシステムはほとんど変わっていないという点は安心ポイントの1つと言えるだろう。
本作は「ドラマティックシミュレーションRPG」の名の通り、子供たちのドラマを楽しむ作品だ。そのため、システムは1の段階ですでに完成されており、2の時も細部のアップデートや難易度の調整などは確認できたが、システム的に大きな変化はなく、安心して子供たちの物語を楽しむことができた。本作でもゲーム的に新たなシステムが追加になってはいるが、これもシミュレーションRPGのゲーム部分の楽しさがアップデートされているのみで、基本的なシステムはそのままなので、シリーズをプレイして来た人なら迷うことなくプレイできる。
今作からの新要素についてだが、第2章以降も、前述の「弱点コンボ」以外に新たなシステムが色々と導入されていくようだ。仲間とは別に、かつての敵や仲間たちが協力してくれるアシストキャラとして登場し、彼らと連携してバトルを有利に進められる「アシストシステム」、搭乗する子供たちがそれぞれ固有のリーダースキルを持ちランダムで発動する「マルチリーダースキル」など、こうしたシステムの追加により、さらに激しく進化したバトルが楽しめそうな予感だ。
また、「戦場のフーガ2」までは飛行手段を持たなかったタラニスだが、本作では「エアリアルモード」と呼ばれる翼が生えたようなビジュアルも確認できた。進化したタラニスは「タラニス・Ω」と呼ばれ、自力で飛べるように進化しているなど、ますます冒険の幅が広がりそうだ。こちらが進化すれば敵の武装も強力になるようで、衛星兵器っぽいビジュアルが確認できるなど、今回も一筋縄ではいかない展開になりそうだ。
ストーリーを楽しむ上でのビジュアルについては、今回も臨場感溢れる魅力的なビジュアルの数々は健在なので、安心してストーリーが堪能できる点も第1章を通して感じられた安心ポイントの1つだ。
そして肝心のストーリーについても、今回は色々と核心に迫る内容になりそうだ。何しろ本作は同社が謳う「復讐三部作」の完結編となる。公式サイトでも「すべての“絶望”の意味がついに明かされる…!」と記載されているように、過去にタイムリープできる能力の秘密なども明らかになるのかもしれない。そんな期待が第1章を通じて感じられた。
これまで主人公のマルトは、自身を「長男だから」と鼓舞する場面が多く見られていた。今までは責任感が強い少年なんだな、くらいの認識だったが、「兄さん」と呼ぶ相手がいるとなると、話は大分変わってくる。「長男」である事を強く意識するのはなぜか? そんな疑問に対する回答も本作で明らかになる可能性は高そうだ。
また、執拗に毎回ガスコを狙ってくるベルマン帝国だが、今回の皇帝レバー・カイザーの悪意の裏には一体何があるのか、など物語への興味は尽きない。「戦場のフーガ3」の発売日は5月29日とまだ先の話だが、早く続きが見てみたい。
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