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台湾最大のゲームショウ「Taipei Game Show 2014」が台湾台北市にて開幕
プレイステーション 4、スマホアプリ、e-Sportsの3つが最新ゲームトレンド
(2014/1/23 21:10)
台湾最大規模のゲームショウ「Taipei Game Show 2014(台北国際電玩展)」が1月23日より台湾台北市のTaipei World Trade Centerにて開幕した。会期は1月27日まで。本稿では取り急ぎ、初日の模様をお伝えしたい。各メーカーブースの詳細やイベントの模様は別稿にて詳しくお伝えするつもりだ。
Taipei Game Show(以下、TPGS)は、毎年、旧正月前に開かれるゲームショウ。この時期は多くの台湾メーカーはすでに忘年会を終えた後であり、あとは1月末から始まる旧正月休暇を楽しみにしているという、日本でいうところのクリスマスからお正月前あたりの時期にあたる。ショウでは積極的に即売が行なわれ、ショウ限定の商品やグッズが販売され、人気商品は文字通り飛ぶように売れる。大きな賑わいと喧噪に満ちたゲームショウだ。
今年のTPGSは、昨年までの会場だった南港展覧館から、再びTaipei World Trade Center(台北世貿中心)に会場を戻して行なわれた。わざわざ古い会場に戻したはっきりとした理由はよくわからないが、ひとつは南港展覧館は台北中心部から遠かったことや、昨年12月にTaipei World Trade Centerの真下に、ついに地下鉄駅 台北101/世貿駅が完成し、会場への交通の便が格段に良くなったことも理由のひとつとして数えられるかもしれない。
今年の出展は、中国系のGarenaと香港系のMad Headの2社を加えた非常に賑やかなものとなった。
まず、長らくTPGSの顔を務めてきたSCET(Sony Computer Entertainment Taiwan)は、昨年88から118コマに拡大し、日本でも「World of Tanks」でお馴染みのWargaming.netが116コマ、「League of Legends」の大ヒットで一躍大手メーカーの仲間入りを果たした中国系のオンラインゲームパブリッシャーGarenaが200コマ。そしてスマホゲーム「神魔之塔」を擁するMad Headがなんと300コマという超特大のブースで、台湾のゲームファンにアピールしていた。
今年はこの4社が突出して大きく、そのほかは台湾系のパーツメーカーのThermaltakeや、米ペリフェラルメーカーのLogitech、米Wizards of The Coastなどが中小のブースを構えるという構成になっていた。台湾のゲームメーカーでいうと、新作MMORPG「猟命師」を出展していた遊戯新幹線ぐらいで、例年通り、外資系の勢いが強い出展内容となっている。
今年の大きな印象としては3点挙げられる。1つは、なんといってもプレイステーション 4(PS4)だ。日本のゲームファンならご存じのように、PS4は日本市場で十分な在庫数を確保するために、アジア市場が先行販売されることになった。昨年、日本のSCEJ(Sony Computer Entertainment Japan)とSCE Asia(Sony Computer Entertainment Asia)がひとつの組織になり、SCEJAとしてアジア先行発売したところが、若干風景を複雑に見せているが、アジアでは台湾のほか、韓国、香港、シンガポール、マレーシアで12月、インドネシア、ジャカルタ、タイ、フィリピンで1月にそれぞれPS4の発売を開始しており、「今ようやく一段落したところ」(関係者)だという。
先行発売した代わりというわけではないが、アジア市場は展開地域が多く、各地域への割当数が絞られることになったため、今なお深刻な品不足が続いている。台湾では、欧米でのヒットを聞きつけて予約が殺到し、初回生産分は初日で完売してしまい、現在予約しても1カ月待ちだという。
今年のTPGSでは、その大人気ハードが体験できるだけでなく、数量限定で販売されるということもあって、多くのゲームファンが列を作った。SCETは台湾では長年トップシェアを維持し、もともとプレステファンが多い土地柄ではあるが、今年は例年以上の人気ぶりだった。
即売コーナーは、予想通り、交通整理が必要なほどの混雑ぶりで、PS4は販売開始30分で完売。この日の販売数は発表していないが、全体で1,000台以上は確保しているということなので、日割りにしても200台以上が売れたことになる。PS4以外にも、PS3セットの人気が高く、こちらも午後には完売していた。SCETの即売コーナーは明日以降も引き続き混雑が続きそうだ。
2点目は、モバイルゲームの勢いだ。300コマを使ってMad Headが展開していた「神魔之塔」は、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」に酷使しているとして、昨年のサービス開始直後に話題になったタイトル。香港では「『神魔之塔』は『パズドラ』のパクりである」として不買ならぬ不遊活動なども繰り広げられたというが、香港と同じ中文繁体字地域である台湾でサービスを開始したところ、これが未曾有の大ヒットを記録し、皮肉にも台湾における日本の「パズドラ」のような、超人気タイトルになっている。
これを受けて、台湾メーカーは、これまで十八番にしてきたPCオンラインゲームやFacebook向けのブラウザゲームの事業を縮小化し、モバイルアプリに注力し始めているという。今年、台湾メーカーの存在感が極端に薄かったのは、その過渡期であるためかもしれず、来年は台湾産のモバイルアプリばかりになっているかもしれない。
ブースでは、メインステージでは対戦大会がひっきりなしに行なわれ、ブースの周囲では多くの試遊台による試遊や、コンパニオンの撮影会などが実施され、多くの来場者が詰めかけていた。台湾のゲームファンによれば、コアなゲームファンは、「神魔之塔」は、「パズドラ」コピーであることを知っているため遊ばないが、大多数のライトユーザーはそのようなことは気にしないという。Mad Headと同等かそれ以上のタイミングで、中文版に対応してリリースしていたら結果はまったく違ったものになっていたのではないかと残念がる声が多かった。スマホアプリビジネスの恐ろしい一面を覗いた気がした。
そして3点目は、e-Sports人気だ。台湾はもともとプロリーグを擁するほどe-Sportsに熱心な地域だったが、今が一番盛り上がっているといっても過言ではないほどのブームになっている。これまでe-Sportsといえば韓国だったが、台湾もそれに並ぶとも劣らないほど人気だ。
これまで述べてきたように、ここ数年で、台湾におけるPCオンラインゲームの勝利の方程式が完全に瓦解し、各社は慌ててモバイルゲームにシフトしつつある。こうした中、PCオンラインゲームで元気なのは、Garenaの「League of Legends」や、Wargaming.netの「World of Tanks」などすべてe-Sports関連のタイトルばかりであり、LogitechやThermaltake、Acer、MSIといったハードメーカーは、PCゲーマーに向けて、ゲーミングPCや、ゲーミングデバイスの開発に余念がない。
ブームのきっかけになったのは、e-Sportsに適した大型タイトルが次々に台湾でサービスを開始したことだ。これまで台湾ではプロリーグが行なわれている「Kart Rider」や「Special Force」、「Starcraft II」など比較的古いタイトルが多かったが、現在流行しているのは「League of Legends」や「World of Tanks」など比較的新しいタイトルばかりだ。いずれも同時接続10万人を超える人気ぶりで、それに合わせてゲーミングデバイスも売れ、好循環が生まれている。
今回は、Garenaは、200コマのブース中央に対戦用のステージを用意し、2012年に世界チャンピオンに輝いた台湾チームを招いてエキシビションマッチを実施。ステージが見えないほどの混雑ぶりでその熱狂的な人気を見せつけた。一方、Wargaming.netは、アジア総経理のJasper氏が登場して、台湾市場を非常に重視していることを重ねてアピールしていた。初日の本日は、次回作「World of Airplane」を披露し、週末にはエキシビションマッチや各種イベントが行なわれる予定だ。
本日以降、GAME Watchでは精力的に現地レポートをお届けしていくのでぜひご注目いただきたい。