ニュース

日本は高難度ゲームをやり込みがち? SIE・秋山氏による「PSユーザー行動履歴の検証」【CEDEC2022】

F2Pも人気でしっかりと課金する好循環など

【CEDEC2022】

開催期間:8月23日~25日

 8月23日より開発者向けカンファレンス「CEDEC2022」がオンラインにて開幕となった。本稿ではソニー・インタラクティブエンタテインメントの秋山賢成氏による「世界の PlayStation® ユーザー行動履歴の検証」を紹介する。

 秋山氏は、同社の東京グローバルデベロッパーテクノロジー部担当部長を務める人物。今回のセッションは、プレイステーション 5/プレイステーション 4の様々なユーザー行動履歴やゲームプレイの履歴から過去を振り返りつつ、“今”を検証する内容。膨大なグローバルのデータの中で「地域ごとのユーザーの行動に差があるのか」、「どういう特徴があるのか」、「プラットフォームごとの違い」などについてが、データを確認しながら数値ではなく傾向として紹介される。

2021年4月から順調に増えるPS5プレーヤー

 最初に秋山氏は「Active Device(ゲームを一度でもプレイしたことのあるデバイス)」のグラフを公開。共有されたPS5とPS4のActive Deviceを合算したグラフでは、各地域ごとの差があまり出ていないのが伺えた。

 また、秋山氏によればグラフには記載していないものの、PS5のActive Deviceも全地域にて次第に増えてきており、新規プレーヤーの増加やPS4からPS5に移行したプレーヤーが増加しているという。

 今回のセッションでは、このActive Deviceをもとに集計したグラフが紹介された。

日本人はF2Pが好き?

 次に秋山氏は、「F2P(Free to Play)とOMP(オンラインマルチプレイ)」のグラフを共有した。秋山氏によれば日本のユーザーはPS5・PS4共にF2Pを好んでプレイしている模様で、その次にUSやEUユーザーがプレイしているという。また、アジアにおいてはそれ以外のジャンルのゲームが好んでプレイされている様子だった。

 他にも、PS4ユーザーよりもPS5ユーザーの方が好んでプレイしていると紹介。さらに、日本人のPS5ユーザーはPS4ユーザーと比較した際により顕著にF2Pをプレイしているという。

 一方OMPの場合にはUSやEUのプレーヤーに圧倒的に人気である他、PS4よりもPS5ユーザーの方がOMPを楽しんでいるのが明かされた。

日本のユーザーは平均プレイ時間が長い

 次いで秋山氏は「平均プレイ時間の推移」について言及。各地域ごとのグラフでは、日本の平均プレイ時間がUSと比較した際に僅差で長いという。さらに、どの地域においてもPS5の平均プレイ時間の方がPS4よりも長いと紹介した。

 また、日本ユーザーのF2P平均プレイ時間の割合は、他地域よりも群をぬいて高い一方、前項のグラフの通りOMPの平均プレイ時間割合はUS・EUが日本・アジアよりも高いと語った。

世界的にディスク版よりもデジタル版の方が人気?

 「昨今デジタル版のみのタイトルも増えてきている」としたうえで秋山氏は、どちらの方が多いのかについて紹介した。

 共有されたグラフは「直近1年間ほどの中で販売されているゲーム本編をディスク/デジタルのどちらで購入し起動したか」、「複数購入し双方購入した人は除外」などの条件で集計されたもの。なお、本数ではなく、割合のグラフとなっている。

 日本は他地域と比べてディスク版の割合が高いのに対して、USはデジタル版の割合が高いという結果が出た。また、全体で見た際にデジタル版の比率が高いことも指摘。これについて秋山氏は「事前ダウンロードなどによって、発売日に即プレイできる点をメリットと感じているユーザーが多いからではないか」、「アプリによっていつでもどこでも購入できるからではないか」と分析した。

 ただし、ディスク版とデジタル版どちらかの割合が顕著に高くないことにも言及。「ディスク版を購入している人がまだまだ多い点にも注目してほしい」とも語った。

日本人は結構課金するし追加コンテンツも買う

 各地域の課金率に大きな差はないが、PS5ユーザーの方がPS4ユーザーよりも高い課金率となっているという。ただし、デバイス毎の平均課金額は日本が比較的高い値を出している他、PS5の方がPS4よりも平均課金額がやはり多いと紹介した。

 また、F2Pタイトルへの課金率においても日本の課金率が最も高く、秋山氏はこれを「日本はプレイの割合も高く、課金率も高いことから好循環を生んでおり、フリーだけで遊ばずしっかりと課金してゲーム体験をブーストするスタイルが一般的になってきている」と推測した。

順調に伸びるPSVRのプレイ時間

 2021年4月を起点としたPSVRのグラフでは、順調にプレイ時間が伸びているのが確認できた。また、プレイ時間の傾向として秋山氏は、US・EUではユーザー間のコミュニケーションが発生するコンテンツが圧倒的に長い割合を占めている他、1プレイの時間が決まっているコンテンツが人気だという。

 また、日本は他地域と比較した際にノンゲームコンテンツのプレイ時間が非常に長く、ゲームコンテンツは特定のものではなく、幅広いジャンルが遊ばれていると語った。

平均トロフィー取得率は日本が1位!

 「平均トロフィー取得率」については、「直近一年間に発売されたタイトル」、「地域毎ゲームプレイランキングTOP100の中」、「全地域がランクイン」、「プラチナトロフィーが存在するタイトル」の条件で集計されたグラフが公開。

 秋山氏は、上位タイトルであっても全地域共通で平均30%程度に収まっているタイトルが多いことに注目。「上位タイルは難易度の高いトロフィーが多いのか」、「そもそもプレイが難しいのではないか」といった可能性を指摘した。

 また、各地域の平均トロフィー取得率ランキングにおいては、日本が圧倒的に取得率が高いタイトルが一番多いことについても言及。「あくまで上位100タイトルに限った話ではあるが」と前置きしたうえで、日本のユーザーはひとつのタイトルを長く遊び、且つトロフィーを多く取得する傾向があると分析した。

 ただし、プレイ時間とトロフィーの取得率が相関関係にあるわけではないとして「トロフィーの取得率」のグラフも共有。同グラフではアジアが圧倒的に多くプラチナトロフィーを獲得していることから、「やり込みをする人が多いのではないか」と語った。

 さらに、一般的に難易度が高いといわれているタイトルについては、アジア・日本において非常に高いプラチナ取得率を記録しているとも紹介。両地域において「あきらめずに続ける」、「繰り返しプレイする」プレーヤーが多いの“かも”しれないと分析した。

 他にも、全体のトロフィー取得率分布のグラフも公開。全体として見た際に右肩下がりに取得率が低下しているのに対して、80%から90%まで下がり続けた後、100%に向けて少し右肩上がりすることから、「ここまで来たら最後までやり遂げよう」というプレーヤーもいるのではないかと推測していた。

 また、地域ごとに取得率分布を見た際にあまり差がないように見えるが、最初の0%から10%までの部分に注目すると、日本は他よりも比較的高く、秋山氏はこれを「最初の段階を超えてある程度プレイする人が日本は多いのではないか」と分析した。

日本ユーザーはひとつのタイトルを長く遊ぶ?

 最後に秋山氏は「ゲームプレイタイトルの平均本数」、「1タイトルあたりの平均プレイ時間」などを公開。

 「ゲームプレイタイトルの平均本数」においては、USの平均本数が多く、日本はUSの半分強ほどで、他地域と比較して最も少ない地域となっていた。一方、「1タイトルあたりの平均プレイ時間」では、日本が他地域よりも2倍近い時間プレイしているのが確認でき、秋山氏は「日本ユーザーはひとつのタイトルを長く遊ぶ」と分析している。

 さらに、「プラットフォーム毎の平均プレイ時間」について、6カ月間のゲームプレイ時間の比較では、PS5にアップデートしたユーザーは平均プレイ時間が長くなることについても言及した。