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吸血鬼として生きるRPG「Vampire:The Masquerade Bloodlines 2」
ベルリンのイベント「PDXCON」にて、その姿が明らかに!
2019年10月24日 16:00
10月19日、ドイツ・ベルリンにて、スウェーデンのゲームメーカー Paradox Interactiveのイベント「PDXCON」が開催された。本稿では前日に開催されたメディア向け発表会の「Vampire:The Masquerade Bloodlines 2(以下、「Bloodlines 2」)」を紹介する。
本作はイベント直前に発売の延期が発表され、2020年第1四半期から、2020年内となった。「Bloodlines 2」は吸血鬼をテーマにしたユニークなゲームであり、PS4向け日本語版がDMMから発売を予定している。
PDXCONは今回で2回目となるイベント。第2次世界大戦の世界を扱った「Hearts of Iron」や、宇宙での覇権を争う「Stellaris」など情報量の非常に多いストラテジーゲームを得意とするメーカーでヨーロッパでのファンは多い。今回はベルリン東部の大きなイベント会場で様々なタイトルのアップデートや最新情報が紹介され、いくつかのタイトルはそのまま試遊台で新要素を試せた。
「Bloodlines 2」はスタッフの解説により、冒頭のプレイ、ゲーム要素が紹介された。謎めいたオープニング、ユニークな吸血鬼の能力の一端が明らかになった。「Bloodlines 2」は東京ゲームショーでもインタビューしているので、併せて読んで欲しい。
燃える地下からの脱出、シアトルの秘密
ゲームは禿頭の男の"尋問"から始まる。男は吸血鬼で、このシアトルを牛耳る5つの“クラン(氏族)”の1人だという。主人公はある事件に巻き込まれ、最下層の吸血鬼となった。しかしその事件は街の吸血鬼にとって予想外の事件だったらしい。
そこで主人公の頭にフラッシュバックがおき記憶が再生される。街の華やかな通り。しかし突然人を襲い始めた1人の吸血鬼によって地獄に変わる。深夜とは言え数人の人がいる通りで、その吸血鬼は次々に人の血を吸っていった。そして1人の男には倒れた男の口の中に、自分の血を注ぎ込んだのだ。……その男こそ主人公なのである。
禿頭の吸血鬼は言う。「何が起きたか話せ。その後最下層の吸血鬼となったおまえを殺してやる」。禿頭の吸血鬼の背後は一段高い場所があり、そこにも数人のクランがいる。主人公が吸血鬼となって生まれ変わった事件はこの街の吸血鬼全体に興味深いものらしい。
クラン達はこちらを見下し余裕たっぷりだが、仲は険悪らしい。話をしながらも言い争いを始める。そのとき「火事だ!」という叫びと共にクラン達の背後から炎が上がる。クラン達はそれを自分を罠にはめる他のクランの陰謀だと受け取った。霧に変わったり、空を飛んで飛びかかりお互いが激しい戦いを始める。禿頭の吸血鬼は事態を把握しようと目の前のドアを開けるが、バックドラフトの激しい炎が吹き上がり、主人公の目の前で焼け崩れる。
ここからがゲームのチュートリアルとなる。プレーヤーは解放された吸血鬼になってしまった男として燃えさかる建物から逃れることとなる。主人公は最下層とはいえ吸血鬼だ。壁を易々と昇り、数メートル下に落下してもダメージはない。「Bloodlines 2」は基本は1人称視点でゲームが進行するが壁によじ登ったり、戦闘でのアクションシーンなどではカメラが3人称に切り替わる。今回は省略されたがゲームのスタート時には主人公の男女の性別、細かい外見などが設定できる。また吸血鬼になる前の職業も設定でき、ゲームの展開が変わるとのことだ。
炎の建物から逃れた主人公は自分が地下にいることを知る。シアトルは過去の大きな災害が起き街の多くが焼けた過去がある。人々はその街を壊さず、その上に新しい街を作った。このため今の街の地下には実際にこのように崩壊した街が眠っている。吸血鬼達はその崩壊した街を利用しているのだ。開発者達は実際の街の歴史やこの構造を活用して、本作の舞台を作ったとのことだ。
吸血鬼の能力を使い、様々な力を獲得せよ!
ここでプレーヤーは「能力の選択」を行なうこととなる。弱いながらも主人公は吸血鬼の能力を持っており、ここで1つのスキルを選択する。1つはコウモリの力を使って滑空できる「CHIROPTERAN」、2つめが自分の身体を霧に変え通風口から異なる通風口へ移動できる「NEBULATION」、3つめが念動力でものを動かす「MENTALISM」。3つから1つを選択し取得する。この能力を使ってマップを進んでいく。
地下から逃れた主人公は波止場に出る。そこには携帯電話を持った男が不自然に立っている。そして言うのだ「電話を取れ」と。携帯電話からは女の声。女は電話を持っている男を吸血鬼の力で操っているという。そして主人公に生き抜くこと、吸血鬼としての命を繋ぐために目の前の男の血を吸うことを勧める。……主人公はためらいながらも男の血を吸う。
「Bloodlines 2」ではプレーヤーは人間の血を吸うことで力を得る。犠牲者は血を吸われても死なないが、あえて死ぬまで血を吸うこともでき、そうするとキャラクターは「人間性」を失ってしまう。人間性を失いすぎるとプレーヤーの意志に従わず人を襲うなど制御できなくなる場合があるとのことだ。
女の指示に従い主人公は波止場のレストランに向かう。ここは“敵”の支配下にあるようで、主人公は見つかると襲われてしまう。キャラクターはステルスを駆使しながら戦っていく。敵の武器を奪えば射撃可能だがここでは装弾数も低くあまり長く武器を持っていられなかった。格闘攻撃では正面を殴るだけではなくコンボ要素もあり、連続攻撃が成功すると3人称視点のカッコイイアクションシーンが挿入され、かなり爽快だ。基本的に主人公は常人を数人相手をしても圧倒できる強さがあることが確認できた。
敵を倒す事で主人公はレストランに隠れていた男と接触することができた。男は吸血鬼の協力者で、主人公にある隠れ家の場所を紹介する。しかしさらに詳しい話をしようとしたとき1人の女吸血鬼が男を襲う。首を切られた男は絶命。女吸血鬼は主人公を締め上げるが、同族だということ知り、殺すのをやめその場を去る。主人公は男から知らされた隠れ家にたどり着く。ゲームはここを拠点に進んでいくという。
感情で変化する“血の味”、吸血鬼としての生き方
ここで“睡眠”することでゲームのストーリーは進むとのことだが、デモプレイではあえて眠らずそのままシアトルの街を探索することになった。「Bloodlines 2」ではシアトルの街をゲームで再現している。深夜だが街の住人は多く、通りを行き交っている。
プレーヤーは吸血鬼として街の住人の血を吸うことが可能だ。易々とビルをよじ登り、ビルの裏手で1人の男を恫喝する3人組を見つけた。この時点で主人公はゲームが進んだ状態でいくつかの能力を持っていることが説明された。
その能力の1つが「吸血鬼の視界」である。画面が薄暗くなり、人間の姿はハイライトされ彼らの周りに炎のような揺らめきが現われる。これが彼らの“感情”だという。怒りの感情は赤く、警戒している男は緑で、脅されている男は大きな紫の恐怖の感情を示している。
感情が激しいほど血の“味”が変化するというのだ。主人公は恫喝していた男達をたたきのめす。そうすると脅されていた男の紫の光が一層強くなる。この男の血を吸うことで紫のポイントが一気に入っていくのがわかった。これらの感情の要素もゲームに深く関わってくるとのことだ。
もう1つ紹介されたのが人間達の反撃。街の人通りの多いところでいきなり血を吸うとあっという間に警官に囲まれる。しかし倒されることなく易々と逃げることができた。しかし警官達は主人公の場所を知っており、続々集まってきていた。実際にはここから逃げることも可能だが、今回は街で派手に暴れると瞬時に警戒度が上がるのが確認できた。
今回のデモプレイの内容はここまでだった。「Bloodlines 2」開発者へのインタビューも実施しており、こちらも別稿で紹介したい。本作は発売と同時に日本ではDMMからPS4向けに日本語ローカライズ版が発売されることが決定している。現在はフルボイスかテキストのみの翻訳かを検討しているとのことだが、キャラクター性の濃いクラン達や、街の住人達の反応なども含め、やはり日本語版で楽しみたいと感じた。フルボイスでのローカライズを期待したいところだ。