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「Oculus Quest」で出ちゃうかも? 完全同期のVR対戦格闘「Duels of Gargantua」試遊レポート
2019年9月14日 19:53
- 2020年リリース予定
- 価格:未定
東京ゲームショウ2019のVR/ARブースの一角では、よむネコがVRによる対戦格闘ゲーム「Duels of Gargantua」(デュエル オブ ガルガンチュア、以下DoG)のデモ版をプレイアブル出展している。同社は今年6月にgumiからリリースしたVRアクションゲーム「Swords of Gargantua」(ソード オブ ガルガンチュア、以下「SoG」)の開発会社であり、「SoG」がPvEのVRアクションゲームなのに対して、今回の「DoG」はPvPによるVR格闘ゲームとなる。
プラットフォームについては未定だが、今回のプレイアブル展示は「Oculus Rift S」を使用している。「SoG」がクロスプレイに対応し、「Oculus Rift」や「HTC VIVE」、「Windows MR」、さらには実売5万円前後のスタンドアローンVRハード「Oculus Quest」にも対応していた事を考えると、これら全てに対応する可能性は高いとみられる。
今回は実際にPvP対戦に挑戦させてもらう機会が頂けたので、筆者が「Oculus Rift S」を装着して汗だくになりながら2回ほど戦ってきたその模様をレポートしていく。
「DoG」は6DoF対応機器を想定しており、両腕と顔の位置情報を元に動作し、右手にOculus Touchコントローラを持った状態で右手を華麗に振り回す事で、VR空間内でも同じように剣を振ってくれる。VR空間内で重そうな剣を華麗に振り回して立ち回る姿は、まず何より自分自身が気持ちよく、ファンタジー世界の住人になった気分が味わえる。
また、左手のOculus touchコントローラの位置で左手の盾を構える事もできる。盾をうまく構えて敵の攻撃を防御するのはかなりの慣れが必要だ。というのも右手の剣の動きに集中しすぎてしまうと、左手の盾がおろそかになってしまい、あまりうまく防御できないのだ。
一方で足回りの位置情報はトラッキングされないため、本作では左手のOculus Touchコントローラに備えるスティックを操作してゲーム内の自身の移動を行なう。そのため足の動きがちょこまかした感じに見えてしまうのは残念なところだが、製品版などではキャラごとの歩き方など、より見栄えのする動きになるだろう。
とにかく本作では腕の動きのゲーム内での再現性が非常に高い。剣を振ったり前に突き出す仕草がそのままVR上でも再現される。さらに剣をちまちまと振ったりゆっくり剣を刺してもあまりダメージにはならず、きちんと剣を振りきらないと大きなダメージは与えられない。
さらに接近したまま膠着状態になるのを防ぐため、ゲームとしての仕掛けとして、剣を使いすぎると通常時は青白く、または赤く光っていた剣の色がだんだんと黒くなっていき、ダメージが与えられなくなる。こうなった場合は、1度相手から離れて剣を休ませる必要がある。一定時間離れていると再び剣に光が灯るようになるので、ここで再度接近して戦いに挑む。このように本作ではどのタイミングで攻撃を仕掛け、どのタイミングで引いて防御に徹するか、といった駆け引きや戦略が勝つためには重要になる。
今回の試遊台について同社では、実際のユーザーの利用環境と同じようにオンラインで接続した環境を用意したという。一方で東京ゲームショウ2019会場では、朝と晩に急激にネットワークの負荷が上がるため、その間にプレイすると会場のネットワーク負荷が原因でラグが発生する場合もあったとしている。
今回の「DoG」ではオンライン対戦格闘ゲームなどで多く採用されている、完全同期システムをVR向けに改良して採用しているという。特にPvPの場合、PvEと異なり、同期のズレは対戦結果に大きく影響を及ぼすため、チューニングには特に力を入れたとのこと。
こうしたオンライン上のVRモデルの挙動については、6月にリリースした「SoG」のノウハウが活きているという。モデリングなどについては「SoG」からの流用はなく、全て1からの開発だが、「SoG」で培ったノウハウもあり、短期間での開発が順調に進められているとのことだ。また、「SoG」が最大4人まで参加できるマルチプレイに対応していたのに対して、PvPとなる本作では、実際に参加するプレーヤーが1vs1のため、負荷が軽減される面もある。
今回のプレイアブル展示では、もう1つユニークな仕掛けが用意されていた。今回の展示では計3台のPCが同時にサーバー上に接続している。2台はそれぞれのプレーヤー用だが、もう1台は観戦用なのだ。本作ではサーバー上の位置データを直接読み出してプレーヤーと同じように3D化しているため、遅延やラグが発生する事なく、観戦が楽しめるのだという。こうした仕組みを利用して、例えばスマートフォンでのリアルタイムのプレイ動画視聴や、対応機器を使用したVR観戦モードなども想定しているとした。
以上の通り、もうそのまま発売できそうな状態でゲームのコア部分は完成しているが、実際の製品化のためには、マッチングの部分やキャラクターカスタムなど、トータル的な製品としての細かい要素をそろえる必要がある。現状は3キャラクターが稼働可能で、ステージは1つしかないが、この辺りは製品版に向けてブラッシュアップされていくとみられる。
将来的にはVRの普及に合わせてeスポーツでの採用も狙っているという。その理由として同社では1試合の時間が比較的短く、勝敗がはっきりしやすい点を挙げる。また、実際のプレーヤーの動きのカッコよさが評価されるため、戦いに強く、それでいてVR上での仕草をカッコよく決められるスタープレーヤーが生まれる可能性にも期待する。
現時点ではプラットフォームが未定とのことだが、前述の通り、6DoF対応機器の全てでリリースされる可能性は高い。特に普及価格帯の5万円前後で発売している「Oculus Quest」でリリースされれば、かなり広範な普及が見込まれるため、同社の目標も遠い夢ではないように思える。実際に同社では今回のプレイアブル出展でも実はギリギリまで「Oculus Quest」での展示を検討していたようだ。
将来、VR上のスターになるためにも今からカッコいいVR上の仕草を練習しておくのも悪くないかもしれない。
©よむネコ