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明日なき世界、“生きる理由”は見つかるのか?「Days Gone」体験レポート

バイクを直して疾走し、波と化して襲いかかる死に立ち向かえ!

4月26日 発売予定

価格:
6,900円(税別、パッケージ版)
7,452円(税込、ダウンロード版)
【デジタルデラックスエディション】

8,532円(税込、ダウンロード専売)
CEROレーティング:審査予定

 「パンデミックが起きた世界、人はいかに生きるか?」、SIEが4月26日に発売するオープンワールドサバイバルアクション「Days Gone」は文明が崩壊した社会での人間の生き様を描く作品だ。

 弊誌でもE3や東京ゲームショウなどで本作を取り上げているが、今回、冒頭部分と、本作のオープンワールドの楽しさを体験できる「メディア先行体験会」が開催された。本稿ではそのレポートと、ローカライズプロデューサーの浦野圭氏、ローカライズスペシャリストの立山斉氏のQAなどをお伝えしたい。

ローカライズプロデューサーの浦野圭氏(左)、ローカライズスペシャリストの立山斉氏

どう生き残るか? パンデミック後の人間の生き様を描く重厚なドラマ

 「Days Gone」は謎のパンデミックにより文明が崩壊した世界が描かれる。舞台となるのはアメリカの西海岸北西部だ。「Days Gone」におけるパンデミックは、人や動物が何らかの理由で人や動物が感染してしまい、他者を襲う動物のような存在に化してしまった事での文明崩壊を指す。感染者はフリーカーと呼ばれ、人だけでなく、クマやカラス、オオカミも感染し人を襲う。

 彼らは光が苦手で日中は“巣”と呼ばれる建物や洞窟に、まるで鳥の巣のようにガラクタを集めて潜んでいる。周囲をあてもなくうろつき、力のないフリーカーは同じフリーカーに食われてしまうので離れていたりする。彼らは“群れ”をなす。その群れは大量で数十体……100体近くの群れが、津波のように集団で移動し、人間の集落を襲うこともある。

感染者達は動物のように本能のみの生き物となってしまう

 パンデミック直後、主人公ディーコンは怪我を負った妻サラと、相棒のブーザーと共にフリーカーから逃げるべく政府のヘリに乗ろうとしていた。しかしヘリに乗れるのは2人まで。ディーコンは妻だけをヘリに乗せ、ブーザーと共にヘリを見送る決断を下す。……そして2年、ディーコンとブーザーは生きぬいていた。ディーコンとブーザーはバイクで旅をしながら、賞金稼ぎをして日々を過ごしていた。

 パンデミックから2年、人類の文明社会は崩壊し、人々はフリーカーを防ぎながら生活をしていた。フリーカーを拒むフェンスで周りを囲み、廃墟となった建物や廃車から様々な資源をかき集め、何とか生活を維持している。しかし人々を教義に従って傷つけるカルト集団「リッパー」が誕生したりと、その世界は歪んでいる。その中をディーコンとブーザーはバイクで旅していく。

ディーコンと妻のサラ。ディーコンはサラを失ってしまう
相棒のブーザーは頼れる男だ

 今回は本作の冒頭部分をプレイできた。バイクの部品を見つけるところは東京ゲームショーで体験できた部分だったが、今回はチュートリアル的な部分や、その他の所も体験でき、ディーコンとブーザーがどんな人物で、どういう関係かをしっかり確認できた。

 「Days Gone」はバイクで広大な地域を移動し、様々なポイントで探索を行なっていくオープンワールドサバイバルアクション。資源で火炎瓶や薬品など様々なアイテムを作り戦っていく。フリーカーはやはりその“数”こそが恐ろしい。見つかったら奴らは仲間を呼びあっという間に敵に囲まれてしまう。資源は有限であり、プレーヤーは前に進むためにはできるだけ戦いを避けるステルススタイルが有効だ。

 序盤で感じるのはディーコンとブーザーの絆の強さである。ブーザーを見捨てられずにヘリを見送った冒頭シーンだけでなく、ブーザーとディーコンはお互いをカバーして戦う。チュートリアルではプレーヤーが不慣れなため、助けてくれるブーザーはとても頼もしく感じる。しかしブーザーは怪我を負う。リッパーに腕を焼かれてしまうのだ。ディーコンはブーザーを助けるために奔走することとなる。

車は様々な物資が手に入る。それらを使って武器を強化することも可能

 “人間の異常さ”も序盤からはっきり出ている部分だ。この世界は油断がならず、物を奪うためには知り合いも裏切りかねない。最初ディーコンとブーザーは裏切り者を追う。カルト集団のリッパーだけでなく、各コミュニティでもドラマがある。さらに秘密に包まれた国家緊急対応機構「NERO(ネロ)」の存在もある。フリーカーは恐ろしいが、言わば自然現象の1つ、注意すれば避けることができるものかもしれないが、人間は意思があるだけやっかいだ。ストーリーでは人間のエゴ、醜さが描かれることになりそうだ。

 追い詰めた裏切り者は言う。「殺してくれ、生きたまま奴らにむさぼり食われるのだけはゴメンだ!」。ディーコンは数度ためらってから彼の望みを叶えてやる。「Days Gone」は過酷な世界であり、現代とはモラルの違う世界であることを象徴するシーンの1つだろう。

フリーカーを神とあがめる狂信者リッパー

賞金稼ぎ、野盗との戦い。様々なイベントがちりばめられたオープンワールド

 体験会は2部構成となっており、今回は本作のオープンワールド部分を体験できた。「Days Gone」はシナリオだけでなく広大な地域を探索できる。マップにはイベントやサブクエスト、メインとなるストーリークエストなどが用意されている。

 キャラクターはレベルが上がることでスキルポイントを得て成長する。「格闘」、「遠距離」、「サバイバル」の3項目があり、格闘スキルには「近接武器を修理できる」、遠距離スキルでは「移動中でも照準がぶれなくなる」などがあり、どれも有効に感じる。どれをとっていくか悩ましい。

様々なミッションが提示されるマップ

 ある程度装備が整っている状態だったためか最初は難しく感じた。まず野盗のアジトの襲撃をやってみたのだが、敵の探知能力は高く、火器のダメージは大きい。何度も殺され、挑戦を断念した。回復はアイテムを使うのだが、資源が必要なためこちらの確保も大変だ。持っている銃がサブマシンガンだったため敵を捕らえにくく、敵は物陰に隠れて撃ってくるので当てにくい。人間相手の戦闘は大変だと感じた。

 「Days Gone」はバイクが重要となる。バイクはセーブポイントであり、再出現地点もバイクの周りとなる。探索などでアイテムを確保してもセーブを忘れると大きく戻されてしまうので、こまめにセーブしておきたいところだ。また、敵の拠点への襲撃は襲撃前でセーブされるので、敵を倒し切らない場合、途中で倒されたら最初からになってしまう。かなり慎重に進めなくてはならないようだ。

【「Days Gone」、強敵となる人間達との戦い】

 バイクはガソリンと耐久値のステータスがある。ガソリンは減ってしまうとエンジンがかからず押して歩く羽目になるし、壊れると直さなければ使えなくなる。修理にはジャンクが必要だし、ガソリンは様々な所に落ちているポリタンクを使って給油できる。ポリタンクは撃つと爆発するトラップに使え、結構様々な場所に落ちている。しかしフリーカーの群れなどに遭遇すると、バイクの耐久値はあっという間に減り、逃げるためにガソリンも消費してしまうので、気をつけたいところだ。

バイクは修理・改造が可能

 集落では“賞金稼ぎ”の依頼を受けることもできる。集落に被害を出すような奴がいて、彼を倒すことで賞金を得るだけでなく、集落からの信頼も得ることができるわけだ。賞金首は単独ではなく、部下と共にアジトを作っている場合も多いので、彼らとの戦いは激しいものとなる。

 他にも今回の範囲では、フリーカーの大きな巣がある。数十体のフリーカーが洞窟でうごめいており、ディーコンを見つけると一斉に襲いかかってくる。「Days Gone」はこの集団を描写する技法が大きな特徴の1つだ。フリーカーを使って敵を襲わせたりもできるし、この波のような敵からいかに逃げるか、そして罠を使うことでこれだけのフリーカーを撃退できるかも挑戦要素となる。装備を調え、トラップをフルに使って挑みたいところだ。

集落には様々な考えの人間がいる。彼らと交流し、賞金稼ぎとして金を得る
【「Days Gone」、大量のフリーカーが潜む巣を襲う】

 フリーカー相手には時間も非常に大事だ。フリーカーは日光と暑さに弱い。逆に夜は集団で動き回っており、運が悪いと大量のフリーカーに追い回されることとなる。こうなるとバイクだけが頼りだ。この世界の道はすでに整備されておらず、まっすぐ走ることすら難しい。暗い夜の中、視界がきかない状態でひたすら逃げるのはとても恐ろしい体験だった。

 今回の体験会ではいくつかのコンテンツに挑戦し、感覚を掴んだところで最初に逃げ帰った野盗のアジトに再挑戦してみた。武器をうまく使い、近接攻撃もうまく使い数人の野盗を何とか撃退することができた。アジトには「シェルター」があり、ここで物資が調達できた。アジトにはベッドもあり、ここで寝ることで朝まで過ごすことができる。こういった施設も使い、フリーカーが活動する夜を避けるという方法も確認できた。

 体験会はここで終わり、この後ローカライズプロデューサーの浦野圭氏、ローカライズスペシャリストの立山斉氏に話を聞くことができた。両氏のお気に入り、こだわりのポイントをピックアップしたい。

大量のフリーカーは本作の大きな特徴だ

浦野氏、立山氏が語る「Days Gone」の魅力

 ローカライズスペシャリストの立山氏は、本作は「パンデミックの後の生き残った人々の生き様、存在のあり方」をリアルに追求した作品だと語った。そしてこの世界では様々な“正解”、この世界でどう生きるかが提示されていると語った。

 両氏に「Days Gone」のどこが好きか? という質問をぶつけたところ。浦野氏は「大量のフリーカーと戦うところ」と答えた。トラップ、武器、逃げる道など、何度も試行錯誤して攻略法を生み出し、大量のフリーカーを倒しきるその挑戦が好きだという。もう1つ、バイクに乗って世界を探索するところ、道を外れたところも進んでいく、カスタマイズ要素もお気に入りとのこと。

大量のフリーカーと戦うところが好きという浦野氏

 立山氏は狂信者集団「リッパー」がお気に入り。「安らかに眠れ!」、「魂の解放を!」などと言って襲いかかってくる理解不能な価値観を持った彼らは、異質な存在だが、その独特な生き様に、「かわいいな」と感じる部分もあるという。また、ディーコンとブーザーの関係性が大好きとのことだ。お互いが相棒のために命をかける、その姿に惹かれるという。

 本作のボリュームはメインストーリーだけでもたっぷりあるが、探索、コレクティブ、サブクエストがとても豊富だ。サブクエストを通じてより重厚なドラマ、成長要素が用意されているという。

 浦野氏お気に入りの大量のフリーカーへの対処法を重ねて聞いてみたのだが、フリーカーに有効なのはまずは火炎瓶、そしてポリタンクを運んでおいて設置しておくこと。銃の弾薬を大量に確保すること。また襲撃は日差しの高い昼にすることも大事だという。ただやはり今回の範囲では難しく、探索を行なって資源を集め、罠を作れるようになってから挑むのがいい、とのことだ。バイクのバッグをカスタマイズすることでより大量の武器を詰めるようになるとのことだ。

 本作は過激で残酷な描写が注目される作品である。表現が変更されてしまうという危惧もあり、メディアからは「オリジナル版から変更されている点、調整されている点はあるか?」という質問も出た。これに対し浦野氏は、「現在、日本国内の販売においてはCERO「Z」(18才以上のみ対象)を想定しています。ゲームプレイ中の表現は、基本的には海外版と同じですが、CEROの規定に準拠しております」と答えた。ファンにとっては重要な点であり、具体的にどう変更されるかは、今後の発表を待ちたいところだ。

リッパーの独特の価値観が好きという立山氏

 今回じっくりゲームに触ってみて、改めて「Days Gone」の印象が変わった。フリーカーとの戦い、特に大量のフリーカーとどう戦っていくかが印象的だった本作だが、人間ドラマに力が入っていることが確認できた。極限の状態で価値観の変わった世界。それでも生きぬいていくディーコンとブーザー、彼らがどうなっていくか、物語に強く興味を惹かれた。

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