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ナイアンティック、「Future in AR w/NIANTEIC」としてARについて語る

未来を感じるARゲーム「NEON」の先行体験も!

10月16日 開催

 ナイアンティックは、10月12日より21日まで六本木ヒルズにて開催中の「INNOVATION TOKYO 2018 - AR Playground with Niantic -」に、「ポケモンGO」「イングレス」をテーマにしたARコンテンツを出展している。

 10月16日にはナイアンティックのCEO ジョン・ハンケ氏らが来日し、「Future in AR w/NIANTEIC」としてナイアンティックの目標やARに対する取り組みなどが語られたほか、10月17日よりオープンとなるARゲーム「NEON」を体験することができた。

「みんなで楽しむ」ためのAR

村井説人氏

 「Future in AR w/NIANTEIC」のセッションでは、ジョン・ハンケ氏をはじめ、村井説人氏、河合敬一氏、川島優志氏、須賀健人氏が登壇。ナイアンティックの歴史や理念についてが語られた。

 河合氏によればナイアンティックのプロダクトの開発は「Explore(発見)」、「Excercise(運動)」、「Real World Social(実社会での繋がり)」の3点に沿って行なわれているという。これはそれぞれ外に出て遊ぶこと、ゲームプレイに運動が伴うこと、そして現実世界での交流の"タネ"になるということだ。こうした理念は「Ingress」や「ポケモンGO」のゲームデザインにもありありと現われている。

河合敬一氏

 また、ナイアンティックは「INNOVATION TOKYO 2018」の出展コンテンツからもわかるとおり、近年AR技術に非常に力を入れている。ARとは「Augmented Reality=拡張現実」を指す語で、現実世界にデジタルの情報を重ねるという性質のものだ。

 一般的にARというとビジュアル的な「視覚」がイメージされがちだが、「Pokemon GO AR庭園」では開放型イヤフォン「ambie」を用いた「聴覚」に訴えかける仕組みが取り入られており、これはポケモンの声を聞くというコンテンツの仕組みを通じて、会場となる毛利庭園に流れる水の音や虫の声、草木の擦れる音など、その場所の持つ魅力を「再発見(川島氏)」するための取り組みなのだという。

川島優志氏

 また、「Pokemon GO AR庭園」では捕まえたポケモンを芝生に呼び出せるという要素も盛り込まれているが、他のプレーヤーが選んだポケモンも自分の端末に現われて、ともに遊ぶ事ができる。また、「Ingress」においてもプレーヤーたちの活動の軌跡を精緻に再現されたジオラマ上で確認できたり、音声ARゲームでは300人以上のプレーヤーが参加して、みんなで爆弾を解除していくイベントが実施されたことに触れ、こうして「みんなで楽しむ」という遊びこそが、ナイアンティックの目指すARの姿なのだとした。

 続いてハンケ氏は6月に公開された「Real World Platform」にも言及。これは「ナイアンティックの研究の集大成」で、このプラットフォームのポイントの1つは「共有性」。1秒間に100万回もののリクエストを処理する能力を持ち、プレーヤーが起こしたアクションをすべてAR世界に反映することができる。つまりは世界中のプレーヤーが同じものを同じタイミングで見て楽しむことができるというわけだ。

須賀健人氏(左)とジョン・ハンケ氏(右)

 また、高度な画像認識技術を用いることで、「そこにあるものがなにか」、「光源はどこか」といったことが認識できるようになっている。これによってより現実に即したオブジェクトの配置が可能になり、例えばピカチュウが障害物を避けて走り回ったり、よりリアルな陰の表現などが可能となる。

【Codename: Niantic Occlusion - Real World AR Occlusion featuring Pikachu and Eevee】

 本プラットフォームはまだ一般公開される段階にはないものの、近日中にパートナーを募集する予定で、「その中から日本初のタイトルなどが生まれることを期待している(河合氏)」とした。また、ハンケ氏は任天堂やATARIのゲームがコンピューターグラフィックスの進歩を促してきたことを例にあげ、「技術の黎明期はゲームが牽引してきた」と語り、ナイアンティックも当面はARについてはゲームに注力する方針を明らかにした。

 最後にハンケ氏はナイアンティックのARへの取り組みは100メートル走に例えると「まだ15メートルにも満たない」地点だとした。ただ、今回の「INNOVATION TOKYO 2018 - AR Playground with Niantic -」では「成し遂げたいことの現在地をお見せできている」と語る。

 ちなみに、最終地点は「『ポケモンGO』発表時のビデオのように、タイムズスクエアの前でミュウツーと戦うシーン」の実現だという。現実とバーチャルが完全に融合したような当シーンはトレーナーたちにとってはまさに夢のようなものだが、もしかしたらその夢の実現は意外と早く訪れるのかもしれない。そう思わされた発表会だった。

【【公式】「Pokémon GO」初公開映像】

さっそく「NEON」を体験!

「NEON」の開発担当スタッフも来日

 さて、発表会の後には「NEON」を一般公開に先駆けて体験できた。「NEON」は「Real World Platform」を用いて制作されたタイトルで、地面に出現する玉に接近して拾い、持ち玉を集めながら他のプレーヤーに向けて発射するARゲーム。他のプレーヤーに当てた玉の数だけスコアを稼ぐことができ、スコアの多寡で勝敗が決まるというルールになっている。

 玉は自分の端末のカメラを通じて目視することができるが、これは他のプレーヤーからも同じように見えている様子。球の数には限りがあるようなので、撃って当てる以前に玉を集める時点から既に競争が始まっているのだ。また、発射された玉は避けることができるので、撃たれたときはサッと避けたり、他のプレーヤーに背を向けないよう常に意識する必要がある。

 傍から見ているとスマホを見ながらウロウロしたり、かと思えば突然高速で動き始めたりと怪しさ満点だが、ふと周りをよくよく見てみると、ARにありがちなマーカーなどは存在しないようだ。モバイル端末のみで玉の位置とフィールド、そしてプレーヤーの位置関係を目立ったラグもなく共有するというのは、冷静に考えるとものすごいことだ。玉を当てた時、当てられたときの弾けるようなエフェクトやサウンドも気持ちよく、AR世界につい没入してしまうような、まさに未来を感じる体験ができた。

プレイ中の模様。はたから見ると何をしているのかさっぱりわからないが……
いざ端末を通してみると他プレーヤーのスコアや、飛んできたり飛ばしたりする玉の軌道が見える!
【Codename: Neon - Real World Multiplayer AR Demo】

 なお、「NEON」は明日10月17日よりプレイが可能となり、「Pokemon GO AR庭園」、「AR Roppongi x Ingress」なども引き続き開催中だ。是非「INNOVATION TOKYO 2018 - AR Playground with Niantic -」を訪れて、ナイアンティックが見せるARの"未来"を体験してほしい。