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シリーズ初体験でも面白い!「ワイルドアームズ ミリオンメモリーズ」インプレッション
独特の世界観とストーリーにぐいぐい引き込まれる
2018年9月14日 20:00
「荒野と口笛のRPG」、実にシブいキャッチコピーである。これは1996年にプレイステーションで発売された「ワイルドアームズ」のもので、西部劇とファンタジーを融合させた世界観や戦略性あふれるゲーム性、ドラマティックなシナリオと音楽が特徴のRPGで、これまで7つのシリーズ作品が発売された。そして発売から20周年を迎える2016年12月にシリーズ最新作がスマートフォン向けに再始動することが発表され、2018年にフォワードワークスから最新作「ワイルドアームズ ミリオンメモリーズ」が配信される予定だ。
と偉そうに書きだしてはみたものの、お恥ずかしながら筆者はこれまで「ワイルドアームズ」シリーズに触れたことがない。だがスマートフォン向けにシリーズが再始動すること、そして本作はシリーズファンはもちろん、はじめてプレイするゲーマーにも楽しめる作品とのことで個人的に注目していた作品である。
今回は一足先にゲームをプレイする機会をいただいたので、シリーズ未体験者ながら本作をプレイしてみたインプレッションをお届けする。
プロローグからグイグイと引き込まれるストーリーは必見!
本作のジャンルは「荒野と口笛のRPG」となっており、基本的には章立てのRPGになっている。1つの章の中にストーリーパートと戦闘パートがあり、それらをクリアしていくことで徐々にシナリオが進んでいくというシステムだ。
このシナリオがプレーヤーを強く惹き付ける。プロローグからいきなりクライマックスで、詳細はまったく明かされないがピンチに陥っているキャラクター達、何かの作戦がうまくいかなかったようで戸惑っている中、最後に「どうして、みんなを裏切ったのですか? ロディ…」というメッセージが表示される。
本作の主人公は「ロディ・ラグナイト」、初代「ワイルドアームズ」の主人公である。本作のタイトルにある「メモリーズ」という単語には、これまでのシリーズ作品の記憶という思いが込められているのだろうか。他にもシリーズ作品に登場したキャラクターが再登場する。
今回プレイできた範囲だけでも「ワイルドアームズ アドヴァンスドサード」からは「ヴァージニア・マックスウェル」、こちらも初代「ワイルドアームズ」から出演の「ザック・ヴァン・ブレイス」、「ペグッチ伯爵」、「ワイルドアームズ セカンドイグニッション」から「リルカ・エレニアック」といったキャラクターたちを見ることができた。
最初にも述べたとおり筆者はシリーズ作品に触れたことがないので比較できないのだが、本作での彼らの登場、行動、言動に違和感のようなものはなく、ナチュラルにストーリーが頭の中に入ってきた。逆にシリーズファンにとってはオールスター作品の様に楽しめるのではないだろうか。もちろん既存のキャラクターばかりではなく、新キャラクターも登場し、彼らも本作のストーリーで重要な役割を担っていく。
本稿でお伝えできる部分は限られているのだが、ストーリーの最序盤こそ様々なキャラクターが登場して、トラブルを解決しつつ仲間に加わって先に進んでいく……というRPG定番の流れだが、徐々に本作の舞台「ファルガイア」で過去に何らかの災厄が起きていて、新たに悪巧みをしている何者かがいるというところで、徐々に加速していくストーリーは今後の展開を期待させてくれる。
といった具合でメインストーリーはプロローグの出来事に向かって核心に迫るストーリーが語られていくのだが、本作にはキャラクターごとの「サブクエスト」も用意されている。ストーリーの内容はネタバレになるので伏せさせていただくが、登場するキャラクター達のストーリーを違った形で楽しめるものになっている。
RPGとしてキーとなる成長要素は「ARM」と「ギア」。特に「ARM」はシリーズファン必見
本作の戦闘パートは見下ろし型のアクションRPGになっている。操作はスマホ向けに最適化されている印象で、画面をスライドで移動、タップで攻撃するという直感的な操作になっている。またフリックで回避、長押しでチャージ攻撃といったテクニックも可能で、敵の攻撃を受ける直前に回避すると一定時間無敵に、敵の特定の攻撃のタイミングにチャージ攻撃を当てると相手を一定時間気絶させることができるシステムもあり、アクション要素は高めだ。
また本作では最大3人のキャラクターでパーティを構成できるのだが、ロディは片手銃と片手剣を、ヴァージニアは二挺拳銃を、ザックは2刀流とキャラクターによって攻撃モーションも射程も違う。成長要素についてはこの後触れるが、戦闘中にキャラクターを切り替えて使い分けても良いし、特定のキャラクターだけを一極集中で成長させるプレイスタイルもアリだろう。
キャラクター強化要素は3つあり、キャラクターのレベルを上げること、ARMを装備し強化すること、ギアを装備し強化することだ。
キャラクターのレベルを上げることについてはスタンダードなRPGのスタイルと似通っているので特に言及は必要ないだろう。クエストをプレイしたり、専用のアイテムを使用することで経験値を獲得してレベルアップし、パラメーターが強化されていく。
それでは本作のユニークな点である「ARM」から紹介していきたい。これまでの「ワイルドアームズ」シリーズにもARMという単語は登場していたのだが、作品ごとに異なる意味を持っていた。本作のARMは「Awakening of Resonant Memories」の略で「共振する想い」という意味になっている。
こちらにも「メモリー」という単語が入っているように、これまでのシリーズ作品の記憶が埋め込まれている。名シーンやキャラクターがカード上のデバイスとして表現されており、シリーズファンにとってはコレクション性が高いものになっている。またそれぞれのARMにはユニークな「アクティブスキル」が付与されており、キャラクターには最大3種類のARMを装備させることができるので、戦闘中は3つのスキルが使用できるというシステムだ。
もう1点の「ギア」には「パーソナルスキル」が付与されている。こちらはいわゆるパッシブ的なスキルとなっており、装備しているだけで効果を発揮する。
ARMもギアも強化することが可能で、強化してキャラクターに装備するとキャラクターのステータスがプラス補正される。ARMやギアでのスキルと性能を比較しながら、プレイスタイルにあわせて装備していくのが良さそうだ。
かなり作りこんである印象だが、現状では戦闘パートでは少し気になる部分があった。例えば視野外からの攻撃や、異常なまでに体力が高いボスなど1つ1つの点は細かいのだが、アクションRPGはプレイフィールが重要な部分なので、この部分は調整されることを期待したい。特にボスは攻撃パターンがパターン化されていたので回避して攻撃、回避して攻撃という繰り返しを長く続けることになり、単調に感じた。回避に失敗すると大ダメージを受けてすぐダウンしてしまったり、ARMのアクティブスキルでヒールしようとするも硬直時間中に攻撃されて大ダメージを受ける……といった具合で、一部のボスは理不尽に感じる部分もあった。
筆者はコンティニューを使って無理矢理進んでいったのだが、キャラクターやARM、ギアなどを強化しながらストーリーを楽しんで欲しいという意図なのかもしれない。
戦闘パートで気になる部分が若干あったものの、グイグイと引き込むストーリーと、西部劇のような乾いた雰囲気の中に口笛を乗せるBGMで、すっかり「荒野と口笛のRPG」の世界に引き込まれてしまった。シリーズを未プレイの筆者からは素直に新鮮に楽しめたし、シリーズファンには「あの作品の、あのキャラがこんな形で!」といった具合に楽しめるのではないだろうか。
「ワイルドアームズ ミリオンメモリーズ」は近日の配信を予定している。続報を楽しみに待ちたい。
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