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サードウェーブとソフマップが夢のタッグ! ソフマップに「GALLERIA eスポーツゾーン」がオープン
ソフマップ渡辺社長「ソフマップパソコン総合館をeスポーツの聖地にしたい」
2018年9月14日 14:00
ソフマップとサードウェーブは9月14日、東京秋葉原のソフマップAKIBA2号館パソコン総合館において、「GALLERIA eスポーツゾーン」オープン記念イベントを開催した。
「GALLERIA eスポーツゾーン」は、既報の通り、日本eスポーツ連合(JeSU)の公認を受けたサードウェーブのゲーミングPC「GALLERIA GAMEMASTER」の展示販売を行なう特別スペース。ソフマップAKIBA2号館パソコン総合館の1階に位置し、いわゆるテナント貸しのショップインショップではなく、ソフマップのスタッフが、GALLERIAの特徴を説明し、販売を行なう。
秋葉原の事情に多少詳しい人ならおわかりだと思うが、これはエポックメイキングな出来事だ。なにしろ、ソフマップが、バリバリのコンペティターであるドスパラのPCを売るわけだ。ソフマップからすれば“敵”のPCを売り、ドスパラからすれば、中央通りに面した一等地の大型店舗に俺たちの売上を持っていかれる。意地悪な見方をすればそういうことになる。一昔前なら考えられなかった出来事だ。
「いやいや、もはやそう言う時代ではないでしょう」と両社のタッグに向けて奔走したのがソフマップ代表取締役社長の渡辺武志氏だ。渡辺氏は、2017年10月にソフマップAKIBA2号館パソコン総合館を、eスポーツを主軸にした店舗に改装。その反応が好調だったため、さらに“戦果”を拡大するために考えたのが、ソフマップでGALLERIAを売るというアイデアだ。
渡辺氏は、サードウェーブ代表取締役社長尾崎健介氏に直談判し、eスポーツに対する熱い想いに共感した尾崎氏はソフマップでのGALLERIAの取り扱いについて快諾し、eスポーツで全権を握る取締役副社長の榎本一郎氏を紹介。その後はトントン拍子に話が進んだという。最終的に、全国7店舗でGALLERIA GAMEMASTERの販売が行なわれることになった。
渡辺氏によれば、eスポーツビジネスは小売業界が動きやすいという。実際、ソフマップAKIBA2号館パソコン総合館は、eスポーツまみれの店舗に様変わりしており、1階には主要メーカーのゲーミングPCやギアが所狭しと並び、2階にはeスポーツチームが対戦したり、直接配信を行なうためのスペースや、eスポーツチームのオリジナルグッズを取り扱うグッズショップを展開するなど、店舗内でeスポーツのエコシステムが構築されている。渡辺氏はソフマップAKIBA2号館パソコン総合館を「eスポーツの聖地にしたい」と抱負を語った。
この渡辺氏の取り組みに共感したのが、榎本氏だ。榎本氏自身も、同社のGALLERIAをコアとした独自のエコシステムの構築を担当しており、「渡辺氏率いるソフマップなら、GALLERIAを外に出してもキチンとした売り場構築ができるのではないか」と考えたという。
ただ、サードウェーブ内では、純粋に販路が広がるため、歓迎する声が多かったものの、実際にGALLERIAを売る現場、とりわけドスパラの幹部からは反対する声が多かったという。店舗としては、GALLERIAのことを誰よりも知悉し、1台1台、丁寧に売ってきたという自負がある。「GALLERIAをソフマップでも売ることにしました」といきなり言われても納得できるわけがない。しかも、ソフマップとドスパラは、多くの商圏で直接のライバルであり、客が取られる恐れもある。
そこでサードウェーブでは、JeSUの協力を受ける形で「JeSU公認PC」を前面に押し出し、「GALLERIA eスポーツゾーン」を唯一のJeSU公認PCのブランディングの場としても機能させ、全体としてプラスになることを、全国の店長クラスに説明。その上で、ソフマップの全店舗にドスパラのGALLERIA担当スタッフを派遣して教育を施し、ドスパラとソフマップでの取り扱いも差別化を図ることを約束した。
今回ソフマップで展示、販売されるゲーミングPCは、GALLERIAのeスポーツブランドであるGALLERIA GAMEMASTERだ。GALLERIA GAMEMASTERは、フルタワー3製品、ミニタワー3製品、計6製品の構成だが、JeSU公認PCとして「GALLERIA eスポーツゾーン」で販売されているのは、フルタワー2モデル、ミニタワー1モデル、ノート2モデルの計5モデルとなっている。つまりラインナップが異なるわけだ。
なぜこうなったかというと公認を行なったJeSUの要請によるものだという。JeSU専務理事の平方氏は、挨拶の中で公認のプロセスに思った以上の時間が掛かってしまったことを詫びながら、その公認のコンセプトを説明。
基本的な考え方としてはスポーツと同じで、「陸上競技で扱うすべての機材に日本陸連の公認ステッカーが張られ、サッカーでもJFA公認球があるのと同じ」とし、PCはスペックによって性能が異なるため、ざっくり公認といっても、誰向けなのかがわからないため、エントリー、スタンダード、プロフェッショナルの3段階のグレードを設定し、店頭でわかりやすく明示した上で販売して貰うことを要請。サードウェーブがこの要請を受け、独自で調整を加えた結果、ドスパラとは異なるラインナップとなったわけだ。
ラインナップの方向性としては、シンプルでわかりやすく。エントリーはミニタワーモデルとし、スタンダードとプロフェッショナルはフルタワーでスペック構成を変え、プロフェッショナルモデルは、大会仕様モデルとして、どのようなゲームでも快適に動作するように最初からGeForce GTX 1080 Tiを採用。さらに持ち運びたいというニーズにも応えられるようにエントリーとスタンダードにはノートモデルも追加。なお、この公認については、スポーツでの慣例に則り、1社独占で、JeSU公認PCはGALLERIAのみとなる。
ちなみに、9月20日より販売されるGeForce RTX 20シリーズの採用については、発売直後の採用はないという。理由はJeSU公認PCに求められるのは、動作実績と安定性とし、社内での十分な検証が行なわれるまで採用することはないという。JeSU公認PCは、年度ごとに切り替えとなるため、最速でも2019年4月以降のモデルからとなる。
ソフマップAKIBA2号館パソコン総合館では、「GALLERIA eスポーツゾーン」オープン記念イベントとして、9月16日と17日に2階のeSports Studio AKIBAにおいて、サードウェーブ傘下のeスポーツチームRascal Jesterによる「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」初心者講座を実施する。Rascal JesterがLFS池袋やドスパラ以外で、イベントを実施するのも珍しい機会で、サードウェーブとソフマップの関係性を印象づけるイベントと言える。
今後の目標は「GALLERIA eスポーツゾーン」を成功させた上で、2店舗目、3店舗目という具合に広げつつ、ソフマップの親会社であるビックカメラでも取り扱いを開始し、販路を全国隅々にまで広げることだ。ただ、GALLERIA GAMEMASTERは、“eスポーツPC”という、特殊仕様のPCとなるため、雑に売ってしまうと“A社よりも高いPC”になってしまうため、急ぐつもりはないという。ソフマップとサードウェーブというライバル同士の協業の今後の行方に注目していきたいところだ。