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「サガ スカーレット グレイス 緋色の野望」プレイレポート

新要素も追加され、さらに遊びやすくなった完全版

8月2日 発売予定

価格:
5,800円(税別、PS4/Nintendo Switch/PC版)
4,444円(税別、Android/iOS版)
18,500円(税別、Limited BOX【邪神】)
CEROレーティング:
B(12歳以上対象)
Limited BOX C(15歳以上対象)

 スクウェア・エニックスは、PS4/Nintendo Switch/WindowsPC(Steam)/Android/iOS用RPG「サガ スカーレット グレイス 緋色の野望」を8月2日に発売する。

 2016年12月にPlayStation Vitaで発売された「サガ スカーレット グレイス」に様々な追加要素を加え、さらにゲーム全体も遊びやすく調整が施された完全版ともいえる作品に仕上がっている。今回、本作のPS4版を一足先にプレイすることができたので、そのプレイレポートをお届けしよう。

彗星に導かれた4人の主人公たちの物語

 複数の主人公から選択できる物語の多様性。進行する順路が定められてない自由なゲーム性。これが「サガ」シリーズの魅力であり、本作ではそれらの部分がさらにパワーアップされている。

 初めに彗星から出される7つの問いに答えるところからゲームが始まり、選んだ選択肢によって4人の中からオススメの主人公が決定される(診断後、任意に選択することもできる)。それぞれ異なる目的を持った主人公ごとの視点で、世界の危機である邪神復活の物語を追体験していく。

 主人公によっては遊び方がガラリと変わるのもポイント。主人公の1人である「ウルピナ」編は初めてプレイするには最適で、次の目的地を親切に教えてくれる。逆に「レオナルド」編はかなり自由度が高く、ゲームを開始してすぐにラスボスに挑むなんてこともできる。型にハマらないゲーム性が本作のウリなのである。

剣将軍ユラニウス家の令嬢「ウルピナ」。故郷シルミウムが襲撃を受け、それをきっかけに事件へと巻き込まれる
大人も手を焼く悪ガキ「レオナルド」。行き倒れの女が残した言葉を頼りに、伝説の都市「アイ・ハヌム」を目指す
陶芸家の「タリア」は世界の歪みを察知する。歪みを取り除くため、彼女は旅に出る
処刑人の「バルマンテ」の元に、かつて自らが処刑した者が生きていたという噂が入る。真実を確かめるため旅立つのだった

 “どこに行って何をするか?”。旅の行き先をプレーヤーが好きに決めることができる「サガ」シリーズ伝統である「フリーシナリオシステム」が本作ではさらなる進化を遂げている。「サガ スカーレット グレイス」からは「フリーワールドシステム」を採用している。過去作同様に冒険の自由度はそのままにさらに遊びやすくなっているのだ。

 過去作ではフリーシナリオゆえにどこに行ったらいいのか困惑するプレーヤーもいたが、今作ではそんな心配も不要なシンプルなゲーム性となっている。本作には町やダンジョンといった概念が無く、広大なワールドマップ上にあるシンボルに触れることでイベントやバトルが発生する。それらをクリアすることで物語が進行していくという斬新なシステムなのである。

 プレイする前はこのシステムに多少の不安を覚えたが、遊んでみて感じたのは、面倒くさい要素を省略して遊びやすさを重視した作りになっているということだ。イベントムービーだらけのゲームとは違い、ダレる部分が無くサクサクとストーリーを進められるのは個人的にはかなり良い設計だと思う。

ワールドマップはまるで絵本のよう。広大な世界を冒険していくのだ
シンボルを調べると、そこで発生するイベント内容をチェックすることができる
イベントでは選択肢を迫られる場面も。選択次第で先の展開が変化する

 ここからは戦闘部分の紹介をしていこう。本作から導入された新たな戦闘システム「タイムラインシステム」は戦略性が高く、奥深いターン制のバトルが楽しめる。

 戦闘画面中央のタイムライン上には、敵味方のキャラクターアイコンが行動の早い順に並んでいる。技の中には敵の行動順を遅らせる「バンプ技」もあり、これで敵の行動を潰しながら戦うこともできる。

 技や術を使うには「BP」(ブレイブポイント)が必要になり、これをパーティメンバー全員で共有して戦っていく。最初に行動するキャラクターがBPの消費が大きい技を使ってしまうと後のキャラクターが行動できなくなるので、BPの配分を考えながら戦う必要がある。

 BPはターンごとに回復し、さらに最大BPもどんどん増えていくので、ターンが進むごとに強力な技をガンガン繰り出すことができるのだ。

戦闘開幕直後はBP消費の少ない技で戦うのが基本となる。

 戦闘で最も重要ともいえる、勝敗を大きく左右するシステム「連撃」。連撃は味方が敵を撃破、あるいは敵に撃破された際に、味方同士がタイムライン上で連結したときに発動する。

 連撃は連結したキャラクター全員で強力な連続攻撃をお見舞いする、戦闘での大きなダメージ源となる。さらに、連撃を行なったキャラクターは次のターンBPの消費量が減るので積極的に狙っていくのが戦いのセオリーといえるだろう。

 連撃の発動条件は敵も同じで、これを食らってしまうと戦局が一変することもある。タイムラインに注目して、敵に連撃を発動させないよう戦略を立てて戦うのも本作のバトルの面白さである。

連撃はかなり強力。タイムラインを意識して、常に連撃を狙いながら戦うのだ

 「サガ」を語るうえで欠かせないのが「閃き」システムだ。戦闘中ランダムでキャラクターの頭上に電球が光る演出が入り、新しい技を修得することができる。ピキーン! と閃くこの瞬間は全プレーヤーが最も興奮する瞬間だろう。いつどこで技を覚えるのかを待ち焦がれながら戦闘を楽しむのが本作の醍醐味ともいえよう。武器レベルの高さや、敵の強さで閃きやすさが変わってくるのもポイントだ。覚えた技は使い込むことで熟練度が上がっていく。技の消費BPの減少や攻撃力が上がるなどの大きなメリットがあるので、成長させたい技を中心に使っていくのが良いだろう。

 本作から「ロール」という概念も新たに追加された。攻撃力アップや防御力アップなど、装備することで様々な効果を発揮するスキルのようなものだ。ロールを手に入れるには特定のイベントをクリアするか、解放条件となる特定の技・術を閃かなければならない。ロールの有る無しでキャラクターの強さが大きく変わってくるので注目しておこう。

 レベルの概念を排除したシリーズ恒例ともいえる独特の成長システムは本作でも健在。戦闘終了後にキャラクターのパラメーターが上昇するので、戦闘を重ねることでどんどん強くなっていく感覚がレベル制のゲームよりもダイレクトに感じることができる。

 このように独自性の高いシステムがふんだんに詰まっている本作。しかしどれも複雑さはなく、すんなりと入り込める要素ばかりだ。

「サガ」の代名詞ともいえる閃き。これを見るためにひたすら戦闘に没頭してしまう
キャラクターの成長やロールの解放など、やり込み度も高い

 グラフィックスの向上を初め、今回プレイして無印版のときよりも様々な点で進化しているのを感じた。

 特に大きな要素としてキャラクターボイスの追加だ。フルボイスではないが、重要なイベントシーンや戦闘のボイスがあるだけでキャラクターの個性が際立って見える。メインではないキャラクターたちにもボイスついたので、個性の薄かったキャラクターも存在感が増している

 主人公のバトルボイスは「デフォルト」と「アレンジ」の2パターンから選択できる。聴き比べた感じとしては前者は洋画の吹き替えのようなナチュラルな演技で、後者は起伏のあるアニメ寄りの演技に思えた。自分好みの方を選んでプレイすれば、より一層ゲームに没入できるだろう。

 無印版で不満の声があった部分もしっかりと調整されており、格段に遊びやすさが増している。

 地味ながらにありがたかったのが、ワールドマップでの移動速度の向上だ。以前はマップの広さに対して移動速度が遅い印象だったが、本作では基本の移動速度の上昇と、さらにボタンでダッシュが追加された。目的のシンボルまでサクっと移動できるようになり、テンポ良くゲームを進められるようになった。

 テンポつながりでもう1点は、ロード時間の短縮だ。最も残念な部分といわれていた戦闘突入前と戦闘終了後の長かったロード時間も、本作ではぼ0といっていいほど改善されている。この修正はかなり大きく、待ち時間のストレスから解放されてのめり込むことができる。

 また、かゆいところに手が届いていると思ったのは、今回からの新機能でUIモードを「携帯端末向け」に変更することができる。携帯端末UIではタッチパネル操作となるので、Nintendo Switch版を携帯モードでプレイする際はこちらのモードが遊びやすいだろう。

 その他にも、新キャラクターや新規イベントの追加もあり、「サガ スカーレット グレイス」の世界がさらなる広がりを見せた。

 プレイした感想としては、ゲーム全体の感触が無印版とは別物レベルに進化しており、とことん追求された遊びやすさを実現している。未プレイの人はもちろん、Vita版をプレイしたユーザーには特にオススメできる内容となっている。そしてその違いを体感してもらいたい。

ボイスが追加されたことにより没入感が増し、本作の世界へとグイグイ引き込む力がある
不満点の全てが解消され、文句のつけ所の無い作品へと生まれ変わった
携帯端末向けUIでは、タッチやスライドなど、直感的な操作でプレイできる
新規イベントも数多く盛り込まれているので、無印版をプレイ済みのユーザーも楽しめる作りになっている