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名作への挑戦! 「バイオハザード RE:2」、平林氏、神田氏、2人のプロデューサーインタビュー
2018年6月15日 11:45
「PlayStation E3 2018 Showcase」で電撃的にユーザーの前に姿を現わした「バイオハザード RE:2」今回は、カプコンで本作のプロデューサーを務める平林良章氏と神田剛氏にインタビューを行なった。
まずやはり最初に聞きたかったのは「なぜ今『バイオハザード2』をリメイクするか」というところである。その意気込みと、今作に込めたテーマを聞きたかった。神田氏は「ファンの熱い想い」に応えたという。そのため、「ファンに応えることを我々がやっていく」という決意を提示するため、「We Do it」というTシャツを制作、チームでそれを来て開発に着手したという。それは2015年の8月、本作は3年の開発期間がかかっているという。
「バイオハザード RE:2」の大きな目標は「ファンに応えることを我々がやっていく」。そしてテーマとしては「オリジナルをリスペクトしていく」ということ。1998年に生まれた「バイオハザード2」をどうリスペクトしていくか? 神田氏はファンにも、開発者にもそれぞれの「バイオハザード2」への想いがある、その想いをどこまでくみ取り、作品に昇華していくかは考えたという。
神田氏は「バイオハザード RE:2」のポイントとして「メトロヴァニアスタイル」というジャンルを挙げる。2Dアクションゲーム的な、ステージの隅々まで探索し、突破口を見つけ出す手法はオリジナルの「バイオハザード2」が濃密に持っているゲーム性だった。神田氏はそこをしっかりリスペクトしたいと語った。「懐かしくも新しい」というキーワードを平林氏は提示した。
「バイオハザード RE:2」の大きな特徴は「肩越しの3人称視点」というところだ。カメラシステムについては、原作の固定カメラはもちろん、「バイオハザード7」のような1人称視点も検討された。しかしその上で、神田氏はレオンとクレアという人気の高いキャラクターを大事に表現すること、そしてもう1つ、「とにかく怖いゾンビ」を表現するためにこの手法を選んだとのことだ。
操作するプレーヤーキャラクターが常に画面の中にいる3人称視点ならば、「ゾンビに噛まれる」という最も根源的な恐怖を生み出す場面をしっかりと描くことができる。ゾンビはウィルスに感染することで徐々に人間性を奪われ、そして「噛む」という原初的な行動だけが残る。今回最も力を入れているのが、この「人間性を失った噛む存在」としてのゾンビだというのだ。人がゾンビに噛まれる場面、噛むゾンビと噛まれる人間を、効果的に表現できるというのが本作の3人称視点を選ぶ決定打となったという。
「3人称視点でのゲーム性は、今回の『バイオハザード RE:2』でのメトロヴァニアのサバイバルホラー体験のプレゼンテーションとして、今作り込んでいます。チーム一丸となってまず3人称視点の『バイオハザード RE:2』を作り上げることをがんばっています」と、神田氏は語った。
平林氏は「私達は3人称、固定カメラ、1人称といった手法に優劣があるとは思っていません。どういうプレイ体験をしてもらいたいか、『バイオハザード RE:2』でどの方法がベストなのかを考えて、到達した答えです」と、言葉を続けた。
「バイオハザード」シリーズの中における3人称カメラでのゲーム体験には、「どんどん前に進んで物事に立ち向かっていく」という、「バイオハザード4」からうまれたジェットコースター的な流れもある。しかし、「バイオハザード RE:2」は、「2」のリメイクである。探索をたっぷり楽しみ、同じ場所に何度も戻る、そのゲーム性は「4」から「6」までのシリーズの積み重ねとは異なると感じるファンもいるかもしれない。
平林氏は「本作は、3人称視点を採用しましたが、それは、BH4、5,6の流れの3人称視点+シューター的体験ではなく、3人称視点+メトロバニア的体験のミックスです。また、4以降のシューター的体験の要素の中には、本作にない部分もあります。それは、ただ要素抜いたというわけではなく、本作で体験してもらいたいテーマがあり、それに合う要素を取捨選択しています」と語った。
リメイクで気になるのは「変わる部分」である。シリーズではキャラクターの出会いや、起きる事柄が、年表のように決まっている。「バイオハザード RE:2」はここが変わってしまうのか、というのは気になるところだ。平林氏は「ファンの思い出を大事にする」ということは重視していきたいという。
クレアとレオンの出会い、登場キャラクターなどは原作である「2」を踏襲する。しかし、出会い方は変わっている。ロッカー前で体をロッカーに預けつつ、座っていたマービンが、今作ではなんとプレーヤーを助けてくれるのだ。このように、変化を楽しむ要素は随所に込められているという。「深いドラマ性、思い入れを生むキャラクターの関わり方、そういった部分はオリジナルよりも深い体験をしていただけると思います」と神田氏は語った。
変化、という意味では筆者は今作のレオンには「弱々しさ」を感じた。新米の警官らしい弱さがあると感じたのだ。それを指摘すると神田氏は笑みを浮かべた。「バイオハザード RE:2」ではキャラクターにアクター(役者)が設定されている。この流れは「7」にもあったのだが、よりリアルを意識して作っているという。レオンの服も映画の衣装制作などをしている人たちに協力を得て実際の服を作り、そこからデータをとっているとのことだ。
神田氏はこれから初めてシリーズを触るファンに向けては、「王道のゾンビサバイバルホラー」を体験して欲しい、という想いを持っている。原作の「2」は名作としてファンに語り継がれている。それを受け継ぐ以上、「バイオハザード RE:2」もゾンビサバイバルホラーの王道でありたいと考えているとのことだ。「ホラーゲームというジャンルでも、色々なテイストがあります。その中であえて『バイオハザード RE:2』を選んでくれるならば、王道のゾンビサバイバルホラーを見せたい、そういう想いがあります」と神田氏は語った。
筆者はあくまで個人的であるが、「2」をプレイしたとき、「警察署の中で銅像を押す」というゲーム内の行動に違和感を感じた。それまではゾンビに追われながら逃げるレオンと一体化していたのに、目の前の事象が急に「ゲーム」になってしまった気がして、気持ちが離れてしまったことがある。それを話すと平林氏は「まさにそこは議論を山ほど重ねました」と答えた。
「バイオハザード RE:2」では、議論を重ね、変えた部分、変えなかった部分があるという。建物の中でいきなり理由もなく銅像を押し始める要素はなくなったとしても、警察署内により自然な形で銅像が置かれていたりする。「2」の思い出をいかに活かし、そして現代のゲーム性を実現させるか、そういったことを考えて出た答えが「バイオハザード RE:2」なのだ。
最後にファンへのメッセージとして、平林氏は「これから発売に向けてラストスパートでがんばっていきます。必ず皆さんに満足していただだけるものにしますので、よろしくお願いします」。
神田氏は「みなさんにとっての思い出深い『2』をリメイクとして『バイオハザード RE:2』とアナウンスできたのはとてもうれしいです。皆様も喜んでいただけてるのではないかと思います。皆様にベストな体験をしていただけるように、がんばっていきますので、続報も期待して下さい」と語った。