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「デススト2」プレビュー後編。乗り物・武器・ミッションが変化し“選択”を委ねられる「DS2」の進化ポイントをチェック!
「DS2」プレビューイベントのレポート後半戦
2025年5月8日 16:01
- 【DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH】
- 6月26日 発売予定
- 価格:
- 8,980円(スタンダードエディション)
- 9,980円(デジタルデラックスエディション)
- 31,980円(コレクターズエディション)
4月22日より25日の4日間にわたり開催されたプレイステーション 5用アクション「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH(デス・ストランディング2)」(以下、「DS2」)のプレビューイベント。その後編レポートとなる本稿では、ゲームをプレイして気付いた前作からの進化点を中心にお届けしていこう。
最初にお伝えしたいこととして、KOJIMA PRODUCTIONSの小島秀夫監督が前作「DEATH STRANDING」で打ち立てた、オープンワールドを移動して荷物を届けながら人々を繋いていく斬新なアクションが、「DS2」では大きな進化を遂げ、その楽しさが大幅に増している。開発者によるQ&Aセッションでは、本作のゲームデザインにおけるキーワードが“選択”であることも明かされ、移動、戦闘、プレイスタイルなどに様々な選択肢が設けられ、プレーヤーごとに違った体験ができるように作られていることも判明した。
レポート後編では「跳ね橋部隊」や「DHVマゼラン」といった新たに登場するキーワードが主人公のサムとどのように関わるのか。さらに、移動時の重要な足や戦闘に関する要素の中で新たに追加されたものを紹介していく。前作からの改善ポイントも多く存在し、発売後にプレイする際にはそのあたりにも注目いただければと思う。
配送の舞台はなんと南半球のオーストラリア大陸へ! さらなる困難が、サム達を待ち受ける
サムがカイラル通信を繋げていく舞台はメキシコから始まり、遙か遠く離れたオーストラリア大陸へと展開していく。驚愕の経緯についてはここには書かないので、本編のストーリーで確認してほしい。
サムはここで新たに「跳ね橋部隊(DRAWBRIDGE)」というフラジャイルが所属する新組織に加入し、その仲間とともにオーストラリアのカイラル通信を繋げる旅へとおもむいていく。前作はルーと2人だけの孤独な旅だったが、そのときとはがらりと様子が変化する。仲間達と一緒の旅は実にドラマチックで、一層の盛り上がりを見せていくこととなるだろう。中でも人形のような姿の「ドールマン」はサムの新たな相棒として旅に同行し、おしゃべりなアシスタントのような存在として道中を楽しませてくれるはずだ。
彼ら跳ね橋部隊の拠点となるのが、PVにも登場しているタール潜航艇「DHVマゼラン」だ。過去に小島監督が手がけた作品に登場する戦闘メカにも似たシルエットを持つこの船は、カイラル通信を繋いだ先のタール溜まりに潜航して移動する、サム達の移動拠点である。
機能としては前作の配送センターやセーフハウスと同様、寝泊まりや素材・車両を保管したまま移動できるできる便利な船で、ストーリーは主にこの場所を起点に展開されるようだ。船に配送する荷物を積んだまま移動することも可能だが、DHVマゼランを使った配送は評価が下がってしまうルールもあり、システムが抜かりなく構築されていることにニヤリとさせられた。サムが直接届ける配送のほうが、サムの早い成長に繋がるわけだが、このあたりもプレイスタイルにおける選択肢となるだろう。
そんなサムの成長に関する新要素として「APASエンハンスメント」が登場している。これはサムの行動に紐付けられるパッシブスキルのような拡張機能で、評価で獲得する「メモリー」を消費して習得するものだ。ツリー状なので好みの機能を選んでカスタマイズができるわけだが、ボタン1つでお手軽に自動配分も可能だ。
サムの移動時の重要な足となる乗り物についても触れておこう。ゲームの比較的早い段階で乗れるようになるのが3輪のオフロードトライク「トライクルーザー」だ。フラットな路面だけでなく、荒れ地もかなりのスピードで走れるほか、前輪を持ち上げたウイリー走行を行なえば、一時的に障害物の多い場所も走行できる優れものだ。何より便利なのは、フィールドに落ちている荷物やカイラル結晶をトライクルーザーから降りずに入手でき、さらに片手武器なら走りながら使えるという点だ。ただしあまり荷物があまり載せられないのと、水に弱いこと、時雨が防げないことがデメリットとなる。
もう一つの乗り物は「ピックアップオフローダー」。これは前作のトラックに該当する車両で、大量の荷物を積んで移動することが可能となる。トラックと違うのは操縦席に屋根がなくサムがむき身で搭乗する点で、乗降時のレスポンスが大幅に上がり、トライクルーザー同様、車上からの攻撃も可能としている。落ちている荷物を直接入手することはできないが、カスタマイズで車体に「スティッキーガン」を装備すれば降車せず荷物の回収もできるようになる。
車両のカスタマイズも手軽で、航続距離を伸ばすバッテリーなどの一部のパーツはトライクルーザーとピックアップオフローダー共用で、自分の車両であれば用途に応じて交換するなどして使い回すこともできる。
また乗り物に関しては、新たに「モノレール」の存在も明らかとなった。これはその名の通り空中に作られたレールを走る鉄道なのだが、なんとそのレールは本作でも存在する「国道」のように、資材を消費して復旧させることで使えるようになるのだ。
復旧後は配送センターなどが駅となり、荷物や車両、そしてサム自身を運んでくれる乗り物として使用できるようになる。国道とともに復旧に命を燃やすプレーヤーもきっと増えることだろう。
敵との戦闘システムが大幅に強化。多彩な武器を駆使した戦術を確立し、戦況に合った戦い方を見つけ出せ!
メキシコやオーストラリアのフィールドには、BT(Beached Things)と呼ばれる危険な霊体が存在する「座礁地帯」や、「バンデット」、「ブリガンド」なる武装集団の拠点があり、ミッション遂行時には彼らとの戦闘は必然的に発生する。戦闘の強化は小島監督が本作でやりたかったことだそうで、戦術の選択肢が大幅に増えている。
例えばTPSのように正面から挑む戦い方なら、従来のアサルトライフルやショットガン、グレネードなどの武器に加え、「スタンロッド」や「ブラッドブーメラン」といった投擲&打撃武器、専用のホルスターに収納する「ハンドガン」、遠距離狙撃用の「スナイパーライフル」など新規の武器が追加された。それぞれには明確なメリットとデメリットがあるので、状況に応じた装備のカスタマイズも楽しいものとなるだろう。
また敵に見つからないように戦うステルス戦闘についても、大量の荷物が行動の邪魔をしないようバックパックごと地面に下ろせるようになっていたり、足音が静かになるステルス向けのブーツが登場したりと、敵に察知されない行動を行なうための要素が充実した。また昼夜や天候がステルスに影響することは間違いなく、時間帯を選ぶのも戦術の一つとなりそうだ。
ゲーム中盤もプレーヤーを飽きさせない多彩なミッションが展開。物語も大きな盛り上がりを見せていく
ゲームも3章あたりに入ってくると、ミッションの内容も多彩になってくる。カイラル結晶を投入することで資材を得られる「採掘施設」の復旧と素材の運搬、前述のモノレールの復旧、武装集団からの物資や人質の奪還。面白いところではフィールドで見つけられるオーストラリア固有の動物の保護など、バラエティにあふれていて、それらに関連するイベントなども発生し、会場でプレイを重ねるたびに早く先が見てみたいという気持ちがあふれてきた。
ちなみに上記の動物保護に関しては、本作のやり込み要素にも繋がっていて、フィールドの各地で発見した動物を保護区に連れていくことでその個体が保存され、それがSSS(ソーシャル・ストランド・システム)で他のプレーヤーに共有されるのだ。保護した動物は保護区に連れていくまでは荷物扱いとなるが、DHVマゼランに載せることができない規定により、サム自身が運ばなくてはならない制約があるのもポイントで、ミッション遂行中に初見の動物を発見したりすると、ミッションを優先するか保護して保護区に連れ帰るかのジレンマに悩まされるなんてこともあった。
ゲームの進行自体はメインミッションを進めてもいいし、サイドミッションを進めてプレッパーズとの絆を深めてもいい。国道やモノレールの復旧に汗を流したり、動物保護のために大陸中を駆け回ったりする楽しみ方もあるだろう。やれることの選択肢がとにかく増えているので、総合的なプレイ時間はかなり長いものとなりそうだ。ちなみに今回プレイした30時間では、ゲーム全体の40%程度の進行度になるとのことだ。
長時間のプレイで確認できた前作からの改善ポイントを挙げてみた。遊びやすさへの配慮はカンペキ!?
最後に前作と比較して、細かく改善されたポイントについて、筆者が気付いたものを箇条書きで挙げてみた。ゲームを快適にプレイするための配慮は隅々まで行き届いていて、直前まで前作を遊んでいた筆者にとって「これはありがたい!」と思えるポイントを多数見つけることができた。
・ ハシゴは2つまで繋げられる
ゲーム序盤から使えるハシゴは、2つ持っていれば繋げてかけられるようになった。長さが単純に倍となり、広い川や高所でも使いやすくなっている。
・ 建造物に投入した素材の過剰分が返却される
建造物の強化・修復や国道の復旧に必要な素材を多めに投入したとき、過剰分が「おつり」のように返却されるようになった。これによりフィールドで発見した大きめの素材も無駄なく投入できる。
・ 建造物のレベルを上げると効果が高くなる
建造物に素材を投入してレベルを上げるとその効果が顕著に表われるようになった。例えば高レベルの「バッテリー」なら、乗り物やサムのバッテリーが100%を超えてチャージできるようになる。
・ 落とし物を届けたときも住人が喜んでくれる
依頼とは別にフィールドに落ちている「落とし物」を持ち主に届けたとき、彼らがリアクションをするようになり、多くの「いいね」をもらえるようになった。これにより落とし物を拾って届けるモチベーションがグッと上がった。
・ 素材の種類が外観に表記される
見た目が全て同じだった「金属」や「セラミック」などの素材は、ケースにそのアイコンがあしらわれ、スキャンせずとも見た目で素材の種類が分かるようになった。
・ バックパックを下ろせる
サムが背負うバックパックは、荷物ごとその場に下ろして行動できるようになった。戦闘時などに動きやすくなるが、手持ちとホルスターの武器以外が持てなくなるデメリットもある。また下ろしたときは忘れずに回収しよう。
・ ブーツに特別な機能が備わった
サムが履くブーツに、耐久度以外の特別な機能が備わった。体験した範囲ではステルス特化の静音ブーツや、格闘戦のキックが強くなるブーツなどが確認でき、履き替えることでその効果が発揮される。
・ 攻撃対象別に弾薬が自動で切り替わる「MPバレット」が登場
攻撃対象によって種類を切り替える必要があった銃器の弾薬は、攻撃時に自動で種類が切り替わる「MPバレット」の登場により、攻撃時に気にする必要がなくなった。
・ サムの血液を回復する「クリプトビオシス」の種類が増えた
サムのHPとなる血液を回復できる生物「クリプトビオシス」の種類が増え、バッテリーを回復する「エレクトロビオシス」、スタミナを回復する「クロロビオシス」の存在が確認できた。
・ フローターを置く手間が省かれ、持っていれば直に載せられる
サムの徒歩時の荷物を載せる「フローター」。前作ではメニューで荷物を載せる際に、先にフローターを展開する必要があったが、本作ではフローターを持っていればメニューから直接置けるようになった。
・ 乗り物に乗ったまま落ちている物を拾える
トライクルーザーは走行中でも落ちている荷物やカイラル結晶に近づけばサムの手で直接拾うことができる。ピックアップオフローダーもオプションの「スティッキーガン」を付ければ自動で拾えるが、カイラル結晶を拾うには車両から降りなければならない。
・ メニュー画面の文字が大きく、読みやすくなった
メニュー画面や依頼を受注する画面の文字サイズが大きくなり読みやすく改善された。老眼気味の筆者にもありがたい配慮だ。
30時間ものプレイを終えた今も、荷物を担いで未開の地を踏破することへの禁断症状が続く。これが“配達依存症”なのか……!?
4日間で計30時間のプレイを終え、ひとまずプレビューイベントのノルマとなる中盤のポイントまでたどり着くことができた筆者だったが、ここまでまったく飽きることなく通しでプレイできたことに大変感動している。その一方でここから先は発売日となる6月26日までお預けなのが実にもどかしく、現在も“配達依存症”に悶えているところだ。
この「DS2」は、あらゆる意味で前作を超えた内容となっているが、前作があったからこその本作が生まれた事実も間違いなく、改めて「DS」のシステムを構築した小島監督と開発陣には敬意を表したい。また本稿では触れなかったストーリー部分についても、新たな登場人物を交えて予想外の展開を見せていくので、大いに楽しみにしていただければと思う。
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