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2頭のイルカとなり水没した世界で地球を元の姿に戻す冒険を繰り広げる「Jupiter & Mars」

インディゲームの祭典「BitSummit Vol.6」でプレイアブル出展

2018月8日 発売予定(欧米)、日本での発売未定

James Mielke氏。日本で開発された「ICO」や「AZEL -パンツァードラグーン RPG-」といった作品に大きな影響を受けたという

 インディゲームの制作を行なっているJames Mielke氏が率いるTigertronは、イルカとなり汚れた地球を元の姿に戻す冒険を繰り広げるプレイステーション 4/Play Station VR用アクションアドベンチャー「Jupiter & Mars」を、5月12日と13日に京都で開催されているイベント「BitSummit Vol.6」に[プレイアブル出展した。

 同作でクリエイティブディレクターを務めるJames Mielke氏は、Q EntertainmentとQ-Gamesに務めていた経験があり、水口哲也氏と共に「Child of Eden」などの開発に携わった実績を持つ。Mielke氏は子供ができたことをきっかけに環境問題に興味を持つようになり、「海洋保護の観点により、プレーヤーがゲームを通してより身近に環境保護に関心を持てるようにしたい」と考え、「Jupiter & Mars」の開発に着手したのだという。

 「Jupiter & Mars」は遠い未来の地球。環境破壊の末に海面上昇を招いた世界は巨大都市は水没してしまい人類は既にいなくなっている。美しい地球を取り戻したかのように見えるが、環境破壊の爪痕は癒えることなく地球を蝕んでいる。そんな世界を舞台に、プレーヤーはメスのイルカ“Jupiter”となり、オスのイルカ“Mars”とともに、汚れた地球を元の姿に戻そうと冒険に出る。

【Tigertronの処女作「Jupiter & Mars」のBitSummitで公開されたTrailer】
【スクリーンショット】
GAME Watchのために提供されたスクリーンショット

 プレーヤーは基本的に海中を自由に泳ぎ回りながら、様々な謎を解きや困っている海中生物を助けるなどしながらゲームを進めていく。舞台となるのはニューヨークやロンドン、ギリシャの都市が水没した海中で、それぞれどの都市が舞台となっているのかわかるような景色が展開する。

 Jupiterを操作しながら泳いでいると、オスのMarsが周りを一緒に泳いでいる。主にMarsは障害物を破壊したり、いわゆるアタックのようなアクションをこなしていく。なぜ、アタックの要素をプレーヤーキャラクターから分離したのかと聞くと、Mielke氏は「ゲーム内でMarsがいなくなることがあり、この時にアタックの要素がなくなることで寂しい思いをしたり、不安を感じたりする要素が欲しかったからだ」という。Mielke氏は作品として「ICO」などに影響を受けたと話すが、ただ、「ICO」と同じようなシステムにすることには興味は無く、システムの構造として自作にも取り込んだのだという。ちなみに名前の意味合い的には、ローマ神話などで“Mars”は戦の神であるというところからも来ているようだ。

 PS4版とVR版でゲーム的な違いは無いが、海中を舞台にしているだけに、VRでプレイするとその没入感は大きい。グラフィックスは、ベクタースキャンで描かれたかのようなテイストで、ヴァーチャル感溢れる雰囲気だが、これはMielke氏の好みとセンスの表れであり、フォトリアルなグラフィックスの追求は同時にコストがかかるといったマイナス面もあり、現在のグラフィックスに落ち着いたという。

 なお、欧米での発売は8月を予定しているが、日本での発売は未定。理由としてはローカライズ面の理由や、パブリッシャーにお願いするかどうかといった問題があるためで、同時発売は難しいながらも、日本での発売は前向きに考えているようだ。

 イルカが登場するゲームというと、どうしてもメガドライブで発売された往年の名作「Ecco the Dolphin」を思い浮かべる人も多いが、Mielke氏は「全く違った感動を得ることができると思う」と語る。美しいグラフィックスで描かれるだけでなく、ゲーム性に関しても期待度が高く、楽しみながら海洋保護のテーマも学ぶことができそうだ。

【アート】