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【スマホアプリ今日の1本】「ポポロクロイス物語 ~ナルシアの涙と妖精の笛」
心あたたまる物語が帰ってきた!船団戦などスマホらしさも充実
2018年5月15日 06:00
「ポポロクロイス物語」の3大ポイント
・「ポポロ」のDNAが受け継がれ、システムは往年のファンにもなじみやすい仕上がり
・仲間との共闘が楽しめる「船団戦」など、スマートフォンならではのポイントも
・シリーズおなじみのキャラクターがオールスターで登場
1996年に発売されたプレイステーション用ソフトから始まり、PS2やPSP、さらにはテレビアニメと多彩な展開を見せてきた「ポポロクロイス物語」。人間を始めさまざまな種族が織りなす心温まるストーリーは、性別、世代を超えて愛された。1990~2000年代を代表するRPGと言っていいだろう。
その一方で、ここ数年はシリーズの展開が乏しかったのも事実。ゲームでは2015年にマーベラスから発売された「ポポロクロイス牧場物語」が最後だし、これも「牧場物語」とのコラボレーションという、少々変わった位置づけだ。
それだけに、5月8日にセガゲームスから配信されたスマートフォンアプリ「ポポロクロイス物語 ~ナルシアの涙と妖精の笛」は、“ファン待望の最新作”と呼ぶにふさわしい作品だ。シリーズとしては初のスマートフォン対応作品だが、ストーリーや会話の節々に至るまで、間違いなく「ポポロ」のDNAが受け継がれている。それと同時に、ゲームシステムは往年のファンもなじみやすいであろう、ライトなRPGに仕上がっている。本稿では、そんな本作のプレイレポートをお届けする。
リアルタイムでの戦略が問われるバトルシステム
本作のストーリーは、シリーズでもおなじみのピエトロ王子とナルシアが大人に成長した時代を描く、オリジナルの内容になっている。ある日ふたりは、ルーベンの森を守る妖精王メディアから使命を託される。これをきっかけに、2人は運命を大きく動かす旅を始めることになる。
ゲームのメインモードとしてはメインストーリーを進める「クエスト」と、他プレーヤーとの対戦・協力ができる「船団戦」の2種類があるが、まずはクエストの紹介を、バトルシステムの説明とともに行ないたい。
本作のクエストは章仕立てになっており、各話で会話シーンと戦闘パートが入るオーソドックスな作り。すべてを合わせても1話5分程度で終わるため、スマートフォンでプレイするユーザー層にもマッチしている。
バトルの最大の特徴は、リアルタイムで敵味方の行動が入り乱れる3Dアクティブ・レーン・バトルが採用されている。これは3×3の9マスにキャラクターを配置し、それぞれがリアルタイムで攻撃を仕掛ける。攻撃する順番は、各キャラクターのアイコンに表示されているゲージが溜まったタイミングで順次行なわれる。もちろん敵も黙って見ているわけではなく、一定のタイミングで攻撃してくる。攻撃力だけでなく、どれだけ素早く動けるかもポイントになるのだ。
行動する順番は画面上部のパネル「アクティブレーン」を見ることで判断できる。このとき注意したいのが、時折登場する「攻撃力×2」、「回復30%」といった特殊なパネルだ。これに上手くキャラクターをはめ込めば、書かれている追加効果が発動するシステムとなっている。
本作ではオートバトルが基本設定になっているが、パネルを上手く使いたいのであればマニュアルに切り替えて、あえてキャラクターに行動させない、という作戦を立てるのもありだろう。攻撃力の高いキャラクターと「攻撃力×2」をかけ合わせて早めに決着を付けたり、ピンチのキャラクターを上手く回復させたりと、できることが一気に広がる。もちろん、悠長に待っていたら敵の攻撃を一方的に受けてしまうリスクも伴う。これが本作の難しさであると同時に、リアルタイムと戦略性を組み合わせた醍醐味とも言えるだろう。
また、攻撃したりダメージを受けたりすると必殺技ゲージが溜まっていき、キャラクターごとに固有の必殺技が繰り出せる。特にボスモンスターなど、強力な敵を相手にするときはぜひ利用したい。
ちなみに公式サイトを見ると、白騎士の「ソードフレイム」、ガミガミ魔王の「ガミガミミサイル」など、シリーズおなじみの必殺技も登場するという。残念ながら筆者は本稿の執筆時点では、白騎士もガミガミ魔王も手に入れてないのだが……。とにかく、必殺技目当てでキャラクターを収集する、というファンも出てきそうな細かなこだわりを感じられる。
仲間との共闘が楽しめる「船団戦」など、スマートフォンならではのポイントも
本作ならではのバトルとして、大規模な船団戦というものがある。これは1日2回30分、決められた時間に開催されるギルドバトルで、20 vs 20という大規模な戦闘が楽しめる。勝利条件は制限時間内により多くのポイントを獲得するだけと単純明快。ポイントは、相手に攻撃すると、そのダメージ量に応じて手に入るシステムだ。
通常のバトルとは違い、「医務室」というコマンドがあるのも大きな特徴。味方のヒットポイントがゼロになってしまえば、当然ながら攻撃の手数が減り、勝利の可能性も低くなってしまう。計画的な回復は勝利への近道と言えるだろう。また、協力といってもソロで気軽にプレイすることも可能。コミュニケーションを強要されないのは嬉しい限り。
船団戦でダメージを与えたり、勝利したりすると「ブレイブコイン」という独自のアイテムを入手できる。ブレイブコインを溜めると特別なキャラクターや、新しい陣形、さらにゲーム内チャットで使えるスタンプなどさまざまなアイテムと交換できる。船団戦を楽しむことが、巡り巡ってソロでのクエスト攻略にも役立ってくるのだ。
シリーズおなじみのキャラクターがオールスターで登場するのも、スマートフォンアプリである本作ならではの特徴と言える。キャラクターを入手する主な方法としては、「聖竜石」を使用するレアガチャと、「フレンドPt」を使用したフレンドガチャの2種類がある。フレンドガチャは強いキャラクターが必ず手に入るわけではないが、その分フレンドPtも簡単に手に入るため、まずはこちらを多く利用することになるだろう。
キャラクターが増えれば、固有のシナリオを楽しめる「ブレイブストーリー」も続々解放される。ブレイブストーリーを充実させるという意味でも、フレンドガチャは決して疎かにできない。
システム面で尖ったところはなく、ゲームに慣れている人であればチュートリアルを飛ばしても理解できるくらい地に足の着いたシンプルなRPGというのが実際にプレイしてみての印象だ。その一方で、独創的なRPGが多数存在する現在のスマートフォン市場においては、そこに埋もれてしまうのではないかという心配もつきまとう。「ポポロクロイス」シリーズが元来持つストーリーやキャラクターの魅力をどこまで引き出せるか、そしてそれがファンにしっかりと届くかが、今後の評価のポイントになりそうだ。
©Yohsuke Tamori
©SEGA