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【必見! エンタメ特報】「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」

ドウェイン・ジョンソンがゲームオタクに!? ゲームネタ満載の爆笑アクションコメディ

3月29日先行上映開始(TOHOシネマズ日比谷のみ)

4月6日全国ロードショー

 ドウェイン・ジョンソン主演のハリウッド映画「Jumanji: Welcome to the Jungle(邦題:ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル)」が、ついに「スパイダーマン」シリーズを超えて、ソニー・ピクチャーズ歴代興収1位を達成したという。

 「ジュマンジ」は、クリス・ヴァン・オールズバーグ氏が描いた絵本を原作に、1995年に映画化された作品の続編となる。映画「ジュマンジ」は、“ボードゲームを遊ぶとジャングルの生き物たちが現実世界に現われる!”という原作の基本プロットを忠実に再現し、名優ロビン・ウィリアムズを主演、荒廃した豪華な邸宅を舞台に、ボードゲームの出目によって次々に襲い来るジャングルの生き物たちとの死闘を描いたファンタジー映画である。

【ジュマンジ(字幕版)】
これが1995年に公開された「ジュマンジ」

 当時、ハリウッド映画で流行していたVFX(ビジュアルエフェクト)がふんだんに用いられ、無数の動植物たちと謎のハンターが襲ってくるパニックホラー的な展開は「ジュラシック・パーク」(1993年)の影響が強く、随所にコメディ要素を交えながら、それが邸宅内で巻き起こるところは「ホーム・アローン」(1990年)的であり、タイムパラドックスを駆使して、伏線を一気に回収してハッピーエンドまで持っていくところは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ(1985年~)のようで、名優ロビン・ウィリアムズの奮闘も相まって、古き良きハリウッド映画の集大成のような名作である。

 「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」は、その偉大な名作の続編として20数年ぶりに作られた作品となる。今回、先行試写会で一足先に鑑賞してきたが、興行収入1位になったのも頷けるエキサイティングな作品に仕上がっており、特にゲームファンには最高に楽しめる作品になっているため、GAME Watchで取り上げたい。

 なお、できるだけネタバレは避けたつもりだが、一部ガイドブックやトレーラーに載っていない情報も含まれている。ネタバレを避けたいという方は、4月6日(TOHOシネマズ日比谷のみ3月29日から先行上映)まで我慢して、鑑賞を終えてから本文を読んでいただくのも良いと思う。

【映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』新予告】
そしてこちらがこれから封切りとなる最新作「ジュマンジ」

作品全体を通して感じられる原作「ジュマンジ」へのリスペクト

 鑑賞し始めてすぐに気づいたのは、映画「ジュマンジ」に対する過剰なまでのリスペクトだ。前作が公開された翌年の1996年にボードゲーム「ジュマンジ」が再び見つけ出されるところから物語がスタートするところもそうだし、子供にしか聞こえないという不気味な太鼓の音、参加者を不幸に落とし込む謎めいたメッセージ、大量の動物たちの突進、多重のタイムパラドックスを駆使した複雑なストーリー展開などなど、数え上げればキリがないが、原作や前作のリスペクトたっぷりの演出には「ジュマンジ」ファンならニヤリとさせられることだろう。

 これは筆者の推測になるが、この作品が大ヒットを記録したのは、前作をしっかりリスペクトした上で、現代の価値観にマッチさせる形で見事に換骨奪胎しているところだと思う。映画のジャンルも、典型的なパニックホラーから、10回は笑える(ゲームファンならその数倍は笑える)アクションコメディに鞍替えし、舞台も前作でロビン・ウィリアムズ演ずる主人公アラン・パリッシュが、26年もの間閉じ込められていたという“ジャングル”に変わる。

 そのジャングルに行く経緯もおもしろい。前作でアラン・パリッシュは、うっかりサイコロを振ってゲームを進めてしまったことで、その止まったコマの内容によってボードゲーム内のジャングルに吸い込まれ、それから26年後に同じ邸宅に引っ越してきたピーター・シェパードが偶然サイコロで5を出したことで現実世界に戻ってくることができたが、彼が26年もいたというジャングルそのものは描かれず、彼が現代に戻ってきた時に来ていた粗末な葉っぱの衣服でその壮絶さを想像するしかなかった。

 今作では「ジュマンジ」の原点となるそのジャングルに行くのだ。舞台はゲームオタクやインスタ好き女子、アメフト部のスター、そしてシャイなガリ勉女子といったステレオタイプな少年少女たちが学園生活を送る現代。物語のきっかけは、その4人の現代っ子が、それぞれ別の理由で校長に呼び出され、倉庫のような場所で居残り活動をさせられたことだ。

 そこで気弱なゲームオタクのスペンサーがセガマークIIIのような架空のゲームコンソールを見つける。刺さっているカートリッジは「ジュマンジ」。スペンサーは残り3人にも遊ぼうと呼びかけ、3人はPCエンジンのようなコントローラーを気乗り薄げに手にする。ゲームは1980年代の16bit世代を彷彿とさせるドット絵のRPGで、1人ずつプレーヤーキャラクターを選択していく。全員がキャラクターを選び終えた直後、4人は前作「ジュマンジ」と同じような溶けるような表現で、ゲーム世界に吸い込まれていく……。

現代を生きる少年少女たちが……
ジャングルで別のキャラクターとなって登場
ゲームも古びたボードゲームから古びたビデオゲームに進化

ジャングルで待ち受けるRPG的な展開

 この映画が最高にユニークなのは、その直後の展開だ。4人の現代っ子は、人格を保ったままゲーム内のキャラクターに入れ替わってしまう。気弱なゲームオタクのスペンサーは、ドウェイン・ジョンソン演じる筋骨隆々のブレイブストーン博士に。シャイでガリ勉少女のマーサは、カレン・ギラン演じるタフでセクシーなヒロイン ルビー・ラウンドハウスに。勉強ができないアメフトマン フリッジは、大きなバックパックに武器を抱えた動物学者ムース・フィンバーに。そして4人の中でもっとも派手でやかましいインスタ少女 ベサニーは、デブな地図専門家 シェリー・オベロン教授になってしまう。そう、ベサニーは唯一性別まで入れ替わってしまうのだ。ベサニーが水面に映る自身の姿を見て絶望するところ、中身はインスタ少女のままなのでやけにオネエっぽくなってしまうオベロン教授の好演ぶりは爆笑ポイントのひとつだ。

【「ジュマンジ」予告編】

 観客にその設定を理解させたところで、次に丁寧に描かれるのが、このジャングルは“ビデオゲームのRPGの法則に支配された世界”だということだ。オベロン教授は世界に降り立ってまもなく、突如現れた猛獣にいきなり食い殺されてしまうが、それで終わりではなく、“ライフ”が減るだけ。この世界では各キャラクターはライフ制になっていて、ミスをして死亡してしまっても新しいキャラクターが文字通り空からどーんと振ってくる。ただし死ぬと肩に刻印された3本のバーは2本に減り、3回死亡でゲームオーバー=死になることが暗示される。

【登場キャラクターとスキル】
スペンサーはブレイブストーン博士に
フリッジはフィンバーに
マーサはラウンドハウスに
ベサニーはオベロン教授に

 また、旅の序盤でガイド役の冒険者がNPCなのだ。彼は車での移動中にいささか仰々しいウェルカムメッセージを語るが、誰が問いかけても同じ話を繰り返すばかりで、肝心のこちらが知りたい質問には答えてくれない。ゲームオタクのスペンサーは、「これはNPCだ」と素早く見抜いたが、それをドウェイン・ジョンソン演じるブレイブストーン博士が通っぽく語るところが面白い。

 さらにキャラクターにはそれぞれ得意とするスキルがあり、ブレイブストーン博士は、男気、クライミング、ブーメラン、ルビーは空手、合気道、ダンスファイティングといった具合だ。自身の胸辺りを押さえることで、ダイアログがポップアップ表示され、自身が持つスキルが確認できる。このあたりはいかにもゲーム的で、中空にポップアップしたダイアログで自身のスキルを確認するなんていささか悪ノリが過ぎるような気もしなくもないが、オベロン教授と化したべサニーは、自分だけ地図が読めることを知る。ゲームクリアへの糸口を掴んだ一行は、再び現代に戻るために冒険の旅に繰り出していくことになる。

 物語は複数の“ステージ”で構成されていて、4人のキャラクターの固有スキルを駆使して突破していく。いずれもコメディタッチになっており、中でも倉庫ステージでは、ベサニーが入ったデブオヤジのオベロン教授が、マーサが入った美女ルビーにセクシーな歩き方や仕草をレクチャーするという壮大なコントとなっており、その実演、後始末も含めて大きな見所のひとつだ。

【とにかくおもしろいオベロン教授】
オベロン教授を演じるジャック・ブラックの好演が印象的。常に外さない

 中盤で隠しキャラ的に登場する“5人目の仲間”アレックスの出現によって、ゲームはクリアに向けて大きく舵を切ることになる。彼は倉庫ステージクリアに欠かせない「ヘリの操縦スキル」を持っており、目的地に一気に距離を詰めることが可能になるからだ。しかし彼自身はクリアを諦めて、ジャングルで自給自足の生活を送っていた。なぜ彼はクリアを諦めたのか、メンバーたちはどのようにして彼にやる気を出させてパーティに加えることに成功したのか、そしてそもそも彼は誰なのか。彼は映画「ジュマンジ」シリーズを結びつける役割を担った最重要人物と言っていい。

【アレックス加入でパーティーが揃う】

ゲームで培った揺るぎなき信頼関係、そして「ジュマンジ」らしいフィナーレ

 ラストシーンはハリウッド映画らしく、ここだけはドット絵スタイルの古典的RPGスタイルではなく、ドウェイン・ジョンソンとカレン・ギランのスーパーアクションが堪能できる「アンチャーテッド」スタイルのアクションゲームとなる。強大な敵の裏をかくスーパーアクションで世界に無事平和が訪れ、5人は無事元の世界に戻ることになる。

 筆者が特に気に入っているのはその後のエピローグシーンだ。舞台は再び現代となり、4人は少年少女に戻って学園生活を送る。ただし、ジャングルでの記憶はそのままで、人間関係は再構築され、強固なパートナーシップは保持されている。当然、お互いを見る目は大きく変わり、真の意味で仲間になっていることが伝わってくる。このあたりは、ゲーム内で知り合い、ゲームプレイを通じて信頼関係を高め、現実世界でも仲間になっていく流れととても似ていて興味深い。

【クールビューティ】
カレン・ギランは、ラウンドハウスという役柄において、シャイで真面目なガリ勉というマーサを内包したタフでセクシーな戦士という難しい設定を演じている

 そして前作を彷彿とさせるタイムパラドックスを駆使したハッピーエンド。全ての伏線が回収され、謎が明らかにされる。ジャングルでの理不尽な死闘がすべて報われるような終わり方がいい。

 「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」は、偉大な前作に対して最大限の敬意を払いつつ、モチーフのボードゲームをビデオゲームに昇華させ、さらに現代的な価値観で上質のエンターテインメントに仕上げたAAAランクのハリウッド映画と言える。ゲームをまったく知らなくても楽しめるが、ゲームファンならその数倍は楽しめる。まさにゲームファンのためのハリウッド映画と言えるだろう。