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台湾のゲームショウTaipei Game Show 2018が台湾台北市で開幕
日本メーカーが続々ブース出展! “アジアの時代再び”のワケとは!?
2018年1月27日 00:00
- 【Taipei Game Show 2018】
- 1月26日~29日開催
- 会場:台北國際世貿中心一館
1月26日、台湾最大規模のゲームショウTaipei Game Show 2018(台北国際電玩展)が台湾台北市において開幕した。Taipei Game Showは、PC、コンソール、モバイルと、ゲームマーケットの拡大に伴い、年々規模を拡大してきたが、今年も前年を上回る過去最大規模での開催となり、初日の1月26日は、平日にも関わらず、台北世貿一館全域を使った会場がゲームファンで埋め尽くされた。
Taipei Game Showは、エレクトロニクスショウの一部として併設されていた時代から、かれこれ15年以上取材しているが、今年が一番盛り上がっている。これは驚くべき事だ。それこそPCパッケージゲームの時代から、海賊版が蔓延する暗黒時代、PCオンラインゲーム全盛期、コンソールゲームの本格進出、モバイルゲームの勃興、eスポーツによるPCゲームの再興と毎年のようにトレンドが変わり、途中で南港展覧館に会場を変えて、また戻したりなど、多くの紆余曲折を経て現在に至っているが、今年もまたPCオンラインゲーム、コンソールゲーム、モバイルゲーム、eスポーツが渾然一体となって凄まじい盛り上がりを見せている。
なぜ驚きなのかというと、台湾自身は、新しいコンテンツを生み出すマーケットではないからだ。もちろん、台湾オリジナルを生み出す取り組みは、ずっと前から行なわれているが、アジアで言えば、日本や韓国、そしてここ数年で超大国にのし上がった中国の比ではない。だから、このゲームショウに訪れても完全新作を見ることはできないのだ。にも関わらず、平日から満員御礼の人気振りとなるのは何故かというと、台湾は、ゲームの産地がどこかに関わらず、おもしろいゲームをどんどん取り込んでいく圧倒的な“消費国”だからだ。
今年も、常連メーカーであるSony Interactive Entertainment Taiwan(SIET)をはじめ、バンダイナムコエンターテインメント、セガ、スクウェア・エニックス、Cygames、アークシステムワークスなど、日本のメーカーが次々に自社ブースを構え、旺盛な消費意欲を持つ台湾ゲーマーを満足させる新規コンテンツの投入に余念がない。日本人の目から見ると、もはや台湾のゲームショウではないのではないかと突っ込みたくなる気もするが、「それで構わない。おもしろいゲームが遊びたいだけ。あ、ボイスのローカライズはしなくていいから日本語のままで」というのが台湾ゲーマーのメンタリティだ。
メーカー担当者に話を聞いてみると、日本や欧米のゲームマーケットが規模として足踏みを続ける中で、アジア市場のみは依然として右肩上がりの成長を続けており、そのゲートウェイとしての台湾は非常に魅力的だという。台湾でヒットすれば、香港でもヒットし、そのまま中国、シンガポール、マレーシアへなだれ込んでいく。その玄関口である台湾マーケットを押さえるのは非常に重要だというわけだ。
ただ、日本や世界からアジアという流れは、ずっと前から存在する。つまり、その流れは生まれては途切れ、途切れては生まれしているのが実情だ。では、過去と現在では何が違うのかというと、台湾のゲームマーケットが熟成し、SIETのようなプラットフォーマーだけでなく、サードパーティーや現地の代理店が力を付けてきていることが大きい。
たとえば、バンダイナムコやセガゲームスは今や現地で自社流通を持ち、SIETに頼らずともローカライズから、販売、流通まですべて自社で処理できる体制を整えている。このメリットは、日本で流通を担当しているメーカーに対して、「日本だけではなく、アジアでも売りませんか?」と持ちかけられるところだ。あまり規模の大きくないメーカーは、アジアビジネスを一から立ち上げるのは大変で、SIETのようなプラットフォーマーにおんぶに抱っこの状態からスタートするのが通例だが、ノウハウは代行して貰えても、利益を出すまでにどうしても時間が掛かってしまう。
それに対して日本での契約の時点からアジアも包括して契約できるようになると、再契約、再交渉の手続きをすべて省いて、言ってしまえば売上だけをそのまま上乗せできるようになるため、Win-Winの関係を維持したままスムーズに展開地域を広げることができるわけだ。
その点で勢いを感じさせてくれたのがセガゲームスだ。過去最大規模のブースを構え、「北斗が如く」や「戦場のヴァルキュリア4」、「D×2 真・女神転生リベレーション」などのセガ/アトラスのタイトルのみならず、マーベラスの「閃乱カグラ」シリーズやアクアスタイルの「不思議の幻想郷」といったライセンスタイトルも出展。期間中に新たな大物ライセンスタイトルの発表も予定しているということで、これら新規タイトルを2017年に構築したアジアの自社流通網を駆使して販売し、アジア全域に大きく打って出る戦略だ。現地にはセガホールディングス代表取締役社長COOの岡村秀樹氏や、セガゲームス代表取締役社長COOの松原健二氏も視察に訪れるなど、かなりの本気ぶりで、日本からアジアの流れが再び活発化しつつあることを実感した。
一方、台湾の代理店側の動きもおもしろい。代表例は台湾の大手販売代理店のJUSTDANだ。もともとはPCゲームの流通代理で成長してきたメーカーだが、商材の対象をコンソールゲームにも拡大してからは、カプコンやワーナー、ベセスダ、ロックスターゲームスなどのタイトルを一手に引き受け、2017年はついに任天堂の販売代理も手がけるようになり、Nintendo Switchの勢いに乗って急成長を遂げている。
そして今年最初のビッグタイトルがカプコンの「モンスターハンターワールド」だ。日本と同時の1月26日に発売するだけでなく、発売日に実施するアップデート、いわゆるDay Oneパッチで、日本と同じようにオンラインモードを実装するだけでなく、繁体字ローカライズも導入する。つまり、「モンスターハンターワールド」は、台湾では日本と同じタイミングで中文版で遊ぶことができるのだ。
ローカライズした状態で世界同発というのは、「ファイナルファンタジーXV」のように過去にも例がなくはないものの、ローカライズについて長年の経験と実績を持つSIETのみが可能な専売特許のようなところがあったが、それを一代理店が可能にしてしまうという点で、台湾が、そしてアジアが再びおもしろい時代になってきたなと感じている。こうした相乗効果の結果、多くの台湾のゲームファンが会場に足を運んだのではないかと思う。
GAME Watchでは、本日以降、現地で掴んだ面白い情報を続々レポートしていきたいと考えているのでぜひご注目いただきたい。