ニュース
「LoL」のアマチュアイベント「LNS×AOC Cup」に(2人で)参戦!
オフラインイベントの楽しさを全力で体感
2017年10月19日 12:36
10月14日、「League of Legends(以下、LoL)のオフラインイベント」、「LNS×AOC Cup -LoLヶ原の戦い-」が東京のスタジオスカイにて開催された。主催は社会人向けの「LoL」リーグを運営する「LNS(League of Legends Nippon-no Salaryman)」。本イベントはゲーミングモニタ「AGON」シリーズを展開するAOCのスポンサーを受けて行なわれた。
本イベントでは参加者を"関ケ原"になぞらえて東西の2チームに分け、20vs20人で勝敗が争われた。内容は「LoL」の基本ルールである5vs5を8チームにより計4試合行ない、その結果を合計して勝敗を決めるというもの。今回は取材というポーズをとりつつ、筆者(堀江くらは)と弊誌編集の柳島の2名で試合に参加することができたので、その模様をお届けしたい。
そもそも主催のLNSとは?
LNSはその名の通り、「社会人の社会人による社会人のための『LoL』リーグ」の運営を行なっている団体だ。代表ののりじろ氏によれば、「大学生には「LeagueU」があるが、社会人にはそういった『LoL』を楽しむ場がなかった」ため、仕事で忙しい社会人にも「LoL」を楽しむ場を提供し、社会人コミュニティを活性化させることを目的として活動しているという。のりじろ氏の呼びかけに答えて集まったLNSのメンバーは皆、それぞれ本業に支障が出ない範囲、あくまでも趣味の範囲での活動を旨としているとのことだ。
普段LNSはオンライン上でのリーグ運営をメインの活動としており、このリーグには最低5人で1チームを組み、リーダーが社会人、かつメンバー全員が18歳以上であれば参加することができる。時間の制約が厳しい社会人に向けてルールも工夫されており、チームはそれぞれホストとゲスト側に分かれ、ホスト側の募集に対して時間の都合がつくゲスト側のチームが申し込み、試合に臨む形となっている。勝利すればゲーム内のランクのようにポイントが加算されていき、最下位の「平社員」から最上位の「会長」というこれまた社会人っぽさを醸し出す名前のブロックで上を目指していく。
LNSのリーグには既に90チーム以上、つまり少なく見積もっても450人以上が参加しており、Riot"非公認"しかも同好の士が集まって運営しているリーグとしてはかなり大きな規模と言えるだろう。LNSリーグは2カ月をシーズンの1つの区切りとしており、シーズン3開幕直後のこのタイミングで、1つの記念としてオフラインイベントを計画したという経緯だ。
オフラインイベントならではのチーム戦
そんなLNSにとっては初のオフラインイベントだったが会場は満員。会場ではストリーミング配信も行われており、実況はLNSメンバーのDICOMさんが担当。ゲストとして、スイニャンさんとくろにゃんさんがコメンテーターとして登壇した。
本イベントでは初めて一緒にプレイするチームメンバーも多く、いかに上手くコミュニケーションをとれるかが勝利の鍵となった。しかし本大会はLNSにとって初めてのオフラインイベントとのことで、現地でのVCの設定にトラブルが発生。結果としてデバイスを通じたボイスチャットではなく、「せっかくのオフラインイベントですから!」ということで"リアルボイスチャット"と表現された肉声での会話が主なコミュニケーション方法となっていた。
戦いは既に試合前から始まっており、ランクや人数を考慮してランダムに選択された各8チームの組み分けが終わった時点で、さっそく各チームごとにピックやロール等を決める作戦会議が行なわれていた。
1試合目は試合中のコミュニケーションの重要さが顕著に出た。西軍はサポートとして「ルル」を使用する「ニコ姫」選手が終始会場に響き渡る大きな声でチームに指示と激を飛ばし、チームに一体感を生み出していた。一方で東軍はニコ姫選手の声に圧倒され、コミュニケーションがうまく取ることができず、不利な集団戦を発生させてしまう。集団戦に勝利した西軍がバロンを獲得し、そのままの勢いで勝利。チームを牽引したニコ姫選手は、敵味方関係なく賞賛を浴びることとなった。
2試合目は、西軍が大会などでも見られるようないわゆる「ガチ」な構成なのに対し、東軍はキノコをばらまく「LoL」の害悪、かつアイドルの「ティーモ」や、高いハンドスキルと味方の理解が必要で、ハイリスクハイリターンな「マスター・イー」といったイベントならではのピックがされた。試合はトップのティーモが相性の問題もあり対面のマオカイを圧倒。レーン戦を終えてもティーモがアルティメットのキノコとステルスを活用してゲームを支配し、東軍が1本返す形になった。
初めてチームを組む仲間とのコミュニケーションの重要性や、中々見られないチャンピオンの活躍など、1試合目・2試合目共に、オフラインイベントならではの展開が続いた。
実際に参加したからこそ味わえる楽しさ
3試合目、いよいよ筆者が東軍メンバーとして試合に参加。なんと編集も西軍のメンバーとして同じ試合で敵対することになった。実は筆者の方が編集よりランクが高く、正直に言ってしまえば腕前は上。しかも筆者がメインロールであるジャングラーなのに対し、編集は経験の浅いサポートロールだ。試合前は半ば勝利を確信していた。
そんな事もあって、筆者は調子に乗ってリメイクされたばかりの「イブリン」をピック。イブリンは相手の視界から逃れる「ステルス」が特徴的なチャンピオンだが、リメイクによってその「ステルス」が序盤は使えなくなる代わりに、レベルが上がった試合後半ではより影響力を持てるような調整が入ったばかりだ。
まだまだプロの間でも運用法が確立されていないイブリン。ここで活躍すれば目立ってMVPに選ばれるのでは? という下心が見え隠れする選択だ。これに対し、西軍はジャングラーに「レクサイ」、ミッドに「モルガナ」という奇襲を旨とするイブリンが機能しにくくなるチャンピオンを選択、この時点で若干暗雲が立ち込めていた。
試合が始まると筆者の持ち前のハートの弱さに加え、初のオフラインイベントの参加や普段とは違うデバイスでのプレイ、そして対面に座る担当編集の口から漏れ聞こえる「勝敗」、「原稿料」、「半額」なる単語の圧力……もろもろが重なって緊張がピークに達し、思うように動くことができず、チーム内で上手くコミュニケーションもとれなかった。
試合は味方のボットレーンの2人が活躍し、試合を有利に進めてくれるものの、トップが敵ジャングラーのガンクもあり苦戦。中盤以降は自分の余分なデスや判断ミスで相手のジャングラーに有利を取られてしまい、苦しい展開に。思えば、ここでトップを助けるなり、孤立していた相手ADCのアッシュをアサシンすればよかったと後悔ばかりが募る……。
ジャングラー同士で資金の差はあったが、味方の活躍によりエースを獲得するなど、勝機はあった。しかし、それを活かしきれず終盤の集団戦で負けてしまい、そのままバロンを取られて自チームは敗北。西軍が勝利にリーチをかけた。
試合後、チームメンバーに慰められ、編集に煽られながら悔しさを噛みしめることになったが、チームで一丸となって戦うことや、独特の緊張感等、オフラインイベントの楽しさを存分に味わうことができた。今後もこのようなイベントに参加し、そしてどこかで雪辱を晴らしたいと思うことができる良い経験となった。
1vs1までもつれ込む熱い戦い
4試合目、西軍はボットレーンで今最も熱い組み合わせである「ザヤ」、「ラカン」をピック。追い詰められた東軍はレーン戦でのハラスが強力な「ケイトリン」と「ブランド」をピックした。東軍はこのチョイスが功を奏しボットレーンで勝利。ミッドとトップも有利を作り、所謂「全レーン勝ち」の状態で中盤を迎え、そのままの勢いで勝利した。
お互い2ポイントを獲得し、勝負はチームの代表者による1vs1に委ねられることになった。ルールは相手をキルするか、100CSの先取、もしくは1stタワーを破壊すれば勝ちというシンプルなもの。東軍の代表ゑぢそん選手は意外にも1vs1が強い「ソラカ」を、西軍の代表Vashyron選手はスキルの乱打によるバーストに優れる「ライズ」をそれぞれピックした。
多くの参加者が立って見守る中、ソラカがダメージ交換・CS共に有利を取るもお互いリコールで仕切り直し。HPとマナを回復したライズが的確なスキル回しとパッシブの移動速度増加を用い、ソラカのスキルをかわしながらダメージをたたき出し見事にキル。結果、西軍の勝利で終わったが、決着がついた瞬間には両陣営関係なく歓声が上がり、イベントはフィーナーレを迎えた。
草の根的な活動だからこそ生み出せるモノがある
アマチュア向けの「LoL」の催しといえば、まず浮かぶのは大学生リーグであるLeageUだろう。こちらはRiot主導の活動となっており、その盛り上がりと"パワー"はまさしくプロ顔負けで、以前取材したALL Campus Series決勝戦でもその一端を体感することができた。
一方、今回のイベントも、Riot"非公認"のLNSが主催でありながら、盛り上がりや参加者の笑顔を見るに大成功だったと言ってよいだろう。むしろ「仕事で忙しい社会人でも『LoL』を楽しみ、交流できる環境を作りたい」、「参加者全員が『趣味の範囲』でできることをやりたい」。そんな理念のもと立ち上げられたLNSが主催だったからこそ、このイベントは成功したのかもしれない。腕前に関係なく参加することができ、勝敗に捕らわれず楽しむことができるが、やはり勝利は目指したい。そんな熱すぎず、緩すぎない独特の緊張感は運営も参加者も「趣味の範囲」だからこそ生み出せたのだろう。
LNS代表である「のりじろ」氏はイベント終了後に「ビジネス的なことはやりたくない。今後も、草の根的な活動を通して、みんなで楽しめる場所を作りたい」、「運営メンバーにいるデザイナーやエンジニアも、皆理念に賛同して参加してくれています。今回スポンサーになってくださったAOCさんも、メンバーの趣味の繋がりが切っ掛けで特別に協力してくれました」と話してくれた。本イベントが運営も含む参加者全員が一体となって楽しめるものだったのも、こうした利益抜きの「繋がり」をベースにした活動だからなのではないだろうか。
LNSは今後もイベント開催をしたいと考えているとのことだが、普段はオンラインでリーグ戦を展開している団体だ。仕事をはじめてから会わなくなった仲間が再び集まってチームで戦う。そんな「LoL」の社会人コミュニティ活性化を目的としているリーグとのことで、筆者も仲間と参加してみたいと思っている。
また、LNS以外にも草の根的なオフラインイベントを主催している団体は幾つかある。こういったアマチュア主導の活動が、ゲームのコミュニティを支えていくことになる。その点も踏まえて、今後もこうした動きに注目していきたい。オフラインイベントに参加すると、普段のプレイや大会の観戦とはまた違った楽しさを味わうことができる。筆者も実際に参加し、(戦犯になったのにも関わらず)楽しむことができたので、是非とも参加をお勧めしたい。