【特別企画】

今こそ「機動戦士ガンダム」をオススメしたい! 「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」を観る前、観た後に"初代ガンダム"を愉しもう!

 2月4日に公開された白いガンダム、そして赤いガンダムの姿に衝撃を受けたガンダムファンも多いだろう。改めてシャアやドレンなどの「初代ガンダム」の登場人物の出演もアナウンスされた。そう、「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」では、SUNRISE×カラーという夢のタッグで、あの宇宙世紀を書き換えるという大胆な試みが行われようとしている。

 映画を観た後、「機動戦士ガンダム」の歴史を知りたい、もう一度全体を確認したい、と思った方も多いだろう。筆者もその1人だ。「機動戦士ガンダム」とは何だったのか、どのようなストーリーで、なぜこれほど愛されているのか。

 「機動戦士ガンダム」は、1979年に放映された42話のTVアニメ作品であり、このストーリーをダイジェストにした3本の劇場映画が作られている。どちらもアニメ作品としてかなりのボリュームであり、『ガンダム』に興味はあるけど、とっつきにくさをと感じている人もいるかもしれない。あるいは今のアニメ作品から見ると絵柄が古く感じるところもあるかもしれない。今回はそういう方のために改めて「ガンダム」の魅力、大まかな流れをしっかり振り返っておきたい。

【公開された“ガンダム”】
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」に登場することが明らかになった「白いガンダム(型式番号:RX-78-02)」と、「赤いガンダム(型式番号:gMS-α)」。どのような役割を果たすか、ぜひ劇場で確認してほしい

現在でも語られる「機動戦士ガンダム」第1話の優れたドラマ性

 「機動戦士ガンダム」は、“宇宙世紀”という、西暦に代わる年号が使われている未来の話だ。人類は人口の増加で地球環境を維持できなくなり、宇宙に「スペースコロニー」を作り上げ、強引と言える宇宙移民政策で人間の生活圏を宇宙に移動させる。「機動戦士ガンダム」は宇宙世紀0079、人類が宇宙に生活を移してから80年近くの年月がたち、多くの人が宇宙での生活を営んでいる世界での物語だ。

  人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、すでに半世紀が過ぎていた。地球の周りの巨大な人口都市は、人類の「第2の故郷」となり、人々はそこで子を産み、育て、そして、死んでいった。

  宇宙世紀0079。地球から最も遠い宇宙都市サイド3は、「ジオン公国」を名乗り地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。この1カ月余りの戦いでジオン公国と連邦軍は、総人口の半分を死に至らしめた。……人々は自らの行為に、恐怖した。戦争は膠着状態に入り、8カ月あまりが過ぎた。

【第1話|機動戦士ガンダム【ガンチャン】】
ガンダムチャンネルでは、「機動戦士ガンダム」、第一話「ガンダム大地に立つ」が無料公開されている

 「ガンダム」は後に“一年戦争”と呼ばれる、宇宙世紀0079終盤の物語だ。引用したナレーションは作品冒頭の有名なものだが、「ガンダム」の冒頭は本作の設定を見事に”画”で表現している。巨大な円筒形の「スペースコロニー」がまず外観が描かれ、内部にカメラが移動する。円筒形の内側には、都市や緑があり、鳥も飛んでいる。数秒のインパクトの強いこの絵で、人類が現在の我々と同じような環境を宇宙に持ち込み、このコロニーで生きていることが語られる。

 しかし、その平和な風景はコロニーを貫く爆発で破られる。宇宙に浮かぶ異形の宇宙戦艦がコロニーを攻撃し、一つ目の鉄巨人「ザク」が見ている中で巨大なスペースコロニーが煙を上げながら地球に近づき、そのまま都市に落下し閃光に包まれる。ここでかぶるナレーションが「総人口の半分を死に至らしめた」。人類が宇宙まで進出する未来が、あっという間に“地獄”に変わる。

 「機動戦士ガンダム」の第1話はロボットアニメの展開として非常に優秀なものだ。宇宙空間を横切りスペースコロニーに近づくモビルスーツ・ザク。そのままコロニー内に潜入し、偵察活動を始める。一見平和そうなスペースコロニー内部では連邦軍のモビルスーツ開発が行われていた。功を焦ったザクのパイロット・ジーンは上官の「我々は偵察が任務だ」という制止も聞かずに攻撃を始めてしまう。

 一瞬にして戦場のただ中になるコロニー内部。機械好きの少年・アムロはほんの偶然から連邦の最新モビルスーツ・ガンダムのマニュアルを手にする。ザクと連邦軍の戦闘により避難民が逃げ惑う中、アムロのガールフレンド・フラウの家族は流れ弾で多くの人々と共に死んでしまう。母の死体にすがり泣き叫ぶフラウの頬をアムロは叩き、叫ぶ「。しっかりしろ! 君は強い女の子じゃないか!」。アムロの声でよたよたと、それでもここから逃げるために歩き出すフラウ。アムロは意を決して運搬中のガンダムに向かっていく……。

  こうしてアムロは連邦軍の最新モビルスーツ・ガンダムに乗り込む。 ガンダムの優れた性能とアムロの機転により、ザクを撃退したアムロは、なし崩し的にガンダムのパイロットになってしまう。総人口の半数を失ったこの世界ではまともな軍人そのものが少ない上、ザクの襲撃で正規戦闘員は全滅、アムロたちのコロニー・サイド7にいるのは老人と子供ばかり。アムロやサイド7の避難民である少年少女たちは、生き残るため、ガンダムを運用する新造戦艦・ホワイトベースのクルーとなってサイド7からの脱出を試みる。ガンダムだけでなく、ホワイトベースもコンピュータが基本動作を補佐してくれる機能があり、素人でも運用ができるのだ。

中央がアムロ、左がシャア、右がセイラ。ガンダムは群像劇であり、様々な人々の運命が交差する

  しかし彼らにジオン軍の若きエース・シャアが迫る。 彼こそは先の「ルウム戦役」でザクで何隻も戦艦を落とし、異例の昇進を遂げ“赤い彗星”の異名を持つ非凡なパイロットであり、卓越した戦略眼を持つ敵なのだ。「2手3手先を読む戦い方」でシャアはホワイトベースを追い詰める。

 一方のホワイトベースのリーダーは実戦経験が皆無の19歳の士官候補生・ブライト・ノア。感情的になりやすい自分の行動に自己嫌悪を感じながらも、必死にリーダーとして振る舞う。彼だけでなく、ホワイトベースの正規のクルーはことごとく戦死か重傷を負い、避難民から志願した若者たちで運用している。その中でアムロはガンダムのパイロットとしてシャアの猛攻の矢面に立たされる。「機動戦士ガンダム」の大きなテーマは「君は、生き残ることができるか?」。まさに生き延びるために、少年少女は必死の戦いを繰り広げていく。

進化するアニメ作品の“到達点”を提示したと言える「ガンダム」のドラマ性

 生き延びるために必死のホワイトベースの人々は、戦争で疲弊している連邦軍にとって“お荷物”にすぎなかった。ホワイトベースはまともな支援も受けられず、サイド7から逃げ込んだ避難民を下ろすことができないまま、地球をさまよう羽目になる。

  シャアはホワイトベースを本来のコースではなく、地球方面軍司令官・ガルマ・ザビの勢力下に降下させることに成功する。 ガルマはシャアの士官学校の友人であり、ジオン公国の実権を握るザビ家の末弟である。ホワイトベースはガルマの猛烈な追撃を受けることとなる。

 しかしガルマの部隊がホワイトベースを追い詰めたその瞬間、シャアが意外な動きを見せる。ガルマを裏切り、隠れているホワイトベースの正面にガルマが来るように誘導する。 戦いの勝利より、ガルマの抹殺を優先したのだ。 ホワイトベース隊の猛撃を受け、特攻を決意するガルマにシャアは言う。「君はいい友人だったが、君のお父上がいけないのだよ!」。「謀ったなシャア!」

 ……シャアの本当の名前はキャスバル・レム・ダイクン。スペースノイドによる国家建設と人の革新「ニュータイプ」の誕生を予言した“ジオニズム”を提唱し“ジオン公国”の名前となったジオン・ズム・ダイクンの息子だったのだ。キャスバルはジオンを暗殺し、ジオン公国の実権を握ったザビ家を皆殺しにすることを誓っていたのである。

全43話のTVシリーズをまとめた「劇場版 機動戦士ガンダム」。「U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ 劇場版 機動戦士ガンダム」として3部作をまとめて購入できる。価格は11,000円

 窮地を脱したホワイトベースだが、補給もままならず、避難民とのゴタゴタ、クルーの軋轢も起こる。そして「ガルマの仇」として、歴戦の軍人ランバ・ラルが率いる精鋭部隊による追撃を受ける。ランバ・ラルは退けたもののホワイトベースの皆を心理的に支えていた兄貴分・リュウが戦死し、そのショックでブライトも心労がたたって倒れるなど絶え間なくピンチが続く。

 その中でアムロは戦士として成長していくが、彼の活躍はともすれば暴走とも受け取られる。母との再会も彼の心を和らげはしない。戦士としての彼は仲間の中からも浮いた存在となってしまう。一方で、仲間たちにもスポットが当てられていく。その中でジオン軍は新型MSを次々と投入、戦いはさらに激しさを増していく。

 「ガンダム」はこれまでの「ロボットアニメ」に“大河ドラマ”のように大きな流れと、群像劇の要素をもたらした。そこには「世界名作劇場」、「宇宙戦艦ヤマト」といった他のアニメ作品、日本をはじめとした様々な映画・ドラマが、発展、充実していったという背景と切り離せないが、その中でも「ガンダム」は現代でも多くのファンが語り継ぐ、ある意味頂点といえるドラマ性とエンタテイメント性を実現している。それは時代を超える魅力である。

 人間ドラマだけでなく、“戦記物”としても「機動戦士ガンダム」はよく書かれている。ホワイトベース周りだけを見ると連邦軍は機能していないようにも見えるが、実は反攻の準備を着々と進めており、ヨーロッパのオデッサを舞台とする「オデッサ作戦」に大戦力を投入、 このオデッサの勝利により、ジオンと連邦の地上での勢力バランスが逆転する。

 ジオンはこの敗北により戦力を失い、ホワイトベースの到着により連邦軍の最大拠点ジャブローを発見したにもかかわらず、大戦力を投入できず攻めきることに失敗する。連邦軍はオデッサの勝利、ジャブローの防衛を果たし、その戦力を宇宙に向け、宇宙を支配するジオン軍に決戦を挑む。ホワイトベースはあくまで戦力の一部でしかないものの、戦局は大きく動いていくのである。

TV版を完全収録した「U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ 機動戦士ガンダム」。価格は25,300円

「ガンダム」にSFロマンをもたらす「ニュータイプ」という概念

 「兵士でもない少年がロボットに乗って英雄的な活躍をする」というロボットアニメならではの要素に“説得力”をもたらすためにクローズアップされたのが「ニュータイプ」という概念だ。アムロは戦いの中でエスパー(超能力者)のように、常人を超えた認識力を発揮し強敵を撃退していく。そして「アムロこそニュータイプだ」と劇中人物にも、作品を見ている視聴者にも認識されるようになる。

 「宇宙に進出した人類はその認識力を拡大させる」というのはジオン公国の「我らこそ新しい人類」という主張にも繋がる。ニュータイプという存在に関してはジオン軍の方が研究が進んでおり、 「サイコミュ」というニュータイプの認識力を使って、コントローラを使わず機器を操作する技術が進んでいた。 そのサイコミュが可能とするのが「オールレンジ攻撃」。1つの機体から分離する移動砲台を使って四方八方から相手を取り囲み死角からも攻撃を加える戦い方だ。

 「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」ではシャリア・ブルが重要な役割を果たす。彼は実はエピソードを編集した劇場版「機動戦士ガンダム」では活躍を削られている。しかしシャリアとアムロの戦いこそが初めてニュータイプ同士の戦い、常人では立ち入ることができない超絶の戦いを描いているのだ。

【ブラウ・ブロ|昼MS【ガンチャン】】

 シャリアは自分の位置がわからないようにビーム砲を分離させ、四方八方から攻撃を加えるがアムロはその攻撃を読みかわしていく。援護しようとするハヤトやカイはその激しい攻撃に近づくことができないどころか、被弾し、足手まといになってしまう。

 アムロはこのとき、ガンダムの反応速度すらも超える操縦でブラウ・ブロの攻撃をかわし、シャリアの乗る本体へと迫る。 シャリアは叫ぶ「何だ、見つけたのか?」、懐に入りブラウ・ブロの胴体に0距離から攻撃を加えるガンダム。 高性能モビルスーツのガンダムが成長したアムロの“枷”になってしまうという、ニュータイプの凄さを印象づけて、戦いは終わる。

  そしてアムロは敵のニュータイプの少女・ララァと運命的な出会いを果たす。 優れたニュータイプ同士の認識力で、アムロとララァは戦場のただ中にもかかわらず”繋がって”しまう。「人はわかり合える」、垣間見えたその輝かしい未来は戦争という人の業、立場によって引き裂かれる……。

 「ガンダム」はニュータイプの可能性を示唆するものの、明確に定義をしない。「ニュータイプとは何なのか、それが実在するとしたら、人はどう変わるのか?」この問いが「ガンダム」世界で総監督である富野由悠季氏を始め多くのクリエーターが多彩な作品を作り出す原動力になっていく。「ガンダム」には「人間とは何か、人は進化できるのか」というロマンが根底に流れているのだ。

 シャア自身は優れたパイロット、戦略家として描かれているが「自分は本当にアムロやララァのようなニュータイプなのか」という問いに答えが出せない。それはズゴックでガンダムと対峙した時もプレッシャーを感じ、性能的には互角のゲルググを使ってもアムロのニュータイプ能力に押されてしまう。 しかしララァを失い、決戦用MA・ジオングに乗ったときシャアはニュータイプとして覚醒する。「見える、私にも敵が見えるぞ」。 アムロを見つけ出したシャアは最後の戦いを挑む。

 ニュータイプとしての能力を開花させたアムロ、そしてアムロやララァに引っ張られるようにニュータイプとして覚醒したシャアとの対決が「ガンダム」のクライマックスだ。しかし物語は終わらない。人はこの戦争が終わった後も生きていく。そして45年たった現代でも「ガンダム」が提示した様々な可能性に人は魅了され、新しい物語を紡いでいるのである。

ディテール、設定、どこまでも語り合いたくなる奥深さ

 優れた、これまでにない革新的なドラマ性を持っている「機動戦士ガンダム」だが、やはり中心となるのは「ロボットアニメ」としての魅力だ。「ガンダム」は、最初は「敵のMSはザクのみ」という非常にストイックで、挑戦的な姿勢で描かれている。ザクはオプションの武装を駆使したり、宇宙ならではの機動や、陸戦兵器と連動した戦い方など多彩な戦術を見せてくれる。

 そして新型MS「グフ」の登場からは、怪獣のような水陸両用MS、そして地上を滑走するというこれまでの陸戦兵器の概念を超える重MS「ドム」などバラエティ豊かな敵とホワイトベース隊の戦いが描かれていく。多彩な能力を持つ敵MSをガンダム、ガンキャノン、ガンタンク、そして新たに加わるGメカ(コアブースター)でどう戦っていくか、ロボットアニメとしての魅力が「ガンダム」の根幹であることは間違いない。

初代「ガンダム」の様々な立体物をそろえるにはやはりガンプラだ。ラインナップ、ギミック、サイズ、様々な選択肢がある。画像は「RG 1/144 RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」
完成品フィギュア「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」シリーズはアニメのスタイリングを追求しつつ、練られた関節機構でアニメのポージングも再現可能。画像は第1作である「ROBOT魂<SIDE MS> RX-78-2 ガンダム ver. A.N.I.M.E.」

 MSを超える存在としてMA(モビルアーマー)も存在感を増していく。中でも「ビグ・ザム」の印象は強烈だろう。ジオンの拠点、宇宙での戦いの行く末を占う「ソロモン要塞」では、連邦軍の新型MS・ジムとその支援機ボールが本格投入され、さらに太陽光を利用したソーラーシステムによってソロモンを防衛するジオン軍は窮地に陥る。

 そのさなかにジムを蹴散らし現れる大型MA・ビグ・ザム。ビグ・ザムは連邦軍の戦艦から放たれる長距離ビームをねじ曲げる「Iフィールド」という装備で無効化、さらに機体周囲に張り巡らせたビーム砲で何隻もの戦艦を一瞬に撃破してしまう。 ビグ・ザムを駆る宇宙攻撃軍総司令官・ドズル・ザビは叫ぶ「ビグ・ザムが量産の暁には、連邦なぞあっという間に叩いてみせるわ!」。 圧倒的なビグ・ザムの姿は「ガンダム」でも最も印象的なシーンと言える。

発売が決定した「ROBOT魂 <SIDE MS> MA-08 ビグ・ザム ver. A.N.I.M.E.」。ドズルの悲願を実現! というネタが楽しい

テーマ性の強い劇場版と、多くのエピソードが楽しめるTV版

 「機動戦士ガンダム」を楽しむには全43話のTV版と、3部作の劇場版がある。劇場版はTV版のダイジェストだが、エピソードを絞ることでテーマ性を強調、全体の流れも整理させわかりやすくなっている。作品としても短縮された感じは薄く、1つの作品として味わい深いものになっている。

 一方、TV版の細かい要素も魅力的だ。敵の事情、味方の事情の紹介もTV版は非常に細かい。内通者エルランのドラマや、イセリナの悲恋などより多彩な人間ドラマを見ることができる。筆者が好きなエピソードは第14話「時間よ、とまれ」。この話では地球を制圧しているジオン軍兵士が「虫がいるような不潔な地球から出ていきたい」という切実な願いの元、近くを通りかかるホワイトベースに手持ちの武器だけで戦いを仕掛け、ガンダムを破壊しようとするのだ。

 ジオン兵たちはMSに対して遙かに非力な1人乗りのホバークラフト「ワッパ」で近づき、ガンダムに時限爆弾を仕掛ける。アムロは被害を最小限にするため、たった一人でガンダムの各所に取り付けられた爆弾を解除するという、他の話にはない緊張感に満ちた戦いを強いられる。しかもラスト、見事に爆弾を解除したアムロに賞賛の声をかけるため、ジオン兵たちが一般人のふりをして、ホワイトベースのクルーに挨拶しにいくのだ。証拠がないため、ブライトたちは通りかかった男たちを見逃すしかない。なんとも奇妙な、しかしどこかほのぼのする、TV版ガンダムならではのエピソードだ。

ワッパもガンプラ化されている。「U.C.HARD GRAPH ジオン公国軍 機動偵察セット」。価格は1,650円

 「機動戦士ガンダム」は劇場版ならではの編集され強められたテーマ性、ドラマ性も魅力だし、TV版の豊富なエピソードも面白い。このほか、富野由悠季氏が執筆した全く展開の異なる「小説版 機動戦士ガンダム」や、安彦良和氏の解釈と、氏ならではの緻密な画で描かれた「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」などもある。

TV版とは大きく設定、展開が異なる小説版「機動戦士ガンダム」
安彦良和氏の解釈が加えられた「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」

 プラモデルから始まった「MSV」、直接の続編である「機動戦士Zガンダム」、OVAやマンガ、小説などの外伝作品に、ゲーム作品、さらには世界観が全く異なる「アナザーガンダム」とこの45年で「ガンダム世界」は大きく広がった。

 「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」で、「機動戦士ガンダム」に興味を持った、もう一度「機動戦士ガンダム」を見たくなった、という人もいるだろう。是非この機会に、原点である「機動戦士ガンダム」に触れてほしい。何度見ても新しい発見があり、より深い「ガンダムの世界」に出会えるだろう。

 繰り返しになるが、現在公開されている劇場アニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」は、視聴後「機動戦士ガンダム」を観たくなる気持ちにさせてくれる作品となっている。「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」、そして「機動戦士ガンダム」。ぜひ合わせて愉しんでもらいたい。

【【ネタバレ注意】『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)-Beginning-』Promotion Reel】
先日公開されたPV、設定で「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」にはシャアの登場がアナウンスされている。どういうことなのか、ぜひ劇場で確認してほしい