【特別企画】

「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~」本日で8周年! 2名のイラストレーターを同時起用した意欲作

【ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~】

2015年11月19日 発売

※画像は本作の公式サイトより引用

 コーエーテクモゲームスのガストブランドが2015年11月19日にリリースしたプレイステーション 4/プレイステーション 3/PlayStation Vita用錬金術再生RPG「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~」(以下、「ソフィーのアトリエ」)は、本日で8周年を迎えた。

 本作は、後に「フィリスのアトリエ」、「リディー&スールのアトリエ」と、3作にわたって同じ世界観で続いていく「不思議」シリーズの1作目だ。「アトリエ」初となるマルチプラットフォームの展開で、キャラクターデザインに人気イラストレーターのNOCO先生とゆーげん先生の2名を同時起用した意欲作でもある。

 本稿では、そんな「ソフィーのアトリエ」について、筆者の思い出を少しばかり交えながらゲームを語っていきたい。

【11/19発売予定!【ソフィーのアトリエ】プロモーションムービー】

時間制限の撤廃と新しい世界観が大きな購入動機に

 筆者が初めて購入した「アトリエ」シリーズはプレイステーション 4の「ソフィーのアトリエ」だった。発売した年は社会に出てから既に1度の挫折を経験しており、新たな職場で感じる日々のストレスから、何か“癒し”のようなものを渇望していたのだと記憶している。当時手に取っていたゲームといえば、銃弾の飛び交う対戦系FPSやゴア表現の強いアクションゲームばかりだ。

 憎らしい上司を敵と重ねてぶっ倒す。これは多少なりとも日常的なストレス解消にはなっていたと思う。しかし、遊ぶタイトルを変えても、同じようなゲームジャンルばかりで新鮮味には欠けている。ジャンルからガラリと変えていく必要性を自分の中で感じ取っていた。

 そんなとき、手始めに触れたタイトルにすっかり夢中になった。それは美少女が活躍するガストブランド初のアクションRPG「よるのないくに」である。四々九先生の描く妖艶な美少女キャラ、ダークで陰鬱とした夜の世界、魅力的な音楽の数々。美少女キャラがもたらすヒーリング効果のような癒しの力を、ゲームという媒体で確かに味わい、魅了された。

【よるのないくに】

 そして、このゲームが発売されてから約1カ月後に発売されたのが「ソフィーのアトリエ」であった。「アトリエ」シリーズの存在は認知していたが、制限時間があると耳にしており、プレイするには気が重いと考えていたのだ。制限時間というのは、「アトリエ」シリーズでお馴染みの要素であり、定められた期日以内に課題を提出したり、特定の条件を達成したりしなければ、バッドエンディングを迎えてしまうというもの。つまり、刻一刻と迫るカレンダーのタイムリミットの中で、素材集めに奔走し、アイテムの錬金、依頼の達成、ダンジョン最奥のボスを倒すなど、プレイヤーの行動選択ひとつひとつに重みがある。これは周回プレイを前提にした工夫でもあるし、効率よくプレイするという面白さもあるが、当時の筆者にはその余力も気力もなかったワケである。

 それでも、NOCO先生の描くソフィーとゆーげん先生のプラフタが、購買意欲を大いに刺激したのを覚えている。

 そこで気になり調べてみると、「ソフィーのアトリエ」では、懸念していた時間制限要素がなくなっているという。また、新しい世界観で描かれる「アトリエ」シリーズというのも、自分の中では作品を手に取るポイントに貢献したろう。厳密には「ソフィーのアトリエ」以前に発売された、「シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~」から、時間制限の要素は撤廃されたのだが、それを知ったのは随分後になる。

 時間制限要素がないということは、一般的なRPGと同様に、キャラクターを育成しながらメインストーリーを追い、定められたエンディングというゴールを目指す。これなら周回プレイをせずとも、1回のプレイで濃密なゲーム体験ができる...と期待して、今作を発売日に購入するに至った。

まるで子を身守る親(?)メキメキと成長していくソフィーの姿を楽しむ

 「ソフィーのアトリエ」が、今後筆者の遊ぶゲームの傾向を決定的に変えたのは間違いない。それほどまでに師弟関係、あるいは家族のようなソフィーとプラフタの錬金術ライフは尊いものだった。今作をキッカケとして、美少女キャラが登場するRPG作品を好んで遊ぶようになったほどだ。

 今作は、キルへン・ベルの街はずれで1人アトリエを営むソフィーが、祖母の遺した古い本にレシピを書き込んだことから物語が始まる。その不思議な古い本ことプラフタは、自らの意思を持ち、言葉を発することさえできた。これがソフィーとプラフタとの出会いになる。

 ゲーム開始の時点では、プラフタはまだキービジュアルのような美少女ドールではなく、その手に持つ“不思議な本”でしかない。レシピを書き込まれるたびに失っていた記憶を取り戻すプラフタと、確実に錬金術師の才能を開花させていくソフィー。やがて「プラフタの記憶を取り戻す」手伝いから、「プラフタを人の姿に戻す」という新たな目標が生まれ、ソフィーは街の人々の協力を得ながら仲間たちと共に各地を奔走する。

ソフィーとプラフタの出会いのワンシーン
失敗続きの未熟な錬金術師だったソフィーには、教えを乞う師と呼べる者がいなかった。プラフタのサポートもあって、着実に実力を伸ばしていく

 RPG作品の多くは主人公に冒険目的が当初から設定されている、あるいは比較的序盤から目的ができるケースがほとんどだろう。だが、「ソフィーのアトリエ」では、プラフタとの関わり合いが密接になっていくたび、ソフィーの目的が更新されていくのも新鮮だった。記憶を取り戻す手伝いからプラフタの身体をドールとして再現する、さらにプラフタの中で封じられている記憶を追い求め、そこで待ち受ける過去の因縁と共に向き合っていくのだ。

 未熟で健気な少女も、自ら危険に満ちた場所へと足を踏み入れる、立派な錬金術師に成長を遂げる。さながら子どもの成長を見守る親のような視点で、当時はソフィーの姿を眺めていたと思う。それは作中のプラフタでさえも、同じような心持ちだったかもしれない。

本に宿るプラフタの魂を人形に移し替えるというソフィーのアイディアを実現すべく、人形師のフリッツに素体を制作してもらう
仲間たちの心強い助力もあり、プラフタの身体は完成する
プラフタの記憶を全て取り戻したとき、今作の物語の歯車は再び大きく動きだす

素材をパズル感覚で埋めていく錬金術の奥深さと改造されるプラフタ

 「アトリエ」シリーズと言えば、さまざまな素材を錬金釜に投じて、あらゆる特性のアイテムを生み出す“錬金術”の要素は欠かせない。クエストで街の住人から特定条件を満たすアイテムの納品を依頼されたり、強敵に挑むための装備を作り出したりと、活躍の幅はかなり大きい。ゲームを遊び始めた当初は「難しそう」と、そのイメージだけが先行していて、システムの浅い理解度ゆえに、グレードの高いアイテムを中々作ることができなかった。しかし、今作の錬金術のシステムはパズルライクな感覚で、その自由度を理解できるととても手に馴染みやすく奥深いのだ。

 簡単に紹介すると、錬金釜のパネルの色に適した素材のブロックをたくさん置けば、それだけ完成度の高いアイテムを生み出せるというもの。さらに高品質の素材を用いて強力な特性を複数付与できるため、なるべく魅力的な特性を多く備えたアイテムが作れるよう工夫が求められてくる。素材のブロックの選定、配置箇所、配置順の試行錯誤が何度も自分の手で行われるのは、まるで正解のないパズルゲームを遊んでいるようでもあるだろう。作中における錬金術の奥深さを、ゲームらしい遊びとして上手く仕組みにしたと、今さらながらに感心してしまう。

 面白いのはこの錬金術要素が、プラフタの直接的な強化にも結びついている点だ。ドールのボディにどの素材、どの錬金アイテムを組み込んだかでプラフタの能力と姿が変化する「ドールメイク」と呼ばれるシステムが備わっている。

 人形(ドール)の身体を持つプラフタならではの要素だが、戦闘面では変化したボディの性能ごとにそれぞれ異なる強みを発揮できるため、パーティ編成の自由度が増す。筆者はRPG作品を遊ぶと、概ねロールプレイ無用な攻撃特化型のパーティにしてしまいがちなので、ドールメイクによって戦闘スタイルに幅が出やすいプラフタは、主戦力の1人になっていた。恐らく今作をプレイした多くのユーザーが、プラフタを色々な姿に改造しまくって遊んでいたことだろう。

 「アトリエ」シリーズは、錬金術で強力な戦闘アイテムを作れることから、基本的に編成の穴を埋めやすく、パーティの自由度が高いゲームだ。ほとんどのタイトルで戦闘アイテムが腐ることは少なく、それがゲームの醍醐味でもある。もちろん、RPGの基本的な攻略方法の1つ、レベリング主体のプレイでもクリアまでは到達しやすい作風なのではないかと思える。

 しかしながら、多くのタイトルが時間制限だったり、マルチエンディングだったりを採用しており、それらを全て回収するとなると、やはり周回プレイは大前提だ。今作はエンディング分岐が存在しないので、クリア後はクリア後の時間軸で再びゲームプレイを継続できる。さらなる強敵と、それに挑戦するための錬金術の追求。クリア後もたっぷり時間を掛けて、ソフィーとプラフタの冒険を楽しむことができた。

「アトリエ」シリーズにとって大きな意味を持つ作品であり続けてほしい

 「ソフィーのアトリエ」は、2022年2月24日に「アトリエ」シリーズ25周年記念作品として、続編「ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~」(以下、「ソフィーのアトリエ2」)がリリースされている。元来「アトリエ」シリーズでは、同じ世界観の後継作が登場するたびに前作主人公は成長を遂げ、新たな主役へとバトンタッチしていくのが特徴的だった。その流れ自体は基本的に「ソフィーのアトリエ」の後継作でも同様だ。

 しかし、この「ソフィーのアトリエ2」は、同じ「不思議」シリーズで連なっている「フィリスのアトリエ」、「リディー&スールのアトリエ」とも異なり、再びソフィーが主人公を務めている直接的な続編である。これは主役を交代せずにナンバリングタイトルとしてシリーズが続く「ライザのアトリエ」にも構造としては近い。だが、4作目の登場については、“ソフィー・ノイエンミュラー”と“プラフタ”という、2人のヒロインにあやかっての続編タイトルだと言える。

 従来通り3部にわたって、ソフィーの生きる世界観を紡いできた「不思議」シリーズ。その伝統は守りつつも、ソフィーが全く新しい冒険に繰り出す続編は、ソフィー推しのプレイヤーならば、是が非でも遊んでおきたい1作品だ。

 「ライザのアトリエ」から「アトリエ」シリーズに触れた方も、今でなら「不思議」シリーズ3作品をまとめた「アトリエ ~不思議の錬金術士 トリロジー~ DX」で一挙に遊べてしまう時代。筆者も今一度、ソフィーとプラフタの尊き日常に想いを馳せて、「不思議」シリーズの魅力を再発見していきたい。願わくば、「ソフィーのアトリエ」がこれからも「アトリエ」シリーズにとって大きな意味を持つ作品であり続けてほしいものである。

【『アトリエ ~不思議の錬金術士 トリロジー~ DX』プロモーションビデオ】