レビュー
「ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~」レビュー
今作も魅力的なキャラクターが集結!採取・調合システムはより遊びやすく、やり込み要素も進化
2022年2月10日 00:00
- 【ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~】
- ジャンル:錬金術再生RPG
- 開発・発売元:コーエーテクモゲームス
- プラットフォーム:プレイステーション 4、Nintendo Switch、PC(Steam)
- 発売日:2022年2月24日 発売予定
- (Steam版は2022年2月25日発売予定)
- 価格:
- 【通常版/DL版】8,580円(税込)
- 【プレミアムボックス】11,935円(税込)
- 【スペシャルコレクションボックス】23,100円(税込)
- 【Digital Deluxe版】9,900円(税込)
- 【Digital Deluxe with Season Pass 版】14,740円(税込)
- ※スペシャルコレクションボックスはガストショップ、GAMECITY、Amazon.co.jp、ソフマップ限定販売
- ※Digital Deluxe版、Digital Deluxe with Season Pass版はダウンロード版のみでの販売
コーエーテクモゲームスのガストブランドは2022年2月24日、「アトリエ」シリーズ25周年を記念するタイトル第1弾「ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~」をリリースする。筆者としては、1997年に発売されたシリーズ1作目「マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~」からのお付き合いとなる作品ということもあって、感慨もひとしお。今回は、一足先に本作のプレイステーション 4版をプレイすることができたので、そのレビューをお届けしよう。
その前に、まずは「アトリエ」シリーズ1作目の「マリーのアトリエ」についてちょっとおさらいを。「マリーのアトリエ」は、一人前の錬金術士になることを目指し、アカデミーへと通い始めたマルローネ(マリー)だが、その成績は開校以来最低最悪。このままでは卒業できないと考えた先生は、彼女に課題を与える。曰く「5年間、錬金術士としてアトリエを維持しつつ、期限内に高レベルのアイテムを作りなさい」と。かくして、落ちこぼれ錬金術士マリーの奮闘が始まる……。
こうして、1997年5月23日にプレイステーション用ソフトとして発売された「マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~」は、ファンタジー世界を舞台としていたにもかかわらず、それまでの定番だった“世界を救う”ことや“巨悪を倒す”という展開ではなく、主人公の錬金術士マリーを5年間でアカデミーから卒業させることが目標であったため、さまざまな面で話題を呼ぶこととなった。もちろん敵と戦ったりすることはあるものの、基本はアトリエでの調合をメインとして進んでいくという、それまでにはあまり見られなかったプレイスタイルと、ここで生まれた調合システムは、作品を重ねるごとに洗練されていき、そして世界観も数作ごとに変化を重ねることとなる。
そして1作目の発売から25年、その記念作品となったのが、今回登場するシリーズ最新作「ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~」だ。
タイトルに“2”とあるように、前作となる「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~」の続編であるため、そちらをプレイしていないとわからないのでは? と思うかもしれない。しかし、その心配はご無用。タイトル画面から“Previous Story”を選択することで、「ソフィーのアトリエ」のダイジェストをナレーション付きで振り返ることができるのだ。もちろんネタバレも含まれているので、見るか見ないかはプレーヤー次第だ。そんな今作は、以下のようなプロローグから始まる。
故郷キルヘン・ベルを離れ、さまざまな場所を旅していたソフィーと相棒のプラフタ(人形)。二人はある時、プラフタ(人形)が夢の中で見たというものとそっくりな大樹を発見する。詳しく調べてみようと近づくが、その時突如として現れた謎の渦に吸い込まれてしまい、二人は離ればなれになってしまう。
ソフィーが目を覚ますと、そこは元いた場所ではなく、夢幻世界“エルデ=ヴィーゲ”と呼ばれるところ。自分とは別の場所に飛ばされたと思われるプラフタ(人形)を探すべく情報を集めると、なぜか町はずれのアトリエに「プラフタ」という名前の錬金術士がいるとの話が飛び込んでくる。はやる気持ちを抑えて足を運ぶと、ソフィーの目に飛び込んできたのはプラフタ(人形)と同じ名前の、しかし彼女が見たこともない少女だった……。
採取方法は、より楽に、そしてより奥深く
本作は「ソフィーのアトリエ」の続編と紹介したが、前作発売から6年以上が経過しているということもあり、見た目が進化したのはもちろん、さまざまな面でもパワーアップが図られている。基本的には、2020年に発売された「ライザのアトリエ2」のエンジンを使用しているので、「ソフィーのアトリエ」からご無沙汰していた人にとっては、何もかもが新鮮に映るかもしれない。
ゲーム序盤はチュートリアルを兼ねた展開となっているので、操作方法などで迷うことはないだろう。町の中を移動しつつ採取に向かい、そこで敵との戦闘をこなし、戻ってきて調合を行なうという流れで手取り足取り教えてくれるほか、一度登場したチュートリアルはいつでもヘルプから見返すことができる親切な仕様となっているので、シリーズを始めてプレイするという人でも安心だ。
まずは調合に欠かせない素材集めだが、フィールドでの採取や戦闘、お店での購入などで集められる。しかし、メインとなるのはもちろんフィールドでの採取だ。採取方法も非常にシンプルで、光っている素材に接近して吹き出しが表示されたら、その状態で□ボタンを押すだけ。最初は杖か素手での採取だが、ゲームが進むと草刈り鎌で切ったり虫取り網で捕獲するといった方法も増えるほか、釣り竿を用いて魚などを釣るというアクションも行なえるようになっていく。
前作よりも採取方法のバリエーションが増えたので、これまで以上に素材集めに費やす時間が楽しくなっていた。しかも、同じ素材でも採取の熟練度を示す採取ランクが上昇すると、異なる素材を採取できるようになるといった仕組みも用意されている。これによって、ランクが上がるごとに近場のフィールドから巡り直してしまうことも。新たな素材が集められるため、同じ場所を何度探索しても飽きが来ないのだ。
登場する素材も多く、採取する場所によって同一素材でも品質が変わってくることもある。そうなると“あの素材、どこで採取したっけ?”ということもしばしば。そんな時は、△ボタンを押して表示されるメニューの「図鑑」にある「アイテム」の“素材”を選べば、細かな情報と共に採取した場所の一覧も表示してくれる。このような、ちょっとした機能が遊びやすさをアップさせているといえるだろう。逆に、これがなかったら苦労の度合は大幅に増えていたはず。こういったユーザー目線な仕様が、止め時を失わせているに違いない(笑)。
フィールドには“転晶石”と呼ばれる、巨大な水晶状のオブジェクトがいくつか配置されている。そこに辿り着くことができれば、ワールドマップからエリアアイコンを選んだ後に表示されるミニマップから転晶石を選ぶことができるようになり、その付近から探索を始められるようになる。
本作に導入された新要素の一つに、天候操作が挙げられる。すべての探索フィールドには必ず晴れ・雨・雷・雪のうちいずれかの天候が設定されていて、場所によっては設定された天候のままでは先に進めなくなることもある。この場合、天候を操作できる装置を見つけ、そこで天候操作アイテムを使用することで、新たな道を見つけられる。例えば、雨が降っているフィールドで目の前に川があり先に進めない時に、晴れるアイテムを使うと水が干上がって通れるようになったり、反対に雨の天候に変えて一面を水で満たし、そこに浮いた足場を利用して先に進むという具合だ。
一部の戦闘でも天候操作が可能で、魔物が得意な天候を変えることで、戦闘を有利に進めることができる。天候の変化で地形が変われば集めることができる素材も変わってくるので、同一フィールドでも天候ごとに素材収集のワクワク感が増したと言えるだろう。
戦闘シーンへシームレスに移行するようになったことで、プレイテンポがアップ
本作では、画面右下に表示されているミニマップ上で赤い点で表示されている敵に杖を振って当てるか、または接触すると戦闘へと突入する、最近のシリーズではお馴染みのシンボルエンカウント方式を採用している。
接敵すると、従来作では画面が切り替わって戦闘シーンへと突入したのだが、今作ではエンカウントした地形や魔物がそのままに、シームレスに戦闘シーンへ移行するようになった。これにより、プレイ時の快適さが大幅にアップしただけでなく、ゲーム全体のテンポの良さも保たれる。
気になる戦闘システムは、コマンド入力式のターン制バトル。リアルタイム制ではないため、落ち着いてコマンドを選べるのがありがたいところだ。パーティメンバーは6人までで組むことができ、そのうちの前衛3人までをアサルトチーム、後衛3人までがバックアップチームとして設定される。戦闘開始時には、アサルトチームが戦場に立つことになるのだ。
敵に杖を当てて戦闘シーンへ突入した場合、あらかじめテクニカルポイント(TP)を1得た状態でバトルスタートとなる。TPは、バックアップチームとの連続行動ができるツインアクション、またはサポートガード時にそれぞれ消費する。
そのうち、もっともお世話になるのがツインアクションだ。TPがある時にL1を押すことで、アサルトチームの1人とバックアップチームの1人が入れ替わりながら行動ができる。回復と攻撃を分けられるほか、両方攻撃を選べば1ターンで2回のダメージを与えることも可能。しかも、スキル使用時にMPの消費量が10減少するため、選んだスキルによってはMP消費ゼロで発動させることもできてしまうのだ。TPは、敵を倒したりすると増えるので、これを利用すれば効率よく勝利を収めることができるだろう。
ちなみに、フィールドの魔物は近づかなければ襲われることがないので、用心深く移動すれば戦闘をほぼ行なうことなくあちこちに移動することが可能だ。もっとも、それではパーティのレベルが上がらないため、時々発生する強制イベントでの戦闘時に勝つことができず、結局は苦労するハメになるのだが……。
飛躍的に自由度が高いパネル調合によって、完成アイテムにプレーヤーごとの個性を出しやすくなった
「アトリエ」シリーズのメインとも言える調合だが、本作で採用されているのは「ソフィーのアトリエ」でも使われた“パネル調合”だ。用意された調合パネルに、いろいろな形をした錬金成分を当てはめていくというもので、見た目に分かりやすいのがポイントといえる。
錬金成分として用意されている属性は、火・氷・雷・風・光の5種類。調合するアイテムによってはパネル上に特定の属性が最初から設定されていることもあり、その場所に同一属性の錬金成分を配置することで発揮できる効果のレベルアップが可能だ。さらに、パネル上の縦または横のマスがすべてうまっている数が多いほど大成功確率がアップしていくといった仕組みになっている。
錬金成分の形も、1マスや2マスのものだけでなくL字や凸型、縦に3つなどバリエーションが豊富なだけでなく、調合アイテムが必要とする属性を配置する必要があるため、落ちモノパズルゲームをプレイしている感覚ではめ込んでいけるのだ。どの項目を優先するかによって配置場所は変わってくるので、プレイしながら自分に合った調合スタイルを見つける楽しさが増えたのは間違いない。
プレーヤーがいちいち考えずとも、自動で錬金成分を配置してくれる“おまかせ材料投入”も用意されている。しかし“前回調合時よりも、より品質を高くしよう”などと考え始めると、結局は手動ではめ込んでいくことに。とはいえ、錬金成分が多くない時には便利に使える。
今回のプレイで、もっとも時間を割いたのが調合シーンだったのだが、その理由は“同じ材料でも品質が良い素材をゲットできると、それを使用して既に調合済みアイテムの品質をより高めるべく何度も錬金釜に向かってしまう”ため。満足いく結果が出ると先に進むのだが、そこでまた品質の良い素材を見つけてしまうと再び調合にチャレンジ……ということを繰り返してしまい、あっという間に沼ってしまった。きっと、制作陣としては“してやったり”なのだろう(笑)。
なお、本作ではソフィーだけでなくプラフタも調合を行なうことが可能となっている。レシピの中にはソフィー専用・プラフタ専用のものもあるため、作りたいアイテムによっては調合を交代する必要があるのだ。調合メニューを選んだ後はキャラチェンジできないかと思っていたところ、実はL2R2ボタンで調合キャラクターを変更できる親切設計になっていたということを知って感心。今作は、かゆいところにも気が配られていることを感じさせられた。
調合で必要となるレシピは最初からある程度は知っているのだが、増やしていくには“レシピ発想”をする必要がある。これは、ソフィーが冒険中に行なうあらゆる行動がトリガーとなり、発想条件を満たすと新たなレシピを思いつくというもの。どのようなアクションを起こせば良いかはメニューの「レシピ発想」内に書かれているので、困ることは一切なかった。
依頼を有効活用すれば、不要な素材の処分とお金儲けができて一石二鳥
シリーズ1作目「マリーのアトリエ」からお馴染みともいえる依頼は、最新作「ソフィーのアトリエ2」でも健在だ。水晶の輝き亭でカティが提示する依頼一覧から引き受けたい項目を選び、対象となる敵を倒したりアイテムを調達すれば依頼クリアとなり、報酬と名声が得られる。何度も依頼を受けて名声が一定値を超えると昇格依頼が受注できるようになり、クリアすれば冒険者グレードが上昇、より高難易度な依頼を受けられるようになる仕組み。
ありがちな話としては、依頼を引き受けても次回プレイまでに時間が空いてしまい、依頼対象物がどこにあるのか忘れてしまう、あるいは依頼自体を失念するということがあった。しかし、今作ではそのような心配は一切不要。調合時に、依頼を受けた調合アイテムの頭には依頼マークが表示されるほか、ワールドマップではエリアに、フィールドに出れば倒すべき敵に依頼マークが表示されるので、これならば忘れようがない。こういう親切な仕様が増えるほどに遊びやすくなり、結果として止め時を見失い延々とプレイしてしまうのだった……。
できることが指数関数的に増えていくので、本人のプレイスタイルに合わせて好きなように遊べ、非常に満足度高し
ゲームを始めて30分もすれば、あちこちで採取ができるし調合もそれなりの種類が試せるため、ストーリーそっちのけで楽しんでしまう、いつものお約束状態に陥ってしまった(笑)。戦闘がシームレスになったこととツインアクションのおかげでテンポが非常に良く、これまで以上にバトルが楽しく感じられたことも大きい。1回の戦闘にかかる時間も短くなったため、敵を倒しての素材集めが苦ではなくなったのも特筆すべきポイントだろう。
調合についても、シンプルなのに奥が深い前作譲りのパネル調合のおかげで、同一アイテムを同じ材料で調合したとしても違う結果となるため、何度繰り返しても飽きないどころか「今回はこうだったから、次は同じ材料で違う錬金成分持ちに交換してやってみるか」と、自分が満足するまで延々と繰り返し試せる。そんな調合アイテムが大量にあるのだから、時間がいくらあっても足りないのは自明の理だ。
「ライザのアトリエ2」で、キャラクターに魅了されて本シリーズを始めた人も多いかもしれないが、そもそも「アトリエ」作品はコアとなる調合部分が非常に面白く、そしてハマるようにできている。プレイすれば間違いなく夢中になれる作品なので、ぜひ大勢の人に体験してほしい1本だ。
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