【特別企画】
極限にシンプルで奥深い! スクエニ新作ダンジョン探索RPG「ダンジョンエンカウンターズ」先行プレイレポート
ムービー・ストーリー・その他諸々全部なし
2021年10月1日 19:30
- 【ダンジョンエンカウンターズ】
- 10月14日 発売予定
- 価格:3,520円(税込)
昨今のゲーム作品と言えば、ハイクオリティのグラフィックスであったり、各コンソール機の特徴やマシンパワーを存分に発揮した作品などが注目されがちだが、そんな時代の流れに真っ向から抗っていく作品がこの秋に登場する。それが、スクウェア・エニックスが10月14日に発売を予定しているプレイステーション 4/Nintendo Switch/PC(Steam)用ダンジョン探索RPG「ダンジョンエンカウンターズ」だ。
本作は、従来のダンジョン探索RPGと同じように、キャラクターを操作してモンスターと戦いながらダンジョンの奥へと進みステージを踏破していくゲームなのだが、他作品では考えられないほどゲーム全体がシンプルに仕上がっている。少し補足すると「普通では考えられないほど無駄な要素を削ぎ落しまくって極限までシンプルさを追求している作品」となっているのだ。“ダンジョンRPGを楽しむ”という1点のみに注力し、そこに必要のない要素は全て排除されていると言っていいだろう。
本稿では、そんなダンジョン探索RPG「ダンジョンエンカウンターズ」の先行プレイレポートをお届けする。
イベントも武器屋も敵エネミーも何もかも全部が数字! あまりにもシンプル過ぎる見た目のダンジョンMAPがプレーヤーを待ち受ける
「ダンジョンエンカウンターズ」は、プレーヤーがすごろくゲームのマス目のようなMAPのダンジョンをモンスターとバトルしながら進んでいき、最奥のゴールを目指すゲームとなっている。モンスターとのバトルには「FINAL FANTASY」シリーズではおなじみの「アクティブ・タイム・バトル(ATB)」が採用されており、コマンドバトルながらリアルタイムでの攻防を楽しむことができる。仲間のキャラクターも数多く登場し、自由に武器やメンバーをカスタマイズすることができ、ダンジョンの状況に合わせた戦略にパーティーをビルドをする楽しさを味わえる。
さて、ここまでだと普通のダンジョンRPGっぽく見えるが、ここからは他作品とは一線を画す本作の恐ろしいまでのシンプルさについて紹介していこう。
まず、何と言っても普通のダンジョンRPGで発生するイベントやアクション、存在している様々な要素が全て数字で表現されている点だ。例えば武器屋であれば「14」と書かれたマスの上に行くことで特に会話やイベントがあるわけではなく、ましてや武器屋っぽい建物が描写される等もなく、ただ単に買い物だけが行なえる。他にも次の階層に進むのなら「01」のマス、パーティーメンバーを入れ替えるのなら「00」のマス、アビリティを入れ替えるなら「03」のマスと言ったように、ほぼ全ての要素やアクションがマス目の上に掛かれた数字で表現されているのだ。そして、敵との戦闘もランダムエンカウントやシンボルエンカウントなどではなく、黒い数字が書かれたマスの上に行くと発生するため、MAPの全てがマス目と数字だけで構成されているという驚くべき光景となっている。
そして、シンプルなのはMAPの表現だけではない。今回はバトルにおいてもシンプルかつスピーディーな仕様となっている。敵味方問わず、キャラクターはHPのほかに「防」、「魔防」という数値があり、それぞれ物理攻撃で「防」を、魔法攻撃で「魔防」を削り切リることでHPへの攻撃が可能となる。また、相手への攻撃ダメージは各キャラクター毎のステータスを参照するのではなく、キャラクターが装備している武器によって算出される。しかも武器には「ダメージ値固定」か「ダメージ値ランダム」の2種類しか存在していない。つまりゲームでは当たり前となっている「キャラクターのステータス+武器の攻撃力-敵の防御力×補正が~~~……etc」と言ったような計算が行なわれるのではなく、「この武器は60ダメージで相手の防は30だから1発で削り切れる!」といったようなシンプルなダメージ計算がバトルのメインとなるのだ。
また、プレーヤー側のキャラクターの「防」と「魔防」は装備している防具の数値がそのまま反映されるため、本作のバトルにおいては装備のステータスがそのままキャラクターの強さに直結することになる。ただし、装備品にはそれぞれ装備ポイントというステータスが定められており、各キャラクターが持つ装備ポイントをオーバーするように武器や防具を装備することはできない。もちろん強い装備には多くの装備ポイントが必要になるため、キャラクターのLVを上げて装備コストの上限を上げることが重要となってくるのだ。
本作はこのシンプルさに加えて、ストーリーらしきストーリーが殆ど存在しないのも特徴の1つだ。パーティーに加えられる仲間のキャラクターは多数存在するが、そのキャラクター毎の会話やイベント等があるわけではない。ダンジョンの道中で何かストーリーが展開されるということもないので、基本的にはひたすら最下層を目指して探索することにのみ特化したゲームとなっている。
このように無駄なオブジェクトや要素を全て排除したMAPを、極限にシンプルでわかりやすいバトルシステムでモンスターと戦いながら進んでいく。まさに“ダンジョンRPG”としての面白さのみを追求して無駄を削ぎ落しているのが本作の特徴となっている。
探索し攻略し踏破する。ダンジョンRPGで味わえる要素はたっぷりなので実はやり応えは凄まじく面白い!
本作の凄いところは、ここまでシンプルなのにダンジョンRPGとしての面白さ、やり応えに関しては何ひとつ妥協していない部分だ。本作のダンジョンには、アビリティや珍しいレアアイテムをゲットできる場所、謎解き要素も兼ねた地図の存在、出現率の低い敵との遭遇など、ダンジョンを歩き回り踏破することで得られる発見や面白さが随所に用意されている。
また、全てのイベントが数字で判別できるので敵との戦闘マスをあえて迂回することで回避して移動することができたり、さらにアビリティの一部には階層やマスをジャンプすると言った特殊な移動が行なえるものまで存在する。ダンジョン探索RPGとしてのアクションが非常に多いため、探索方法にもプレーヤーの手腕が問われるのだ。
戦闘システムに関してもただただシンプルというわけではない。装備によって戦況が大きく変動してしまうのはもちろんだが、攻撃を反射したり回避するなどの特殊な状態になる敵、数値は低いが直接HPにダメージを与えられる攻撃や様々な状態異常を駆使した戦略など、様々な要素が欠け合わさってバトルに深みを持たせている。考えなしに攻撃しているだけだとあっという間に全滅してしまうので、その場その場に合わせた装備・攻撃方法の選択、パーティーメンバーのビルドと戦略次第でダンジョンの攻略難度は大幅に変化する。
加えて、武器による「ダメージ値固定」と「ダメージ値ランダム」はどちらかが秀でて優れているというわけではない。「ダメージ値固定」の武器であれば、相手の防御やHPを完全に計算して計画通りに進められるが、強い武器は高額であったり、逆に安い武器だとダメージ数値が低かったりする。一方で、「ダメージ値ランダム」の武器によるダメージは運任せになるので、値段の割に高火力のダメージを出せる時もある。ただ、下振れた際のリカバリーが難しいなど一長一短なのだ。
さらには飛んでいる敵にも「防」を削れる「弓」武器であったり、ダメージがない代わりに敵に状態異常を発生させる武器があったりなど、キャラクター1人に2つまでしか武器を装備できないのに非常に選択肢が多い。シンプルそうに見えてプレーヤーが選べる択は無限に存在するので、非常にやり応えのあるバトルとなっている。
そして本作は所謂「死にゲー」としての面も強く持っているのではないかと考えている。ダンジョンを探索することである程度は敵の情報を得ることができるのだが、階層を進んだ際の敵がどれほど強くなっているのか、今の自分たちのパーティーで打ち勝てるかどうかは未知数なのだ。敵のステータスや装備の相性次第では全滅してしまう何てことは割と日常茶飯事。万が一全滅してしまった場合はその時連れて行っていなかった別のメンバーを4人選出して再びダンジョンをやり直すことになる。
全滅してしまったメンバーは、その全滅した場所のマスに再び行かない限り復活させることができない。味方を復活させるために死に物狂いでダンジョンを進むことになるのだが、そうやって何度もリトライしながらパーティーを強化し、敵の攻略方法を体に沁み込ませて先に進んでいく感じがとても「死にゲー」っぽいのだ。
ただ、ゲームが進むと途中階層まではワープできるようになるので常に最初からというわけではない。何度もリトライして攻略方法を最適化させて戦略を練ることが好きなプレーヤーには堪らない難易度だろう。
こんなにシンプルなのに、いやこんなにシンプルだからこそ面白い! 今までにないゲーム体験が魅力!
本作は、クラシックゲームさながらのシンプルさを持ちながら、ダンジョンRPGの本質的な面白さのみを追求し、ゲーム要素の引き算を上手く活用できていると感じた。
プレイ中も長い会話イベントやダンジョンMAP以外の探索が挟まらない分ダンジョン攻略にのみ集中できる為、むしろ余計なムービーやシナリオがない分より本質的なゲーム体験としての面白さが際立っていると言ってもいい。正直最初は見た目がシンプル過ぎてゲームとして大丈夫なのかと心配したのだが、始めたら単純ながらも奥深いシステムを理解していくほどのめり込んでしまうとんでもない怪作だった。是非1度プレイしてみて辞め所を失うスルメのような面白さを実感してみて欲しい。
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CHARACTER DESIGN: Ryoma Ito