【特別企画】

森のそこら中にポケモンがいる!「ポケモンワンダー」を一足さきに体験

土だって掘る! 森に住むポケモンの“痕跡”を追う謎解きアドベンチャー

7月17日 オープン予定

 20年手つかずの森のなかに入り、ポケモンを探すネイチャーアドベンチャー「Pokemon WONDER(ポケモンワンダー)」が発表となった。

 既報のとおり、「ポケモンワンダー」はよみうりランドの奥にある森エリアを大胆に活用するアトラクション。概要は下記記事に詳しいが、本稿では「ポケモンワンダー」の発表会と体験会の様子をご紹介する。

汗をかき、ドロドロになるポケモン探索

 発表会では、ポケモン代表取締役社長の石原恒和氏と、「ポケモンワンダー」を手掛けたSIX INC.クリエイティブディレクターの本山敬一氏、そしてRIDDLER代表取締役の松丸亮吾氏が登壇した。

 石原氏は、「ポケモンワンダー」を「デジタルデバイスは一切使わないでポケモンを探す遊び。汗もかくし、手足はドロドロになる。自然をかきわけながら、自ら歩いてその魅力を感じられるものになる」と紹介。さらに「ポケモン」の原点が、原作者である田尻智氏の少年時代に熱中した虫取りにあることに触れると、「田尻さんが育った町田市は、ここから南西に10キロほどのところにある。その原点の体験に最も近いものを味わえるのが『ポケモンワンダー』と言えるのかも」と述べた。

ポケモン代表取締役社長の石原恒和氏

 本山氏と松丸氏からは、「ポケモンワンダー」制作の経緯や狙いについて発表があった。

 本山氏は、本アトラクションを通して「自然に飛び込むこと、あえて色々なものに触ってもらうこと」を味わってもらいたいとした。「現代の子どもはなかなか虫などに触れたがらないが、ポケモンの力を借りると自ら草むらに飛び込んでいく。自然で遊ぶ喜びを子どもたちに知ってもらいたい」と話した。

SIX INC.クリエイティブディレクターの本山敬一氏
ミノムッチを手に持って説明する本山氏

 謎解きクリエイターとしても知られる松丸氏は、「ポケモンワンダー」では「ポケモンを見つけるためのヒント制作」を主に担当している。「ポケモンワンダー」でとくにこだわっているのは、「自分で考えること」を重視し、謎解きらしい謎解きにはしていないことという。

RIDDLER代表取締役の松丸亮吾氏

 たとえば、手がかりのひとつには「紫色の痕跡が点々と続いているのを発見した。跡をたどってみたが、草むらの手前で途切れていた」というものがある。実際に周囲を探索してみると、草むらのとある箇所に「途中で途切れた紫色の足跡」を発見できる。

 ここで大切になるのは、「痕跡から想像すること」。このケースでは、そのさらに先にある草むらをかけわけることで、ナゾノクサを発見できる。子どもの「ポケモンに会いたい」という気持ちを大切にし、自然に溶け込ませるように謎とポケモンを仕込むことで、出題ありきの謎解きにはしていないのだとした。

 ポケモンと謎を作る上では、森の環境からその場にふさわしいポケモンを選んで考えることもあれば、謎から発想してポケモンを決めることもあった。ポケモンが自然に溶け込めていなければ、どんなに謎のアイデアが素晴らしくてもボツになったそうで、「ヒントをヒントと思わせないようなプロセスづくり」はとくに苦労したポイントだとした。

アトラクション入り口の看板
ピカチュウは裏側までよくできている。背伸びした感じと、足裏の土の汚れ具合がすばらしい
アトラクションの説明を受ける「リサーチャーロビー」
ロビー内には地図もある

土を掘る、穴に手を突っ込む。何でも試すことが探索のコツ!

 発表会後に実施された体験会では、実際に「ポケモンワンダー」のエリアに足を踏み入れてポケモン探索の一部を体験できた。

 「ポケモンワンダー」のエリアは想像以上に森のなかにある。安全面の考慮などから多少整備はされているものの、20年使用されてこなかった森の状態はほぼそのまま。よみうりランドの園内とは思えないほどに、一気に自然のなかに放り込まれた気分になる。

 アトラクション内はさらにいくつかのエリアにわかれていて、2つあるコースによって巡るエリアが変化する。参加者には地図とヒントとなる調査報告、そしてポケモン撮影用のカメラが渡される。

参加者に渡されるアイテムの一部
エリアへの入り口には霧がかかる演出が。演出には、霧の彫刻で知られる中谷芙二子氏のスタジオが参加しているという
【「Pokemon WONDER」デモ:霧のなかを歩く】
霧に入ると一度完全にホワイトアウトする。こちらは霧が晴れてきた状態。「ポケモンのいる世界に入った感じ」が説明なしに演出される
2つのコースどちらも最初に訪れることになる「ワンダーフィールド」。気になるモチーフがいくつもある。雨上がりで地面の状態が悪く降りることはできなかったが、ここでまず最初の探索ができるそう。見えている線路はジェットコースター「バンデット」のもの
竹林を進む道
「古代の石垣」と呼ばれる場所。周囲にはスピーカーも設定されており、フィールドレコーディングされた環境音にポケモンの声などが混ぜられている。スピーカーの鳥の音に実際の鳥が反応するなどして、フィクションとリアルの境界が溶けたような雰囲気を味わえる

 探索の特徴として大きいのは、「基本的に何でも触って試していい」ということ。発表会で松丸氏が例に出したナゾノクサもそうだが、ポケモンを発見するには自らアクションを起こさないといけない。

 痕跡はあくまでヒントなので、そこから先は草むらをかきわけたり、土を掘ったり、怪しい穴に手を突っ込んだりしないといけない。参加者には軍手も渡されて、むしろ「何でも試すこと推奨」となっている。

あることをすると目の前に現われるミノムッチ。ちなみに、ポケモンたちはできる限り自然のものを使って作られている。ミノムッチの体に貼っている葉は、実際に周囲から採取したもの
どんぐりが転がっている場所、よく探すとタネボーがいる

 自然が広がるエリアのなかには、休憩所のような場所や、誰かが残した研究室のような場所もある。そこにあるスイッチや箱なども、自由に触っていい。ポケモンを発見するために、どんどん手と体を動かしていく。そして実際にポケモンがいたときは……「あ! いた!」と大人でも思わず叫んでしまう。

 ポケモンの痕跡は目立つものもあれば、よく注目しないとわからないものまで様々だ。ヒントを頼りに根気よく目の前のものに注目することで、「ポケモンワンダー」はどこまでも奥深い体験となる。頭と体を目一杯使うポケモン探索を楽しみたいなら、ぜひおすすめしたいアトラクションだ。

エリアはどれも探索しがいのあるものばかり。怪しい場所をどんどん触って確かめていきたい
ほかにもトランセル、モクロー、キャタピーもいた。どこにいるか、どうやったら見つかるかはアトラクションに参加してのお楽しみだ