【特別企画】

フィル・スペンサーもボルトボーイで歓迎。Microsoft、Bethesdaを丸ごと傘下に

トッド・ハワードがついにXboxにジョイン。次世代機戦争は一層熾烈に

9月21日発表

 Microsoftは、Bethesda Softworksを傘下に持つZeniMax Mediaを買収する計画を明らかにした。買収金額は75億ドル(約7,850億円)で、2021年の会計年度中に完了する予定。

 米国を代表するヒットメーカーであるBethesda SoftworksがついにXbox Game Studiosの仲間入りを果たす。Bethesda Softworksは、「Fallout」、「The Elder Scrolls」の両シリーズを代表作に、「DOOM」、「Quake」、「Dishonored」など様々なフランチャイズを抱える。開発スタジオは「Fallout」や「The Elder Scrolls」シリーズを手がけるBethesda Game Studiosを筆頭に「DOOM」で有名なid Software、そして三上真司氏率いるTango Gameworksなど8スタジオに及ぶが、そのすべてがXboxの傘下入りを果たす。

 これによりBethesda Softworksのタイトルは、原則としてXboxプラットフォームのみでの展開となる。言い換えれば、同社のタイトルは、XboxもしくはPC、スマートデバイス(クラウド)でしか遊べなくなる。

 Microsoftはプラットフォーム戦争ではたびたび展開される“大手メーカーの囲い込み”を買収という形で実行に移したことになる。同社は個々の買収金額については明らかにしていないが、大成功した買収事例の1つである「Minecraft」のMojangが25億ドル(約2,617億)の3倍であり、かなり大型の買収となる。

 囲い込みという点ではMicrosoftは先日、Electronic ArtsのサブスクリプションEA PlayのXbox Game Passへの組み込みを発表したが、今回の発表はその比ではない。Xbox Game Studios傘下のゲームスタジオは15から23に増大し、「Fallout」、「The Elder Scrolls」の両シリーズを一手に引き受ける伝説的ゲームクリエイター トッド・ハワード氏の獲得に成功した。

【トッド・ハワード氏】
米国を代表するゲームクリエイター トッド・ハワード氏

 我々関係者の間では「将来的にこうなるのではないか」という予兆は以前からあった。トッド・ハワード氏は、「Fallout」や「The Elder Scrolls」の発表時に常にXboxを優先していたし、Microsoftも最恵国待遇で彼に長めの時間を提供し、明らかに両社は特別の関係性だったからだ。

 Xboxのトップを務めるフィル・スペンサー氏は、今回の発表に合わせて自身のTwitterのアイコンを「Fallout」シリーズでお馴染みのボルトボーイに変更し、最大級の歓迎の意を示すと、Bethesdaは「TODD HOWARD ON JOINING XBOX」というプレスリリースでこれに応え、来るべき明るい未来に向けて歓迎ムードで溢れている。

 気になる今後の展開については、今回の発表では、現在開発中の新規タイトル「Starfield」のようなBethesda Softworksの象徴的なフランチャイズをXbox Game Passに組み込むこと、としか明らかにしておらず、多くのゲームファンが気にしているであろう「PS5で『Fallout 5』や『The Elder Scrolls VI』が遊べなくなるのか?」という問いには答えていない。

 Microsoftは2016年にXbox Play Anywhereを開始してからはXboxとPCの両方にタイトルを提供するようになっているし、同社最強のフランチャイズである「Minecraft」は、2014年の買収前後から現在に到るまでマルチ/クロスプラットフォーム展開を崩しておらず、Bethesdaがどういう扱いになるかは現時点では断定できない。とはいえ、今のままでは、買収した意味がなく、最低でも一定期間はXbox/PC独占とするタイムエクスクルーシブは敷かれる見込みで、BethesdaタイトルをプレイするならXboxもしくはPCという流れになるのは間違いなさそうだ。