【特別企画】
単純ながら奥の深い部隊編制と運用が国盗りのカギ! 「三國志 新作(仮)」CBTレポート
2020年4月2日 18:04
- 【CBT】
- 3月26日~3月30日開催
コーエーテクモゲームスのAndroid/iOS用MMO戦略シミュレーション「三國志 新作(仮)」のクローズドβテストが3月26日から30日までの5日間に渡って開催された。SLG界でも屈指の人気シリーズだけに高い期待が寄せられる本作だが、はたしてその内容はどんなものだったのか? CBTを通じて判明したゲームの仕様などをお伝えする。
シリーズ35周年を飾るスマートフォン用のMMO戦略SLG
コーエーテクモゲームスの「三國志」と言えば同社が「光栄」の名で操業していたPCゲームの黎明期から続く定番のSLG大作だ。シリーズとしてのナンバータイトルはすでに「14」に到達している。モバイル向けとしては、Android・iOS用の「三國志 TOUCH」や、「100万人の三國志」といったタイトルも存在するが、前者はシングルプレーヤーを対象としたスタンドアロンな作品、後者はソーシャルゲーム、しかもジャンルとしてはRPGとくくられていた。
実は「三國志 新作(仮)」に先立ち、やはりMMOSLGの「新三國志」という作品が存在するのだが、こちらはHK HERO ENTERTAINMENTの作品で、コーエーテクモゲームスはあくまでも“監修”という立場。つまり、今回の「三國志 新作(仮)」は同社が手掛ける初のMMOSLGということになる。公式サイトには「シリーズ35周年の集大成」という文字が躍り、同社の意気込みのほどがうかがえる。
本作の大きな特徴として、「魏呉蜀という3つの勢力は存在しない」という点についてまず触れなければならないだろう。本作では、ひとり、あるいは複数のプレーヤーで「軍団」を結成することができ、基本的にはプレーヤーごと、あるいは軍団単位での行動が求められる。
広大なマップには、資源を採集するための伐採所や採鉱所といった施設のほか、砦や荘園、貿易港などの「拠点」があらかじめ存在する。各プレイヤーは資源を蓄え、都市の施設を拡充し、武将を育てて強い部隊を編制し、これらの拠点を奪い合うのだ。
各プレーヤーはそれぞれひとつの都市を持ち、ここから部隊をマップ内の各所へと派遣することになる。都市がマップ上のどこになるかは、最初にログインしたときにゲーム側のシステムによって決められるが、これはアイテムを使って「遷都」を行なうことで自由に、あるいはランダムで位置を変えることが可能だ。これについてはとても重要な要素なので、あとでまた触れたいと思う。
各施設のレベルを上げて国力を強化
広大な中国大陸の統一に向けて、都市を発展させ、有能な武将を集めて育て、強力な部隊を編制。他の都市=他のプレーヤーと戦いを繰り広げていく、というのが本作の流れだ。ただ、別に無理せず他者と戦わずとも、自分の都市を発展させ、手持ちの武将を組み合わせつつ、試行錯誤の末により強い部隊を作り上げてNPCを相手に戦うだけに徹する、といった箱庭ゲーム的な遊び方もできる。豊かさや強さは数字として明確に現われるので、MMOではあるとはいえ、中華統一には目もくれず、ひとりで黙々と都市を発展させるような遊び方もできる。
本作の基本的なシステムはスマートフォン向けの作品らしく、比較的シンプルだ。「内政」と「マップ」という2種類の画面があり、国力を向上させたり部隊を編制したりといった操作は「内政」画面で、マップ上の各所に部隊を派遣するなど外向けの行動は「マップ」画面で行なう。
「内政」画面でざっくり描かれているのは、都市の内部だ。資源を消費してここに描かれている「政庁」や「田畑」、「製材所」などといった施設のレベルを上げ、国力を強化していく。内政としては基本的には「資源をためて施設をレベルアップさせ、資源の生産量を高める」ことが主になる。
一方、「マップ」画面では文字通り、広大な中国大陸が描かれている。前述のようにマップ上にはあらかじめ君主、つまり各プレーヤーが所有する都市とは別に「拠点」が点在している。
「拠点」には資源の採集場所のほか、SSランクの洛陽を筆頭に、その規模によってSSからCまでのランクが設定された「主要都市」が存在する。成都などSランクの主要都市6つに洛陽を加えた7つをすべて占拠すれば、「中華統一」となる。
主要都市は「軍団」単位で所有でき、軍団同士の「攻城戦」に勝てば所有権を得られるが、その前提として、SSランクを占拠するにはSランクの、Sランクを占拠するにはその下のAランクの主要都市を占拠している必要がある。また、高ランクの都市を攻めるには軍団のレベルも高くなくてはならない。
主要都市以外にも砦や荘園といった拠点があり、これらは軍団ではなく、各プレーヤー単位で所有することができ、これらからは一定時間ごとに通貨をはじめとする「貢物」を徴収できる。通貨は武将の能力を上げるときなどに使う。つまりは主要都市は軍団として、それ以外の拠点は各プレーヤーとして所有していくわけだ。
戦闘に勝利するには「兵科」を理解せよ
拠点の占拠、あるいはマップ上に散在するNPCの「賊」討伐など、戦闘は内政の「人材」コマンドでガチャを引いて得た武将を組み合わせて部隊を編制し、その部隊単位で行なう。このときに重要な要素となるのが、「戦力」と、その部隊を率いる武将の「兵科」、それに、部隊に配置された武将がそれぞれに持つ「戦法」だ。
戦闘自体は攻撃目標を指定するだけで自動で行なわれ、複数の部隊にまとめて指令を出す仕組みもない、かなりシンプルな仕様となっている。部隊の戦力はどんなパラメーターを持った武将が配置されているかで決まり、これが基本的にその部隊の強さを表すわけだが、「兵科」による有利不利、「戦法」の効果は勝敗にかなり大きく影響する。
兵科には「弓兵」、「騎兵」、「歩兵」の3種があり、騎兵は弓兵に強く、歩兵は騎兵に強いと三すくみの関係にある。また、「戦法」は味方の攻撃力や防御力を上げたり、敵を弱体化させたりといったことが可能だ。そのため、より強い戦法を持った武将で部隊を組み、相手に対して有利な兵科の部隊をぶつけることで、格上の相手でも打ち破ることができる。
複雑すぎないシステムながらも楽しめる作り
CBTを遊んでみての感想に移ろう。
本作は大本の「三國志」シリーズが作を重ねて多くの要素を取り込んでいったのに対し、たとえば戦闘では地形の要素がないなど、各所でスマートフォン向けらしいシンプルな割り切りが見られるのがいい。「内政」も「マップ」も基本的に操作はシンプルで、あまり迷うことはない点は好感が持てた。
しかし、だからといってゲームとしての底が浅いかというと、それも違う。たとえば、戦闘と部隊編制については、部隊に配置する武将の兵科をなるべく統一することで、兵科の効果をより高めることが可能だ。ここで、各兵科の統一を優先するか、それとも、強力な「戦法」やパラメーターの高さを重視するか、という葛藤が生まれる。相手と戦うときにどの兵科の部隊をぶつけるかという運用も含め、さして複雑なシステムではないながら、なかなかに奧が深いものがあるのだ。
前述のように軍団は自分ひとりで構成することもできる。しかし少なくともCBTの段階では、軍団として経験値を稼ぎ、レベルを上げるのは自分で作ったひとりきりの軍団ではほぼ不可能だった。軍団同士で連合を組んでことにあたることもできないので、ゲームを遊ぶ目的を「中華統一」とするならば、大きな軍団に入るほうが有利だ。
CBT期間中はマップ上に点在する賊を討伐して加算されるポイントで順位を決める期間限定イベントが開催された。これはあくまでも各プレーヤー間で争われるもので、ひとりでもかなり楽しむことができた。本サービス開始後もこういうイベントが頻繁に開催されるようなら、「中華統一」という大志を抱かずのんびり楽しみたい人でも、このゲームはかなり楽しめるものとなるだろう。
もちろん本作はMMOSLGとして、他のプレイヤーが持つ都市や部隊に直接攻撃を仕掛けることができる。都市が陥落すると、ゲーム開始時と同様、マップ上のどこかに飛ばされてしまう。少なくともひとつところで高レベルプレーヤーにネチネチといじめられ続けることはないわけだ。
CBTの段階では都市の初期配置が特定の場所に集中する傾向があった。陥落して飛ばされることは経験せずに済んだが、もしかするとその際の再配置も同じ傾向があるのかもしれない。資源採集場所が多く、あまり人が密集していない場所を見つけ、そこへ遷都するところからゲームをスタートさせるのがよいようだ。
遷都では一瞬で都市を広大なマップのどこにでも移動でき、少なくともCBTでは行動に制限もつかなかった。本サービスではプレーヤー対プレーヤーの戦いも激化するだろうが、この遷都のおかげで、あまり深い遺恨は発生しないかもしれない。手軽に遊ぶためには悪くない仕様と言えるだろう。
一方で、5日間あったCBT期間中を通して、「マップ」画面での行動がとても重かった。部隊に行動を指示してもまったく動かず、資源だけが消費されていくという事態が続き、ようやく安定して動くようになったのは、29日の正午近くになってからだろうか。この点は本サービス運用に向けた大きな大きな課題と言える。
トラブルによる多大なストレスがあったとはいえ、あまりSLGを遊ばない筆者でも、いや、だからこそなのか、本作「三國志 新作(仮)」はかなり楽しむことができた。それだけに、サーバーの不安定さの解消には大きな期待を寄せている。
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