【特別企画】

大人のためのゲーミングDIY講座 パートIII

膨らんだり、充電切れを起こす携帯ゲーム機はバッテリー交換で解決!

【PSP-2000/3000用互換バッテリー】

価格:1,180円(税込)

【ゲームボーイアドバンスSP用互換バッテリー】

価格:890円(税込)

 手持ちのゲームデバイスに一手間かけることでゲームライフがより豊かになるゲーミングDIY。今回は、経年劣化でいつのまにか用をなさなくなっていた携帯ゲーム機のバッテリー問題を解決する手段を紹介したい。

 今回ターゲットとなるゲーム機は、バッテリー駆動の携帯型ゲーム機だ。任天堂の携帯型ゲーム機の場合、初代ゲームボーイやゲームボーイアドバンスは単三乾電池で動作していたが、2003年2月に発売されたゲームボーイアドバンスSPから、充電可能なリチウムイオン電池が内蔵されるようになり、電池不要で充電することで繰り返し遊べるようになった。対するソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)も、2004年12月に発売されたPlayStation Portable(以下PSP)から、リチウムイオン電池を搭載している。

 このリチウムイオン電池は、軽くて容量が大きいという特徴を持ち、現在でもスマートフォンやノートPCのバッテリーとしても広く採用されているが、古くなると膨らんでしまうことがあるという問題がある。バッテリーの膨張が酷くなると、バッテリーに押されてボディも歪んでしまう。スマートフォンやタブレットでも、バッテリーが膨らんできて使えなくなってしまったという話をよくきく。

 昔愛用していた携帯ゲーム機を久しぶりに引っ張り出してきたのはいいが、バッテリーが膨らんでしまっていて使えないとか、膨らんではなかったものの、バッテリーが劣化していて、すぐに電源が切れてしまうといった経験をお持ちの方もいるだろう。本体は壊れていないのに、バッテリーのせいで使えなくなってしまうのはもったいない。そこで、バッテリーがダメになってしまった、古い携帯ゲーム機を再びよみがえらせる方法を紹介したい。

【膨らんでしまったPSPのバッテリー】

そもそもリチウムイオン電池が膨らむ理由

 リチウムイオン電池が膨らむ理由は、内部からガスが発生するためだ。電池は、電極と電解質から構成されるが、充放電のサイクルを繰り返すと、電解質が劣化し、容量が低下していく。

 たとえば、ノートPCやスマートフォンを長く使っていると、バッテリー駆動時間が徐々に短くなってくる。俗に「バッテリーがへたってきた」などと言われるが、通常、300~500回くらい充放電のサイクルを繰り返すと、容量がかなり減ってしまうので、交換の目安となる(サイクル寿命と呼ばれる)。

 そして電解質が劣化すると、電解質が揮発して可燃性のガスが発生したり、正極に使われているコバルト酸リチウムが分解されて酸素が発生する。これらのガスが、電池パックの内側に溜まっていくことで、電池パックが膨らむのだ。

【膨らんだバッテリー】

 携帯ゲーム機やスマートフォン、タブレットなどに使われているリチウムイオン電池は、より正確にいうとリチウムポリマー電池と呼ばれるタイプであり、電解質がゲル状になっており、乾電池のような金属製の缶ではなく、ラミネートフィルムで覆われている。そのため、軽くて薄いのだが、その分ガスが発生すると膨らみやすいのだ。

 膨らんできたリチウムイオン電池は劣化が進んでいる証拠であり、性能が低下しているだけでなく、使い続けるとボディが歪んでしまい、バッテリーが取り外せなくなったり、異常な発熱や発火などの危険性も増す。バッテリーが膨らんでいることに気づいたら、すぐにそのバッテリーを使うのをやめて、新しいバッテリーに交換すべきだ。

 ちなみに、リチウムイオン電池は、毎回100%までフル充電せずに、80%程度でとどめるようにするとサイクル寿命を延ばすことができる。ノートPCの中には、充電を80%で停止するモードを搭載した製品もあるが、携帯ゲーム機にはそうした機能はないので、自分でACアダプターを抜いて充電を止める必要があるため、実践するのはなかなか難しいだろう。

携帯ゲーム機のバッテリー交換方法とそのメリット・デメリット

 バッテリー問題の解決手段がバッテリー交換しかない事がわかったことで、次はバッテリー交換の方法についてご紹介していきたい。

 携帯ゲーム機のバッテリーを交換する方法は、大きく分けて4つある。1つ目が、純正品のバッテリーを購入して交換する方法で、2つ目が、メーカーの修理サービスを利用する方法、3つ目が、メーカー以外の修理屋を利用する方法、4つめが、サードパーティ製の互換バッテリーを購入して自分で購入する方法である。これらの方法にはそれぞれメリットとデメリットがある。

 最初の方法は、純正バッテリーが入手できるのなら、メーカー保証も無効にならず、バッテリーの性能についても安心できるが、その分価格は少し高くなる。また、ニンテンドー3DSのような現役の携帯ゲーム機なら、オンラインで純正の交換用バッテリーが販売されているので、気軽に純正バッテリーを入手できるのだが、今回取り上げるような古い携帯ゲーム機の場合、メーカー純正バッテリーが製造中止になって久しいため、入手はほぼ不可能だ。

 2つ目の方法も、手間がかからないという点では一番だが、修理完了までの時間がかかり、コストも一番高くついてしまう。また、サポートが終了した古い携帯ゲーム機については、修理サポートが終了しているということも、1つめの方法と同じだ。

【メーカーサポート】
任天堂のサポートページ。3月12日現在で、サポートしているハードウェアは、Nintendo Switch、Wii U、ニンテンドー3DS、ニンテンドークラシックミニシリーズまでとなっている
ソニー・インタラクティブエンタテインメントのオンライン修理受け付けページ。こちらもすでにPSPやPS2など往年の名機が修理サポート対象外となっている

 3つ目の方法は、スマートフォンやタブレットのバッテリー交換サービスをおこなっているような街の修理屋に頼む方法だ。ネットで探せば、古い携帯ゲーム機の修理をおこなっている修理屋がいくらでも見つかる。修理屋に頼む場合、その時点でメーカー保証は切れてしまうが、今回取り上げているような古い携帯ゲーム機の場合、とっくにメーカー保証は切れているので、それは問題にならないだろう。値段は業者によっても変わるが、修理費込みで純正バッテリーを購入する場合と同じくらいになることが多い。

 そして4つ目の方法は、メーカー純正バッテリーと形状が同じで、代わりに使える互換バッテリーを購入して、自分で交換するというもので、値段的には一番安く済む。例えば、今回利用したPSP-2000/3000用交換バッテリーは1,180円、ゲームボーイアドバンスSP用交換バッテリーは890円である。互換バッテリーはメーカーによって品質はさまざまだが、最近の互換バッテリーは、性能や品質の面でも純正バッテリーと遜色がないものが多い。交換作業も難しくはないので、古い携帯ゲーム機のバッテリーを交換するのなら、この方法がおすすめだ。

【AmazonのPSPバッテリー売れ筋ランキング】
Amazonでは、まだ一定の需要があるのか、PSPバッテリーの売れ筋ランキングが掲示されている。3位に純正バッテリーがランクインしているが、純正品の製造はかなり前に終わっているため、本来の性能を維持しているかどうかは疑問が残る

バッテリーが膨らんでしまったPSP-2000のバッテリーを互換品に交換してみた

 今回は、バッテリーを交換する携帯ゲーム機として、PSP-2000およびPSP-3000、ゲームボーイアドバンスSPを用意した。PSP-2000は、2007年9月に発売された第2世代のPSPで、PSP-3000は、2008年10月に発売された第3世代のPSPだ。どちらもバッテリーは同じPSP-S110が使われている。PSP-S110は、3.6V/1200mAhのリチウムイオン電池を採用している。

 PSP-2000を数年ぶりに出したところ、中のバッテリーが大きく膨らんでしまっていて、バッテリーの蓋も膨らみ、蓋を外すのも大変だった。PSP-3000のバッテリーも見てみたが、こちらは外観は特に変化がなかった。下に比較写真を載せているが、厚さが2倍程度に膨らんでしまっている。このバッテリーはもう使えない。

 PSP-2000/3000用の互換バッテリーは数社から発売されているが、性能と品質に定評のあるロワジャパンの互換バッテリーを使うことにした。ロワジャパンの互換バッテリーは、型番も純正品と同じPSP-S110で、仕様も全く同じ3.6V/1200mAhである。形状も同じなので、そのまま純正品と同じ感覚で交換が可能だ。もちろん、動作も問題はなく、純正と同じ使用感であった。

【PSP-2000/3000の本体】
第3世代PSPであるPSP-3000
第2世代PSPであるPSP-2000

【膨らんでいない純正バッテリーと膨らんでしまった純正バッテリーの比較】
左がPS-3000に入っていた純正バッテリー。右がPS-2000に入っていた純正バッテリー。どちらも同じPSP-S110だが、右は大きく膨らんでしまっている
左のバッテリーの外観は正常だが、右のバッテリーは大きく膨らんでいる
後ろから見たところ。右のバッテリーの厚さは、左の2倍程度に膨らんでいる
横から見たところ。右のバッテリーは大きく膨らんでおり、今にも破裂しそうで怖い

【純正バッテリーと互換バッテリーの比較】
左が純正バッテリーで、右がロワジャパンの互換バッテリー。形状やサイズは純正品と全く同じだ
左が純正バッテリーで、右がロワジャパンの互換バッテリー。電圧や容量も互換品と同じだ
なお、初代PSP(PSP-1000)とPSP-2000/3000ではバッテリーの形状が異なり、互換性がないので要注意。左がPSP-1000用純正バッテリーで、右がPSP-2000/3000用純正バッテリーである

【PSP-2000/3000に互換バッテリーを装着する】
PSP-3000に正常な純正バッテリーを装着したところ
PSP-3000に互換バッテリーを装着したところ
PSP-3000に互換バッテリーを装着して、バッテリー蓋を取り付けたところ
PSP-2000に正常な純正バッテリーを装着したところ
PSP-2000に互換バッテリーを装着したところ
PSP-2000に互換バッテリーを装着して、バッテリー蓋を取り付けたところ

ゲームボーイアドバンスSPのバッテリーを互換品に交換してみた

 続いて、ゲームボーイアドバンスSPのバッテリー交換に挑戦してみた。こちらは、外観上は特に問題はなかったが、かなり性能が劣化していた。PSPの場合、もともとユーザーがバッテリーを交換するように設計されているので、工具などを使わずに簡単にバッテリー蓋を外すことができるが、ゲームボーイアドバンスSPの場合は、バッテリーの蓋がネジで固定されているので、ネジを外す必要がある。このネジはプラスだが、サイズが00というかなり小さいものだ。

 こちらもロワジャパンの互換バッテリーを用意したが、このゲームボーイアドバンスSP用互換バッテリーには、ありがたいことにバッテリー蓋を外すための00プラスドライバーが付属しているので、精密ドライバーなどを持っていない人でも大丈夫だ。

 交換作業は簡単で、バッテリー蓋を固定しているネジを付属のドライバーで外して、バッテリーを交換し、再びネジでバッテリー蓋を固定するだけだ。なお、PSP-2000/3000用互換バッテリーは、容量も純正品と全く同じだったが、ゲームボーイアドバンスSP用の場合、純正品が3.7V/600mAhだったのに対し、互換品は3.7V/850mAhであり、容量が4割以上も増えているので、駆動時間の増加が期待できる。こちらも問題なく動作した。

【ゲームボーイアドバンスSPと互換バッテリー】
任天堂の携帯ゲーム機で初めてリチウムイオン電池を搭載したゲームボーイアドバンス
ゲームボーイアドバンスSPは、折りたたみ式ボディを採用している
ロワジャパンの互換バッテリーには、バッテリー蓋を外すための小型ドライバーが付属している

【ゲームボーイアドバンスSPのバッテリーを交換する手順】
裏面のネジを1本外すことで、バッテリー蓋を外せる
ドライバーやネジが小さいので、慎重に回すこと
バッテリー蓋を外したところ。青いのが純正バッテリーだ
左が純正バッテリーで、右が互換バッテリー。外形やサイズは同じだ
純正バッテリーは3.7V/600mAhという仕様だ
互換バッテリーは3.7V/850mAhであり、純正品よりも容量が4割強大きい
ゲームボーイアドバンスSPに互換バッテリーを装着したところ
再びバッテリー蓋をネジで固定すれば、交換は完了だ

 このように、古い携帯ゲーム機も、サードパーティ製の互換バッテリーを購入すれば、また昔のように遊べるようになる。古いゲームでも、面白さは今も色あせていないものが多い。自分のゲーム資産を有効に活用するためにも、バッテリー交換はおすすめだ。細かい作業などは一切不要なので、あまりこういうのが得意ではない人でも、気軽に挑戦していただきたい。