【特別企画】

ナムコ往年の名作「ギャラクシアン」、「ギャラガ」、「ギャプラス」の貴重な資料を多数展示! 「Ritsumeikan Game Week 特別展 一般公開デー」最速レポート

イベント期間:8月10日 11時30分~18時

イベント会場:立命館大学 衣笠キャンパス(京都市) 創思館 2F

 立命館大学ゲーム研究センターは、ゲームに関する研究の展示イベント「Ritsumeikan Game Week 特別展 一般公開デー」のプレス向け事前公開を、8月6日より京都市の同大学衣笠キャンパスにて開催した。

 本展示イベントは、8月5日~11日までの間に同大学を会場に開催される、3つのゲーム関連国際学会 (※「2019 IEEE SeGAH」、「DiGRA 2019」、「Replaying Japan 2019」の3種)の参加者に向けた研究展示で、8月10日の11時30分から18時のみ一般にも公開される。展示内容は、1980年代のゲーム機を遊べる研究展示「テレビゲームとその時代展1 昭和編」と、同大学映像学部の学生・教員らが新しい形のゲームを提案する「テレビゲームとその時代展2 令和編」、古いアーケードゲームの開発資料を展示する「『ギャラクシアン』→『ギャラガ』→『ギャプラス』展」の3種類となっている。

 以下、本稿では8月10日の一般公開に先駆けて、本展示イベントの内容をご紹介していこう。

会場:立命館大学 衣笠キャンパスの創思館

「テレビゲームとその時代展1 昭和編」

 「日本人にとって、テレビは家族の団欒(だんらん)の中心にあり、テレビを使った新しいおもちゃを子供たちは『テレビゲーム』と呼んでいた」(※立命館大学ゲーム研究センターのサイトより引用)ことから、昭和時代のゲームやおもちゃ類を展示することで、「団欒」、「テレビゲーム」とは改めてどんな存在だったのかを考える企画となっている。ファミコンブーム期の1986年当時のお茶の間を再現したコーナーをはじめ、昭和時代の子供たちの代表的な娯楽であるマンガやアニメ、おもちゃのほか、レトロゲームが遊べるコーナーも設けられていた。

 特に、ゲーム好きにとって見逃せないポイントは、ファミコン以外の家庭用ゲーム機が遊べること。なかでも、LD(レーザーディスク)を使用した西部劇がモチーフのアクションゲーム「バッドランズ」(※MSX版)は、今では滅多にお目にかかれない作品なので、もし会場を訪れる際は、この機会にぜひプレイすることをおすすめしたい。

【テレビゲームとその時代展1 昭和編】
昭和時代の子供たちが、家庭でゲームやおもちゃを遊んでいた当時の部屋を再現したコーナーや、おもちゃ、マンガ・アニメのトレンドなどを紹介している

【懐かしの家庭用ゲーム体験コーナーも設置】
上から順に、ファミリーコンピュータ版「ゼビウス」、カセットビジョン版「ビッグスポーツ12」、MSX版「ツインビー」、SG-1000版「ザクソン」

【MSX版「バッドランズ」も遊べる!】
今となってはたいへん貴重な、LDを使用したMSX版「バッドランズ」も遊べる状態で展示されていた

「テレビゲームとその時代展2 令和編」

 こちらも「団欒」がテーマで、主に立命館大学の学生が研究・開発したゲームを通じて、新たな現代版「団欒」、「ゲーム」とは何かを問うコーナー。布団の上に寝たまま遊ぶなど、奇想天外なアイデアを盛り込んだゲームが遊べるようになっているので、ゲームの研究に励む現代の学生たちの発想、あるいは教育の現場を知る機会として活用できるだろう。

【テレビゲームとその時代展2 令和編】
ラップを歌いながら相手と対戦したり、布団に仕込んだセンサーを寝返りで操作して遊ぶなど、学生たちの自由な発想から生まれたゲームが遊べる

トークイベントと、会場限定のパンフレット販売も同時開催! 「『ギャラクシアン』→『ギャラガ』→『ギャプラス』展」

 こちらは、「『ゲーム開発関連資料の可能性』をテーマとして、その価値の高さを提示するとともに、開発関連資料の活用の可能性について考えていく」(※立命館大学ゲーム研究センターのサイトより引用)という企画展示。バンダイナムコ研究所の兵藤岳史氏と、元ナムコ(現:バンダイナムコスタジオ)で現在は「遊びと学び研究所」を主宰する岸本好弘氏が中心となって活動している「ナムコ開発資料アーカイブプロジェクト」の協力によって実現した。今回の3種類の展示のなかでも、筆者としては本コーナーが一番のおすすめだ。

 その理由としては、まず本邦初公開となるナムコ往年の名作シューティングゲーム「ギャラクシアン」、「ギャラガ」、「ギャプラス」の3タイトルの貴重な開発資料が見られることが挙げられる。私見にて大変恐縮だが、これらのゲームがゲームセンターで人気を博していた当時、夢中になって遊んでいた筆者のような人間にとっては、もし展示物を間近で見ることができたならば、すでに黄ばみが目立つ古い紙でありながらも、まるでまばゆく輝く宝物を発見したかのような大きな感銘を受けることだろう。

 展示資料には、企画内容やデザイン案だけでなく、ユーザー動向調査のレポートや、ロケテスト(※試作版を使用した稼働テスト)の売上データなども含まれているので、開発当時のさまざまな状況を知ることができるのも素晴らしい。当事者による証言を交えた、展示パネルの解説文も非常に面白いので、レトロゲームファンはもちろん、ゲーム開発志望の学生および現役の開発者も、当時のスタッフがいかに知恵を絞ってゲームを作っていたのかが学べると思われる。書類作成用のPCやワープロがまだ職場にない時代にあって、手書きで仕上げた企画書や仕様書に込められた、開発者たちのゲームに賭ける情熱や当時のビジネス感覚などを、ぜひ現地で感じ取っていただきたい。

「ナムコ開発資料アーカイブプロジェクト」の目的と活動情報を説明する、バンダイナムコ研究所の兵藤岳史氏(※写真は同日開催の「日本デジタルゲーム学会 夏季研究発表大会」会場にて撮影)

【開発資料の展示コーナー】
壁面にびっしりと並べられた「ギャラクシアン」、「ギャラガ」、「ギャプラス」の開発資料。壁面のものはコピーだが、ショーケース内には本物の資料も展示されている

【詳細な企画内容、記録と解説文も必見】
ゲームシステムやキャラクターのデザイン案だけでなく、ロケテストのインカム(売上)データや、客のプレイ動向を詳細にまとめた貴重な資料も読むことができる

 また、会場では上記3タイトルの開発を手掛けた澤野和則氏、横山茂氏、中谷始氏のインタビュー動画も視聴可能。ここでしか買えない公式パンフレットを1冊500円(税込)で販売している。パンフレットには、会場に展示された開発資料と、3人のインタビューが日本語と英語を併記する形で掲載されているので、単なるファンアイテムではなく、レトロゲームの歴史が学べるという意味でも価値のある一冊だろう。

 なお、一般公開日となる8月10日には兵藤氏、岸本氏が参加するトークイベントも実施される予定となっている。ナムコゲームファンからは「黄金時代」とも称される、数々の傑作を世に送り出した1980年代の現場を知る両氏のトークが聞けるという点でも、とても貴重な展示企画と言えよう。わずか1日限りの一般公開となるが、ご都合のつく方は会場までぜひ足を運んでいただきたい。

【開発者インタビュー動画も見られる!】
上から順に、「ギャラクシアン」を開発した澤野和則氏、「ギャラガ」を開発した横山茂氏、「ギャプラス」を開発した中谷始氏

【旧ナムコの開発者トークイベントも開催】
兵藤岳史氏と、岸本好弘氏による開発者トークイベントも実施。両氏は参加者からの質問にも気さくに応じ、実に和気あいあいとしたトークを1時間も続ける大サービスぶり。なお、トークイベントは10日にも開催される予定だ

【限定パンフレットを販売!】
展示会場でしか買えない、「『ギャラクシアン』→『ギャラガ』→『ギャプラス』展 - ナムコ開発関連資料からみるアーケードゲームの製作過程」と題したパンフレット。全ページ英訳付きだ