【特別企画】

GTMの初立体化にホビー業界激震! 永野護とボークスは「イージーアッセンブル・スーパークオリティモデル GTMカイゼリン」に何を託しているのか?

7月6日より予約開始

2019年冬より順次引き渡し予定

価格:80,000円(税別)

早期予約価格:75,000円(税別)

 ボークスは、既報のように永野護氏のコミック「ファイブスター物語」、およびアニメ映画「花の詩女 ゴティックメード」に登場するロボット「GTM(ゴティックメード)」の初立体化アイテムとして、半完成品の超精密メカモデル「イージーアッセンブル・スーパークオリティモデル GTMカイゼリン」を7月6日より全国のボークス店舗・通販にて予約受付を開始する。価格は80,000円(税別)。

 GTMの立体物が販売される! この衝撃を感じることができる人はコアな「ファイブスター物語(以下、「FSS」)」ファンと言えるだろう。GTMというロボットが生まれて実はすでに6年もたつ、しかし1度も立体物が発売されていなかったのだ。GTMの立体物発売のニュースは、ホビー業界激震のニュースとも言える。今回、まずGTMというモノが何か、ということから解説し、GTMの立体物が発売されることの意義も語っていこうと思う。

 GTMは永野氏のライフワークともいえる「FSS」に登場するロボットである。GTMは、きわめて低い確率で生まれる常人を遙かに超える戦闘力を持った"騎士"と、演算能力を高めた人工生命体"ファティマ"によって制御される身長18mを越える巨大ロボットであり、物語の国々は騎士の駆るGTMによって戦争を決するのだ。

「GTM(ゴティックメード)」は永野護氏のコミック「ファイブスター物語」に登場するロボット兵器だが、その異形の姿は、ファンにとってとても大きな意味を持つ

 実はGTMという存在はファンの間で大きな議論を巻き起こした存在である。「FSS」は1986年から「月刊ニュータイプ」で30年以上も永野氏が描き続けている物語であるが、この物語の大きな特徴は最初に「年表」を提示し、その細かい物語をコミックスで描くというユニークな体裁を取っている。そしてその年表は永野氏の解釈で変わっていく。ファンは永野氏の刻々と変わる年表と物語を楽しみながら、時には過去を、時には超未来を永野氏の提示するイメージを見ていたのだが、GTMはこれまでの最大の"激震"といえるモノだった。

 「FSS」が始まってから20年以上「モーターヘッド(MH)」というロボット兵器が活躍していたのだが、それが突然GTMになったのである。MHは永野氏独特のデザインでありながら、鎧をまとった人間のような姿であり、いってみれば「既存のロボットデザインの延長線上にあったモノ」だった。2013年、永野氏はこれらMHを全てGTMという新しい姿と名前を持つロボットに変えてしまったのだ。

「モーターヘッド(MH)」の代表的な存在と言える「レッド・ミラージュ」。独特の魅力溢れるデザインだが、永野氏はこれら全てのMHのデザイン、名前を変更、GTMとしてデザインし直したのだ

 GTMは「巨大ロボットの解釈」を根柢から変換した永野氏ならではの"提示"であった。これまで物語で描かれていたロボット兵器が、突然、役割は同じまま、別な姿、別な名前、別な存在になってしまったのである。ロボットが活躍する作品において、このような変化をした作品はないだろう。

 しかし、GTMはアニメロボットにおける革新的な存在であることは間違いない。「2足歩行の巨大兵器」にリアリティを生み出すのにはどうすれば良いか、永野氏が考えついて行き着いた1つの方向性がGTMなのだ。人とは違う関節構造、素早い動きを可能とする手足、そして接地面積を考えた足の構造。永野氏が考える「剣を振るう巨人」を実現させるための1つの答えがその全身に込められているのだ。

 永野氏は絵でこの新しいロボット兵器の概念を提示したのだが、長らく立体物は発売されなかった。永野氏の思い描くGTMをどう立体に再現するか、それはボークスとの7年もの歳月をかけ、ようやくたどり着いた"落としどころ"なのである。

GTMの初めての立体物となる「イージーアッセンブル・スーパークオリティモデル GTMカイゼリン」。ファンははじめて永野氏が提示するGTMという存在をその手で確かめることができる。関節はどう動くのか、その形の意味は何なのか、確かめてみたいというユーザーは多いだろう

 永野氏はこの商品に強いこだわりを持っている。人気の高い「FSS」の新しいロボットであるGTM。それはメーカー側にとってとても魅力的な商品である。実際MHは様々なメーカーから立体物が発売されたのだ。GTMにも名乗りを上げたメーカーも多かっただろう。しかし永野氏はボークスと、練りに練り、こだわりを持って、7年もの歳月をかけ、商品化を行なったのだ。ホビー業界が注目せざるを得ないプロジェクトである。

 「イージーアッセンブル・スーパークオリティモデル GTMカイゼリン」を触ることで、永野氏が考える新しい概念、ロボット兵器への1つのテーマを感じることができるだろう。ファンはもちろんのこと、「巨大ロボットって何だろう?」と疑問を持ったことのある全ての人に手にとってもらいたい、非常に革新的な商品である。