【特別企画】
神奈川の綾瀬でGALLERIA GAMEMASTERを7分で組み上げるマイスターに出会った
2019年4月26日 00:00
撮影禁止の秘密部隊「品質保証部」とは何をやっているのか?
ところで2階の梱包出荷エリアから3階に向かう途中、生産物流統括本部 品質保証部部長の片野勇次氏から「この先は撮影禁止です」と釘を刺された。筆者が所構わず写真を撮りまくっているため、慌てて釘を刺しに来たといった印象だったが、視界の先には片野氏が率いる品質保証部があった。撮影禁止の理由は、まだ世に出ていない製品が検証のため置かれていることと、パートナー企業の担当者も詰めているためだという。
そもそも品質保証部というのは何をやる部署なのかというと、サードウェーブ本社の企画部門が立案した新モデルを実際に組み、企画部門が狙ったパフォーマンスが出るかどうか、長時間の連続利用でも耐える耐久性を備えているのか、そもそもそれらパーツの組み合わせで問題なくしっかり動くのかどうかを、生産に入る前に事前検証するチームだ。
サードウェーブで扱うあらゆるPCは、すべてこの品質保証部の検証を通過しており、品質保証部の検証を通過しない限り、製造のフェイズに入れない。本社の企画部門がどれだけ斬新でセクシーなゲーミングPCを企画したとしても、品質保証部が「この組み合わせではパフォーマンスが出ない」、あるいは「十分なエアフローが確保できない」と判断すれば、たちまちボツになるという恐るべき権限を持った部隊だ。
たとえば、GALLERIAの場合何を検証しているのかというと、パフォーマンスが出るかどうか、パフォーマンスが出た状態でマシンの発熱に対してしっかり冷却ができているかどうかを、様々なパーツを組み合わせて検証する。
それではトップブランドであるGALLERIA GAMEMASTERは当然のことながら厳しい検証を突破しているのだろうか?
「そこはむしろ逆なんです。GALLERIA GAMEMASTERは“最高級”を実現するために最初から使用するデバイスの組み合わせを絞っているので、通常のGALLERIAのような汎用のゲーミングPCのほうが、BTOで豊富な選択肢を提供しているので、実はそちらの方が検証に時間が掛かっています。たとえば、ナショナルメーカーが販売する1,500台のPCは基本的に同じ内容の大量生産になると思いますが、我々は1日800台だとしても、800通りの組み合わせがあります。それらの組み合わせの互換性の検証の負担がとても大きいんです」(片野氏)
ゲームでいうところのデバッグ作業に近い印象だが、もっとも苦労する検証作業は何だろうか?
「組み合わせ、俗にいう相性的な問題ですね。このメーカーのメモリだとどうしてもリードライトエラーが出てしまう。パフォーマンスは出ているが、一定のタイミングでエラーが出るとなると、残念ながらこのメモリは、このモデルのシステム構成からは外さなければなりません。その検証、見極めが大変です。パーツの中で比較的大変なのがメモリで、メモリといっても1枚刺し、2枚刺し、4枚刺しがあり、エラーが発生した場合、どこに問題の本質があるのか。マザーなのか、マザーのファームなのか、単にその個体なのか、メモリはタイミングもあるので、追求するのが大変です。それで問題を追いかけ続けているといつまで発っても商品化できないので、一定のタイミングでジャッジするしかないんです。そのパーツを採用するかどうかの最終判断は商品企画チームですが、品質保証部の検証結果としてそういう判断をあげることはあります」(片野氏)
耐久性テストの代名詞としてよく言われる高熱での長時間耐久テストは、品質保証部の担当だという。どうやってやっているのか訪ねたところ、実際に見せてくれた。
「このマシンは45度に設定して中でPCを24時間ずっと回しています。これはビデオカードの評価で、リアルタイムでモニタリングして、エラーはログを取っています。もちろん商品としてカバーする温度は10度~30度という標準的なものです。このマシンの温度は最大80度ぐらいまで出せますが、実際にはありえないような高温でテストする理由は加速試験です。温度を上げることで過負荷になるので、加速試験ができるわけです。うちにはこれぐらいの設備しかないので、もっと細かい検証、たとえば恒温槽、静電気、漏れ電流の設備、衝撃、振動のテストを行なう場合は、海老名に産業技術センターがあるのでそこを使わせてもらっています」(片野氏)
撮影禁止だったため、写真でお見せできないのが残念だが、品質保証部には、黒の作業着に身を包んだサードウェーブのスタッフに加えて、スーツ姿の外部スタッフらしき方も何人か詰めており、何やらデスクの上のパーツについてディスカッションする姿が複数箇所で見受けられた。