【特別企画】

手軽に7.1チャンネル体験ができるヘッドフォンアンプCreative SXFI AMPを試してみた!

うわ、周りから音が聞こえるぞ!!

発売中

価格:16,800円(税別)

 クリエイティブメディアが発売する「Creative SXFI AMP」(以下、SXFI AMP)は、手のひらサイズでありながらバーチャル7.1chサラウンド音響を楽しめるヘッドフォンアンプだ。PCだけでなくプレイステーション 4やNintendo Switchにも対応し、質の高い音響を使ってのゲームプレイが可能だ。

 「SXFI」とは「Super X-Fi」の略語で、同社が独自に開発したオーディオのフォーマットで、聴く人の耳の形や顔の形をスキャンし、そのデータを元に音場を計算して各個人にフィットした音を出すことができるというもの。同社によると「リアルタイムの画像検出/分析により多数の高精度画像から身体的な特徴をマッピングし、AIエンジンが身体的特徴をヘッドフォン ダイナミクスとともに抽出して3次元空間の音響マッピングと合成」するという技術だ。

 「SXFI AMP」を使うとどんな感じで聞こえるのかというと、ヘッドフォンでありながら最大7.1chの音場も再現できるので、左右からだけでなく前から、後ろからも聞こえるようになる。

Creative SXFI AMP

手のひらサイズに収まる「SXFI AMP」

 では「SXFI AMP」のハード回りから見ていこう。サイズは約17.5×67×9.7mm(横×高×奥行)。手のひらにすっぽりと収まるくらい小さい。これだけの大きさによくまとめたと思えるほどだ。重量は約15gととても軽い。

 表面に配置されているのは、SXFIのオン/オフ(緑色でオン)を切り替えるボタン、音量アップボタン、再生/一時停止ボタン、音量ダウンボタンの4つとシンプル。PCやPS4とスマートフォンに接続するのはUSB Type-Cコネクタから。ヘッドフォンは反対側の3.5mmジャックに接続して利用する。

 なおスマートフォンは現状、Android 7.0以降のUSB On-theG0対応のものだけが利用でき、Huawei Honor 9 Liteなどの一部スマートフォンはサポートしていないほか、現状はiPhoneもサポート外だ。

 「SXFI AMP」に使われているDACは、旭化成エレクトロニクス製の「AK4377」。スペック的にはPCM最大768kHz、DSD256(11.2MHz)にまで対応している実力を持つチップだ。「SXFI AMP」は24bit、96kHzの再生が可能となっている。

 なおSXFIを体験するためには、それに対応するヘッドフォンが必要となる。ヘッドフォンのリストはPCソフトの「SXFI Control」やAndroidスマホアプリの「SXFI App」から確認できるようになっている。どちらかで選んで設定すれば、その情報は「SXFI AMP」に保存される。

左からSXFIのオン/オフボタン、音量アップボタン、再生/一時停止ボタン、音量ダウンボタン。SXFIがオンになっている場合は、緑色のLEDが点灯する
本体上部に3.5mmジャック、下部にUSB Type-Cポートが用意されている
PCソフトの「SXFI Control」で対応ヘッドフォンは参照できる
こちらはAndroidアプリの「SXFI App」

両耳と顔の情報をスキャンして利用する

 実際に「SXFI AMP」を使うためには、スマートフォンアプリの「SXFI App」から利用する人の両耳と顔をスキャンしてデータ化する必要がある。これは1人ではできないので、誰かにお願いしてやることになるだろう。筆者もPCのカメラを立ち上げて何とかできないものかとやってみたが無理だった。

 アプリを立ち上げたらトップメニューにある「パーソナライズする」を選び、「ヘッドマッピングを開始する」ボタン操作で測定開始だ。右耳、顔、左耳の順番で測定する。耳のイラストや顔を認識する範囲が表示されるので、その中に耳や顔を合わせると「ぽこん」と音がして自動的に測定される。

 なお測定されたデータは「最近のヘッドマップ」として残るので、例えば他の人とシェアしたいと思って使う場合は、ヘッドマップした日付と時間を覚えておけば、改めて設定することも可能だ。

トップメニューから「パーソナライズする」を選んで測定開始
まずは右耳から
続いて顔正面
最後に左耳を測定して終了

 PC版のSXFI Controlについても少し述べておこう。こちらには独自の「イコライザー」という項目があり、「クラシック」、「フラット」、「ポップス」、「ゲーム」、「シネマ」の5つのプリセットに従ってイコライザを設定できるほか、自分で自由にカーブをいじって設定することもできる。「バス」や「トレブル」といった音質の調整や、ボリュームについても変更が可能だ。ただしボリュームについては「SXFI AMP」本体でも調節が可能なので、こちらを操作した方が早いと思う。イコライザーについては、Androidアプリとして配信されているSXFI Appでも設定は可能だ。

 このほか「セットアップ」の項目では、「SXFI AMP」のモードを「ステレオ」、「5.1」、「7.1」の3つに変更することができる。Windows 10マシンであればマルチチャンネルオーディオでの設定がPC側で可能なので、7.1chサラウンドを楽しめる。ここで設定した情報は「SXFI AMP」に送られ、再生時は設定したモードに従って動作する。

SXFI Controlの「イコライザ」で音質を調整できる
「ステレオ」、「5.1」、「7.1」の各モードを設定できる

うわ、周りから音が聞こえるぞ!!

Aurvana SE

 では気になるサウンド面について述べていこう。「SXFI AMP」をPCと接続する場合は、Windows 10マシンであればマルチチャンネルオーディオでの設定が可能なので、7.1chサラウンドを楽しめる。先ほども述べたように「SXFI AMP」の実力を十分に発揮するためには対応しているヘッドフォンでないとダメだ。今回試したのはクリエイティブメディアから発売されている「Aurvana SE」だ。

 まずはBlu-rayソフトから。筆者の手元にはいくつかの5.1chサラウンドに対応したBlu-rayソフトがあるが、立体音響を楽しむなら爆発音やそれに伴う低音の振動がある方がよいかと思い、「機動戦士ガンダムUC」をPCで再生してみた。1巻の冒頭に始まる地球連邦政府首相の演説が切り替わるときに聞こえてくる方向が変わっていく様や、モビルスーツ発進に伴うスラスターの音、ビームやミサイルの発射音、爆発するモビルスーツといった音が四方八方から聞こえるのはすごい。実際にスピーカーを配置して聞いているような感じだ。その実力は確かなものと言える。

 次は音楽ファイルを再生してみることにした。筆者が持っている「Xperia XZs」ではハイレゾ音源を再生できるので、クラシックやポップといった音楽を聴いてみたのだが、確かに音の広がりは感じた。ステレオ設定にした場合は、前から音が鳴っている雰囲気を味わえる。しかし5.1chや7.1chといったモードで再生してしまうと、少しボケた印象。まあこれは無理やり鳴らせているので仕方ないところだし、ステレオで再生したときには、前にあるスピーカーから鳴っているような印象を受けるので、十分だと思う。

 また「SXFI AMP」がすごいのは、モノラルオーディオを再生したとき。モノラルだから左右から違う音が聴こえるはずもないのだが、まるでステレオで再生したかのような聞き方ができるのだ。これは特筆すべきことだろう。なお仕様としてはこのほか、24bit/96kHzに対応しており、ハイレゾオーディオも再生できる。

 そして気になるのがゲームソフトでの音響だ。「SXFI AMP」はPS4に対応しているので、USBポートに接続するだけで利用できる。ただしUSBポートからは2chの音しか出ていないので、「SXFI AMP」側で「ホログラフィックオーディオ」が出力されるようになっている。このため7.1chとは異なり、前後に音がクロスオーバーすることはないのだが、音が広がる様はとても気持ちいい。「エースコンバット 7 スカイズ・アンノウン」を試しにプレイしてみたのだが、戦闘機がすれ違う音やミサイルの発射音などがとても立体的に聞こえるので、ゲームへの没入感を高めてくれた。普通のヘッドフォンで聞くよりも段違いの音響効果を得ることができると言えよう。

「エースコンバット7」でも明確に効果を確認できた!

ゲームだけでなく、映画や音楽も楽しみたいなら買い

 これまで見てきたように、「SXFI AMP」は手軽に5.1ch、7.1chのサラウンド音響を楽しめるデバイスだ。それもこれまでの製品とは異なり、2chではステレオスピーカーで聞いているかのように、前側に音場を再現してくれるなど、リッチなオーディオ体験をもたらしてくれる。今までのオーディオ環境を変えたいと思ったら、手頃な価格でサラウンド音響を楽しめる本製品は買いであるとも言えよう。