インタビュー

開発チームでは巌流が人気! 「鬼武者 Way of the Sword」インタビュー

意識したのは「時代劇」の“静と動”。過去作のオマージュについても聞いた

【鬼武者 Way of the Sword】
9月4日 発売予定
価格  通常盤:8,990円
デラックスエディション:9,990円
プレミアムデラックスエディション:10,990円

 9月4日に発売予定のプレイステーション 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/PC用剣戟アクション「鬼武者 Way of the Sword」。20年ぶりのシリーズの復活に、過去作をプレイしていたファンからはかなりの注目を集めている。

 今回、本作の試遊版をプレイしたのちに、ディレクターを務める二瓶 賢氏とプロデューサーの門脇 章人氏にインタビューを行うことができた。

 新たなバージョンから見えてきたポイントについての回答や、「鬼武者」シリーズへの強いリスペクトが感じられるお話も聞くことができたので最後まで読んでもらいたい。

左がプロデューサーの門脇 章人氏、右がディレクターを務める二瓶 賢氏

時代劇感を取り入れたこだわりの“静”と“動”のアクション

――今回のプレビューで見せたかったポイントはどこだったのでしょうか?

二瓶氏:大きいボスの大唾拉(だいだら)ですね。巌流だけではない大型な敵とのチャンバラの迫力感は見ていただきたかったところです。あとはワイドリニアの体験というところも体験版ではないところでしたので、広がりを感じれる京都の中での遊びを味わっていただきたかったと思っています。

 大唾拉に関しては塀に乗って弓矢を撃つといった地形を利用した戦い方も楽しみ方の1つです。

 ガードするだけでも大型の敵だと膝を崩しながら攻撃を受け流したりするんですけど、大きいボスとの戦いってファンタジーだからできると思ってるんですよね。人型の敵とのやり取りだけではないゲーム体験は「鬼武者」としての大事な要素の1つでもあるので、そういったチャンバラを楽しんで欲しいというのはあります。

 あとはフェーズ1と2と切り替わるシーンはこだわってダイナミックに作っているので、見応えがあると思います。

巨大なボスとの戦いが注目のポイントであった

二瓶氏:ワイドリニアに関しては、急に村人が走ってきたり、リニアな進行だけではない体験というところも感じてもらいたいですね。

 あと、サイドクエストを受けると流れる専用のデモなども作っていまして、京都のちょっと不気味な話とかも体験できるようにしています。ワイドリニアだからこそできる体験ですし、ワイドリニアのエリアにもボスがいるので、そういったところも魅力的になっていると思います。

過去作にはなかったワイドリニアなゲーム性も、新しい「鬼武者」ならではの体験だ

――登場人物が鬼や鬼の篭手を当たり前に認知しているというのを感じているんですが、今作の鬼の存在やテーマを聞かせてください。

二瓶氏:体験版などでは、過去作と違っていきなり唐突に始まったように感じるかと思いますが、実際はオープニングからやるとゲームを通しながら世界観を説明してくれます。

 あえてここでも説明すると、今回は日本の史実がテーマです。これは「鬼武者」らしさでもありますが、鬼は過去作と違って、今回は地獄にいるという、いわゆる日本の本当の伝承の中から持ってきています。地獄のさらに奥底には無限地獄があって、その1番下に幻魔たちが生息している。その幻魔が鬼門を通じ、現世にやってこないように地獄界を統制したのが鬼の一族になります。

 瘴気があるところでは、獄窓から、幻魔が現世にワープして現れるのですが、その時に現世を守るために選ばれ、鬼の篭手をさずけられた人物が鬼武者です。なので鬼は、ある意味幻魔が悪さするのを守っている地獄の統制者という存在になります。

体験版ではストーリーの途中ということもあり、世界観や設定など不明な点も多かったが、本編ではしっかりと説明が入るようで安心だ

――配信中の体験版について、敵の攻撃が少ないなどの声を見かけますが調整などはあるのでしょうか?

二瓶氏:意見を受けて調整を行うとかではなく、元々体験版では幅広いお客さんに体験して欲しい意図がありました。なので、武蔵は本来はあの場面では持っていない技を使えるようにしています。

 製品版では、ゲームを進めるほど幻魔の攻撃の種類が増えてどんどん強くなっていきます。最初は倒しやすくしながら、徐々に強い敵も出てくるので、倒されるようなこと起きるかと思います。

 とはいえ体験版でも全部ボタン連打で倒せるようなゲームではないので、巌流やその間にいる敵は少し強くするという難易度に設計していました。

 ユーザーの意見を調べる中で巌流が弱いという意見もありましたが、本編では巌流より強い敵は当然出てきます。安井金毘羅という今回の試遊で出てくるエリアにもボス「羅掌願(らしょうがん)」がいるんですが、なかなかに手強かったりするのでやり応えは十分かなと思っています。

門脇氏:巌流は1人目のボスですからね。

二瓶氏:体験版は、「鬼武者」はこういうゲームですよというのを体験していただく感じですね。「鬼武者」を知らない人もたくさんいますが、「鬼武者」を知っている人からすると、もっと歯応えがほしいなどいろいろな意見が出ることは理解できます。

 製品版では、刀で斬っているだけでは弾かれるような盾持ちの敵や、弓矢で遠くから攻撃してくる敵が出てきたりもします。雑魚敵であっても、ボタン連打で簡単に勝つことはできないバランスになっています。

体験版で敵の強さに物足りなかった人も、本編では歯応えのある難易度になっていそうだ

――今回の敵は、ガンガンと積極的に攻撃してくるタイプとは少し違うように感じます。あえてそうすることで、あまり刀で打ち合わないことの“美”を感じたのですが、そういった部分を大切にしていたところはありますか?

二瓶氏:実は僕、映画の「椿三十郎」が1番好きなんです。「椿三十郎」は、アクションのなかに“静”と“動”があるんですよ。「椿三十郎」のような時代劇を目指して本作のプロトタイプを作ったんですが、“動”だけでは時代劇っぽくなりませんでした。

 そこで「“静”と“動”の両方をゲームの中に作りたい」というところから、武蔵のモーションをちゃんとこだわりました。敵の方向に剣先を向けたりする動きも、もしこれが全部チャカチャカ動いていたら、そんなことやってる場合じゃないっていうゲームになってしまいます。今回、そういうところは意識して作りました。

 チーム内のレビューではもうちょっと敵に攻撃してほしいという意見もあったりしましたが、そこは「敵の種類でカバーします」と意見を通して作っていました。

――特に時代劇っぽいと思ったのが、複数の幻魔と戦ってる時、幻魔が叫びながら斬りかかってくる瞬間でした。これは殺陣の感じが出ているなと。

二瓶氏:そこはまさに意識していますね。裏側では、敵同士を連携をさせています。叫んだ時は必ず複数で連続で攻撃をしてくる、というようなことですね。設計的にも、真ん中から来たら次は右から来て、その次は左から来る、といった感じで。もし何もプログラム組んでいなかったら、めちゃくちゃな攻撃になってしまいます。殺陣らしさはこだわっていたので、その表現に気づけていただけたのにすごく感動しています。

門脇氏:敵のやられ方とかもこだわってますよね。

二瓶氏:屋根の上とか高いところにいる敵を弓矢で撃つと、わざわざ前に歩いてきて落ちるという(笑)。

――モーションでは、時代劇の斬られ役の方などにお願いしたのでしょうか?

二瓶氏:はい。プロの殺陣のアクターさんをずっとお呼びしていました。動き方を一緒に話しながら作ってったのでそこはリアリティがあるんじゃないかと思います。

よろよろと前に歩いてきて落下。まさにやられ役の散り際を演出するこだわりっぷり

シリーズの核となる「一閃」の気持ち良さを誰でも体験できるゲーム性に

――今回の試遊は体験版の巌流戦の後とのことですが、体験版で使えた「弾き」などが使えない状態でした。こちらが製品版に近い仕様なのでしょうか?

二瓶氏:レベルデザインとして、今配信されている体験版は1時間の中でどれだけいろんなアクションが体験できるかというのを詰め込んだものになります。

 一方、本編では逆に、詰め込みすぎないように徐々にステップアップをしていく感じです。プレイ時間は20時間ぐらいを想定していますが、体験版では1時間の切り取りなので、実際はもう少しなだらかになっています。

 最初の巌流に関しては受け流しで倒すように作っていますが、当然巌流は1回こっきりの敵ではないので、次戦った時はちゃんと弾きを使わないとなかなか苦しめられるような、複数戦うこと想定した敵の作りにしています。

――今回の試遊では結構な数のアクションがありましたが、これが全てのアクションなのでしょうか?

二瓶氏:システム的なアクションはほぼ入っていて、あとは鬼の腕や脚、眼といった覚醒のアクションがあります。よりアクション性が上がった技は、スキルツリーで解放して習得していくという感じになります。

門脇氏:基本的なアクションは揃っていて、そこからスキルを拡張していく感じです。ただ、すべてのアクションを使わなきゃいけないというものではないのでプレーヤーの選択肢かなと。僕のおすすめは受け流しです。極端に言えば、一閃を狙わなくても最後までいけます。

――一閃と言えば、今作の一閃はいろいろな場面で出しやすくなってて、かなり敷居が下がっていますよね。

二瓶氏:僕自身が1作目の「鬼武者」をやった時は高校1年生の時でしたが、一閃はとても難しかったです。しかも失敗すると体力も結構削られたりするので、リスクとリターンに対してすごいリスクが大きいと感じていました。それがカタルシスでもあるんですが、今回は20年ぶりの新作というのもあったので、一閃はより出しやすく、という部分のは意識して作りました。

 一閃は自分が狙わないと出ないものなので、それでも出せないという人でも「崩し一閃」で最終的にズバっと斬ることができます。部位を選択して斬るというシステムは、みんなに一閃を見て欲しいという設計で作りました。

敵の力動ゲージを0にすれば、タイミングなど一切必要なく崩し一閃が繰り出せる

――やはり一閃がシリーズの大事にされた部分だと思うのですが、シリーズ的に受け継がなければいけない部分と、あえて挑戦した部分などをお聞かせください。

二瓶氏:僕自身も一閃の魅力を感じてたので、一閃は守らなきゃいけないと思いました。昔はズバッと斬るだけだったんですけど、今作の一閃の動きは、背後の敵に攻撃されたら回り込んで一閃するなど、こだわりました。開発名称では“かわし一閃”と言っていて、ちゃんとしゃがんでかわして斬るみたいな動きも全部モーションキャプチャをしながら作ったんですよね。

 実際に作ってみるとしゃがんでるフレームと斬ってるフレームの2コマくらいしか使わなかったので、モーションキャプチャー必要なかったねとなったんですが(笑)。ただ、動きとしてはそこまでこだわって一閃のモーションのバリエーションを作りました。あとは自由切断ですね。一閃で斬ったときに幻魔が真っ二つに切れる方向がそれぞれ違うのも、一閃の気持ち良さを増幅させる要素として作っています。

一閃による敵の切れ方までもこだわりが詰まっている

二瓶氏:今回の「Way of the Sword」らしさでいうと、門脇Pが言ったような受け流しなどは現代の技術力だからこそできたことですね。これまでのゲームの弾きは、モーションを画一的でした。本作のように刀と刀をしっかりコンタクトさせてズラしていくみたいな動きは、地形や敵の大きさによって影響を受けるのでハードルが高いんです。

 そこをしっかり座標を合わせたり、傾斜の問題を計算して仕組みを変えるなどすることで、本作の受け流しの表現ができています。これは技術の詰め合わせでできた表現です。

 モーションとしてただ気持ちいいというだけじゃなく「鬼武者」としても意味のあるものにしたかったので、受け流しをし続けると「気焔状態」になり、その状態で攻撃すると青魂がたくさん出ます。それを吸収すると必殺技のゲージが溜まっていって必殺技がたくさん打てるようになる。みたいなサイクルの中にゲームとして落とし込んでいったところは新しい設計かなと思っています。

受け流しの表現も、昔では実現できなかったそうだ

――今回京都が舞台ですが、京都の建物にファンタジー要素を織り込んで「鬼武者」ナイズされていますが、どういったバランスのとり方で作ったのでしょうか?

二瓶氏:元々京都を舞台にしたいと思ったのは、1,000年の都と言われてるくらいにいろいろなエピソードがあるからです。人の恨みや喜び、祈祷などもそうです。調べていたら面白いエピソードがたくさんあったので、今度は京都の中から、ゲームとして入れられる場所はどこがユニークだろうと選んでいきました。

 清水寺は実は人が投げ捨てられていたとか、自分で飛び降りていたとか、「そういうのって知っている人の方が少ないのでは?」ぐらいのエピソードを、「実はそれを幻魔のせいにしたら面白いんじゃないか?」みたいなところで物語を作っています。ベースとしては史実をまず調べるところで、造形物に関しても現地に行って取材をして、寸法とかも色々測った上で再現をこだわりました。


舞台のひとつ「清水寺」。こうした場所や施設は京都市を通じ、各担当者とコミュニケーションを取って取材しているほか、カットシーンや壊れる表現がどこまでOKかなどもひとつひとつ確認しているという

 その中で、当時の江戸時代にはなかったものとか、現代から作られてきたものとかもあったりします。単純に江戸時代の京都を再現しましただと、観光しに行った時に「全然違うじゃん」となってしまいます。それって嬉しいのかな? というところもあるので、そこはうまく現代にあるものを入れたりとか、逆に江戸時代初期にあったものを再現した方が魅力的だなと思うところは、取り入れています。

 建仁寺の「双龍図」はその代表ですね。「双龍図」は現代に描かれたもので、江戸時代初期にはなかったものではありますが入れています。


建仁寺の「双龍図」。インパクト抜群の天井絵だ

――そういったポイントはサイドストーリーで巡っていく感じなんでしょうか?

二瓶氏:メインクエストでも楽しめます。まずそれが前提ですが、サイドクエストもいわゆるお使いだけだと僕は嫌だなと思っているので、お話が体験できるようにちゃんとカメラやカットも入れながら京都の不気味な話などを体験できます。

――サイドクエストはクリアすることでゲーム的なメリットがあるのでしょうか?

二瓶氏:成長に関わるアイテムが手に入れられたりもするので、単純にお話体験だけではなくて、武蔵の成長にとっても役立つ物が手に入ります。

リアルとファンタジーの要素を織り交ぜて作られている「鬼武者」の世界

――今回、弓矢が出てきて、過去作でもメイン武器とサブ武器の種類が結構ありましたが、今作ではどうなのでしょうか?

二瓶氏:メインの刀以外の武具を鬼ノ武具と呼んでいますが、それらは基本的には必殺技という立ち位置です。弓に関しては特別にいつでも使えるようなものになっています。

――なるほど。弓を使ったギミックも体験できましたが、全編を通してこういった仕掛けはたくさんあるのでしょうか?

二瓶氏:敵を斬って前に進んで、そしてボスに着くていうゲームだけではないものにしたかったので、所々でちょっと頭を切り替える謎解きはあります。その中で鬼ノ武具を使って解くようなものはありませんが、眼覚醒を使って探すようなものはあります。

戦闘だけではなく、謎解き要素も用意されているようだ

――本作では魔空空間はあるんでしょうか?

二瓶氏:無いです(笑)。代わりに、何回もボス戦いたいという方向けに、1度戦ったボスと再戦できるモードを作っています。倒したらささやかながらアイテムはもらえますが、アイテムを取るために戦うのではなくて、どちらかというと再度ボスと戦うためのモードですね。

門脇氏:大唾拉を倒した後に行く拠点の六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)というところがあるのですが、そこに篁の部屋があって、そこでボスと再戦できるように形になります。そこで徐々に戦えるボスが追加されていきます。ユーザー内でももう一回ボスと戦いたいという声が多く、開発途中の中で入れた要素です。

一度倒したボスと何度でも戦えるシステムは、嬉しいポイントだ

――「Way of the Sword」というタイトルはどのように付けられたのでしょうか?

門脇氏:今回は初めからグローバルで勝負したい、グローバルで共通の名前にしたいという狙いがありました。ところが「鬼武者」は日本語なので、海外の方はそのままではまずわからないだろうと。そこで剣戟のゲームということをわかりやすくするため、ソードを入れました。

 それと、主人公が宮本武蔵ということもあり、「剣の道」とすると宮本武蔵に通ずるワードにもなるということで、「Way of the Sword」になりました。

グローバル展開の意識と武蔵らしさを表現したタイトルになったようだ

――大唾拉の見た目やセリフが、1作目に登場したボスの「オズリック」のオマージュのようでしたが、他にもシリーズをプレイしてたらニヤリとできるファンサービスなどはあったりするのでしょうか?

二瓶氏:あります。コレコレ! みたいなのもあります。とはいえ初めて触るユーザーさんにも楽しめるように、というところはバランスを取っています。今回、大唾拉を斬った時の演出は何十年も前のものを意識しましたが、今見ても「いいな」と感じます。最後に吐くセリフなどもそうですね。

ビジュアルからもオズリックのオマージュを感じられる大唾拉。下画面はPS4版「鬼武者」

――最後の質問です。宮本武蔵は三船敏郎というモデルがいますが、佐々木巌流はモチーフやテーマがあるのでしょうか?

二瓶氏:巌流は武蔵と同じくらい時間をかけて作ったキャラクターです。佐々木小次郎という名で知られていて、今回巌流という名前にした意図は、「鬼武者」が作る小次郎は巌流しかない、巌流といえばもうカプコンだよね。というイメージを作りたかったんです。史実でも長身のキャラクターで長い刀を使っていたということで今のイメージになりました。

 武蔵は山猿感を意識して作っていました。巌流に関しては綺麗好きなちょっと天才肌という、武蔵よりも鍛錬してないけどめちゃくちゃ剣術が上手い。性格もちょっと変わってるサイコパス系な狂ったキャラにしたかったこともあって、刀の振り方もフェイントを織り交ぜます。結構厄介な敵ではあるんですが、性格と動きを合わせるためにキャラ作りはこだわっています。武蔵と相対して赤と青みたいな衣装の色も意識して作っています。

――開発チームだと巌流と武蔵はどちらが人気だったのですか?

二瓶氏:巌流の方が人気でしたね(笑)。時代劇好きな人は、みんな武蔵の方が好きですよね。

門脇氏:時代劇好きな人に刺さるようなところから武蔵は作ってるんで。

――発売が楽しみです。本日はありがとうございました。