インタビュー

「バイオハザード レクイエム」開発者インタビュー。本作はサウナ!? グレースの恐怖とレオンのアクションで“整う”体験に

【バイオハザード レクイエム】
2026年2月27日 発売予定
価格:8,990円~

 2026年2月27日に発売予定のプレイステーション 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/PC用サバイバルホラーゲーム「バイオハザード レクイエム」。

 発表当初は、FBI分析官である「グレース・アッシュクロフト」を主人公とし、クリーチャーから逃げ回るようなホラー強めのゲームとなる印象が強かったが、本日12月12日にシリーズおなじみのキャラクター「レオン・S・ケネディ」が第2の主人公となることが発表され、レオンによる敵を薙ぎ払う”爽快なアクション“も楽しめることがわかった。

 レオンが加わることで、どんなゲームになるのか気になるところ。今回、レオンの発表直後に、プロデューサーの熊澤雅登氏とディレクターの中西晃史氏へのメディア合同インタビューが行なわれたので、その様子をお届けしよう。

【「BIOHAZARD requiem」 3rd Trailer】

グレースの恐怖×レオンの爽快アクション。W主人公による緊張と緩和のゲーム体験

プロデューサー:熊澤雅登氏
ディレクター:中西晃史氏

――最新トレーラーでレオンの登場が明かされました。他のキャラクターがどうなっているのか気になるユーザーも多いと思います。難しいと思うのですが、一言いただくことはできますか?

中西氏:プレイアブルキャラクターとして登場するのは、レオンとグレースの2人です。それ以外のキャラクターについては、お楽しみにしていていただければと思います。

――トレーラーでレオンがチェーンソーで敵を切るシーンがあったと思います。他にもユニークなアクションや、「これは面白い」というポイントがあれば教えてください。

中西氏:グレースは「RE2」のスタイルをベースにしているのに対して、レオンは「RE4」のスタイルをベースにしています。そのため、体術や近接攻撃を用意しています。

 実はレオンを新作として作るのは「バイオハザード6」(2012年10月発売)以来になります。彼もいい年を取り、その間も数々の戦いで経験を積んでいます。では、2026年現在のレオンはどうなっているのか、というのは作る上で大きなテーマでした。

 心境的にも、レオンは「誰かを救いたい」というモチベーションで行動する中で、さまざまな悲劇を見てきています。いつまでもバイオテロはなくならないし、それをずっと続けている人がどういう心境に行き着くのか。技術的にも、初めて「RE4」「6」と経験を積んでいく中で熟練しているので、現在どこまで熟練したことができるのか。それを「RE4」ベースの中で新しい要素として表現しようとしています。

――グレースで「恐怖」、レオンで「爽快アクション」を楽しめるとのことですが、「バイオハザード4」のアシュリーのように2人で行動するのではなく、今回はそれぞれ単独で進む構成が中心になるのでしょうか?

中西氏:構成としては、ストーリーはあくまで1本です。その1本の中で、進行に応じてレオンのパート、グレースのパートが切り替わっていきます。その中で、2人が絡むシーン、出会うシーンもあります。

 レオンとグレースは非常に対照的で、グレースは「バイオハザード」の経験もなく、シリーズ史上最も怖がりなタイプの人物です。一方、レオンは超ベテランのレジェンド。全く違う2人がどう絡んでいくのかも、「レクイエム」の面白いところだと思っています。

グレース・アッシュクロフト
レオン・S・ケネディ

――トレーラーで「エルピス」という言葉が出てきたと思います。どういったものなのか、ヒントをいただけますか?

中西氏:「エルピス」というのは、一般的にはパンドラの箱の底に残っていたもの、という話があります。希望という解釈が多いですが、一部では悪いことの予兆など、さまざまな捉え方があります。

 「レクイエム」では、ストーリー上の重要な要素になっています。グレースは、殺された母親が「なぜ殺されたのか」を追っていくことになりますが、そこにも絡みます。また、レオンには現段階では言えない「秘密」が1つあって、そこにも絡めて、「エルピス」がストーリーの中で重要な意味を持つようになっています。ぜひプレイの中で一緒に秘密を解き明かしていってもらえればと思います。

トレーラーで出てきた「エルピス」というキーワード

――今作はグレースとレオンのダブル主人公となりますが、レオンが出てきたときに安心感があった一方で、グレースの物語や存在感が薄まってしまわないかと少し心配もありました。ダブル主人公で、グレースの話、レオンの話とそれぞれの話が展開される理解で大丈夫でしょうか?

中西氏:ダブル主人公で、ストーリーはひとつです。操作パートはほぼ半々で、その2人が絡んでいくというのが今作のひとつの特徴です。

――では、グレースが好きな人もグレースの話を堪能できますし、レオンのファンもレオンの話を堪能できると思っていいのでしょうか?

中西氏:そうですね。以前「レオンはホラーに向いていない」と言って多少バズったこともあるのですが、やはりレオンは、いわゆる「大きな化け物に追いかけ回され、ビビりまくるようなシーン」は合わないと思っています。レオンは、今回のトレーラーでもお見せしたような血湧き肉躍るようなシチュエーションを用意しています。一方のグレースはより怖く、と明確な体験の違いを出しています。

 今作の大きな特徴のひとつですが、全くテンションの違うゲームが2つ入っている、というのは我々としてもチャレンジでした。当初は「うまく合うのか」「ユーザーはついていけるのか」など不安もありましたが、やってみたらこの高低差が独特の体験になっていて、感情を振り回される体験になっています。

 例えるなら、熱いサウナに入って水風呂に入る、みたいな。アドレナリンが出て、ドーパミンが出て、ある意味“整い”のような体験ができます。この緩急の差をうまく組み合わせないとしんどいので、そこはベストになるように構成しています。

 先程もお伝えしましたが、ストーリーはひとつなので、構成としては「バイオハザード リベレーションズ」に近いと思ってもらえればと思います。「6」みたいに2つのストーリーではなく、「RE2」の表裏とも違う、というイメージです。

グレースでの恐怖体験とレオンによる爽快なアクションによる緊張と緩和

――レオンについて2点お聞かせください。まず、レオンのバトル部分が「RE4」ベースとなるとのことですが、本作は三人称視点のほか一人称視点もあるので、一人称視点での遊びがどうなるのか教えてください。

中西氏:おっしゃる通り、グレースもレオンも視点を選べます。そこもチャレンジではあったのですが、主観視点でも問題なく遊べるよう、いろいろ工夫しています。映像を見た方が早い部分もあるので、今後のショーケースなどでレオンのプレイ動画もお見せできると思います。

――先程、レオンが作品とともに成長し年齢も重ねている、という話がありました。内面やアクションだけでなく、ビジュアルにも変化が現われると思いますが、今作のビジュアルの方向性を教えてください。

中西氏:彼が背負ってきたものをどう表現するかがテーマでありつつ、“イケおじ”であるべきという点も大事にしています。その微妙なバランスは時間をかけて調整しました。発表後の反応で、文字通りその反応があったので、今日はいい酒が飲めるかなと思っています(笑)。

熊澤氏:開発チームも含めて、社内にもレオンファンが多いです。

中西氏:特に女性のレオンファンも多く、ツッコミも厳しいので、かなり頑張って詰めました。最終的には「これ!」という感じになっています。

 また、レオンにとってラクーンシティへの訪問は意義が大きいです。彼の原点で、警官になろうとしたところから事件に巻き込まれ、そこから戦いが始まっています。「RE2」以来の帰還なので重要なシーンになります。年を重ねたレオンが、自分を振り返って何を感じ、どう行動するのかも見どころです。

ポルシェとのコラボ経緯は? レオンの愛車として「カイエン ターボGT」が登場

――本日公開された情報で、レオンが乗っている車がポルシェということで、コラボをしているとのことですが、どういった経緯でコラボすることになったのでしょうか。

ポルシェとのコラボ。劇中に登場するだけでなく、世界にたった一台の「Porsche Cayenne Turbo GT」もつくられている

中西氏:実は社内でも今日の発表を見ている人がいて、チームから「車がポルシェにそっくりですけど大丈夫ですか?」みたいな連絡が来たりしました(笑)。

熊澤氏:コラボの経緯としては、レオンの車が作中に登場するということで、レオンの車に合うコラボ先を探していました。その中で、ポルシェさんからご快諾いただきました。レオンの愛車として「カイエン ターボGT」とコラボしています。

中西氏:ちょっとカスタムしてあるんだよね?

熊澤氏:そうです。実際の車そのままではなく、本作の世界観に合わせた「たった1台」の車を作っています。その様子の映像はどこかでお見せできればと思います。

――「バイオハザード」は乗り物が壊れがちですが、ポルシェは大丈夫なのでしょうか……?

中西氏:そこはどうなるか期待してください(笑)。よく乗り物が壊れるというのもどうかと思いますが(笑)

熊澤氏:壊れるのはヘリコプターぐらいだと思うんですけどね(笑)

中西氏:なのでヘリコプターはコラボしてくれないと思います(笑)

レオンの魅力は「イケメン」。企画から2人の主人公にすることを想定していた

――今作は従来のファンだけでなく、初めてシリーズに興味を持つ人も多いと思います。そういった人に向けて、レオンという人物の魅力を改めてアピールしていただけますか?

熊澤氏:まずお伝えしておきたいのは、本作ではレオンの過去を全部知っていなければならない、ということはありません。公式サイトにも載っていますが、唯一知っておいてほしいのは「ラクーン事件に関わっている」というところ。その上で、年を重ねたレオンが今回の事件にどう関わっていくのかは、過去作を知らなくても十分楽しめる内容になっています。

中西氏:単純に、レオンの魅力で言うと「イケメン」であることです。見た目だけでなく性格も、誰かを助けるためなら犠牲を厭わないような熱さがある。一方で驕らず、軽口を叩きつつも内側に熱いものを持っている。技術も強くて、隙がない。リアルに会ったら友達にはなれないかな、というタイプです(笑)

熊澤氏:英語版トレーラーでは冗談で「セカンドオピニオン」みたいな言い回しも入れていますが、そういう皮肉やウィットの部分も、年を取ったからこそ、今回さらに頑張って表現しています。

中西氏:とにかくかっこいいです。

――以前のクリエイターズメッセージで「レオンではガチガチのホラーにはならない」という話があり、ずっとレオンを主人公にしようと考えていた、とも伺いました。逆にグレースは後から採用された主人公なのでしょうか?

中西氏:企画が固まる前の段階ではあるので、仰るとおりです。「レクイエム」がスタートするときには「2人の主人公で、2つのゲームにしよう」となっています。

――「バイオハザード7」で、ユーザーから「怖すぎた」というフィードバックがあったと思います。それが後の作品に活かされてきたと思いますが、今回グレースを採用して恐怖感を高めようとした狙いをお伺いしたいです。

中西氏:それは逆で、仮にグレースだけで作ったら、かなり怖いゲームになったと思っています。レオンのパートを緊張感を緩める部分として使うことで、ユーザーは「レオンのパートだからなんとかできる」という安心感がある。一方でグレースに戻ると、また怖い。そういう意味で、それぞれの体験の差をホラーの構成として意識して使っています。

 結果として、怖いんだけど、トータルで解放感・爽快感もある。今までになかった満足感を得られるようにしています。

熊澤氏:これを1本のストーリーの中で組み合わせることで、「怖い後のアクションは気持ちよさが突き抜ける」「その後にホラーが来るとより怖く感じる」といった差が生まれる。

中西氏:同じ敵でも、レオンならなんとかなったけど、グレースだと「これ無理じゃない?」みたいな体験ができると思います。

――ムービーでレオンがハンドガンやチェーンソーで敵を返り討ちにしているようなシーンがありました。あれはカウンターアクションだと思うのですが、プレイヤーが積極的に出せるものなんでしょうか?

中西氏:その辺は、映像を交えてショーケースで説明しようと思っています。現時点では先ほどの回答と同じになりますが、成長したレオンの新しいアクションはたくさん用意します。

 また、レオンパートは全体の中で「弛緩」のパートなので、より激しく気持ちいいアクションを用意しています。

――トレーラーの最後に、片手斧のような武器が映っていたと思いますが、あれも実際使えるものなんですか?

中西氏:はい。いわゆる軍用のトマホークです。レオンを表現する武器として、持たせています。

――トマホークということは投げ物になるのでしょうか?

中西氏:投げるわけではないです。特殊部隊なども使うようなものです。

――ということはナイフ以外にも近接攻撃の選択肢が用意されるということでしょうか?

中西氏:“選択肢”という捉え方と少し違うかもしれません。

熊澤氏:レオンの近接アクションとして斧も使える、ということですね。

銃撃だけでなく、チェンソーによるアクションも

中西氏:私から最後に言っておきたいのですが、今回は過去最も、レオンが追い詰められることになると思います。ある意味、彼の限界に挑む戦いになります。また、2026年1月のショーケースでより詳しくゲームプレイや物語についてお話ししようと思っています。楽しみにしていただければと思います。

 レオン発表で盛り上がってくれていて、本当によかったです。

――ありがとうございました!