インタビュー

こだわりを捨ててでも快適度を優先する。カプコン完全新作「プラグマタ」インタビュー

【PRAGMATA(プラグマタ)】
2026年4月24日 発売予定
価格  スタンダードエディション:7,990円
デラックスエディション:8,990円

 2025年12月に開催された「The Game Awards 2025」にて、最新トレーラーがお披露目となったカプコンの完全新作SFアクションアドベンチャー「PRAGMATA(プラグマタ)」。2020年6月の発表から約5年半が経ち、遂に発売日が2026年4月24日に決定したほか、新たにNintendo Switch 2版の発売も決定した。既に予約受付も開始されており、発売日に向けて動きを加速している。

 今回は「The Game Awards 2025」の終了後に、プロデューサーを務める大山直人氏、ディレクターを務める趙 容煕(チョウ ヨンヒ)氏へお話を伺う機会をいただいた。本稿では、開発の裏側やSwitch2版に関する情報など「プラグマタ」のインタビューをお届けしていく。

【PRAGMATA - Pre-Order Trailer】
「プラグマタ」プロデューサーの大山直人氏
「プラグマタ」ディレクターの趙 容煕氏

しっかり時間をかけて、試行錯誤しながら完成した「プラグマタ」

――いよいよ2026年4月に発売されます。当初は2022年発売予定でしたが、何度か発売が延期されました。開発の裏では何が起きていたのでしょうか?

大山氏:延期の一番の理由は「ゲームが皆さんにお届けできるクオリティに達していなかった」という背景があります。中途半端な状態であれば受け入れてもらえないですし、新しい作品なのでしっかり時間をかけて、面白いものを作ってからお届けしようと考えていました。

 2020年に公開した最初のトレーラーの時点で、リアナとヒュー、2人の主人公を同時に操作して、ハッキングとアクションで戦っていくというコンセプトは決まっていました。ですが、それをどうゲームシステムに落とし込むのかという部分で試行錯誤を繰り返した結果、今のパズルとシューティングのスタイルになりました。ゲームシステムが決まってからもバランス調整があって、ここが延期理由のほとんどを占めています。

趙氏:ユーザーに対して、カプコンの新作をしっかり届けようという気持ちは、チーム全体で共有していました。どこかで見た要素があるアクションゲームだと新規IPの意味がないので、何度も悩んでチームのみんなが納得できるゲームにするまで少し時間がかかりました。

RE ENGINEとSwitch2の親和性は“かなり高い”

――今回、新たにNintendo Switch 2版の発売が発表されました。Switch2版はいつ頃から検討が始まったのでしょうか?

大山氏:具体的な時期はお話しできないのですが……(笑)

趙氏:……そうですね(笑)。正確な時期は言えませんが、Switch2の発表に合わせて、こちらも一緒に対応していこうという感じでした。

画像は開発中のSwitch2版より

――Switch2版の解像度やフレームレートはどれくらいになるのでしょうか?

大山氏:現在も絶賛開発中でして、ターゲットにしている解像度とフレームレートはまだお伝えできません。今後、コンソール版の体験版も配信しますので、その際に改めて発表できればと思います。

――東京ゲームショウ2025でSwitch2版「バイオハザード レクイエム」をプレイした時はかなり好感触だったのですが、Switch2版「プラグマタ」の完成度はいかがでしょうか?

大山氏:開発中のロムにおいても「バイオハザード レクイエム」と比較して遜色のないレベルに仕上がっている手応えはあります。十分に楽しんでいただけるよう仕上げているので、体験版の配信までもうしばらくお待ちいただければと思います。

趙氏:開発チームでも初めてSwitch2版を動かした時は、クオリティの高さに「おぉ!」と驚きの声が上がっていました。

大山氏:RE ENGINEとSwitch2の親和性はかなり高くて、順調に開発が進んでいます。余裕を持って間に合いそうということで、今回Switch2版も同時発売ということになりました。

――Switch2版ではマウス操作やタッチ操作に対応するのでしょうか?

大山氏:マウス操作やタッチ操作には対応していません。

画像は開発中のSwitch2版より

――Switch2版は、ディアナのamiiboが発売されますが、連動特典にはどのようなものがあるのでしょうか?

大山氏:サポート的なアイテムとして、各ステージで武器や回復アイテム、ハッキング中にユニークな効果を発揮する「ノード」をドロップし、ステージを少し進めやすくなります。獲得したアイテムはそのステージ限定で、シェルターに戻ると消失しますが、再度出撃してamiiboを読み込むと、またアイテムを獲得できます。

――ディアナのamiiboはかなり可愛らしいポーズですが、これはどんなシーンのポーズなのでしょうか?

大山氏:ちょっと話しづらい部分ですが……(笑)

趙氏:ポーズを決めたのは私で、花畑でルンルンしているディアナとそれを見ているヒュー(プレーヤー)という感じでイメージしていました。

大山氏:今回のPVではホログラムの海が登場しますが、波打ち際で遊んでいるディアナだったり、花畑を楽しんでいるディアナだったり、何かと戯れているシーンをイメージしています。

趙氏:写真よりも、実物のディテールはもっとすごいので楽しみにしていてください。

ディアナのamiibo

こだわりを捨ててでも快適度を優先する。体験版のPC先行配信は“アーリーアクセスのようなもの”

――体験版から製品版への連動、特典などはありますか?

大山氏:今回PC版を先行配信していまして、特典を設けるとコンソールでプレイされる方が不利になってしまいます。ですので、連動や特典は外してなるべくフェアな状態にしています。

PCで先行配信されている体験版「PRAGMATA SKETCHBOOK」

――先ほどSteamの体験版をプレイしたのですが、かなり快適に動作している印象でした。最適化でこだわった部分や難しかった部分はありますか?

大山氏:逆に言うと「こだわりを捨ててでも快適度を優先しよう」というのはありました。グラフィックはこだわればこだわるほど綺麗になりますが、処理としてはどんどん重くなってしまいます。開発チームとして「より良いものを見せたい」という気持ちも強くありますが、それを一旦押し込めて、まずは幅広いPCで快適に遊んでもらえるよう最適化を行ないました。

 なので、クオリティラインを一旦ガッと下げてフレームレートを十分に担保できる状態にしてから、どういうふうにグラフィックを上げていこうか、という作り方にシフトしました。

趙氏:最適化は「これをやったらこれを諦めるしかない」という判断の期間でもあって「このデータは捨てたくないけど……」と辛い瞬間もありますが、やっぱりゲームをプレイする上でフレームレートはかなり大事なので、ここを最優先としました。その結果、かなり安定してゲームをプレイできると思います。

画像は「PRAGMATA SKETCHBOOK」より

――体験版を通じて、どのようなフィードバックを期待していて、どのように調整していく予定ですか?

大山氏:皆さんのフィードバックには私たちも大いに関心を寄せていて、既にフィードバックを随時チェックしている状況です。

趙氏:インタビューが始まる直前まで見てましたもんね(笑)。

大山氏:そうなんです(笑)。まず、今回の体験版はPC版(Steam)を先行配信させていただいています。これはCPU、GPUといったPCのスペック、モニターとの組み合わせ、配信ソフトといったバッググラウンド処理など、プレイしていただく方の環境が千差万別で、最適化の難易度が比較的高いからです。そのため、ある種のアーリーアクセス的な形で、PC版が先行しました。

 もう一点、今回の体験版では初めて「プラグマタ」でキーボード&マウス操作を体験できます。そういった手触りも体験していただいたらと思います。

画像は「PRAGMATA SKETCHBOOK」より

――体験版をプレイすると、2周目から「落書きスーツ」が追加されます。これは製品版でも実装されますか?

大山氏:鋭いですね……(笑)。「落書きスーツ」は開発チームが遊びとして体験版に入れたものなので、もし気に入っていただけたのなら、SNSなどで積極的にコメントをいただけると嬉しいな……と(笑)。

趙氏:「嬉しいな」かい(笑)

大山氏:現状はまだ約束できないです(笑)。すみません。

「PRAGMATA SKETCHBOOK」クリア後、2周目から使用できる「落書きスーツ」

“ディアナ可愛い”からスタートした「プラグマタ」。パズルゲームとしても楽しめる

――パズルゲームが好きな人は、パズルゲームとしての手応えにも期待していいでしょうか……?

趙氏:「プラグマタ」はパズルとアクションを組み合わせた、ジャンルとしてはあまりないゲームなので、体験版では初めてプレイする人向けに難易度を抑えています。ですが、製品版ではステージ後半になっていくと、パズルの難易度も上がっていくので、その変化もぜひ楽しんでください。

大山氏:パズルの出来栄えは、一番時間をかけていると言っても過言ではないので、皆さんに満足いただけると思います。

趙氏:パズルゲームは好き嫌いのわかれるジャンルだとは思いますが、何回もトライしてちょうどいいバランスを目指しています。

――「プラグマタ」はどのようなユーザーに向いている、どのようなユーザーにプレイしてほしいとお考えですか?

大山氏:完全新作なので、新しいもの好きという方にはぜひともプレイしてみてほしいです。特にパズルとアクションの組み合わせは、触ってみないとなかなかイメージがつかないと思うので、まずは体験版からダウンロードしてみてください。

趙氏:SFが好きな人、バディものが好きな人、そういった方々に「プラグマタ」はハマると思います。“ディアナ可愛い”だけでももちろん大丈夫です(笑)

大山氏:割とそこがスタートだったというのもあります。体験版のタイトル画面は、何かを描いているディアナの後ろ姿から始まっているので(笑)。キャラクターに興味を持っていただいている方にも十分楽しんでいただけると思います。

趙氏:ディレクターとして、最初にディアナを作っていたんですが、自分よりも周りが「ディアナめっちゃ好き」と言ってくれてびっくりしました。

大山氏:ディアナとヒュー、双方に愛を注いだ結果、今の仕様になっているので、ぜひ楽しんでみてください。

――ありがとうございました。