インタビュー
「MHF-G」大型アップデート「G2」開発・運営インタビュー
「G1」実装から3カ月。課題を克服すべくG級システムの全面改修を敢行!
(2013/7/5 15:00)
「モンスターハンター フロンティア オンライン」(MHF)のサービス開始から6年、「モンスターハンター フロンティアG」(MHF-G)と改名して再スタートを切ったのが4月17日のこと。それから3カ月経たない7月10日に、当初はスケジュールされていなかったアップデート「G2」が実施されることになった。
元の発表では、2013年秋に「G2」、2014年春に「G3」と、半年に1度のアップデートスケジュールが組まれていた。リスケジュールされた「G2」は、明らかにイレギュラーかつ突発的なアップデートとなる。
その背景には何があったのか。「MHF-G」プロデューサーの杉浦一徳氏と、ディレクターの木本龍己氏に、その理由と「G2」アップデートの内容を詳しく聞いた。
G級システムに批判が集中した「G1」。「G2」は0から見直し
――「MHF-G」の手ごたえはいかがですか?
杉浦一徳氏: 「G1」はお客様から厳しい評価をいただいています。中でもG級システムに対するお問い合わせが9割以上でした。新モンスターがすぐに狩れない、G級の「イャンクック」を数多く狩らないと次に進めないところなどでストレスが大きかったようです。またG級武器でレベル11以降の強化失敗があったことや、そもそもG級武具の性能がいまひとつだったことなどにご指摘が集中していました。
――G級に対する魅力が少なかったというところでしょうか。1プレーヤーの感想としては、「フォワード.5」が大盤振る舞いだったのに、「G1」ではリセットされて勢いがなくなったように感じました。
杉浦氏: 「MHF-G」では元々の意図として、ゲームにリセットをかけたかったのです。HR1の時からの古き良き部分をもう1度復刻させようという意図から作られたシステムで、HRに紐づいてモンスターが出てきて、それから試験をクリアして進めていくという流れを、GRで再構築しました。しかしSRではそういった小刻みなものはなく、HR100以降は基本的に何でも狩れるという状況でした。
今までプレイされていたお客様は、好きなモンスターを狩れるという状況に慣れていたため、G級がスタートしたタイミングで新モンスターをすぐに狩れると思われていたはずです。しかし実際にはそれまでに相応な時間がかかり、ストレスを与えてしまう形となってしまいました。UI的にも先に何が待ち受けているかをお見せできておらず、モチベーションが上がらないという形になってしまいました。
――それを受けて、「プロデューサー/ディレクター版 開発運営レポート」を急遽公開したという流れなのでしょうか?
杉浦氏: 内々ではゴールデンウィーク中は様子を見ようという話にしていました。最初に不具合が出てしまい、不具合修正をゴールデンウィーク中も最優先で進めていたため手を打てなかったというのが本音です。ゴールデンウィーク後に木本らコアメンバーを集めて話し合った結果、次にある秋のアップデートまでこのままではいけない、最短でやらなければいけないということになりました。最初は「G1.5」といった形のリファインをかけようと言っていたのですが、お客様のご意見、そして自分でプレイした感覚から、これはリファインではなく、0から見直そうという考えに至りました。
その時スタッフには、「G2」という形で銘打って、気持ちを入れ替えてやった方がいいのではないかと提案しました。現状を直して欲しいとお客様が思うのは当然ですが、現状を直して謝るだけでは十分ではないと思ったのです。直すだけでなく、色を付けてお客様にご提供するのが、サービスとして誠意を見せる方法だと思ったわけです。
そうスタッフを説得した後は、木本が「G4」に向けて作っていたモンスター「ロロ・ゴウガルフ」と「レイ・ゴウガルフ」を前倒しして持ってきたり、新しいコンテンツを1つ入れてG級でやれることを増やしたい、と色々なアイディアを出てきてくれて、期間と工数との戦いになりながらも、徐々にまとめ上げていきました。
GRの縛りを撤廃。G級昇級後すぐに、解禁されている全てのG級モンスターを狩猟可能に
――「プロデューサー/ディレクター版 開発運営レポート」で見直すとしている5点について、どう対応していくのか教えてください。「G級クエストのモンスターバリエーションの少なさ」についての対応はどうなっていますか?
木本龍己氏: G級に入った段階で、ランクに関係なくG級のモンスターを自由に狩れるという形で対応しています。それに加えて新モンスターの「ロロ・ゴウガルフ」と「レイ・ゴウガルフ」をペアで1体と数えるなら、「G2」のアップデート直後では計5体のG級オリジナルモンスターを狩れます。さらに「アノルパティス」、「ギアオルグ」、「レビディオラ」といった新モンスターも、リリース以降は全て狩れます。
――なるほど、すると2番目の「GRPの必要量の多さとその間にやれるコンテンツ量のバランスが悪い」というのも、これが答えになっていますね。ではGRPは今後どうなるのですか?
木本氏: G級グーク、G級プーギー、G級マイトレ冒険屋、G級ホルクというサブコンテンツ開放のキーになります。「G2」ではこの4つですが、「G3」以降もサブコンテンツが追加されていくので、それを開放していく要素として使います。G級プーギーでは、マイトレポイントを60ポイント消費することで、G級スキルカフを装着できるようになります。G級ホルクは、装備できる学びの書が3つに拡張されます。G級マイトレ冒険屋は、極海など新たな場所からG級素材を持ち帰れるようになります。
――既にGRが上がっている人はどう扱われるのですか?
木本氏: 現状稼いでいるGRPを、今のHRに近いような数字による新しいGRに変換します。数字は仮ですが、例えば現状でGRが4の方は、新しいGRで40とか50といった値に置き換わり、それに応じたサブコンテンツが開放されるといった具合です。
――現状はHCクエストでもGRPを取得できますが、廃止するそうですね。これはなぜでしょう?
木本氏: 現状のG級では、GRPを稼がないとモンスターが開放されなかったので、HCクエストでもGRPを取得できるようにしていました。「G2」以降はG級になっていれば配信中全てのG級モンスターを狩れますので、前ほどGRPの重要度は高くはなく、HCクエストでGRPが稼げるようにする必要がないという判断です。
G級武具を最強の位置付けへ。秘伝防具も大幅に見直し
――3点目の「希少素材が入手しにくい」というのはG級のレア素材のことだと思いますが、これの対応は?
木本氏: お客様からいただいていた不満点の1つに、レア素材が全然出ない割に、生産や強化でやたらと要求されるという声がありました。そういった部分は全般的に手を入れようと思っています。レア素材の獲得で部位破壊が必須になっていたものでは、入手先を広げます。また生産・強化のレシピの方も見直し、多量にレア素材を要求するところは数を緩和します。
――G級武器はさらに強化上限が開放されるとのことですが、現状ではレベル20まで上げるのにも相当厳しくなっています。そこも考慮して素材を緩和するということでしょうか。
木本氏: 素材も緩和しますし、100%成功するレシピを追加します。それに加えて、失敗するレシピも残そうと思っています。こちらは今のところ成功確率を60%で統一するつもりです。例えば100%成功するレシピで貴重な素材を3つ要求するものがあるとしたら、60%のレシピでは1つでいい、といった感じです。基本は100%の方を推奨し、要求素材は少ないが失敗するレシピも残すことで、リスク&リターンのバランスをとります。100%成功するレシピについても、概ねレア素材の要求数は現状より少なくする予定です。
――現状レベル20のG級武器の性能が変わったりはしないのですか?
木本氏: それは現状維持です。一定以上のレベルまで強化するとシジルの枠が1つ追加されて、武器倍率も上がっていきます。「G2」の段階では、レベルを最大まで強化することでG級武器が最高レベルの武器になります。
――今のところ覇種武器の方が強いという声もありますが、最大レベルのG級武器はG級覇種武器をも上回るということですね。
木本氏: G級武器のレベル21以降とG級防具の新たな派生先であるGX以降は、「極限征伐戦」で入手できる素材が強化するために必要になってきます。「極限征伐戦」に挑むためにG級覇種武具などを作っていただき、ある程度素材が貯まってきたら次第にG級武具にシフトしていただくという流れを考えています。
「極限征伐戦」は討伐するごとに、どんどんモンスターのレベルが上がるので、G級覇種防具の防御力では途中から厳しくなると思います。G級防具は今回、GFの派生先としてGXが追加され、防御力が約2,000まで上がります。スキルもGXでは5枠目にG級スキルが増え、より魅力的になります。G級武器も他の武器より攻撃力が上回ってくるので、最終的にはこちらに移ると思います。
もちろんG級武具をいきなり作っていただいても構いませんが、覇種武具や秘伝防具を持っている方は、その派生先を作っていただいて、「極限征伐戦」に挑んでいただくという流れになろうかと思います。防御力にはかなりの差があり、G級覇種防具は今回は「G」までの1段階強化に留まるので、防御力は最大でも1,000程度になる予定です。最終的には、避けるのがとてもうまい人が着る防具ということになります。
――G級覇種防具の効果は、従来のものと大きく変わりませんか?
木本氏: そうですね。G級覇種武器が絡んでも発動します、といった程度の変更です。またG級覇種防具そのものにも、今回はG級スキルを付けていません。
――G級秘伝防具は何か特殊効果が付くのですか?
木本氏: こちらはGFまでの2段階強化で、防御力の上昇がメインです。GFの最終強化で防御力1,300くらいを想定しています。
――G級秘伝の強化に使う武器魂、いわゆる“紙集め”がG級でどうなるのかが気になるところですが……。
木本氏: 新たに追加されるG級ハードコアクエストで、G級秘伝防具の強化に必要な素材が出ます。対応モンスターについては、G級クエストで登場しているモンスターの中で、SRで特異個体が登場しているものに関しては、ほとんどG級でもハードコア化できます。モンスターは特異個体をベースにG級独自のアクションが追加されたものになります。ハードコア扱いなので、罠が一瞬で解けるといった特性も継承します。
杉浦氏: 過去では秘伝防具の性能がかなり高く、秘伝防具一択とまで言わなくとも、非常に万能と呼ばれた防具でした。G級秘伝防具はそうならないようにします。全員がG級秘伝防具を持っていないとゲームが成り立たない、といった形にはなりません。
――とはいえ秘伝スキルの中でも優秀なものといまひとつなものがありますよね。そこは調整されるのでしょうか?
木本氏: 他の武器種に比べて見劣りする効果のものについては、今回手を入れます。秘伝スキルを修正するので、G級秘伝防具からではなく、秘伝防具の段階から修正されます。例えば片手剣では、属性系の剣晶に限り+3の状態で機能するようになります。さらに抜刀時の移動速度が上がります。またライトボウガンでは、ジャストショットよりも非常に狭い部分にパーフェクトショットを追加し、より高威力な弾が発射されるようになります。
ヘビィボウガンでは、回避距離アップの効果が付いていたのですが、G級でスキルとして別途登場したので、唯一無二の効果ではなくなってしまいました。そのためヘビィボウガンには回避距離アップはそのままで、新たな能力を増やします。今は圧縮リロードがありますが、これも上位版のパーフェクト圧縮のようなものが秘伝スキルとして追加されます。
――G級秘伝防具で分岐する2種類については、スキル構成は変わるのですか?
木本氏: 秘伝スキル自体は4種類のG級秘伝防具でどれも同じですが、他のスキルはそれぞれ特徴付けしています。。
――例えば白のスキルをそのまま生かしたければ、G級秘伝防具の白を選べば構成は変わらないということですか?
木本氏: 基本的には変わりませんが、一部上位スキルに置き換わっているものもあります。例えば調合系では「調合師」というG級スキルがあるので、それに変わっていたりします。
――新色の黒と青は、全く別のスキルになるわけですね。今までいまいちだと思われていた色の秘伝防具でも、色を変えて使いやすくなって欲しいところです。
木本氏: 今まで白と赤でどちらか一択というものが多かったと思いますが、そこも見直しています。あまり色を考えずに秘伝防具を作ってしまった人も救われるような構成を目指しています。またG級秘伝防具には、今までG級防具独占だったG級スキルもいくつか入っていますので、そういう形で差別化を図っています。
――秘伝二重装備の効果はどうなりますか?
木本氏: 全身FXLv7以上という発動条件になっていますので、G級になってもこれまで通り発動します。FXとGが混ざっていても問題ありません。
――四重装備が出てきたりは……?
木本氏: これ以降もさらに色が増えるかもしれないので、今のところは二重装備までです。なおG級秘伝防具については、将来的には精錬して装飾品化することも考えています。最終的にはG級防具に秘伝スキルの装飾品を入れて使って欲しいと思っています。
操作方法関連は「G2」以降も随時見直し
――4つ目の「武器強化の失敗」については先のお話しにあったとおりの対応ですね。5つ目の「操作方法(アクションと操作方法の不具合)」についてはどうなっていますか?
木本氏: 「G1」でアクションが大幅に追加されたことに伴って、キーコンフィグが従来の形では対応しきれなくなりました。そこを大幅に修正したことに伴い、不具合やアクションが出しづらいという問題が発生しました。キーコンフィグでも以前できていた設定ができなくなったりということもあります。そういった部分を対応していきます。
――特に弓を使っているプレーヤーからの声が多いですね。
木本氏: 今までできたことができなくなったという声をいただいています。そういうところは随時、ピンポイントで可能な限り対応していきます。「G2」では間に合わないのですが、そこはアップデートとは関係なく、随時見直します。
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