【特別企画】

【ハースストーン・スポットライト】「WoW」拡張“カタクリズム”が「ハース」に襲来

「乱闘」「影隠れ」ついにスタン落ち! 2026年は変化の年へ

【ハースストーン・スポットライト】
2月10日 配信

 Blizzard Entertainmentは、PC/モバイル向けデジタルカードゲーム「ハースストーン」の最新情報を届ける「スポットライト」を2月10日2時30分より配信した。

 今回の「スポットライト」では、次のチャプターで登場する拡張版「終焉のアゼロス」が発表された。「終焉のアゼロス」は、2010年に登場した「World of Warcraft」拡張版「Cataclysm(カタクリズム)」を再構築したもので、デスウィングが勝利したというもう一つの世界線、いわゆる“パラレルワールド”を軸とした物語が展開される。

 「終焉のアゼロス」ではキーワード「超大型」をリバイバルするミニオンが登場するほか、新キーワードの「伝令」と「粉砕」が実装。プレイヤーはデスウィングの勢力を食い止めるため、新たなストーリー、強力なカード、期間限定イベントを通じて戦っていくこととなる。

 本稿では今回発表された新情報をまとめて紹介していくとともに、「スポットライト」配信に合わせて実施されたメディア向けのインタビューも掲載。12周年を迎える「ハースストーン」の今後のビジョンや、本作の独特なビジュアルについてなど貴重なお話を伺うことができたので、ぜひチェックしていただきたい。

【Hearthstone Full Segment | Spotlight】

拡張版「終焉のアゼロス」が公開!

 開発チームにより、次回拡張版「終焉のアゼロス」の詳細が公開。3月18日のリリース後、「終焉のアゼロス」によって12周年を迎える「ハースストーン」の新時代が始まる。

 「終焉のアゼロス」は、2010年の「World of Warcraft」拡張版を、決定的な展開とともに再構築したものとのこと。今回はデスウィングが勝利した世界観が展開。ムロゾンドは最後の抵抗として、パラレルワールドのデスウィングをこの世界に引き入れるというストーリーラインが描かれる。

 次期チャプターでは主に以下の3つの特徴が登場する予定。

「超大型」のリバイバル

  • 超大型は、使用時に追加のミニオンを1体以上召喚する巨大なミニオン。プレイヤーはカード1枚で、複数の身体部位を得ることができる。
  • 各クラスに固有の超大型ミニオンが登場。そのうち6体はデスウィングの臣下となる。
    ※キーワード「超大型」は、元々2022年の「深淵に眠る海底都市」で登場

新キーワード「伝令」と「粉砕」

  • 伝令:デスウィングの臣下に手を貸したクラスが使用可能。「伝令」を持つカードは使えば使うほど、より強力となる。
  • 粉砕:ドラゴン族と協力してデスウィングに立ち向かう者たちが使用可能。「粉砕」カードは引いた際に2つに振り分けられ、手札の両端に配置される。そのカードは別々で使用できるほか、カードが手札の中央で揃うことで、1枚に戻して力や値を2倍にすることができる。

「勝利」と「背水の陣」

 「勝利」と「背水の陣」はクラスの呪文カードで、各クラスの時の英雄を象徴しているという。英雄たちが勝利を宣言したり、デスウィングからアゼロスを救う戦いにおいて 最後の抵抗を見せる姿を表しているとのことだ。

【新カード一覧】

イベントおよびオファー

イベント「ドラゴンのお宝」

 プレイヤーは共有のマイルストーンを達成することで、「終焉のアゼロス」シグネチャーレジェンドカードなどの報酬を獲得できる。

酒場のアップデート

 酒場の新たなビジュアル、音楽、ゲーム盤が登場する予定。

無料お試しカード

 「終焉のアゼロス」リリース1週間前の3月11日に、プレイヤーは「夢みる大地エメラルド・ドリーム」と「ウンゴロ最後の秘境」のカードすべて(ゴールデン版を含む)を入手可能となる。詳細は以下の通り。

  • これらのカードは「終焉のアゼロス」拡張版の期間中に使用可能
  • このお試しカードとコアセット、ゲーム内イベントによって、全スタンダードカードの2/3を無料で使用可能
  • お試しカードの使用に役立つデッキレシピも提供される

 なお、同拡張版2つのカードの大半をすでに所有しているプレイヤーには、以下が贈られる。

  • 「夢みる大地エメラルド・ドリーム」の場合は、シグネチャー「エメラルドのアスペクト・イセラ」
  • 「ウンゴロ最後の秘境」の場合は、シグネチャー「終焉をもたらす者ウンブラ」
【報酬カード(一部)】

2026年コアセットのアップデートについて

 「ハースストーン」は新年を迎え、カードの「コアセット」、ゲームメタ、過去のカードセットがローテーションとなる時期としたうえで、流動的なメタやより強いクラスの特徴により、2026年を変化の年にするとのこと。その一環として、「乱闘」、「影隠れ」といった一部の定番カードが入れ替わることが明かされた。

 定番カードの入れ替わりについては、様々なインパクトの高いカードをカードプールから外し、ゲームデザインの自由度や以前の有力な効果を使わないクラスの新たな戦略を模索する余白を確保するため、とのことだ。

 さらに、今年度の「ハースストーン」ランクマッチにおいて、レジェンドとなったプレイヤーには、新カード裏面デザイン、デフォルトのカード裏面を変更できる見た目カスタマイズが贈られることも発表。今年初めてレジェンドに到達したプレイヤーには、往年のものとは違う、新しい裏面デザインの両方を獲得することができる。

定番のカード「乱闘」、「影隠れ」が次回チャプターよりスタン落ちに

12周年を迎える「ハースストーン」の2026年ビジョンとは? 開発者インタビュー

 「ハースストーン・スポットライト」の配信に合わせ、Blizzard Entertainment本社のあるアメリカ・カリフォルニア州 アーバインにて、開発者へインタビューを実施させていただく機会を得た。

 “変化の年”だという今後のビジョン、次回拡張版の特徴、「ハースストーン」のビジュアルや世界観についてなどを伺うことができたので順に紹介していきたい。

「ハースストーン」における2026年のビジョンについて

左:ネイサン・ライオンズ・スミス氏(エグゼクティブプロデューサー)、右:タイラー・ビールマン氏(ゲームディレクター)

――12周年を迎え、20周年に向けて現在のハースストーンを一言で表すとどういう状況ですか?

ネイサン:現在は、ランク戦、バトルグラウンド、アリーナという主要なモードをサポートすることに集中しています。プレイヤーは常に新しいコンテンツやメカニクスを求めており、今回は「Cataclysm(カタクリズム)」(WoWの拡張版)を導入できることにワクワクしています。

 8年後の20周年はまだ先ですが、今後も主要3モードに注力し、新規・復帰プレイヤーが入りやすい環境を作っていきます。今回は実験的に、昨年リリースの2つの拡張版カードを無料で使えるお試しなどの施策も行っています。

――開発チームが大切にしている思想、コアビジョンを教えてください。

タイラー:「カタクリズム」から、物語とゲームモードをより密接に結びつける新しいプログラムを開始します。ログインしてすぐに一番楽しいこと、やりがいのあることを見つけられるようにし、コミュニティ全体で楽しめる環境を作ることが目標です。これは今後2〜3年かけて展開していきます。

――2025年を振り返って、印象的なフィードバックはありますか?

タイラー:特定のカードが多くのデッキで使われすぎているという、プレイヤーのフラストレーションを認識していました。そのため、「カタクリズム」リリースに合わせて行うコアセットのローテーションは、これまで以上にアグレッシブに行い、常に最新コンテンツが最強であるように調整します。

ネイサン:例えば「乱闘」や「影隠れ」のような、長年親しまれてきた強力なカードを排除することで、新しいカードが活躍する余地を作ります。

――日本のファンに伝えたいことはありますか?

タイラー:20年前に「デュエル・マスターズ」の開発で初めて日本へ行きました。日本のTCG文化の深さが大好きです。ハースストーンがデジタルカードゲームとして日本でさらに成長し、最高だと言ってもらえるよう努力を続けます。

――日本でのオフラインイベントやコミュニティ施策の予定はありますか?

ネイサン:今年のBlizzConで、7年ぶりに有観客で世界選手権を開催します。パンデミック後、どのようなオフラインイベントが求められているか模索中であり、現時点で日本での約束はできませんが、プレイヤーが集まることの重要性は理解しています。

「ハースストーン」におけるビジュアル個性および物語の視覚効果技術などについて

左:デズ・ベンコスメ氏(コンセプトアーティスト)、右:ジョン・ナイマイスター氏(リード2Dアーティスト)

――「ハースストーン」のこれまでのアート全般と、今回の拡張版の違いを教えてください。

ジョン:ハースストーンには10年以上の歴史があり、その前身のTCG(World of Warcraft Trading Card Game)から続いています。「ハースストーン」になってからは、「WoW」の世界観をより様式化し、明るく、ウィットに富んだ表現に定着させ、鮮やかな色彩や魅力的なシルエットを大切にしてきました。

 今回の拡張版は、これまでの明るい雰囲気とは異なり、よりダークでシリアスな物語です。1年を通じてのトーンの変化を意識してデザインしました。

――今回の拡張版の制作が決まった時の印象や、デザイン上の工夫を教えてください。

ジョン:デスウィングは非常に魅力的な悪役なので、彼を中心にデザインするのは楽しかったです。「WoW」ファンに愛されている物語を、「ハースストーン」らしい遊び心を加えつつ再解釈することに注力しました。

デズ:私たちは拡張版ごとに「シリアスか、おちゃめか」、「ダークか、明るいか」というマトリックス上で位置付けを変えています。今回はダークですが、それでも「ハースストーン」らしさを失わないよう、フェルの緑やラグラノスの炎、紫色の魔法など、彩度の高い鮮やかな色を使い、視覚的な楽しさを維持しています。

――ハースストーン特有の「おちゃめさ」はどのように生まれているのでしょうか?

ジョン:「WoW」も元々リアル志向ではなくファンタジーに振り切ったスタイルですが、「ハースストーン」はさらに「リラックスした空間」を目指しています。

 冒険に疲れた旅人が酒場に戻り、温かい場所で友人とお酒を飲みながら遊んでいる、という設定です。だからこそ、シリアスな場面でも、トレーラーに出てきた「ちびデスウィング」のような、かわいくて面白い要素がハースストーンらしさとして輝くのです。

――デジタルゲームでありながら「物理的な質感」を重視しているのはなぜですか?

デズ:私たちはハースストーンにフィジカルな質感を持たせることを重視しています。例えばパック開封の瞬間です。現実でパックを破る時の高揚感をデジタルで表現するため、派手なVFXや爆発するような演出を取り入れました。

 UIも、魔法の引き出しがついた不思議な箱の中にゲームが存在しているようなデザインにし、カード裏面も「誰かが手作りした工芸品」のような質感を目指しています。

時期拡張版の特徴などについて

左:エリック・ラーソン氏(シニア・ゲームプロデューサー)、右:コラ・ジョルジオ氏(リード・デザイナー)

――日本のプレイヤーには「World of Warcraft(WoW)」に詳しくない人もいます。「カタクリズム」とは何か、そしてなぜ16年前の拡張版を今選んだのか教えてください。

コラ:「カタクリズム」は、かつて守護者だった黒龍デスウィングが「旧神」に汚染され、世界を焼き尽くそうとする物語です。「WoW」において「カタクリズム」は、ゲームの既存の概念や地図を焼き払い、大きな変化をもたらした拡張版でした。「ハースストーン」も今年、ローテーションによって大きな変化を迎えます。その新しい門出を象徴するのに、これほど相応しいストーリーはないと考えました。

――前回の拡張版が「時間を巻き戻す」テーマでしたが、今回のifストーリーはいつ頃から計画されていたのですか?

コラ:「カタクリズム」の物語に登場するムロゾンドは、世界が滅びた未来のタイムラインに存在しています。デスウィングの物語と時間の繋がりは非常に密接で、2つの拡張版を連作のような物語にすることは自然な流れでした。

――新キーワード「伝令」と「粉砕」の詳細を教えてください。

コラ:デスウィング側の6クラスが持つ新キーワード「伝令」は、デスウィングへの忠誠を誓うことで増援が送られ、最終的に4回使うとプレイヤー自身がデスウィングに変身して戦うことができます。

 一方、ドラゴン軍団側の新キーワード「粉砕」は、手札に入った時に2枚に分かれ、手札の両端に置かれます。カードを使い進めてその2枚が隣り合った時、本来のコストではあり得ないほど強力な効果を発揮します。これは「団結してデスウィングに立ち向かう」というテーマを表現しています。

エリック:エンジニアチームの尽力により、今回から「手札のカードを自分で選んで対象にする」ことが可能になりました。

 これまでは手札を捨てる効果などはランダムでしたが、これからは「どのカードを山札に戻すか」、「どのカードをバフするか」をプレイヤーが選択できます。これが「粉砕」などの新メカニクスとも深くシナジーを発揮します。

――開発中に出たユニークなアイデア、エピソードなどあれば紹介していただけますか?

エリック:デザイナーたちは常に大きな夢を描きます。私の仕事は、エンジニアのリソースや予算を管理しながら、そのアイデアをどう実現するか調整することですが……最初にチーム内でテストプレイをした時、あまりにも突拍子もない内容に全員が驚き、吹き飛んでしまいました(笑)。「これは凄いことになるぞ」という確信を得た瞬間でした。

コラ:没になったアイデアもたくさんあります。「全てのヒーローパワーを変えよう」とか「ハースストーン史上全カードのバランス調整を一度にやろう」とか(笑)。結局、今の形が一番楽しく、「ハースストーン」の景色を鮮やかに変えるものになったと自負しています。