インタビュー

「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」インタビュー。七英雄の過去が明かされるフルリメイク作品!

七英雄のより詳細な物語に迫ることができるように!

【ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン】

10月24日 発売予定

価格:
6,820円(パッケージ版/ダウンロード版)
22,000円(e-store限定版)

 スクウェア・エニックスから10月24日に発売予定のプレイステーション 5/プレイステーション 4/Nintendo Switch/Steam用RPG「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」。(Steam版は10月25日発売予定)

 「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は、1993年12月10日にスクウェアから発売されたSFC用人気RPG「ロマンシング サ・ガ2」のフル3Dリメイク作品。「ロマサガ」シリーズの特徴として、ストーリー面、戦闘面において高い自由度が魅力の作品で、プレーヤー独自の歴史を作ることができるようになっている。

 今回は、「ロマサガ2 リベンジオブザセブン」のプロデューサーを務める田付信一氏にお話を伺うことができたので、その模様をお届けする。

プロデューサー田付 信一氏
【『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』アナウンスメントトレーラー】

「リベンジオブザセブン」の副題にはやはり意味があった!

――田付さんはサガシリーズに関わられるのは今回が初ですが、サガシリーズにどのようなイメージを持っておられますか?

田付氏:もちろん、「ロマサガ2」はプレイしたことはあったんですけれども、非常にユニークで、独特なイメージがありますよね。閃きとかもそうですけれど。皇帝継承システムだったり、本当にすごくチャレンジングな作品だなというイメージを持っておりました。

――初めてサガシリーズに関わることになって、プレッシャーなどはありましたか?

田付氏:プレッシャーは意外となかったですね。大役を任されたとは思いましたが、気持ち的には非常にありがたくやらせていただきました。

――リメイクにあたって、原作を手掛けられた河津さん(※1)とは何かお話をされたのでしょうか。

田付氏:最初に、どういうリメイクにしたいかなどをお話しましたね。とはいえ、特に「こうしてほしい」みたいなものはなかったです。僕が2020年に発売された「聖剣伝説3」のリメイク版を担当していたので、その流れで市川(※「サガ」シリーズ総合プロデューサー:市川 雅統氏)から今回のお話を受けたのですが、どういうギミックにするかなどは僕のほうで決めてくれという感じでした。

※1:河津秋敏氏、「サガ」シリーズの生みの親として数多くの作品を手掛けるゲームクリエイター。原作にあたる「ロマサガ2」ではディレクターとしてシナリオを手掛けた。

――それだけ信頼されていたということですね。

田付氏:ただ、最初に社内で「田付が『ロマサガ2』をアクションにするらしい」という間違った噂が流れて、それを聞いた河津から「アクションにするんですか……?」とすごく不安そうに聞かれましたね(笑)。

――アクションはさすがの河津さんも怖かったのでしょうか(笑)。ちなみに、どういった経緯で「ロマサガ2」をフルリメイクすることになったんでしょうか?

田付氏:河津、市川からの要望もあったんですけれども、「ロマサガ1」は「ミンストレルソング」があるので、やっぱり次は「ロマサガ2」だよね、という順番でやろうということになりました。「ロマサガ2」はシリーズの中でも人気作なので、ファンの皆様も待ちわびているんじゃないかという点もありましたね。

――今回のフルリメイクのコンセプトをお伺いできますか?

田付氏:基本的には「ロマサガ2」ならではの良さを大事にしたい、というのがありました。例えば閃きだったり、陣形だったり、あとは皇帝継承システムとか、世界観で言うとそういった「ロマサガ2」の軸となるものは、絶対に変えない、というところですね。

 一方でグラフィックスやゲームシステムは現代化しようというコンセプトで作っていました。

閃きなどの軸は、そのまま

――副題の「リベンジオブザセブン」の由来をお聞きしたいです。

田付氏:本日9月19日には、トレーラーも新たに発表させていただきました。ぜひそちらをご覧いただければと思うのですが、オリジナル版では七英雄がモンスターになった後の話しか出てこないのですけれども、それ以前に人間だった頃の七英雄のお話が本作で明らかになります。昔、英雄だった七人が何故闇に落ちて人類の敵になるのかというのが、ゲーム内でわかるようになっています。

【『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』TGS2024 トレーラー】

――人間だったころの七英雄というと、舞台版「ロマサガ」の「七英雄の帰還」が思い出されますが、もしかしてその頃のお話も含まれていたり……?

田付氏:舞台版まで御覧いただいていてありがとうございます。舞台版の「七英雄の帰還」には第一幕と第二幕があって、人間だった頃のお話――いわゆる第一幕の部分をになります。

――え、本当ですか!? ノエルとオアイーブのロマンスを中心にしたお話がゲーム上で楽しめてしまうのですね。「七英雄の帰還」は本当に素晴らしくて、でも舞台を見た方にしか伝わらないのはすごくもったいないと思っていたんです。なので、とても嬉しいです。

田付氏:そこまで喜んでいただけると、こちらとしてもとても嬉しいですね。ただ、設定がまったく同じではなく、例えばノエルとオアイーブのロマンスなどはあくまで舞台上の設定で、本作はそこが中心ではありません。

――七英雄のお話がそこまで掘り下げられるとなると、更に気になるのは、アーケードゲームの「ロード オブ ヴァーミリオン」のフレーバーテキストで書かれていた吸引の法などについてなのですが、そういった部分も本作に収録されるのでしょうか?

田付氏:すごい、お詳しいですね! 「ロード オブ ヴァーミリオン」のフレーバーテキストの内容も一部参考にして、七英雄の過去を構築しています。七英雄により迫る内容になっておりますので、ぜひ、ご期待ください。

七英雄のストーリーが深く掘り下げられているとあって、楽しみが増す内容に!

ルドン送りはしなくても良い作りになっている

――リメイクにあたってここは絶対に守りたい、一方でここは少し変えようというポイントはありましたか?

田付氏:独特な「ロマサガ2」ならではのシステムについては先程もお話しましたが、他には河津独特のセリフ回しなどもあえて変えないようにしていますね。ただ、「ロマサガ2」は当時防御力がわかりにくいとか、どこにいったらいいのかわからないとか、そういった部分があったのは確かです。その点については現代のゲームにあわせてわかりやすく変えました。新旧どちらのプレーヤーにも楽しんでいただけるようにしています。

――河津さんの独特のセリフ回し、とても良くわかります。序盤ですと、「よいか、ジェラール。われわれはインペリアルクロスという陣形で戦う」あたりのくだりがまず真っ先に浮かびますよね。でも、文字で見るのと実際に声優さんにお声を入れていただくのとでイメージが違ったりする部分もあったかと思うのですが、どのように調整されたのでしょう。

田付氏:河津の独特のセリフとかは、確かに3Dにするとちょっとコミカルすぎるかな、というところももちろんありますが、それは今回はあえてそのまま活かしています。声優さんたちにもうまく演じていただけました。

――キャラクターデザインには、どんなコンセプトがありましたか?

田付氏:キャラクターデザインは、元々の小林智美氏のデザインがベースにあります。とはいえ、小林氏のデザインは元々3D前提ではないので、そこをアレンジするという風にしていますね。

 例えば、宮廷魔術士(女)のエメラルドは小林氏のデザインだと全身が赤なのですが、3Dにしてみるとちょっと今っぽくないので、じゃあパンツは濃いダーク寄りな茶色にしたりしていますし、シティシーフ(女)のキャットは小林智美さんのデザインだとマントがあるのですが、マントを小さくして可愛らしさに寄せたりといった工夫をしています。

エメラルド
キャット

――なるほど。では皇帝継承システムについて、今回のリメイクで変わったところはありますか?

田付氏:オリジナル版の「ロマサガ2」とは違い、皇帝の椅子に座ることで「皇帝退位」を選べるようになりました。また、「ロマサガ2」では4名の継承者候補から選ぶようになっていましたが、今回は6名から選べるようになっています。

――開発側としてはあまり推奨しないとは思うのですが、「ルドン送り」についてはいかがでしょう?

田付氏:ルドン送りは、できなくはありませんが、しなくても大丈夫なように作っています。

――やはりひとりくらいはルドンに送ってみたくなります(笑)。シナリオはプレーヤーの好みで進めていって問題ないんですよね?

田付氏:そうですね、フリーシナリオなので自由に進めていって大丈夫です。ボスとかも、ある程度好きな順番で倒せます。

ゲーム全体をリアル寄りにすべくバトルシステムを変更

――バトルシステムも大きく変わりましたが、どのような経緯で変更になったのでしょう?

田付氏:実は開発当初、オリジナル版とほぼ同じバトルシステムでやってみたのですが、少し違和感がありました。というのも、マップを3Dでリアルに歩くのに、戦闘に入ると全員のコマンドを入力し終わるまで全員がただ待機している、というのが不自然だったのですね。やはり、ボタンを押したらすぐに行動してほしい、というのがフィールドからの流れでありまして、ダンジョンをリアルにするからにはバトルももう少しリアル寄りにしたいと思っておりました。そこで、タイムラインバトルという名前で、順番に行動していくようにさせていただきました。

――「サガ」シリーズのタイムラインバトルというと、「サガ スカーレットグレイス」や「サガ エメラルドビヨンド」のタイムラインバトルが思い浮かぶのですが、そのシステムとも全く違うバトルになりましたね。

田付氏:単純に「行動順でキャラクターが動く」というところから一般的なRPGでも馴染みのある名称として使用しています。なので「サガスカ」や「サガエメ」の様に敵を味方で挟む、敵味方の行動順を入れ替えたりといったシステムはありません。あくまでもゲーム全体をリアル寄りにしたのとバトルのテンポ感として、行動順でキャラクターが動かすのが最適といった形になりました。行動順で敵味方共に動きますので、危険行動の対処のしやすさや使いやすくなったクラスも多いです。

ゲーム全体をリアル寄りにした結果のタイムラインバトル

――バトルに難易度があるところにも驚きました。

田付氏:難易度は、実は「サガスカ 緋色の野望」でも取り入れているんです。「サガ」シリーズは新規のプレーヤーさんからすると「興味はあるけれど、ハードルが高いゲーム」と思われているところもあって、導入させていただきました。

――「サガ」シリーズは独特の難易度ですよね。

田付氏:そうなんですよね。「サガ」シリーズ独特のルールがあって、シリーズをプレイしている方にはそこが魅力でもあると思うのですが、新規のプレーヤーさんに色々と全部ご理解いただくのも難しいですし、もっと気軽に始められる「サガ」があってもいいんじゃないかと思いました。河津からも、難易度の導入については特に何も言われなかったですね。

――オリジナル版には「連携」システムがなかったので、連携が加わることでバトルは結果的に簡単になるんじゃないかと少し危惧したのですが、そんなことは全然なかったですね。

田付氏:難易度は連携ありきで調整していまして、難易度「オリジナル」はしっかりやり応えがあるように作っていますので、ご安心ください。

「サガ」シリーズではお馴染みなものの、「ロマサガ2」では当時実装されていなかった連携システム

――BGMは原作のイメージを損なうことなるく新たにアレンジされていて感動したのですが、伊藤賢治さんとはどのようなお話をされたのでしょう?

田付氏:基本はSFC版の頃のイメージを崩さないアレンジにしていただきたい、というお話をしました。SFC版の頃は鳴らせる音数が限られていましたけれど、それを現代風にリッチにしたアレンジにしてほしいとお願いしましたね。

伊藤賢治氏自らによるBGMは必聴。新規楽曲もあるとのことだ

――限定版には、1993年当時にNTT出版さんから発売された攻略本が付属しますが、このチョイスは素晴らしいですね。

田付氏:この企画、実は2020年に発売された「聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ コレクターズ エディション」でもやりまして、その時にとてもご好評いただいておりましたので、今回も必ず喜んでいただけると確信しております! ぜひ限定版をご予約いただけると嬉しいです。

ジェラールの表紙が懐かしい、古参ファンにも新規ファンにも嬉しい特典

――本日から製品版に引き継げる体験版も配信されるということですが、どの辺りまでプレイすることができるのでしょうか?

田付氏:こちらはゲーム冒頭~レオンからジェラールへと皇帝継承するまでをプレイすることができます。セーブデータをそのまま製品版に引き継げますので、ぜひダウンロードして遊んでみていただけると嬉しいです。

――それでは最後に楽しみにしているファンへメッセージをお願いいたします。

田付氏:本作は新しい体験ができる「サガ」シリーズになり、新旧問わず幅広い方に遊んでいただける内容になっていると思います。現代風に非常にプレイしやすいのはもちろんのこと、「サガ」シリーズは物語が独立しておりますので、いきなり「ロマサガ2」から始めても全く問題ありません。ぜひ本作をきっかけに「サガ」の世界へとスタートしてみてほしいので、体験版をダウンロードして、プレイしていただけると幸いです。

――ありがとうございました。