インタビュー
「リネージュ2M」リリース1,000日記念インタビュー
失敗やお詫びも様々。“選ばれるMMORPG”を目指す運営の日々
2023年12月12日 12:00
- 【リネージュ2M】
- 12月18日 リリース1,000日達成
NCSOFTがサービス中のAndroid/iOS/Windows(NCSOFTの独自クロスプラットフォーム「PURPLE(パープル)」を経由)用オープンワールドRPG「リネージュ2M」が2021年の3月24日のリリースから1,000日目を12月18日に迎える。
「リネージュ2M」はPC用MMORPG「リネージュ2」の正統後継作品としてモバイル向けにリメイクされた作品で、3Dグラフィックスでシームレスなオープンワールドが実現されている。多様性と自由度を兼ね備えた成長を楽しむことができるゲームデザインになっており、1万人以上が集まる超大規模バトルも体験できる作品だ。
国内サービスが始まり、多くのプレーヤーがこの世界に飛び込み、喜怒哀楽や協力も競争も入り交じる、唯一無二のゲーム体験が繰り広げられた。そんな世界をさらにプレーヤーに楽しんでもらうべく、新しいイベントやコンテンツの追加でゲームを盛り上げるのが「リネージュ2M」の運営/開発チームのメンバーだ。
そこで今回は「リネージュ2M」日本プロデューサーの柴田優輝氏と、運営を担当するFSニウス氏にリリースから1,000日間のエピソードを伺い、それだけ長期に渡ってプレーヤーに遊んでもらえる本作の魅力や、工夫している点、そして今だから言える笑い話などを振り返ってもらった。
長く感じた1,000日でもあり、あっという間の1,000日でもある
――本日はよろしくお願いします。まずは簡単な自己紹介をお願いします。
柴田氏:「リネージュ2M」の日本プロデューサーの柴田です。日本サービスにおける大枠の意思決定や、データを元に各所と協議するなどの調整が主な業務になります。
FSニウス氏:FSニウスです。「リネージュ2M」に関連する他部署と連携しながら「リネージュ2M」における運営業務全般を行っています。元々は「リネージュ2」が好きでNCに入社して、「リネージュ2」の業務を担当していました。
柴田氏:FSニウスは「リネージュ2M」に「リネージュ2」らしさを入れるという重要な業務も担当しています。両タイトルは名前や世界観が異なる部分もあるのですが、そこをすりあわせるための中核的な業務を担当しています。
――「リネージュ2M」がリリースから1,000日を迎えたということで、今の率直な感想を教えてください。
柴田氏:1,000日、つまり約3年なのですが、あまり実感がわいてないですね(笑)。結構時間が経ったなという印象もありますし、気がついたら1,000日経っていたという印象もあります。ここまで来れたのは本作を遊んでいただいているプレーヤーの皆様のおかげなので、本当に感謝しています。
FSニウス氏:自分も似たような感じで、「もう1,000日経ったのか」という気持ちと、「まだ1,000日なんだ」という気持ちが半々くらいです。この1,000日は一瞬で駆け抜けるようなスピードで、アップデートやコンテンツの追加を行ってきたので、5年くらいサービスをしているようなボリューム感でしたね。
1,000日を無事に迎えることができたのは、普段から本作をプレイしていただいているプレーヤーの皆様のおかげだと思っていますので、今後とも楽しんでいただけるようなアップデートなどを準備していければと思っています。
――それでは1,000日を振り返ってみて、プレーヤーの方から反響が大きかった出来事はありますか?
柴田氏:直近で言うと2023年9月に実施したイベントの「アンタラスバックアタック」です。「アンタラス」という巨大なドラゴンのボス モンスターをみんなで討伐するというイベントで最終的には討伐できたのですが、テストサーバーでは起きなかったトラブルが当日起きてしまい……。改めてこの場を借りてお詫びを申し上げます。
イベントは1週間延期としたのですが、最終的には無事に討伐することができたので、運営側としても、プレーヤーの皆様としても大きな出来事だったと思います。というのも「アンタラス」自体は2022年8月に実装しまして、当時はX(旧Twitter)などで話題になったのですが、実装直後の段階では討伐されませんでした。
FSニウス氏:イベントの際は幅広い層のプレーヤーの皆様に遊んでいただけるよう、イベント用の特化武器なども用意して、討伐に挑んでいただきました。
柴田氏:結果的に1週間遅らせてイベントを実施したのですが、プレーヤーの皆様が集まりすぎてイベントエリアに入場できない問題や、ゲームのクライアントが落ちてしまうなどのトラブルもあり、難しい部分もありました。また、報酬面でも良いアイテムを設定したのですが、仕様が少し特殊で、ご不便をおかけした部分もありました。
FSニウス氏:本当にどうなることやらという感じでしたね。
柴田氏:これはプロデューサー視点になるのですが、「アンタラス」はすごく有名なボス モンスターなので、イベント開始のタイミングにあわせて、様々なプロモーションを行っていました。日付を公開して、当日により多くのプレーヤーの皆様に集まっていただいて、盛り上がるイベントだったわけです。
そこでトラブルが起きてしまった。そうなると原因の究明も必要ですし、プレーヤーの皆様への告知も必要です。もし、イベントを延期するしかないとなったら補填の準備も必要ですし、「簡易的なイベントでもいいから開催できないか」といった調整をリアルタイムで行っていました。最終的に開発側と協議し、「プレーヤーの皆様にちゃんと補填をしましょう」ということで、プレーヤーの皆様にお詫びのアイテムをお配りしました。
FSニウス氏:今だから言える話なのですが、延期が決まった際にお知らせとともにお詫びとして補填アイテムを配布したところ、一部のプレーヤーの方から「こんなに良いお詫びアイテムがもらえるんだったらまた延期して欲しい」みたいなフィードバックもありました(笑)。
柴田氏:再開催するにしても、翌日の土曜日にするか、翌週の金曜日にするかという悩みもありました。プレーヤーの皆様もイベントにあわせてスケジュールを調整してくださっていると思うので、翌日よりは翌週の同じ曜日の方が調整しやすいのではないか、ということで1週間遅らせました。
――そして改めて1週間後にイベントを実施されたんですね。
柴田氏:運営側としては、延期して改めてちゃんと入場できるか心配でドキドキしていました。可能な限りプレーヤーの皆様に参加していただけるように、サーバー側だけでなく、端末側の負荷もあるので、そこのバランスを踏まえて限界まで調整していました。
FSニウス氏:本当にたくさんのプレーヤーの皆様に集まっていただいたイベントで、普段は敵対している連合同士が一緒に戦ってアンタラスを討伐していたので、特別感のあるボス討伐イベントになったかと思います。
プレーヤーからの要望を受け実装した「ログアウト プレイ」
――「リネージュ2M」のサービスで転機だった出来事はありますか?
FSニウス氏:僕はリリースのタイミングで、「PURPLE」というPC版のクライアントが導入されたことかなと思います。「PURPLE」を使うとPCでゲームを起動しておいて、外からスマートフォンなどでストリーミングでプレイができたので、革命的だったと思います。
もちろんそれまでも色々なツールによって似たようなことができたのですが、公式のサービスとして提供して、なおかつ使いやすい環境を整えられるというのは非常に大きいと思いますね。
もう1つが「ログアウト プレイ」です。元々は「リネージュM」に実装されている機能で、ログアウトしても一定時間キャラクターが狩りを続けてくれるという機能です。当初は1日8時間まで利用できたのですが、プレーヤーの皆様からの要望をいただいて、今は10時間まで利用できるようになりました。様々な事情でどうしてもずっと起動していられないという方がいらっしゃると思うんです。ほかにも便利な機能を導入したのですが、特に「ログアウト プレイ」を実装できて良かったなと思います。
――「ログアウト プレイ」の実装に至った経緯について教えてください。
柴田氏:「ログアウト プレイ」については、最近決まったというよりは実はずっと開発を進めているものでした。元々日本の「リネージュM」ではリリース当初からログアウト プレイが先行実装されていましたし、「リネージュ2M」でも非常に要望が多い機能でしたので。開発は進めていて、どのタイミングで実装できるかを調整していた、というのが実際のところです。
FSニウス氏:他にも「リネージュM」にあって「リネージュ2M」にない機能もありますので、そういうところも上手く調整できれば導入したいと思っています。
柴田氏:例えば「スケジュール機能」もその1つです。「リネージュ2M」にも導入したいという話はもちろんしているのですが、いつ実装できるかなどはなんとも言えない状況です。プレーヤーの皆様の意見もちゃんと聞いた上で開発は進めています。
また「血盟基金」なども同じですね。リリース当初など、そのシステムが入っていないときは分配などが大変だったと思います。それが血盟単位や連合単位でダイヤやアデナを分配できるようになったので、攻城戦関連のシステムも便利になっています。全体的に利便性は向上しているかと思います。
――ほかに大きな転機はありますか?
柴田氏:11月に実施した、各村の「アインハザードの像」を通じて進行できる啓示クエストのリニューアルがそうではないでしょうか。新たに「教団の象徴」というアイテムが入手できるようになったのですが、このアイテムを製作の材料にすると、英雄級の武器や、そこでしか入手できない一般級から英雄級の「アガシオン」の製作に挑戦できます。アップデート前までは、各村の「アインハザードの像」を通じて進行できる啓示クエストをあまり触っていない方もいらっしゃると思うのですが、報酬として獲得できる「アインハザードの祝福」も増加しているので、特に少し「リネージュ2M」をお休みしていた方に向けて良いコンテンツになったと思います。
――ゲーム的に大きな節目はありますか?
柴田氏:2022年3月に行われた「異教徒のカタコム」の実装ですね。個人戦と血盟戦があるのですが、コンテンツとしては報酬が最も豪華なもので、大きく変わったところだと思います。
それまでのイベントやコンテンツの報酬は、あまり成長体感が得られないようなものが多かったと感じています。例えば毎日郵便で受け取れる「アインハザードの祝福」などのアイテムですね。もちろんあったら嬉しいとは思うのですが、バランス調整があったとしても驚きは少ないとも思っています。ですが「異教徒のカタコム」については期間が長い分報酬が大きく「英雄級のアイテムがもらえるんだ」や「今回の報酬はこんなに豪華なんだ」と思えるものになっていて、コンテンツにマメに参加するなど、遊び方が変わったタイミングだと思います。
――ほかは何かありますか?
FSニウス氏:転機というよりタイトル自体の醍醐味になるのですが、やはり「リネージュ」らしさを感じることのできる「ギラン/ディオン攻城戦」や、複数のサーバーのプレーヤーが集まる「アデン攻城戦」などの、大規模な戦闘ですね。特に実装当初は非常に多くのプレーヤーの皆様が集まり、「こんな人数が集まるコンテンツがスマートフォンのゲームで動くの?!」といったご意見をいただきました。
そんな中、すごく狭いところに密集するなどの状況ではゲームが落ちてしまうこともあったのですが、「こんな端末でも攻城戦を楽しめたよ」といったフィードバックがあり、一安心したところはあります。
私たちが言うのもアレですが、「こんなに多くの人はどこから来たんだ(笑)」というくらい多くのプレーヤーの皆様が狭いエリアに集まってそこで熱い攻防を繰り広げる様子を見ることができて、とても「リネージュ」らしいなと思いました。
柴田氏:詳細は言えないのですが、新しい攻城戦も準備していますので、そちらも楽しみにして欲しいですね。
プレーヤーとコミュニケーションが取れたゲーム内イベント
――大変だったこと、またはチャレンジだったということはありますか。
柴田氏:FSイベントです。いくつかFSイベントはやっているのですが、一番自由度が高かったのが、10月に行ったハロウィンのイベントです。
昨年(2022年)のハロウィンイベントでは、FSのキャラクターを操作して、アイテムを配ったりテレポートをするといった操作をやっていたのですが、どこまで自由に行動して良いのかという問題がありました。例えば「アイテムを配るのは良いけど、チャットして良いのか」だったり、「移動して良いのか」など、どこまでやって良いのかという線引き問題があって、結果的に「なんだこのNPC(Non Player Character)は」など、プレーヤーの皆様から言われていました。
その学びを活かして、どこまで自由にできるかと挑戦したのが、10月に実施したFSイベントです。その時は企画の段階で「プレーヤーの皆様と交流する」といった内容を含めて範囲を定めたので、範囲の中で自由に動き回ったり、チャットを行うなど、コミュニケーションを取って進行していました。
――プレーヤーとコミュニケーションを取る、というのは難しい部分がありますよね。
柴田氏:昔はプレーヤーの皆様とコミュニケーションをするのを良しとする文化もあったので、人生相談に乗っているようなGM(ゲームマスター)もいましたね。
FSニウス氏:8、9年前くらいの話なのですが、当時のPCの「リネージュ2」で、とあるプレーヤーの方の相談に乗って、20時くらいから深夜の3時くらいまで話し込んだことがありました(笑)。
弊社ではGM業務を2010年に「ファンサポート(FS)」と「セーフティプロテクション(SP)」に分けております。セーフティプロテクションはカスタマーサポート的なところを主にやっていく担当、ファンサポートはコミュニケーションを取る担当という方針だったので、FSはよりフレンドリーに距離感を近づけるような対話をしてかなり自由にやっていた時期もありました。タイトルの性質上、なるべく平等に接したいということもあり、近年では気軽に出て行くことができなくなったのは残念でもあるのですが……。
――そういう経緯があった中で、今回のFSイベントはプレーヤーとコミュニケーションを取ることも含めて企画の中に入れて実施されていたんですね。
柴田氏:そうですね、問題がない範囲で人間らしい会話ができるところを意識しました。
サーバーによるのですが、FSを初めて見つけたプレーヤーの方には「○○さん、おめでとうございます」だったりとか、ちゃんとキャラクター名を出してお話しすることをやっていました。
FSニウス氏:サーバーによっては最後にボスが登場して、FSがその討伐に参加したサーバーもあります。ボスに倒されないように防御能力は上げていたのですが、攻撃面はほぼ初期装備のような状況で、ボスを倒したときの貢献度を見て、「FSが最下位じゃん(笑)」とプレーヤーの方から言われてしまって……。今後はそういった反省点を活かしてやっていきたいと思っています。
柴田氏:とりあえずボスの横に立って、ターゲットを引き受けるみたいなこともやっていましたね。
FSニウス氏:本当に自由に各サーバーのFSが思うように振る舞っていて、何かしらアクションされたら、または求められたら極力答えるというスタイルでやっていました。
アイテムの名前付けなどに苦労したサービス開始前のエピソード
――ほかに印象に残っている話などはありますか?
FSニウス氏:正直、言えないことの方が多いのですが……(笑)
柴田氏:リリース前の話なのですが、アイテムの名称に関連するところでしょうか。韓国のバージョンに実装されている名称をベースにしていたのですが、「このアイテムの名称はなぜこうなってるの?」ということを社内の各所からも言われていました。ですが、今後新しいアイテムが入ったときに名称が被ってしまう可能性もあるので、そのまま名称を変更するわけにはいかないんです。
原文を活かしつつ、かつ「リネージュ2」らしさを活かしつつ、今後名称がバッティングしないようにする。そういう板挟みの状況でバランスを取る必要がありました。
そこでFSニウスに協力してもらって名称を調整し、「評価としては△」と言われた部分もあるのですが、なんとかまとまったというところはあります。
FSニウス氏:人間って不思議なもので、全く眠くないのに文字ばっかり見てると意識が吹き飛ぶんですね(笑)。当時は文字を見すぎていたので、そういうことがよくありました。
柴田氏:確認用の資料を作って、「リネージュ2」の名称と比較して、というのをひたすら繰り返していたので、当時は本当に終わりの見えない辛さがありました……。
――ほかにリリース前に大変だったことはありますか?
柴田氏:法律関連でしょうか。ゲームに関連する法律はすごく多いのですが、それらを全てクリアしないとサービスができません。そこの部分ですべての仕様を把握して、色々な調整があって大変でしたね。もちろん私たちは毎週アップデートを行いますから、それは今も継続していることです。
――たしかに昔のオンラインゲームに比べるとアップデートのペースが段違いに上がっている影響もありそうです。
柴田氏:昔は3ヶ月~6ヶ月に1回の大きなアップデートがあり、毎週のメンテナンスはサーバー機器の整備などが中心のメンテナンスでした。今は毎週小さくてもイベントはありますし、販売アイテムも変わりますし、2週間や1ヶ月単位で少し大きなアップデートも入ります。
FSニウス氏:ソーシャルゲームが世に広まっていったことで、アップデートの頻度やコンテンツの追加のスピードはかなり上がっていると思います。
かなり昔のオンラインゲームはコミュニケーションツールという側面が強かったと思うのですが、今はLINEをはじめとした、コミュニケーションツールがゲーム以外にもある時代ですよね。そんな中でゲームならではの良さを出していくとなると、コンテンツの追加や、アップデートなどになります。そういった理由からアップデートが早く、多くなっているという側面はあると思います。
柴田氏:電話線を繋いでダイヤルアップでインターネットに繋いでいた時代と比べると、動画コンテンツや、遊べるゲームも本当に増えています。空いた時間を何に使うかとなったときに面白いものや、アップデートが常にあるような状態にしておかないと、他のコンテンツに時間が取られてしまい、プレーヤーの皆様が十分に楽しめないということが起きると思っています。
そういった意味である程度早いアップデートをしながら、質も担保しなければいけないですし、その上で今後の方針などを提示していく必要があるので、本当に大変な時代になったなとは思います。
この先の1,000日に向けて長く楽しめるサービスへ
――ここ半年くらいで反響があったアップデートはありますか。
柴田氏:「アガシオン」の精霊化・遠征隊システムが難しいという意見ですね。クラスに関しては「超越神話」などが出て条件が上がっていたのですが、こちらは「アガシオン」の強化上限が上がったコンテンツです。
「アガシオン」を精霊化したあと、遠征に出すことで「上級ソウルショット」や「クリスタル」などPvPに役立つアイテムや、成長アイテムが入手できるのですが、精霊化が難しいというのもあります。ミドル層やある程度やりこんでいる方には精霊化は少しずつやっていくという温度感で挑戦していただくのが良いかなと思っています。
FSニウス氏:遠征するのにアデナ(ゲーム内通貨)がかかるのですが、これでアデナがさらにきつくなったという声もありましたね。
柴田氏:「上級ソウルショット」が入手できるコンテンツという意味では優秀ではあるのですが、今の「アガシオン」強化の最上級コンテンツだと思うので、個人的には「融合」優先で良いと思っています。
FSニウス氏:「アガシオン」の精霊化をはじめ、難しめのコンテンツに関しては、公式からわかりやすい案内を出すかという議論を度々行っていますが、「リネージュ2M」としては運営側から攻略情報を出すのは違うのではないか、という結論で進行しております。
柴田氏:プレーヤーの皆様の状況による、というのも大きいです。運営側から「このアイテムは持っている」という前提で話を進めるのもおかしいので、平等に案内するようにしています。
――そういえば先日、エヌシージャパンの22周年記念でアイテムを大盤振る舞いしたと伺いました。
FSニウス氏:そうですね。お祝いのイベントを開催したり、ゲーム内アイテムを提供したのですが、社内から他タイトルに比べると「リネージュ2M」は豪華すぎないか、という声もありました(笑)。
柴田氏:検討した基準が2年前の20周年の時だったんです。20は大きな節目なので、22は少し減らしても……という考えもあったのですが、プレーヤーの皆様がその時と比較したときに、今のインフレバランスなどを考慮されていたとしても「あんまり報酬が良くないよね」と思われてしまったら、会社としてもタイトルとしても良くないと判断し、指示しました。
「リネージュ2M」はグローバルタイトルなので、日本サービスだけアイテムを配ったり、アイテム販売などが行えません。ほかの地域でも同じくらいのインフレバランスを維持するためにイベントをやったりします。もちろん逆もそうですね、地域によって考え方も違うので、グローバルでインフレバランスや成長バランスを崩さないように運営しています。
――そういった経緯があり、1,000日のサービス運営に繋がったんですね。それでは直近のアップデート情報について教えてください。
FSニウス氏:12月13日に実施される大型アップデート「血吹雪の主 双斧」で新武器種の「双斧」が追加されます。斧を両手に持って暴れたり、回転して周囲にダメージを与えることもできる武器種になっています。特徴として相手を動けなくした上に防御能力が下がる「ダウン」を与えられる特性を持っていたり、無理矢理1対1に持ち込めるようなスキルがある武器種です。またウルフのオーラを使ったり、ウルフを繋ぐチェーンを使ったスキルなどもありますね。
柴田氏:もう1つお伝えしたいのが新サーバーの登場です。私たちは「カウンターサーバー」と表現しているのですが、「パプリオンサーバー」に対抗するサーバーとして「リンドビオルサーバー」がオープンします。「パプリオンサーバー」へのカウンターということは、インフレバランスも調整されていますし、最初にもらえるアイテムも豪華になっています。ですので、しばらく「リネージュ2M」から離れてしまっていたような方にもぜひ遊んで欲しいですね。
FSニウス氏:そして、「リネージュ2M」ではプレーヤーの皆様にとってとてもメリットがある「クロニクルクーポン」についてもお知らせがあります。そのうちの1つに、過去に強化に失敗して消滅してしまった装備アイテムを復旧できるクーポンがあるのですが、装備を復旧できる期間が短くなってしまったため、プレーヤーの皆様の混乱を招いてしまいました。
僕は公式で配信している生放送にも出演していて、その生放送で開発側の担当者と話をして「早期に提供できます」という話をしました。そこから結果的に9ヶ月ほどお待たせすることになってしまったのですが、12月13日のアップデートで提供できることになりましたので、ぜひ活用してください。ただ、改めて安全強化値を超えた強化を行う際はお気を付けくださいというのはお伝えしたいです。
柴田氏:リリースから時間が経っているのでデータが増えているという都合もあるのですが、復旧できることを前提にチャレンジしていただくというよりは、あくまでも通常のプレイで強化していった中で、再チャレンジできるという企画意図があります。そういった目的で活用していただければと思います。
――復旧できる前提でアイテムを強化すると遊び方が変わりますよね。
柴田氏:インフレが加速してしまうというのもありますし、最低限のリスクで安全強化値を超えた強化ができるというのは「リネージュ」ではないと思っています。申し訳ないのですが、その点をご理解いただけると幸いです。
――ありがとうございます。それではその先に予定しているアップデートも教えてください。
柴田氏:今後も既存コンテンツの拡張はもちろん、定期的にスキル ケア ウェーブのようなバランス調整は行っていく予定です。また新しい体験ができるように新規コンテンツの企画開発も進めていますので、実装には時間がかかってしまうのですが、楽しみにお待ちいただければと思います。
――それでは最後に次の節目に向けた意気込みを教えてください。
FSニウス氏:これからもドンドン続いていくのですが、皆様にゲームを楽しんでいただける環境を用意して、より遊びやすくより楽しく遊べるようなコンテンツやアップデートをご用意したいと思っています。
私自身も昔からゲームが好きで、ずっと長く続いているゲーム上での人との繋がりもあるので、そんな出会いなどを提供できれば嬉しいですね。 今は色んなコミュニケーションツールや遊びがあると思います。その中から「リネージュ2M」を選んでいただいているので、ぜひこれからも楽しんでいただければと思います。
柴田氏:1,000日遊んでいただいた皆さんがいるという事を胸に、これを通過点として次の1,000日を迎えたいと思っています。「リネージュ2M」は皆様のプレイで作られるゲームで、それが未来に繋がっていくというタイトルです。プレイを通じて得た仲間がいると思います。その人が大事な存在になると思います。
私が「リネージュ」に出会ってから、もう20年以上になるのですが、その時に話した仲間や友達との思い出は今でも残っていますし、ずっと忘れないと思います。人と遊ぶゲームとしては「リネージュ」以上のゲームはないと思うので、そういう視点でこれから先、何をしたら楽しいのか、みんなとどういう思い出を作ろうかなと、そういった視点で長期にわたって遊んでいただけるような環境を作っていきます。
――ありがとうございました。次の1,000日間でどんなドラマが生まれるかが楽しみです!