インタビュー

話題のイベント「RAGE VALORANT 2022 Spring」とeスポーツ大会「VCT - Challengers」の裏側に迫る! 「RAGE」総合プロデューサー大友氏インタビュー

【RAGE VALORANT】

5月7日〜5月8日 開催予定

開場11時/開演12時/終演21時(各日とも予定)

チケット価格:
アリーナ 指定席 6,500円(税込)
バルコニー1・2 指定席 4,500円(税込)
バルコニー3 指定席 3,500円(税込)
会場:東京ガーデンシアター(東京都江東区有明2-1-6)

「RAGE」総合プロデューサー・大友真吾氏

 ライアットゲームズが開発・運営している5対5のタクティカルFPS「VALORANT」。このところ日本中のFPSファンの間で盛り上がりを見せているeスポーツ大会「VALORANT Champions Tour(以下VCT)」や、先日発表になった大型オフラインイベント「RAGE VALORANT」など、このゲームに関する話題が非常に増えている。

 今回、ライアットゲームズと共同で取り組んでいる「VCT - Challengers」と「RAGE VALORANT」の両方を運営している「RAGE」の総合プロデューサー・大友真吾氏にイベントの裏側を伺うことができた。普段はビジネスマン向けのインタビューを受けることが多い大友氏だが、今回はゲーマーに向けて、とくに学生にもわかりやすいよう丁寧に話してくれたので、ぜひリラックスして読んでもらいたい。

【RAGE VALORANT】

大型オフラインイベント「RAGE VALORANT」のここが気になる!

――まずは今回、オフラインイベントを開催することになった経緯を聞かせてもらえますか。

大友氏:「VCT - Challengers」をライアットゲームズさんと一緒にやらせていただくことになってから、コロナが落ち着いたら「VALORANT」でリアルイベントをやりたいという話はしていたんです。それで今回、東京ガーデンシアターといういい会場をいい条件で手配することができ、運よく日程も「VCT - Challengers」と被らず、ライアットゲームズさんも「このタイミングだったら大丈夫です、ご協力しますよ」と快諾いただいて。話が進んだのが3月頭でかなりタイトだったんですけど、イベントの規制も緩和されてきてeスポーツの大きなイベントの一発目としてやりたいという思いがあったので、制作費などのリスクはあったもののチャレンジしようと決めたのが今回の経緯です。

――イベントは2日間ありますが、ストリーマーの日とプロゲーマーの日に分かれている理由も気になります。

大友氏:一般的にはストリーマー人気がすごく高いので、(ストリーマーとプロゲーマーで完全に分けるのは)チャレンジングではあります。しかし、「VCT」が終わった直後に「あのステージで活躍した選手たちのドリームマッチが見られる」みたいなところは我々としてもフォーカスしたい部分ですので、あえて混合にはせず日程を切り分けて開催することになりました。ストリーマーとプロゲーマーでは実力差がありすぎて、本来見たい試合の面白さが半減しちゃうかな、っていうところもあったので。

――プロのほうは高い実力のなかでガチ勝負もありつつ、普段とは違う遊びピックみたいなものもあるかもっていう感じですか。

大友氏:おっしゃるとおりです。「VCT」では見られないような遊びもファンの方が期待している部分だと思いますし、多分選手たちもそういうところを求めているのかなという感じで、競技よりはややエンタメ寄りなイベントになるのかな、と。

――では、来場者参加型のイベントを実施することにした理由も教えていただけますか。

大友氏:やはりお金を払ってでも見に行く価値があると思ってもらうためには、憧れのストリーマーやプロプレーヤーと一緒にゲームできるチャンスがある参加型のコンテンツを入れたほうが集客につながるのかなっていうのと、ファンの皆さんが求めていることのひとつでもあると思ったからですね。

――なるほど。ひとりで行っても楽しめそうですかね。

大友氏:そうですね。ほかにもプロプレーヤーと交流できる場所は用意しようかなと思っています。メインステージは基本的にステージコンテンツをずっとやる感じになると思うんですけど、プロチームのブースエリアを設けようかという話を今進めていますね。

――まさに現在進行形で準備しているんですね。では念のため確認なんですが、当日は配信もありますか。

大友氏:今回、無料で配信も行ないます。今までは基本オンライン配信しかなく、オフラインの熱気も届ける配信は「VALORANT」ではなかったので、通常とは違うリアルの現場の配信っていう楽しさはあると思います。普段から「VCT」や「VALORANT」のゲーム配信を楽しんでいる皆さんにとっても見る価値のある新しいエンタメイベントなのかなという気はしているので、今回チケットが取れなかった人も是非楽しみにしてほしいですね。

――それと、Twitterでは「RAGE VALORANT」の独立したアカウントができていました。1回だけのイベントではなく、今後も期待しちゃっていいんでしょうか。

大友氏:「RAGE」は6年以上ひとつのアカウントで複数タイトルを運用してきましたが、それなりの規模になってきて、ひとつのタイトルの情報だけ見たくても別のさまざまなタイトルの情報が流れてきてしまうので、アカウントを分けようというのが背景としてあります。あとはおっしゃるとおり、今回がスタートのイベントであって、今後も「VCT」をさらに盛り上げるための「RAGE VALORANT」を色んな軸でトライしていきたいと考えています。

同接24万コンテンツに成長した「VCT - Challengers」の制作秘話

――ここからは「VCT - Challengers」についてお伺いしていきたいと思います。まず、「VCT - Challengers」の運営を始めたきっかけは何だったんでしょうか。

大友氏:実は「VCT - Challengers」が誕生する前に、ゲームがリリースした直後の最初のオンライン公式大会として「RAGE」で「VALORANT」の大会を2回やったんですよ。今後競技シーンが盛り上がってくるだろうなというのもあったので、「RAGE」としていち早くやらせてもらったのが最初の背景です。

――ではその後、「RAGE」としてではなく「VCT - Challengers」として運営をすることになった経緯を聞かせてもらえますか。

大友氏:やっぱり興行としての価値が高いと感じたからですね。「RAGE」というブランドは表には出ていないですけど、大会運営企画のノウハウは生かせるので。「RAGE」という名前は表立って出ていないですが、コンテンツとしてはすごく魅力的だったので興行パートナーとしてやらせていただくことになりました。

――「VCT - Challengers」では試合前に選手のプロフィールを紹介するなど、色々と面白い試みをされていると感じました。どんな点に注力しながら大会を作り上げていますか。

大友氏:これは「RAGE」をつくったときから意識していることなんですけど、選手フォーカスを最優先に考えています。初見ユーザーでも選手のファンになってくれたらいいなっていう想いがあって、どんなアマチュアの子でもインタビューしてキャラを確立させてプロレスっぽい煽りVTRをつくるというのを過去にやってきました。ですから「VCT - Challengers」においてもプロフィールや踏み込んだバックグラウンドの紹介などは、すごく注力してきた点ですね。

――そうなんですね。でも試合後のマップを用いた解説など、ゲーム内容にもしっかりフォーカスされている印象があります。

大友氏:やっぱり戦略の深さを知ってもらうためにも、ライト層にもちゃんと楽しんでもらえるようなコンテンツづくりっていうのはすごく大事にしているポイントのひとつですね。

――コアゲーマー向けというよりは、ライト層に理解を深めてもらうのが目的なんですか。

大友氏:そこのバランスは当然難しくて、あまりにもライト寄りにし過ぎちゃうとコアゲーマーにとって物足りない配信になってしまいます。キャスター陣はかなりコアなプレーヤーの方々なので自然とコア寄りになりがちですから、ライト層にもわかりやすい実況解説っていうのはお願いして意識してもらっている感じですね。皆さんFPSでは「VALORANT」以前からすごく有名ですし、5対5の面白さを色んな角度から伝えられる方々なので。

――確かに「VCT - Challengers」はキャスター陣も大きな魅力になっていると思います。

大友氏:まれに見るハードな現場だと思うんですけどね(笑)。ハードスケジュールでも協力的にやっていただいているので、本当に感謝ですね。

――Twitterのトレンドにも「VCT - Challengers」や関連用語が上がっていましたし、先日は同時接続24万を記録したそうですが、ズバリここまでの規模に成長できた理由は何だと思いますか。

大友氏:ひとつはインフルエンサーさんの力っていうのがありますね。競技シーンの楽しさを知ってもらうためにウォッチパーティを導入したことによって、彼らのファンも「VCT - Challengers」ファンにつなげられたのが今の同時接続規模になった理由だと思います。あとは、根本的にチームや選手の方々がすごく協力的なんですよね。競技シーンを盛り上げようという意識で大会に臨んでくれているからこそ、試合の面白さや白熱した展開につながっていると思うので、それがもうひとつ大きなポイントかなあっていう気がしています。

――では今後、オフライン開催や世界大会の誘致などの可能性はありそうですか。

大友氏:これはライアットゲームズさんと協議しながら進めていく形にはなると思うんですけど、当然「VCT - Challengers」をどこかいいタイミングでリアル開催していく可能性も、世界大会を誘致する可能性も十分あると思います。もしもライアットゲームズさんから「やりませんか」と言われたら、「RAGE」としてはチャレンジしたい領域ではありますね。

今後「RAGE」がeスポーツ界において目指すもの

――そもそも「RAGE」は御社・CyberZの配信プラットフォームであるOPENRECのなかのeスポーツコンテンツとして誕生したと思うのですが、「VCT - Challengers」はTwitchとYouTubeだけですよね。OPENRECにこだわらなくなった理由は何ですか。

大友氏:誕生した当初と違って、「RAGE」も今はCyberZだけではなくエイベックス・エンタテインメントさんとテレビ朝日さんと3社の協業ビジネスとして展開しているので、うちの会社のなかでOPENRECとは完全に切り分けた事業として取り組んでいるというのがひとつ大きな理由です。あとは一時期「VCT - Challengers」もOPENRECでやっていたんですけど、「VALORANT」配信者のコミュニティがOPENRECでそこまで強くなかったのもあり、なかなか視聴を伸ばせなかったんです。配信プラットフォームを増やすと費用が追加でかかるので、「VCT - Challengers」に関してはTwitchとYouTubeだけになっている感じですね。

――そうだったんですね。では今後、「RAGE」はeスポーツ界においてどのような立ち位置を目指していこうと考えていらっしゃいますか。

大友氏:今だと本当にコアな層だったら「RAGE」を知ってくれている方も増えてきてはいると思うんですが、それこそeスポーツの配信を見たことのない一般層にすらも「日本のeスポーツと言えばRAGE」と言ってもらえるような、まずは確固たる興行としての知名度をつくっていきたいです。そうなるために、今は「Shadowverse」、「Apex Legends」、「VALORANT」の3タイトルを主軸にしていますが、それ以外にも色々なタイトルにチャレンジしていきますし、イベントの形式もトッププロの競技シーンだけじゃなくてエキシビションマッチとか、誰でも参加できるオープン大会をやったり、以前「リーグ・オブ・レジェンド」でやったような海外のスーパースターを呼んだり、そういうマルチでハイブリッドな日本でも世界でも唯一無二のeスポーツブランドを目指したいと思っています。

――では最後に、GAME Watchの読者の皆さんへ何かメッセージがあればお願いします。

大友氏:今後、大友のTwitter運用を頑張っていく予定なので是非フォローを(笑)。色んな情報とか、もしかしたら先出し情報も出していくかもしれないので!

――そういえば今回のイベントも「続報は週明けに発表できそう」っていうのは、公式アカウントではなく大友さんのツイッターから発信されていましたよね。では記事にリンク貼っておきますね(笑)。本日はありがとうございました。

□大友真吾氏のTwitterアカウント