インタビュー

「蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環」開発チームインタビュー。あの稲船敬二から「ええんちゃう」をもらうまで

【蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環(アームドブルー ガンヴォルト ギブス)】

7月28日 発売予定

価格:
パッケージ通常版 5,280円(税込)
パッケージ限定版 9,980円(税込)
ダウンロード版 3,980円(税込)
左から、取締役副社長COOの津田祥寿氏、Level5 comcept CCOの稲船敬二氏、インティ・クリエイツ代表取締役社長CEOの會津卓也氏

 インティ・クリエイツから7月28日に発売予定のNintedo Switch用2Dアクションゲーム「蒼き雷霆 ガンヴォルト 鎖環(アームドブルー ガンヴォルト ギブス)」(以下、ギブス)。これまで「蒼き雷霆 ガンヴォルト」、「蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪」(以下、ソウ)と2シリーズが発売されているが、その3作目となる本作は、2016年8月に発売された前作の「ソウ」から6年目にしてようやく発売される。

 ファンからの期待も高い本作だが、今回は本作のプロデューサーを務める、インティ・クリエイツ代表取締役社長CEOの會津卓也氏、ディレクターを務める同社取締役副社長COOの津田祥寿氏に加えて、本シリーズのエグゼクティブプロデューサー/アクション監修を務める、Level5 comcept CCOの稲船敬二氏に、本作の作られていく過程やその魅力について語ってもらったのでお届けしよう。

【蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 鎖環(ギブス) - 第一弾紹介映像】
「蒼き雷霆 ガンヴォルト」
「蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪」

インティ・クリエイツ全社員で開発! アクション監修・稲船氏とは腐れ縁

――本作で注目してほしい点はどこになりますか?

會津氏:まず「ガンヴォルト」シリーズはどれも、副社長である津田がディレクターとして作り上げていて、インティ・クリエイツの全社員を関わらせて作ろうというコンセプトで作っているものです。ですので弊社としてはフラグシップタイトルというか、今持てる一番いいものを出したいという気持ちで作っています。ですので、そのシリーズの最新作というところが一番の売りの部分ですね。そういう作り方をしているものだというところで楽しんでいただきたい、というのが全体としての注目ポイントです。

津田氏:本作の内容としては、当社が作っている2Dアクションという部分と、それにプラスしてドラマ性、あともう1つ大きいのは歌ですね。そこが注目してほしい点ですね。

ディレクターを務める同社取締役副社長COOの津田祥寿氏

會津氏:注目してほしいアクションというのは、シリーズ通してずっと稲船さんに監修していただいてます。だいぶ初期の方から関わっていただいていますね。

稲船氏:かなり前から企画がありましたね。最初に「やります」みたいなことを言われたときから考えるとだいぶ経っているし、長いですね。すごく悩みながら作ってきたのを見てきました。だから変化していくというか、悩みを解決していく様を見てきて、すごくいい形で収まったなあっていう。悩んだままなんとか納めましたじゃなくて、その悩みを解決して納めた感じが気持ちいい。あのまあ、時間はかかりましたけど。きもちいいゲーム制作になったかなと思っていますね。

會津氏:そうですね。解決して完成するまで、私は予算を切って待つわけですけど、4年待ちましたからね。4年ですから(笑)。

――稲船さんが関わられたのは、カプコンで一緒にやられていた、というところがあるのでしょうか?

稲船氏:會津とも津田とも古い仲ですので、腐れ縁ですかね(笑)。もちろん信頼関係もそこで築かれています。會津とはいろいろなタイトルを一緒にやってきて、叱ったこともあるし、もちろん褒めたこともある。なんだろう、家族みたいなところもあるので、ファミリー的な感じで頼まれたら断れない。逆にこっちが頼んだらそっちも断れないみたいな(笑)。まあそういう感じです。

會津氏:私がゲーム業界に入ったとき、稲船さんが課長としていらっしゃいました。そのときは課が違ったので、あそこにはずっと「ロックマン」を作られている方がいるんだ、という思っていた程度でしたが、こうして長く付き合わせていただいて、ありがたい限りですね。

稲船氏:會津と津田だけじゃなくて、インティ・クリエイツにはいろいろ知り合いがいるんで、信頼して任せられますね。

會津氏:私たちの会社ってずっと受託開発だけをやっていたんです。ですので販売をしたことがなかった。販売方法がわからなかったんです。稲船さんはずっとプロデューサーをやられていたので、そういうところは明るいだろうと思いまして。こういうゲームを作っているんですけど、どうやって売ったらいいでしょうかねと聞きに行ったところから始まったんですよね。

 その時にどちらかと言うと売り方どうこうじゃなくて、「ちょっとモッサリしてへんか」っていう事で、アクションにかなりダメ出しをされてですね。で、稲船さんが納得してくれたら売り方を教えてくれるんだろうなと思って、直して持っていったら「よくなったやんか。もうこれ、俺と一緒に作ったって言ったらいいんちゃう?」みたいな。あ、確かにこれ稲船さんと一緒に作ってるわ、と思いました。アクション部分を稲船さんに見ていただいて、稲船さんに感謝してシリーズをずっと重ねてきましたね。

【蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト 鎖環(ギブス) アクションミーティング(2021年2月)】
稲船氏とのアクションミーティングの様子

“レトロ”を残しつつ進化させる。今作はシリーズ未プレイでも遊びやすい

――稲船さんから見て「ガンヴォルト」シリーズの成長の過程はどのように見えていますか?

稲船氏:難しいと思うんですよ、このタイトルって。レトロな部分をしっかり残さなきゃいけないので。どんどん新しいものを取り込んでいけばいいっていう、今のゲーム作りとちょっと違うところがあって。昔のドット絵のゲームファンみたいなところを切り捨てちゃダメじゃないですか。だからといって“懐かしいなあ”だけでは商品価値って高くならない。

 やっぱりその商品価値ってどこにあるの? っていうのがストーリーであったりとか、世界観であったりとか。その辺は進化させるべきところなので、そこをしっかり進化させつつ、レトロのアクションみたいなところは残しながらという、その感覚が大事ですね。さっき悩んでたって言ったのは、そういう部分の難しさで、どこまでやり込めばいいのかとか、作り込めばいいのかとか。あと難易度ですね。難しすぎてもダメだし、簡単すぎてもダメだし。ただレトロなゲームは難しいゲームが多いので。その難しいゲームっていう感覚を残しながら、津田としてはエントリーユーザーが遊びやすいところをしっかりと混ぜていくという。そこを悩んで、いい着地はできたかなっと思いますね。

 僕なんかあんまりゲームうまくないので、渡されて難しすぎると「駄目!」ってなっちゃうんですけどね。でもそれなりに気持ちいいようになってきたので。僕レベルが気持ちいいと思えるんだったら、エントリーユーザーも気持ちいいと思えるんじゃないかな。ただ、すごいマニアが「これはちょっと簡単すぎない?」みたいにならないように、インティ・クリエイツのゲームがうまい人にプレイしてもらったのを見て、こんな格好良くできるんだというのを確認しつチェックしてましたけどね。

エグゼクティブプロデューサー/アクション監修を務める、Level5 comcept CCOの稲船敬二氏

會津氏:まさにそこのところはだいぶ悩んで、何回か打ち合わせしました。本作はアクションゲームをやり込んでない人でも「カッコイイ俺!」って思えるようなプレイができるものに仕上がったかなと思っています。さらにうまい人がやると、もっととんでもないことになっていくんですけど。まあ、そういう所はうまく落とし込めているかなと思います。今までよりもさらにエントリーユーザーの方がカッコよくプレイできるかなっていう感覚はありますね、

――今回のタイトルである“鎖環(ギブス)”についての意味をお伺いできますか?

津田氏:主人公の「きりん」というキャラクターがいるんですけども、そのきりんの「第七波動(セブンス)」(以下、セブンス)という、この世界観の中での超能力の名前を指しているのが「ギブス」ということになります。ただしきりんのセブンスは、正確に言うとセブンスを封印できる能力なので、セブンスではないのかもしれないのですが。

津田氏:ギブスの名前の由来に関しては、いろいろと意味があるのですが、それの詳細についてはもう少しお待ちください。ただしタイトルの全体に関わってくる名前なので意味はあります。

――「雷霆煉鎖(らいていれんさ)」は気持ちよさそうな技ですが、この技を作った発想はどこにあるのでしょうか

※雷霆煉鎖:護符を貼り付けた敵に対して刹那の踏み込みから斬撃を叩き込むアクション

津田氏:「ガンヴォルト」シリーズのもともとのコンセプトとして、誰でも気持ちよく攻撃を敵に当てられるようにしたいというのが根っこの部分にあるんです。そこで出した答えの1つが“誘導”だったんです。「1」で言えばダートを撃ちこんだ後Aボタンを押していれば倒せますし、「ソウ」でも1回ロックしたらボタンを押しているだけで倒せますので。

 でも今回はきりんの技が全然うまく当てはまらなくて。1年半ぐらいずっと作り直し続けていました。それを長く作り直した結果、たどり着いたのが雷霆煉鎖というアクションになった感じですね。お札で敵を封印したところに向かってこうワープして突っ込んでいくという。そのワープするっていうまでが長かったですね。ワープでいいやという。しかもそのワープした後にどこにキャラが出るの? とか、いろいろそのゲーム仕様的にも悩みました。それがひたすらに長かったですね。

 今回、ディレクターに宮澤という者が入ったんですが、これがまあかなりかなりというか、めちゃくちゃゲームがうまくてですね。まあ、宮澤がうまく調整してくれまして、いい感じに仕上がりました。

會津氏:ゲームって感覚的なものなので、なんかいい感じって感覚があるのが重要だと思いますね。

【雷霆煉鎖】

――きりんも特徴あるキャラクターですね

津田氏:きりんはもともと「ガンヴォルト ストライカーパック」を作るといった時に、僕の方で入れてやろうと思っていたんです。「ガンヴォルト」の中のおまけキャラみたいな感じで。それで剣を使う女の子を入れたいという話をチームに相談した瞬間に、スケジュール的に無理ですと言われて。それを今回もう一度、主人公に抜擢しようとかと思ってデザインを始めてもらったのが始まりですね。ですので、多分チームの人もそんなに違和感なく、ああ、そうなのねみたいな感じで進んだ記憶がありまして。

 タイトルもそうですね。前回、続編のタイトルは「ソウ」です! と決めたときはみんなから「何それ?」とムチャクチャ言われて、3日ぐらい凹みました。ちょっとへこんで考えた結果、そのまま行ったんですけど。今回はそれほど反対はなかったですね。

「蒼き雷霆 ガンヴォルト ストライカーパック」

會津氏:でも「ギブス」って聞いた時、私は心の中で「またか」って(笑)。わからない名前にするなと。「ソウ」はまだ爪なのでわかるけど、「ギブス」は完全な造語じゃないですか。「ソウ」を上回ってますからね。

津田氏:これって実は「ギブス」という言葉より、漢字の方(鎖環)のイメージを持ってきた後に名前を付けたみたいな感じではあります。どういう名前にしたら「ガンヴォルト」っぽいんだろうというのも考えたり。名前を最初に考えた時に浮かんだいろんな言葉の中からこれを選びました。

アキュラよりも強くする! 「ヴォルティックアーツ」の開発経緯

――「ヴォルティックアーツ」はどのような経緯でできあがったのですか

※ヴォルティックアーツ:敵をすり抜けつつ破壊する「スパークダッシュ」や、瞬間移動してゼロ距離で雷撃を放つ「ライトニングアサルト」などの攻撃

津田氏:これは結構メタな考えと言うか、前作の「ソウ」の中でアキュラというキャラクターがいるんですが、ネットで「こいつの方がガンヴォルトより強いんじゃない?」みたいな話をたくさん聞きました。だったらもうめちゃくちゃ強くして、アキュラよりも今回は強いぜ! という技を入れましょうというのがヴォルティックアーツです。これも、気持ちよさで言えば、爽快な感じに仕上がっていまして、結構、いい感じかなと。具体的にはまだ出せないのですが。

會津氏:最近のゲーム開発って一方通行ではなく、ユーザーの反応がネットでダイレクトに返ってきます。あまりそれに左右され過ぎてもいけないのですが、ガンヴォルトは最強のセブンス能力者という設定なので、そいつより強いやつがいるじゃんみたいなふうに捉えられると、なんとなく設定負けしているようにも見えます。ですのでそこはもう設定に合わせて強くしてやろうという。今回プレイしていただければ「やっぱりガンヴォルト最強なのね!」となるはずです。

――「イマージュパルス」を登場させた経緯についてお聞かせください

※イマージュパルス:記憶のかけら(イマージュジップ)を集めて過去の幻影(イマージュパルス)を開放するもの。過去のキャラクターが登場してアクションをサポートする

津田氏:これなのですが、ガンヴォルトのボスのドット作業に時間がかかりまして。今までのゲームの2倍ぐらいかかって。1作だけで終わらせるのはちょっとあまりにももったいないというのがあり、そこで何かに活かしてやろうという気持ちがありました。何とか今回、使ってあげれないかなということもあり、何かいいシステムに落とし込みたいという気持ちがありました。しかしまあ実際にこれを入れてみたら、意外と追加パターンが山のように出まして。

會津氏:あのインティ・クリエイツあるあるなんですよ。使い回して楽しようって言ったら全部打ち直すという(笑)。

津田氏:ですのでキャラクター班からめちゃくちゃクレームがきまして。

會津氏:新キャラでも変わらなかったんじゃないか? みたいな作業になって行くという。

津田氏:経緯としてはそんな感じですね。ただし本作の中でいろいろ活躍ができるキャラクター、これまでのキャラクターがどんどん出るというのは、これまで遊んでくれたユーザーもうれしいんじゃないかな。

會津氏:そういうものですね。過去作のキャラクターをもう一回登場させてあげようというコンセプトです。それは開発的にもそうですし、その企画的なそのものもそうですし。やっぱりたくさんのキャラクターや、たくさんの要素があるとゲーム全体のボリュームも上がります。設定的には、ガンヴォルトが過去接触した事のあるキャラクターたちの記憶を具現化して使役できるというのがコンセプトです。びっくりするようなボリュームで、工数表を見て「えっ」と思いましたけど(笑)。

【イマージュパルス】