インタビュー

「モンスターハンターライズ」&「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」インタビュー

「ライズ」は「翔蟲」や「オトモガルク」など新要素てんこ盛り!和風になったのは「好きだったから」

【モンスターハンターライズ】

2021年3月26日 発売予定

【モンスターハンターストーリーズ ~破滅の翼~】

2021年夏 発売予定

 9月17日に配信された「Nintendo Direct mini」にて突如タイトルコールが行なわれたNintendo Switch用ハンティングアクション「モンスターハンターライズ」、そしてNintendo Switch用RPG「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」。

 「モンスターハンター」シリーズの新作となり非常に注目度の高い2タイトルだが、今回は両作品のプロデューサーを務める辻本良三氏と、「モンスターハンターライズ」のディレクターを務める一瀬泰範氏にそれぞれの作品の魅力や注目ポイントを伺い、「モンスターハンターライズ」については「翔蟲」や「ガルク」などの新要素が追加された背景や世界観が和風になったわけ、「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」については開発経緯や「モンスターハンター:ワールド」からの登場モンスターについてなど、様々なお話を聞けたのでその内容を早速紹介していこう。なお、今回はコロナ対策として、インタビューはオンラインで実施している。

「モンスターハンターライズ」については辻本P(左)と一瀬D(右)、「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」は辻本Pがそれぞれの作品の魅力を語った

期待のシリーズ最新作「モンスターハンターライズ」&「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」!

 インタビュー内容に入る前に、現状公開されている両タイトルについて振り返っておきたい。まず「モンスターハンターライズ」はフィールドを縦横無尽に飛び回る「翔蟲」を使ったこれまでにないアクション、和のテイストを強く反映した世界観、そして何より妖怪のような新モンスターの登場など、これまでのシリーズには無かったテイストの作品であることが伺える、発表された瞬間から多くのファンの度肝を抜いた期待の最新作である。

【モンスターハンターライズ】
新たな世界、立体的なアクション、妖怪のような新モンスターが待ち受ける、これまでに無い「モンスターハンター」なのだ!
【Nintendo Switch『モンスターハンターライズ』プロモーション映像】

 一方、「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」はファン待望の「モンスターハンター ストーリーズ」の続編となる作品だ。こちらのシリーズは「モンスターハンター」シリーズのモンスターを仲間にしながら冒険できるRPG作品となり、前作はTVアニメ化までされた人気シリーズとなっている。そして続編となる本作では長い時を経て進化したグラフィックスと、シリアスな雰囲気のストーリーがPVからも伺う事ができる。

自分自身が主人公となって仲間のモンスターと共にモンスターハンターの世界を巡る壮大なRPG!
【Nintendo Switch『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』プロモーション映像】

辻本P&一瀬Dが語る「モンスターハンターライズ」の魅力!今までに無いアクションと和のテイストで描かれた世界の意図とは?

――まず、本作の開発コンセプトを教えて下さい。

一瀬氏:開発コンセプトは携帯機でも「モンスターハンター」を遊びたいという声を以前からたくさんいただいていたという事もありましたので、従来の「いつでも、どこでも、だれとでも」という部分を強く意識して開発を行ないました。特に携帯機としての”遊びの良さ”という部分は強く意識していて、いかにSwitchで「モンスターハンター」を最適な形で落とし込むか、他作品とは関係なくSwitchの「ライズ」として良い物にできるかということを意識しました。

――モンスターや世界観など、随所から和の雰囲気を強く感じるのですが、何故今作はこのようなテイストにしたのでしょうか?

一瀬氏:まず好きだったからですね(笑)。「モンスターハンターポータブル 3rd」の時に一度アジアンテイストなものを作ってはいたんですが、その後のシリーズで違った世界観の作品が幾つか作られてきたので、ここで再び和の世界観をやってみても面白いかなと思いました。

 また、表現できる事なども、Switchでは違った見せ方ができるかなと思ったのもきっかけの1つです。加えてSwitch向けとして最良の「モンスターハンター」を作るというのが1つの課題としてあったので、それを前提として「翔蟲」や「オトモガルク」などの新要素を入れつつ和の世界観をミックスして、「モンスターハンター」の他のシリーズ作品との差別化をしていきたいと思ったというのもありますね。

本作の和へのこだわりは随所に見受けられ、フィールドや里を練り歩くだけでも楽しめそうだ

――PVの演出なども含めてモンスターが全体的に妖怪のように見えたのですが、これまでのシリーズのモンスターとは生態が違ったりするのでしょうか?

一瀬氏:基本的にはこれまでの「モンスターハンター」世界に棲む生き物たちということに変わりはありません。ただ今回は和風という事で何かしらそれぞれモンスターにも”キャラ立ち”をさせたいという想いがありまして、それで妖怪のようなモチーフを試してみました。

――なるほど、では本当に妖怪という訳ではなく、あくまでもモチーフとしてモンスターに妖怪を当てはめたという感じなんですね。

一瀬氏:そうですね。私たちが知っているような足が無い幽霊だったり、触れることができない妖怪だったりというもの作ろうとした訳ではなく、あくまでもモチーフとして妖怪の要素をいれているだけで、「モンスターハンター」の世界におけるモンスターを制作しています。昔の人は自然現象だったり生き物の生態を見間違えたりしてそういったモノが生まれたりしているわけですし、この「モンハン」の世界でも何かしらの里に住んでいる人々がそのモンスターの行動だったりを不可思議な現象としてとらえてそういったモノを想像した……と言う形で落とし込めるかなと。

 なので現在公開している以外の新モンスターや過去シリーズに登場したモンスターたちも今後紹介しますが、そちらも色んなモチーフの妖怪を当て込んだりしているので、その部分も楽しみにして頂ければと思います。

妖怪をモチーフにした本作のモンスターはどこか不気味さの中にカッコよさを秘めた素晴らしいデザインとなっており、制作のバックボーンと合わせて世界観に非常にマッチしている

――ハンターが掛け声以外のセリフのような言葉を発していたのですが、今回そのような仕様にした理由などはありますか?

一瀬氏:そうですね、今回新しい試みとしてサウンドチームからの提案をもとにチャレンジした形になります。ハンター=プレーヤーということでこれまでキャラクター性をつけにくい部分がありましたので、より自分のキャラクターに個性を付けたい方はアニメのノリのようなボイスを設定できるようにしました。

 ただ従来の掛け声で遊びたいという方もやはりいらっしゃると思いますので、その辺りの要素はユーザー毎にオプションで調整できるようになっています。

――今作はチャレンジ要素を詰め込みつつも、既存ユーザー向けのサポートも充実しているんですね。

一瀬氏:はい。色々とユーザーのプレイスタイルも変わってきているなと言う感触もありますし、ユーザーの選択肢が広がるのは良い事だと思っていますので。ある程度そういったチャレンジは取り入れつつもフォローも入れる、という形になっています。

――アイルーの対となる犬モチーフのオトモ「ガルク」が誕生した経緯などはありますか?

一瀬氏:オトモ部分にも何かしら遊びの変化を付けたいという思いがあり、猫のアイルーとは別に「犬も欲しい」という声は前々から多かったので、今回新たなオトモとして誕生しました。ガルクとアイルーそれぞれで異なる役割を持たせた上で新しい遊びが成立しないかなと考えたのがきっかけです。

――今回はマルチプレイだとガルクかアイルーのどちらかしか連れていけないようですが、アイルーは今後も活躍できるでしょうか?

一瀬氏:まだ詳しくは発表していないですが、ガルクは攻撃や移動などのサポートに特化していて、一方アイルーは回復や罠によるサポートが得意、とそれぞれ役割が分かれています。なので、マルチの際は攻略方法に合わせてそれぞれをチョイスする感じになると思います。例えば4人パーティーで1人がアイルー、3人がガルクだったりとか。ゲームの攻略に合わせても良いですし、単純に自分が犬派だからガルクという選び方でも良いと思います(笑)。

――それぞれに役割があって、プレイスタイルに合わせて選べるということですね。因みにガルクならではの特徴などはありますか?

一瀬氏:ガルクは移動がかなり楽になるという点が大きいですね。今回フィールドでは1つのエリアから色んな所に行けるようになっているので、モンスターを追いかける際にガルクが居るとかなり有利になります。ただ絶対ガルクが必要という訳では無く、今回登場した「翔蟲」などを使ってジャンプすればショートカットして先回りしたりすることも可能なので、本当に好きな方を選んで使えるようにはなっています。ここはユーザーによって遊び方が変わる部分かなと思っているので、色んな遊び方を確立して欲しいと思います。

今回から新登場したガルクは移動と攻撃面を大きくサポートしてくれる、頼りになる犬のパートナー

勿論アイルーも続投。でハンターをサポートしてくれるが、マルチプレイの際には1匹しか連れていけないのでガルクかアイルーか、戦略と好みに合わせた運用が重要となりそうだ

――先程話題に上がった「翔蟲」ですが、これは「モンスターハンター:ワールド」で登場した「クラッチクロ―」から着想を得て生み出されたものなのでしょうか?

一瀬氏:いえ、特に「MHW」を意識してということはなく、開発も同時期位だったので実は「クラッチクロ―」のことは知らなかったんですよね。

辻本氏:基本的にタイトルごとに遊んでもらいたいことから決めていくので、遊び心地などはタイトルごとで色々と変わっているのではないかと思っています。

――ではどのような着想から「翔蟲」は生み出されたのでしょうか?

一瀬氏:「モンスターハンターダブルクロス」までで従来の「モンスターハンター」の遊びが確立してしまっていたので、そこから「何かしらアクションの部分を変えていかなくては」という話が上がり、システム的に自由度が上がるような遊びを考えた際に「翔蟲」という発想に至りました。

 モンスターの狩猟の際にも立ち回りの幅が増えますし、新しい世界観のフィールドを自由に動き回れる、移動して楽しいという部分が表現できるかなというところで、自由度の高いワイヤーのようなアクションを検討したという感じですね。

「翔蟲」を使った縦横無尽のアクションは、これまでのシリーズでは味わったことの無いような爽快感をもたらしてくれそうだ

――では最後に一言お願いします!

一瀬氏:先日発表したばかりでまだゲームシステムや新モンスターなど、詳しくお伝えできてない情報が多々ありますので、そういった新情報を今後も出して行ければと思っております。ゲームシステムや世界観などに関してユーザーの皆さんからも良い反応を頂いており、開発一同そういったお声を励みにより良く仕上げていればと思っております。引き続き新情報などをご期待頂ければと思います。本日はありがとうございました。

――ありがとうございました!

 今回のインタビューでは、これまでに無いような新要素を最善の方法でSwitchに落とし込むことに非常に強いこだわりが感じられた。

 そして一瀬Dの語る数多くの”面白そう”が実際に1つのゲームとして上手く溶け込んでいることにその手腕の高さが垣間見えた気がしている。和の世界観から妖怪のモチーフ、そして新たなオトモに「翔蟲」を用いたアクションと現状だけでも期待値がグングンと上がっているが、今後の新情報にも注目していきたい。