インタビュー
より楽しく理想のオンゲーを! 「ゆめいろファンタジーラテール」インタビュー
オリジナル要素、バランスを実現し、ユーザーと共にコンテンツを作っていきたい
2019年10月3日 12:00
「ゆめいろファンタジーラテール」は、グラビティゲームアライズが運営を行なうスマホ向けMMORPGだ。本作は現在Happy TukがサービスしているPC向けMMORPG「トキメキ ファンタジー ラテール」のストーリー的な続編であるが、サービスなどの連携はなく、独立した形で展開していく。
スマホ版「ゆめいろファンタジーラテール」も開発は韓国であるが、運営チームはここに大胆に「カルチャライズ」を行なっていく。「よりかわいらしく」、「より楽しいプレイを」というのが大きな柱だという。
「自分達とお客様が求めるMMORPGを!」という熱い想いを持っているのが、本作のエクゼクティブプロデューサーを務める柿本公正氏だ。そしてコンテンツ側のディレクター・関口大介氏、サービス側のディレクター・吉田哲朗氏。3人が中心となって日本運営を進行させていく。「ゆめいろファンタジーラテール」がどのような想いで運営されていくのか、そこにフォーカスしたインタビューを行なった。
ユーザーの意見を取り入れ、よりかわいらしく、おしゃれな世界を構築
柿本氏はセガで「スーパーロボット大戦クロスΩ」、「戦の海賊」、「リボルバーズエイト」などを運営していた経歴を持つ。関口氏とはセガでも一緒に仕事をしていたとのこと。吉田氏はGMOインターネットのゲーム事業で「コルムオンライン」など様々なタイトルの運営を手がけていたとのことだ。PCオンラインの経験も豊富でオンラインゲーム業界に深く関わっているスタッフだ。
そういったスタッフから見た最も推したいスマホ版「ラテール」の大きな魅力は「コスチュームシステム」。かわいらしい服、衣装、装備にとことんこだわり、これまでのゲーム以上に着替えて楽しむことができるという。頭、胴体、足、背中に様々なパーツをつけることができる。アイテムには装備とコスチュームがあり、コスチュームでは能力とは別に外見にこだわることが可能だ。
コスチュームアイテムに関してはガチャでの販売は行なわず、アイテムそのものを販売するという。セット販売の方が単品売りよりオトクだが、気に入ったパーツのみを買うということもできる。プレーヤーが欲しいパーツを課金できちんと手に入れられ、自分の姿を追求できるようにしたい、というのが柿本氏の想いだ。
そしてコスチュームデザインは日本で行なっていく。韓国のオリジナルのリソースに加え、日本でのオリジナルデザインを活かしたものを盛り込んでいく。そのためのスタッフを用意し、日本のセンスでのかわいらしいコスチュームも多数追加していく。方向性としては「基本はファンタジーだが、現実世界にある洋服を、ファンタジックにアレンジしたもの」が基本路線になるとのことだ。
「私達自身もオンラインゲームプレーヤーです。そして思うのは『プレーヤーが望まないコンテンツを実装して欲しくない』ということなんです。ですから運営にとって、お客様の気持ちに応えられるサービスをしていきたいと思っています」と柿本氏は語った。
こういった運営主導でコンテンツを追加していこうという方針は、過去様々なオンラインゲームで見られた方向性と言える。しかしうまくいかない場合もあった。日本側が「自分達の方がゲームに詳しい」という思いがあって、成長している韓国の開発側の自主性を否定してしまうなど、運営と開発のバランスに難があり、うまくいかなかったケースもある。
「ゆめいろファンタジーラテール」はもちろんそういった点はきちんと考慮しているという。そのコツとして柿本氏は「密接なやりとり」を挙げた。「お客様に喜んでもらうゲームを」という理想をしっかりと提示した上で話し合い、同じ目標に向かって努力する体制を作っているとのことだ。現在あるオリジナルの「ゆめいろファンタジーラテール」に細かく手を入れていくことで、UIからゲームバランス、レベルデザイン、コンテンツの目標まで、非常に多岐にわたる改良を加えるとのことだ。
現在各コンテンツに手を入れてその進行度は30%ほど、よりプレーヤーが遊びやすく、快適で、のめり込めるゲームを実現するため、発売後もアップデートによる改善を行なっていくつもりだと柿本氏は語った。この改良がオリジナルや他の国でサービスされているスマホ版「ラテール」に派生していく可能性もあるとのことだ。
「お客様の求めるサービスを、高いクオリティで実現していく」。このテーマは「ゆめいろファンタジーラテール」だけでなく、柿本氏自身が目標として掲げ、そしてスタッフ全員がその目標に向かって努力することである。それは今後でも変わらない。柿本氏は本作のエクゼクティブプロデューサーであると同時に、グラビティゲームアライズの事業責任者である。だからこそ同社の今後のタイトルも、同じ方針でサービスしていくとのことだ。
自分達が思い描いた理想のゲーム像を、「ゆめいろファンタジーラテール」で!
こういった柿本氏が提示する目標に対し、運営ディレクターである吉田氏は「お客様に働きかけるGM」をやっていきたいという。昔のMMORPGのGMのように、イベントを主催したり、お客様からの声を聞き、お客様の間に入っていくようなGMを理想としているという。もちろんサーバー負荷など技術的な問題があるが、どういったことができるか考えているとのことだ。
GMとプレーヤーがどう関わっていくか、それもまたお客様の反応次第だ。吉田氏自身は過去のオンラインゲームの繋がり、GMがコミュニティと近い関係を目標にしており、開発側のシステムとしてもより繋がりが持てるような方向性を考えている。もちろん現代のゲームである以上、コンテンツとしてのイベント、ミニゲームや期間限定コンテンツなどシステム的な催しが中心となるが、GMが姿を現すようなイベントもやりたいと吉田氏は語った。
考えているのはYouTubeを使ったイベント実況などの交流の仕方だ。枠に囚われず、色々なことをやっていきたいと吉田氏は語った。イベントに運営として参加し、楽しいゲームイベントを演出していきたい。そう考えて吉田氏は準備を進めている。
吉田氏が運営を担当する「ゆめいろファンタジーラテール」の強みは、まさにこの「運営経験」にある。10年を超えるオンラインゲーム運営経験で、お客様が望むこと、望まないことに対し、お客様の共感を得ていると吉田氏は思っている。だからこそお客様を失望させず、悲しませず、楽しくプレイできる空間を作り上げられるのではないかと思っている。
「その上で、これまでのMMOではできなかった楽しさって何だろう、そういうことを考え、スタッフと話し合っています」と吉田氏は語った。例えばユーザー間のお店の利用でコミュニケーションが取れないか? など、ユーザー間をより濃く繋げる工夫も考えていきたいとのことだ。
「ゆめいろファンタジーラテール」では、エンドコンテンツの1つとして、プレーヤーで協力して挑戦する「マルチダンジョン」がある。協力プレイを求めるのは魅力的である一方、プレーヤー間で繋がれるかの心配もある。このコンテンツに関して、「仲間を作れる人は楽しめるが、そうでない人はこれに挑戦しなくても強くなれる、そういう筋道を用意する。クリアが必須ではないんだ」という方向で対処したいとのこと。お客様間の交流を推奨しつつ、様々なプレイスタイルに答えていく方針とのことだ。
コミュニティシステムの構築、コスチュームの実装、バランシングや報酬設計などを担当していくのがコンテンツ側のディレクターである関口氏だ。コスチュームに関しては様々な選択肢を提示しながら「自分らしさ」を追求できる方向性を提示したいとのこと。お仕着せではなく、お客様の個性をどう出していくかもテーマだと関口氏は語った。
PC版「ラテール」はMMORPGらしく、釣りや生産など、レベルアップと戦闘以外のコンテンツも盛り込まれていた。「ゆめいろファンタジーラテール」も同様に遊びの幅を広げるコンテンツは用意されている。
遊びの幅を広げるコンテンツはオープンβ時点で提示していく。装備の強化で使うモンスターからのドロップで「パズル」を落とすのだが、このパズルを装備品に使うことで装備を強化できる。こういった装備のカスタマイズ要素など様々なシステムはすでに韓国版の時点で盛り込まれている。日本版オリジナル要素も入ってくると関口氏は語った。
例えば釣りのアイテムが冒険での有用性を持つなど、遊びに大きなメリットを持たせることでプレイスタイルを広げる工夫をしていく。各コンテンツの内容、完成度を見た上で手を加えていくとのことだ。これらのコンテンツは日本側でもう一度精査し、改善案を挙げていくとのことだ。
「PCだけでなくモバイルオンラインゲームの運営経験だけでなく、プレイ経験こそが私達のウリだと思っています。『このコンテンツはなぜこんなにめんどくさいのか』、『なぜこの報酬は役に立たないのか?』そういったプレーヤー視点でも不満点、問題点を洗い出し、各コンテンツを精査していきたいと思っています」と柿本氏は改めて語った。
「ゆめいろファンタジーラテール」は、柿本氏をはじめとした運営チームが目指すコンテンツの精度、プレイしやすいゲームコンテンツの一旦のゴールについて、近日中に達成予定だという。ここからユーザーの意見を取り入れ、早いスパンで声に応えていくという。
もう1つ「ときめきダーツ」、いわゆる課金ガチャの“当たり”についてだが、こちらの当たりのハードルは何としても下げたかったと柿本氏は力説する。自分達の会社、自分達が運営するタイトルだからこそ、自分達が楽しいと感じる世界、楽しいゲームを出すために、オンラインゲームでは避けられない“ガチャ”の確率も自分達の考えるものを提示したかったという。「欲しいアイテムを手に入れ、自分なりのオシャレを楽しんで欲しい」というのが、柿本氏の問いかけだ。お客様がどう応えるか、ここは注目したいところだ。
これから本作を遊ぶユーザーに対して柿本氏は「もとの『ラテール』の良さは最大限に活かしつつ、冗長な部分やバランスの悪かった部分を修正し、モバイル向けに作り直しています。理想のラテールを提示すべく作っています。そしてお客様の声を聞いて直していくことで、より完成度の高いラテールの世界を作りたいと思います。よろしくお願いします」と語った。
吉田氏は「自分も楽しめるラテールを目指すためにみんなと交流したい」。関口氏は「ほんわかした世界を皆に遊んでいただき、よりよくしていきたいです」と語りかけた。
柿本氏は「ラテール」プレーヤーだっただけに、タイトルに思い入れがあり、お客様視点での“よりよいゲーム像”を思い描いている。その上でスタッフを募り、理想を共有した上でより楽しい「ラテール」、楽しくプレイできるオンラインゲームを本作で実現しようとしている。それはスタート時からはっきり方向性が提示されるという。
現在、韓国系PCMMOがモバイル版になりサービスを展開しているのはある程度“流行”となっている。それらは基本的にはPC版コンテンツをモバイル版にカスタマイズしてサービスするという形が多い印象がある。しかし「ゆめいろファンタジーラテール」は日本の運営が求めるオンラインゲームを実現すべく、多くの部分に手を入れ、コンテンツを見直し展開していくという。この姿勢は応援したい。注目したいところだ。
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