インタビュー

【FFXIV FAN FES】「FFXIV 漆黒のヴィランズ」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー

踊り子やロスガルの設計思想、エデンの謎、第1世界との行き来など、気になる話を聞いた

3月23日、24日開催

会場:幕張メッセ4~6ホール

 本稿では、「ファイナルファンタジーXIV」ファンフェスワールドツアーで恒例となっているメディアインタビューの模様をお届けしたい。

 インタビューが行なわれたのは、初日3月23日のピアノコンサート終了後、全来場者が捌けた後。スタッフ控え室に日本のメディアのみが集まり、合同インタビューの形で実施された。夜遅いこともありわずか40分ほど短い時間となったため、あまり突っ込んで聞けなかったが、新ジョブや新種族に対する考え方、新たな舞台の謎についてなど、気になる部分についていくつか聞くことができた。

【吉田直樹氏】

吉田氏: なんとか無事に1日目に終わることができた。ただ、この規模なので、多少、導線とか、人員の待機列とかミスがあったようで、この後修正のために話そうと思っているが、トラブルなく終われたので、正直ホッとしている。僕としても基調講演、ファンフェスワールドツアーの3つ目を終えて、拡張リリース後、中国、韓国のファンフェスがあるが、グローバル版の発売前のファンフェスはすべて終わらせたので、50%ぐらい仕事が終わった。あとは会場を埋め尽くした光の戦士に感謝の一言。遅い時間まで立ったままライブを見ている人もたくさん居て嬉しかった。

――クリスタリウムの外観が映像で出たが……

吉田氏: いきなりそこから行きますか(笑)。実はそこについては、明日の開発パネルをご覧頂きたくて、開発パネルで「そうだったのか!」という流れにしたい。明日の開発パネルは「新生FFXIV」の冒険世界を作ってきた2人が、かなりおもしろい開発セッションをやるので、その中でクリスタリウムは、どういう風に作られてきたのかとか、「FFXIV」の世界でどのように彩られてくるのかにフォーカスしてお話ししようと考えている。その謎について気づいた方は、ぜひ明日の開発パネルをご覧頂きたい。これ以上言うと、明日の開発パネルの落ちが全部出てしまう(笑)。

【クリスタリウム】
クリスタリウムのアートデザインについては、1点尋ねたいことがあったが、開発パネルで明かすためあえて伏せている

――踊り子について主要ステータスはどうなるのか?

吉田氏: レンジDPSなので、DEXになってくるんだろうなと。装備はコンパチなので。

【踊り子】

――となると忍者もDEXで、DEXを主要ステータスにするジョブが4つになるが、忍者をSTRに移すことは考えているか?

吉田氏: まあ(笑)。これ以上は5月かな。

――まだ何も言っていないと思うが(笑)。

吉田氏: バトルシステムに絡むモノというのは、1つシステム変更だけを話しても理解ができないと思う。新生してから丸5年以上、丸6年運営してきて、いろんなシステムは連鎖して繋がっているものなので、たとえば一部を変えるとしても、バトルシステムに詳しい方は「他の影響はどうなるのか?」と考えられてしまうので、今ピンポイントで一部だけを話してしまうと、今のネット社会、雰囲気とか、誤解とかが定着してしまって、あとで理由とか他の要件を説明しても書き換わらないままということが多い。5月のPLLでバトルシステムに関わる変更箇所、各ジョブ、各ロールのイメージを変更していくのかについて詳細を説明する。もちろんメディアの皆さんにメディアツアーとかで実機を触れて貰う機会を作りつつ、バトルシステムの変更についてはそのときのインタビューで話したい。

――大枠のお話について聞きたい。今回、踊り子を予想していた人は多いと思うが、踊り子がレンジDPSになったのは驚いた。ガンブレイカーがタンクとして発表されたことで、次はヒーラーだろうと予測していた方が多かったように思う。今回、タンクとレンジDPSを追加することに決めた理由を教えて欲しい。

吉田氏: ヒーラー案はなかったわけではないが、踊り子をヒーラーにするというわけではなく、「FFXIV」では、拡張する際にプレーヤーのゲーム体験を最優先に考えている。どのロールにジョブを足すのかというところから考えて、その中で、タンクを足すのは早い段階で決めていた。というのは、タンクはMT(メインタンク)、ST(サブタンク)という2つの役割があるにも関わらず、奇数なのはバランスが悪いなと考えた。仮の話として、MT2ジョブ、ST2ジョブという風にするにしても、当然、3ジョブしかいないと、仮にMTとSTどっちもできるというバランスをとっても、ちょっとした有利不利で、MTかST向きとなって2:1という関係性になるので、4ジョブにしたほうがバランスがとりやすいだろうというところが大きかった。あと「FF」シリーズでガンブレードという象徴的な発明武器を足すことで、今までオンラインタイプの「FF」に食指が動かなかった人にも訴求しやすいと言うことで割とすんなり決まった。

 もう1ロールどこに足すか。最後まで残っていたのは、詩人と機工士、2枠しかいないレンジDPSに3ジョブ目を足すか、もしくはヒーラーに4ジョブ目を足すかだった。ただ、ヒーラー3ジョブのバランスというのは、最後まで苦労しているところで、どうしてもフェアリーの分だけ学者が飛び抜けるところがあって、5.0でまたバランスを取り直すにしても、MTとSTといった役割の違いがなく、バリアヒーラー、ピュアヒーラーというくくりはあるにせよ、この状況で4ジョブにして取り切れるのかといったときに、3ジョブのバランスを徹底したほうがいいのかなと。現在2ジョブしかないレンジDPSにもう1枠足して、綺麗に各ロール数を揃えるということのほうがいいのではないかと。

【踊り子はレンジDPS】

――踊り子というと「FFXI」のイメージが強いファンも多いと思う。「FFXIV」の踊り子は、「FFXI」に近い設定なのか、それとも新規設計なのか。

吉田氏: 完全に新設計。技名とか、エフェクトとか、そういったところに「FFXI」に限らず歴代のFFテイストを散りばめるのが「FFXIV」流でもある。過去の踊り子の印象は匂わせつつ、「FFXIV」独自のゲーム体験を作るという点では似ているようで似ていない。たとえば、侍はそうだったと思う。「FFXI」のいわゆる“武者”のイメージから着流し浪人の侍を作って、結果として侍としてはイメージもデザインも確立できたと思う。そのような感じで「FFXIV」ならではの踊り子にしつつ、どこか懐かしさを感じられる設計にしたいと思っている。

【「FFXI」の踊り子】
「FFXI」の踊り子とはかなり違うデザインになるようだ

――踊り子は男女でモーションは同じだということだが、別のモノにするアイデアはなかったのか?

吉田氏: それを1度でもやってしまうと、他のジョブでも俺たちもわけてくれと言われてしまう。あとはメモリの配分を考えたときに、ジョブアクションはオンメモリで即時再生が必須なので、それを考えたときに特定のジョブに複数モーションが常駐されると、すべてのジョブに複数モーションが使ってもいないのに用意されるという設計になってしまい、破綻するので絶対にやらない。

――男性踊り子も色っぽい踊りを踊るのか?

吉田氏: 今ジェンダーというのが難しい問題になっている。踊りを踊ったらセクシーという、その固定観念事態がマズいと思っている。これはジョブクエストにも絡んでいるが、なぜ彼らは踊りを踊るのかを、民話を参考にジョブクエストに根ざしてしっかり作っている。彼らが踊らなければならない理由は性別関係ない。それによって味方を鼓舞し、敵を倒すというものなので、鼓舞するものがセクシーかどうかは関係ない。現実に存在している踊りは、すごい古い歴史をもっているがゆえに、ジェンダーの印象、男性はこうであるべき、女性はこうあるべきというところから生まれているものもたくさんあるので、それを参考にしすぎると性別の印象が出たモーションになってしまうので、最初のサンプルを見たときに「それはやめなさい」と伝えた。一部のステップを取り入れるのはいいけど、動きそのものを踏襲するのはジェンダー差が出てしまうのでやめようと、結構大変だった。今は大変な時代(笑)。

【踊り子のモーションは男女同じ】

――高難易度レイドについて、野村哲也さんがキャラクターデザインを担当したということだが、彼に声をかけた理由と、ユーザーの反応の感想を聞かせて欲しい。

吉田氏: これもやっぱり僕が哲さんが描くキャラの持っている魅力とか、キャラを通じて考える設定とか世界観が好きで、彼は本当に天才だと思う。なかなかオンラインの「FF」に、そのエッセンスに入ってこないのは1ファンとして忸怩たる想いがあった。ものすごくお忙しい方なのでどこまでやれるかはあったが、3周年記念の時にイラストを描いてもらったり、実はちょこちょこお願いしていたりする。「希望の園エデン」というタイトルで、新しいレイドをつくるときに、キーになるキャラクターは何人かいるが、その1人を書いてもらいたいという話を去年の夏ぐらいにして、「たぶん大丈夫だよ」と言ってくれて、全然大変だったみたいで(笑)。でも見事に描ききっていただいたし、哲さんならではの表現、装備とかもそうだが、また「FFXIV」で再現するためにモデリングを調整していくのは刺激になる。お客様からみた、若い世代の「FF」ファンは哲さんの絵と馴染みが深いので、そこで興味をもってもらって、引き続き「FF」のテーマパークとして楽しんで貰えたらなと考えている。「FFXI」の時はスタートを哲さんが書いている。「FFXIV」はまだなかったので、「哲さんなんとかお願いしますよ」とお願いして、快く受けてもらった。今やっていただいているモンスターのほうもすごいものができてくると思う。それに皆さんが会うのは結構先の話になると思うが(笑)。

【野村哲也氏のイラスト】

――エデンについて具体的にどういうストーリーが展開するものなのか明かされていないが、それは5.0のストーリーに密接に関わるから?

吉田氏: そのとおり。基本的には原初世界ではなく、第1世界で起こるレイドだと思って貰っていい。行った先、第1世界で巻き起こる大きな問題に取り組んで行くというのが、レイドの根幹。今まで、大迷宮バハムート、機工城アレキサンダー、次元の狭間オメガとやってきて、今回一端また「FF」の凄くベーシックなものに戻ろうか、クラシック「FF」らしいレイドになるかなと。とりあえず4層まで一端組み上がっている、ギミックも「はあ?」といってもらえるように、色々用意している。驚いていただけるのではないか。スタッフがニヤニヤしながら自慢げに僕の所に見せに来ているレベルで、よくできていると思う。

【希望の園エデン】

――罪食いを倒すと天候と夜を取り戻すシステムは、何か別の新しいコンテンツで表現するのか?

吉田氏: 既存のメインストーリーを追いかけていく過程の中で、今回エリア攻略型というか、このエリアを開放し、夜も取り戻す。全面的に光の勢力に押しつぶされようとしている中で、闇の戦士が闇に塗り替えていくみたいなイメージ。人によってシナリオの進行状況が違うので、同じエリアにいるのに見え方が違うということをやっている。

――では、個人のプレイとして関わってくる?

吉田氏: その通り。メインシナリオに密接に絡んでくる。

――第1世界が舞台になるということだが、原初世界との行き来はできるのか?

吉田氏: 光の戦士は超える力によって可能。非常に便利な設定を考えたものだなと思うが(笑)、超える力によって次元の狭間も超え、並行世界も超える。ただ、パッチ3.4のときに闇の戦士編をやっているときに第1世界から来た元光の戦士達が命を捨てることによって原初世界へという展開が会ったと思うが、それをしなくてすむものが1個存在している。それもメインシナリオにかなり密接に関わっている。単純な超える力だけ超えるわけではなく増幅さえる何かがあると考えていただけると。「ヒカセン1回死ぬんだ」みたいな展開はないと安心していただけると(笑)。1度行けばテレポも使えるようになるので。

――そのテレポのコストは?

吉田氏: そこは転送網を維持するために何かが必要になってくる。ただ、第1世界にギルが流通しているのかとか、アラグ帝国ないといっているのに、アラガントームストーンがあるのかとか、色んな疑問が湧いてくると思う。そもそもロウェナいないのにとか(笑)。そこは実際にご覧頂きたい。我々は徹底して設定を作り、納得いく形で用意している。ついにアラガンではないトームストーンが出てくるのか。そこは巧く作っている。そこはニヤニヤして見ていただきたい。異世界に行くということと、原初世界というものを、体験として繋げるようにしている。開発は大騒ぎだったが、あれどうするんだ、これどうするんだ。たとえば「リテイナーどうするんだよ」とか開発は言っていた(笑)

――新種属のロスガルについて、獣人をどうしてもいれたかったと語っていたが、理由を伺いたい。

吉田氏: 世界的にやっぱり様々な価値観の方に遊んで貰うのがMMORPGの本質だと思っていて、「FF」って美男美女が登場するゲームではあるが、「FFX」にあったように、ルックスとしてもっと強い、よく引きあいに出してていたのが「グインサーガ」だが、ファンタジーを作ってる上でそこにもスポットライトを当てておきたいというのがあった。仮にこれ以上イケメンを追加していってもなあと。それって耳の形が違うだけなんだよなってのが凄くあって、きっかけになったのはベーシックな「ウルフマン」という落書きのようなアートを公開したことで、4.0の世界に人狼族を望む声がグローバルで多かったこと。今のパッチ速度で、あれだけの装備データを報酬として出していくと考えたときに、種族差は1つの装備を作るだけでかけ算コストになるので、今のワークフローだと限界に来ているので、新種族はあと1つだろうと考えたときに、悩みに悩んだ末にどっちもとりにいこうとしたのが今回。それで今日はライオンのTシャツ。ライオンの気分(笑)

【新種族ロスガル】
「EverQuest」を彷彿とさせる濃い種族デザインになっている

――新種属の頭装備はどうなるのか?

吉田氏: 表示されない。「FFXIV」のルールだとNGだった。ヘルメットを被せる以上、絶対に作れなかった。ヴィエラの耳にしても、もっと横に倒さないと、要はミコッテの同じ位置にしないと「FFXIV」の仕様にハマらない。今回、思い切ったルックスの新種属を作らないといけないから、ヘルムは被らなくていいと決めた。装備は可能だが、グラフィックスには反映されない。ただ、かぶりものだけは対応して上げようと言うことで、首すげ替えで対応している。スノーマンヘッドとか、スノーマンヘッドはどうだったかな? たとえば、ナマズオヘッドは、まだ出てないんだっけ? でぶチョコボヘッドとかはOK。眼鏡はダメ。これもよくてこれはダメとはやらずに、基本はグラフィックス表示なしで、首すげ替えだけは許可ということにしている。

――NPCヴィエラが眼鏡を掛けているということはあり?

吉田氏: それをやろうとしても僕が止めるような気がする。NPCつけれるのに、なんで僕たちつけれないんだよってなってしまうので。開発に余裕が出てきて、工数が短縮できるようになってきたら、何か考えたいと思っている。

――女のみのヴィエラ、男のみのロスガル。この2つを実装するというのはどのタイミングで決めたのか?

吉田氏: リターン・トゥ・イヴァリースのタイミング。4.0が出て3カ月目ぐらい。ヴィエラはそこで確定させて、「松野さん、プランを出すなら出しましょう」という話をして、ロスガルもその時点。ロスガルの女性を作るか、ヴィエラの女性を作るかで、ヴィエラの女性を選んだから、そのぐらいの頃から作り始めている。でなければ間に合わない。先ほども話したようにパーツの設計が特殊なので、顔の形状変形がラスガルは大きい。ロスガルはライオン顔、ウルフ顔、あと豹系の顔という感じで、タイプをがらっと変えられるようになっている。そのテストからはじめて、Fixモデルになったのは、割と最近の話。ヴィエラはファンフェスパリの直前、ロスガルはつい最近の話。

――キャラサイズについて、ロスガルとヴィエラのサイズ感について知りたい。身長はルガディンよりもヴィエラが高いということだが、ロスガルはルガディンより大きいのか?

吉田氏: 何をもって大きいというかによる。彼ら猫背なのでピーンと伸ばしたらルガより高いと思う。筋骨はルガディンより1段たくましいので、甲冑系が似合う。ヒーロー感は出しやすい。キャラメイクも人によって作るモノが全然違う。僕らがデフォルトと呼んでいるキャラメイクの初期表示をどれにするかで喧嘩になっている。これはロスガルっぽくないだろ、いやいやいやいや、みたいな。

――獣人の割にツルツルだと思った。ふさふさにもできるのか?

吉田氏: それはできない。ハードウェアや描画エンジンを進化させないといけない。あれにファーの処理を入れたらたぶん動かない。もふもふエンジンは第5BDにあるが、積んだら3体表示したら動かなくなる。ただ、よく見られがちなバストアップについては、テクスチャーを切り詰めたりギリギリ限界までやったつもりなので、そこは実機でご覧頂きたい。作って見れば、思ったよりもちゃんと作れると思っていただけると思う。

【新種族は頭装備の表示なし】

――ドワーフについて、蛮族ということだが、蛮族とはガレマール帝国が定義していたように思うが、第1世界にガレマール帝国は存在しないのではないか?

吉田氏: でも我々日本人でも、蛮族という日本語は存在している、それと同じように第1世界の標準言語として、「あいつらは人というより蛮族だよね」、それだと思って欲しい。ガレマール帝国が付けた蛮族という言い方ではなく、はずれものだと思われていると、世界設定本にも微妙に伏線を張っている。時代によって、何が蛮族と呼ばれるかは変わる。世界が違えば、同じエーテルから発生しているものであっても蛮族と呼ばれるかもしれないし、逆にその種族以外を蛮族と呼ぶこともある。たとえば、仮にガレマール帝国が原初世界を制圧したとすれば、ガレアン属以外をすべて蛮族と呼ぶ可能性があるのと同じ。

――ドワーフは“ラリホー”というのか?

吉田氏: それは言わぬが華な気がする。

――第1世界の蛮族は蛮神を呼ぶのか、そもそも蛮族はいるのか?

吉田氏: さあどうだろう。分裂してしまったことによってある意味壊れている世界なので、エーテルの力を使い、強く願うと、それが神降ろしとして顕現しているという事象は、他の並行世界でも起きてる可能性はある。ただ、それと5.0に蛮神が出るのは別問題。

――顔が暗くて髭というのは、歴代のドワーフのイメージ?

吉田氏: そのとおり。ドワーフに仲間と認めて貰えれば、いずれ皆さんも被れる日が来るので、被ればああなれるかな。

――ドワーフというかララフェルが蛮族クエストを出してくれる可能性は?

吉田氏: その可能性は十分にある。蛮族デイリーで毎日会いに行き、ドワーフたちって、いくつかの派閥にわかれていて小競り合いをしているみたいだが、僕らからすれば子供の喧嘩みたいなもの。それを取り持ってあげたりとかはいずれ出てくるかもしれない。そこはこだわって作っている。SNSを休憩中に一瞬見たら、闇の白魔道士のラミミちゃんとか兜と髭つけてないじゃんというご意見もあったが、それにはちゃんとした理由がある。きちんと回収している。

――ちなみに自分がララフェルでドワーフの拠点に行くと、シナリオが変わるのか?

吉田氏: ただ、みなさん、ヘルメットも髭も付けてない。「おまえらはドワーフの掟を捨てたドワーフだな」みたいな可能性は十分にあるかな。今回は新しい世界というかファンタジーを作って行こうというポイントで作っている。

――家のサイズがララフェルサイズなのも、その一環か?

吉田氏: そこは違うかもしれない。ララフェルは世界的に人気なので、4.0の時はアジムステップで、アウラの部族の暮らしをいろいろ入れたら、ミコッテも欲しい、エレゼンもそうというご意見を頂いたので、今回は一番インパクトありそうなララフェルというかドワーフに力を入れてみることにした。

――クエストの進行に影響はない?

吉田氏: それは大丈夫。「メインクエストのために幻想薬買えってか、どんな強制拝金主義だよ」っていわれてしまうので(笑)。

【蛮族ドワーフ】

――Twitchのコメント欄で“デブッテ”と呼ばれている、ふくよかなミコッテがいたが、あれがプレーヤーにも選択可能な形で開放されることはあるのか? また他の種族でもああいうデブな方が登場するのか?

吉田氏: ふくよかな(笑)。先ほどの美男美女の話じゃないが、世界中にいろんな体形の人がいてしかるべき、コストの関係でバリエーションがつくれてないので、コストをかけてちゃんと体形の違う同じ種族をちゃんと作っていけないかということで、検証の1つ目として取り組んでいる。良いキャラクターたちになったかなと。メインストーリーに絡んでくるキャラクターもいるので、見てもらってストレートに感想をいただきたい。

【デブッテ!?】
強烈な印象を残した肥満体型の男ミコッテ

――第1世界の世界の広さについて、光の反乱で失われつつあるといことだが、「紅蓮のリベレーター」と比べてスケール感はどうか?

吉田氏: ゲーム全体の冒険ボリュームとしては「紅蓮のリベレーター」を下回ることは絶対ない。ちょっとデカいんじゃないか。密度はかなり濃い、ノルヴラントが、3国エオルゼアという地域と対になるイメージ。エオルゼア地域、ノルヴラント地域みたいな。単純に原初世界ではエオルゼアと呼ばれている世界ぐらいの大きさで、ノルヴラントという世界があって、それ以外は光の反乱によって消し飛んでしまっていて、無の大地と呼ばれる真っ白な世界が広がっている。フィールドでもそれを実際に見ていただける。アム・アレーンというマップを以前基調講演で紹介しているが、めくれあがったような、あれが外から押し寄せてきた光の反乱があそこでギリギリ止まった。あれがノルヴラント地域を円状に包み込んでいて。外はすべての属性が失われたただの白い大地。

――ではエデンのイラストは、白い大地ということか?

吉田氏: さあどうだろう(笑)。

――過去のエキスパンションでは、空を飛ぶ、海中に潜るとか、移動の仕方も同時に拡張されるところがポイントだったように思う。今回はそういうギミックはないのか?

吉田氏: 今回はない。そのかわりに、先ほど話した世界を闇に塗り替えていくという体験に変えている。あとは無重力ぐらいしか残っていないということもあって。これ以上移動方式を増やすよりは、そろそろジョブに関係なく、全員でフライングして攻略するコンテンツとか、そういう方向性で延ばしたいと漠然と思っている。これ以上だと、本当に体験として無重力ぐらいしか残っていなくて、無重力は月にいく時に残してあるが(笑)、ただ、飛んでると何が違うのと聞かれると答えられない、水中と一緒と言われると、まあそうねとなってしまう。無重力だと、音も聞こえないし。

――「漆黒のヴィランズ」の核となる要素は、世界を作り替えていくということか?

吉田氏: すべてがメインシナリオに根ざしている。フェイスシステムもそう。今回は、いつも言っているとおり、新作RPG1本分のゲーム体験をさらに広げて行きたい。特にRPGとしてこだわっているところ。普通のMMORPGではなかなか実装しないような、1人で遊んで、シナリオにどっぷりはまれる、というところを全力で作っているということが答えとしては一番近いかなと思う。

【新エリア】