【特集】
任天堂「アラーモ」、朝が苦手な人による2カ月使用レビュー【年末特集】
ゲームファンであるほど効く“ゆっくりでも確実に起きられる目覚まし”
2024年12月23日 00:00
- 【ニンテンドーサウンドクロック Alarmo】
- 10月9日 発売
- 価格:12,980円
任天堂製のユニークな目覚まし時計「ニンテンドーサウンドクロック Alarmo(アラーモ)」が手元に届いてから約2カ月が経過した。家では常に電源がオン状態になっていて、毎朝稼働し続けている。製品の扱い方や心構えがだいたい掴めてきたので、改めてレビューしていきたい。
「アラーモ」についておさらいしておくと、本製品は任天堂が10月9日に発売した目覚まし時計だ。任天堂は「ゲームの世界で目覚める不思議な目覚まし」としており、任天堂タイトルのゲームサウンドがアラーム音などに使われている。
製品の特徴は、時計に組み込まれた「うごきセンサー」。製品正面に設置されており、「アラーモ」本体に触れずとも手や体を動かすことで反応する。これが目覚まし機能と合わさることで、体の動きだけでアラームを止める体験が実現されている。
製品の基本的な性能や最初のセットアップなどは購入初日のフォトレポートにも記載しているので、合わせて参考にしていただきたい。
朝が苦手だとこうなる、という「アラーモ」での起き方
「アラーモ」を2カ月使用して感じるのは、付き合い方が人によってガラリと変わるだろうということだ。使う人がどう起きているかによって、本体設定や使い方が変わってくる製品だと言える。ただ、様々な起き方が想定されているため、その点が個人的にはかなりありがたい。
筆者はどちらかというといわゆる朝が苦手なタイプであり、なかなか布団から動くことができない。「アラーモ」プロデューサーの田守洋介氏が「ベッドの上で30分くらいぼーっとしてから起きる方もいることをこのプロジェクトが立ち上がってから初めて知りました」とインタビューで語っていたが、まさにこのタイプで、ぼーっとしてから起きられることもあれば、そのまま気づくと二度寝していることもある。
そのため、目覚まし時計が鳴っているのにわざわざ止めて寝入ることもザラにあるし、起きようと思っていてもなかなか体が動かせなかったりする。スマホの機能で5分刻みで6回ほどアラームが鳴るようにしてからはだいぶ起きられるようになったが、要は朝がすごく辛いのである。
ではそんな筆者が「アラーモ」を使ったらどうなるか。実際に使ってみると、目覚ましのようであるし、ゲームのワンシーンをプレイしたような気分にもなる不思議な感覚が生まれてくる。
たとえば、「スプラトゥーン3」のアラームのひとつ「Clickbait / C-Side」では、ステージ楽曲がだんだんと大きくなりながら鳴ってくる(最初は試合前の楽曲、試合開始の合図、楽曲スタートという一連の流れで始まる)。そこにはインクの発射音や移動するときの音が混じっていて、頭の中にプレイ中のイメージが浮かんでくる。
そこで寝返りを打ったり手足を動かすと、敵にインクがあたったときのSEが鳴る。これを短い時間で連続で繰り返すと、さらにインクがあたって敵を倒せる。と同時に、一旦アラームがオフになる(起こし方モードの設定で変化。記載は「ほどよく起こすモード」の場合)。
この間、筆者はずっと目を閉じたままで、一切「アラーモ」には触れていない。ただ少しだけ覚醒していて、敵にインクを当てるために手足をフリフリと動かしただけだ。この時点では、まだ完全には起きられない。
うとうとして体を動かさないでいると、再びステージの音が鳴ってくる。ここでも再び手足を動かして、敵を倒して音を止める。これらを繰り返し、音を聞いて手足を動かしながら、だんだん覚醒していく……という感じだ。
ちなみにアラームの設定時間から20分経つと、「ハリーアップアラーム」に入って(これも起こし方モードの設定で変化)、より激しい音が流れる。今回の「スプラトゥーン3」の場合は、試合終了1分前の追い込み時の楽曲「イマ・ヌラネバー」が流れる。こちらは敵を倒しても音が鳴り続けるので、覚醒状態は常に続く。筆者の場合は、このあたりでようやく起きられる。
そしてベッドから出ると、試合勝利時の音楽が流れてアラームが自然に止まる。音のおかげで「スプラ3」の1試合をしたような感じがするし、「朝起きる」という敵に勝った感じがして、気分がいい。物理的に何かを押す「アラームを止める」という行為が発生しないのも便利だ。
今回、記事執筆のためにテストでアラームを鳴らしてみたのだが、音量は最初は小さく、だんだん大きく、うごきセンサーが反応すると少し小さく、動きが止まるとまた大きくと、かなり細かく変化している。音量自体はかなり大きい設定にしても、驚いたり不快にならなかったりするのは、この細やかな音量調整も一役買っているかと思う。
総じて、「アラーモ」で起きるようになってからは朝が意外と楽しい。「リングフィット アドベンチャー」の音で起きる(ベッドから離れる)と、最後は「ビークトリー!」というステージクリア時おなじみのサウンドで終わるなど、面白くもポジティブに朝を迎えられる。
筆者は自覚があるくらいに朝が苦手なタイプだが、“ゆっくりでも確実に起きられる目覚まし”は、人生のどこかで待望していたようなところがある。その点で、「アラーモ」はかなり効果的だ。
今回記載したのはあくまで筆者個人の使い心地であるので、たとえばもっと目覚めがいい人なら、「ハリーアップアラーム」が発生しない「やさしく起こすモード」がいいかもしれないし、もっと眠りが深ければ「しっかり起こすモード」がいいかもしれない。ここは人によって、まったく異なる接し方になるかと思う。
ただ筆者は、ゲームをプレイしているときの、楽しい気分が蘇りながら起きられる感覚が気に入っている。ゲームグッズ兼良い目覚ましとして、これからも使用していきたい。
アラーム音は嫌いにならないのか? 他に気づいたメリットとデメリット
ここからは上記とは別に、メリットとデメリットを含めた使用して気づいたことを書いていきたい。
最初に設定したらほぼ放置でいい
「アラーモ」は、目覚まし機能自体はうごきセンサーですべてを賄うので、何もなければほぼ放置で役立ってくれる。
最初の設定では色々と選んだり、決めたり、動作確認したりする必要があるものの、大体の使用ルーティーンが決まれば決まるほど、細々と構わなくてよくなる。
アラーム時間の再設定や楽曲の変更、記録の確認などをする際は操作する必要があるが、「触らなくていい目覚まし」という点ではかなり画期的だ。
筆者の場合はアラーム時間は固定な上、楽曲は全曲ランダムにしているので、1週間以上ほぼ触らなかったこともある。それで朝の目覚めに効果を発揮してくれるのだから、かなり便利と感じている。
スピーカーの音質がいい
アラーム音がポイントの「アラーモ」は、スピーカーの音質がかなりいい。商品としては目覚ましだが、ゲームサウンドの再現、表現にもこだわりを感じる品質がある。Bluetooth接続などして、そのままスピーカーとしても使いたいくらいは良い音が鳴る。
アラーム音を最大にしても、音が割れるわけでも軽いシャカシャカした音が鳴るわけでもなく、違和感なくゲーム世界に入り込むことができる。やけにいいゲームサウンドが鳴る目覚ましであり、ここに高級感がある製品と言える。
時報機能がいい
「アラーモ」はアラーム機能が最大の目玉だが、1時間ごとの正時に鳴る時報機能があり、これも楽しい。
時報ではアラームに設定したゲームタイトルに関連したサウンドが鳴り、たとえば「スーパーマリオ オデッセイ」であればコインを取る音、「ピクミン4」ならピクミンを引っこ抜く音など、遊び心を感じられる。ゲームを身近に感じつつ、生活にも役立つ良機能だ。
家族で使ってもそれなりに効果がある
「アラーモ」のうごきセンサーは何かしらの動きに反応しているため、家族などの複数人で使用する場合は想定通りに動作しない可能性が高い。
家族のひとりがベッドが出ると、その時点で音が鳴り響いてアラームが終了するなど、「アラーモ」の狙い通りの動作とは異なってくる場合がある。ただ、動きを検知したあと動きがないとアラームが再設定される機能もあるので、意外とアラームは引き続き鳴ってくれる。
環境的に100%狙い通りにはならないのだが、それでも「ゲームの世界で目覚める」という体験は少なからずできる。ここはやはり、唯一無二の目覚まし時計と言えるだろう。
逆に、1人だけ早く起きたい、みたいな場合は、確実に起こすサウンドが鳴る分使いづらい。複数人の場合は、ケースバイケースで使用していくのがいいだろう。
ベッドと同じ高さのサイドテーブルは必須級。あと電源も
「アラーモ」は動きを感知する目覚ましなので、ベッドの横にサイドテーブルなどを置き、動かない場所に設置しなければ効果を発揮できない。
「アラーモ」最初の設定では「ベッドより高さ20cm以内に収める必要がある」と説明があり、高さも揃えることも重要だ。筆者はたまたま高さの合う丸椅子があったので、これを置いて代用しているが十分すぎるくらいに問題なく使用できている。
また「アラーモ」は電源用のケーブル装着が必須となっているため、設置場所の近くに電源を取れる場所を確保しなくてはならない。これから購入する場合は、設置場所をあらかじめ想定しておくのがおすすめだ。
日々の記録が興味深い
使用日数が経過してくると、日々の記録が溜まってくるのが興味深い。こちらは睡眠時間、アラームが鳴ってから起きるまでの時間、うごきセンサーが動作した記録が見られるもので、特にアラームが鳴ってから起きる時間は、「アラーモ」がどれほど自分にとって効果があるのかを確認できるので面白い。
筆者の「アラーモ」の記録は家族の寝起きがごちゃまぜであるので完全に参考記録だが、1人で使うとより「アラーモ」との付き合い方が深まっていくかと思う。
ゲームファンであるほど目覚めが楽しい!
「アラーモ」は任天堂のゲームサウンドがふんだんに使用されており、やはり親しみのあるタイトルだと目覚めの心地が違う。たとえば上に書いた「リングフィット アドベンチャー」の「ビークトリー!」のサウンドは、プレイしているからこそイメージが湧いて楽しめるのだと思う。
つまり、ゲームの思い出とセットになっていると、より起きやすい上に楽しめるかと思う。上に書いたように音量の調整がかなり細やかなので、「アラーム音が不快でその音が嫌いになる」ということは今のところない。アラームに殺意を覚える系の筆者もここが懸念点ではあったのだが、このまま使い続けてもゲームサウンドが嫌いにはならなさそうだ。
12月11日には「マリオカート8 デラックス」の楽曲が追加されており、次は「あつまれ どうぶつの森」が追加予定だという。任天堂タイトルのファンであれば間違いなく楽しめる目覚ましとして、おすすめの製品である。
(C) Nintendo