(2014/10/14 00:00)
10月2日にリリースされたXbox One「Forza Horizon 2」は、“クルマで走る喜び”を全面にフィーチャーした、とても贅沢なオープンワールド・ドライビングゲームだ。
Xbox 360でリリースされた前作から2年、本作では舞台を北アメリカから南ヨーロッパへと移し、次世代機パワーでさらに緻密で美しいクルマと風景を描写。「Forza」本編譲りの膨大なカーコレクションなど全体の進化を作中に取り入れつつも、ドライビングの楽しみは本作ならではのアプローチで表現。ツーリングにレース、さまざまなチャレンジをマイペースで楽しめる1本となっている。
なお、本作はXbox OneのみならずXbox 360版もリリースされているが、本稿ではより深く本作の特性を楽しめるXbox One版をベースにレビューをお届けする。
自分なりの走りをとことん楽しめる、「Horizon Festival」!
本作の舞台は南ヨーロッパ。南フランスと北イタリアにまたがり、地中海に面する風光明媚な一帯だ。プレーヤーは、ここで開催されるカーフェスティバル「Horizon Festival」に参加するためやってきたドライバー。このフェスティバルでは広大なゲームワールド全体が、クルマのための遊び場と化す……。
大筋のゲーム内容は前作Xbox 360版「Forza Horizon」と同じ。マップ中各地の都市で開催されるチャンピオンシップ・レースに参加して勝利を目指したり、フリー走行でドリフトや設置物破壊などのスキルを披露して経験値をゲットしたり、お金を溜めて愛車コレクションを充実させたり、各地に隠された掘り出し物のクラシックカーを探したり……。とにかく盛りだくさんの遊びが用意されていて、しかも自由だ。
しかし大きな変化もある。ゲームを始めてまず目を惹くのが、その圧倒的なビジュアル。石畳の街にモダンなビル街、広大な原野から入り組んだ山々と変化に富む南ヨーロッパの風景は非常に緻密で美しい。描写されるクルマのグラフィックスも含め、総合的な映像の見栄えは「Forza Motorsport 5」に勝るとも劣らない品質だ。その品質で、およそ15×15kmにわたるゲームフィールドを隅々まで描写しているのだ。まったりとツーリングしているだけでも、各地の風景に目を奪われ、時間を忘れてしまう。
その代わりと言ってはなんだが、フレームレートが30fps固定であることが、「Forza Motorsport 5」と比較して本作最大の欠点となっている。次世代機向けのレースゲームなのに60fps固定でない、というのは、レースゲームファンにとって手痛い失点であることは間違いない。が、しかし実際のところ、本作をプレイし始めるとフレームレートの不足はほとんど気にならなくなる。
それはなぜか? 本作は「Forza Motorsport 5」のように100分の1秒を削っていくようなストイックなレースゲームではなく、もっとおおらかにドライビングを楽しむ作品だからだ。10数時間プレイした結論として、本作がフレームレートよりも風景の描写にXbox Oneのマシンパワーを注ぎ込んだのは正解だったと思える。特に「Forza」本編にない、リアルタイムの時間や天候の変化がもたらす夜の風景は素晴らしい。雨で路面が濡れ始めると、輝く街灯やヘッドライトが路面に反射し、それはそれは幻想的で美しいビジュアルを作り出す。
だから本作では、ドライビングモデルも「Forza Motorsport 5」に比べるとかなりアーケード寄りに調整されている。「Forza Motorsport 5」と似たような難易度調整オプションは用意されていて、ハンドリングを“シミュレーション”にすることでちょっぴりハードコアな走りもできるが、基本的にはドリフト上等、乱暴な運転も大歓迎のアクションレーシング。ライバル車とガンガンぶつけあって街灯やロードコーンをバリバリなぎ倒しながら走れるゲーム性だ。むしろ、スキルシステム的にそれを推奨している。
オブジェクト破壊やドリフト、対向車とのニアミス等が走行スキルとしてポイント源になるシステムは前作から完全に踏襲。レース外のフリー走行中でも、アグレッシブな走りを披露して連続スキルを決め、ガッツリと経験値を獲得することができる。特に今作では道路外の広大なフィールドも自由に走れるようになっているので、オフロード車でのドリフトが特にスリリングで楽しい。
全体として、本作ではSクラスのハイパースポーツカーで猛烈なスピードを出すのもいいが、E~Bクラスのもっと身近な性能のクルマで、自分なりのペースで様々な走りを楽しむところに、より多くの深みがある。ひたすらトップカテゴリーを目指す「Forza Mortorsport」とは対照的で、面白いところだ。