(2013/9/6 00:00)
PCゲームデバイス専門メーカーのSteelSeriesは、新製品のゲーミングマウス「KANA V2」を9月13日に発売する。価格は5,480円。
本製品はSteelSeriesから2012年3月に発売された「KANA」の改良版で、スイッチやセンサーなど内部機能面を全面的に刷新し、性能を向上させた。SteelSeries全体の製品ライナップの中ではミドルクラスという位置づけだが、前モデルからの性能向上のおかげで非常にソリッドな完成度のゲーミングマウスに仕上がっている。
エントリーモデルとハイエンドモデルの間に挟まれて何かと地味な扱いを受けることの多い“ミドルクラス”だが、本製品「KANA V2」は“ハイエンドの廉価版”や、“エントリーモデルの上位版”といった範疇には収まらないポテンシャルを持つ。
本稿では、SteelSeriesの主要ラインナップを取り上げながら、「KANA V2」がSteelSeries製品全体の中でどのような位置を占めるのかを明らかにしつつ、その使用感をレポートしていきたい。
SteelSeriesのゲーミングマウスラインナップをおさらいする
まず最初に取り上げたい「SENSEI」はSteelSeriesのトップエンドゲームミングマウス。日本語で“先生”を意味する製品名には「今まで不可能だった技(動き)を教えてくれる存在」というコンセプトを反映したものだ。
1から5,700CPI(通常CPI値、ARMプロセッサーによるダブルCPI値:5701から11400CPI)の間で1CPI刻みで調整可能なセンサーは、SteelSeries独自設計のイメージセンサーアルゴリズムを採用し、150インチ/秒(約3.8m/秒)の高速追従性を誇る。リフトオフディスタンスに直線補正、低速操作時に逆加速をかける機能、高速操作時に加速を掛ける機能などを10段階で調整可能とトラッキング面のカスタマイズ性にも富み、最強の有線マウスとの評判だ。
筆者も「SENSEI」を長く使ってきているが、往年のFPSファンから信望の厚いマイクロソフトIntelimouse Explorer 3.0に近いクセのないフォルムに高品質のセンサーを搭載するだけあってFPS系ゲームを安心してプレイできる。
2011年10月の発売以来、FPS向けとしてはこれ以上ないチョイスのひとつということで、「SENSEI」はFPSゲーマーからの人気が高い。SteelSeriesによれば、「SENSEI」は10,800円と、同社のマウス製品中で最も高価でありながら、最も売れ筋の製品となっているとのことだ。
「SENSEI RAW」はその名の通り、上記「SENSEI」からの派生版。筐体フォルムや最大150IPSという高速追従性を誇るセンサーはそのままに、リフトオフディスタンスや直線補正等、各種のカスタマイズ機能をカットして廉価版としたものだ。廉価版とはいっても価格は7,980円とゲーミングマウス全体で見てもミドルハイのクラスに位置する。センサー解像度はセンサーネイティブの90~5670CPIの90刻み。
最大の特徴は、制御チップ類がいくらか簡略化されたこともあって「SENSEI RAW」は「SENSEI」に比べて約10グラムほど軽いことだ。それでいてセンサー性能、フォルムは同様であるため、軽量版「SENSEI」として愛用しているゲーマーも少なくなく、特に素早い操作の多くなるローセンシ系のプレーヤーからの支持が厚い。
こういった特性から「SENSEI」に並ぶ人気モデルとなっている。SteelSeriesによれば、オンラインFPS「Alliance of Valiant Arms(AVA)」界隈で広く使われているとのことである。
一気に価格が下がって3,980円の「KINZU V2」は、SteelSeriesのマウス全製品の中のローエンド、エントリーモデルに位置づけられている製品シリーズだ。フォルム感は上位の「SENSEI」などと同様のクセのない形状だが、ぐっと小型で、サイドボタンが存在しないなどの簡素化が図られ低価格が実現している。
センサーは400/800/1,600/3,200CPIの4段階で切り替え可能なオプティカルセンサーで、CPIとポーリングレート以外の設定項目は無しというシンプルな構成。センサー性能は安定性を重視した光学センサーで、まさにエントリーモデルにあたるマウスである。
価格は安いが、サイドボタンが存在しないというのはFPSのプレイシーンでも致命的な不備となることが多いためもあってか、SteelSeries製品の中ではいまひとつ存在感が薄い。同価格帯ではロジクールの「G400」などがキッチリとサイドボタンや細かなカスタマイズ性を備えているためもあるだろう。というわけでSteelSeries製品はハイエンド品に人気が集まるという構図となっている。