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【特別企画】爆笑カオスな「ヤギ」シミュレーター「Goat Simulator」を早速プレイ!
Steamで“ヤギ旋風”が吹き荒れる。世界よこれが「ヤギ」だ!
(2014/4/3 00:00)
公開と同時に世界中のゲーマーの注目を集め、356万再生を越えたゲームの動画があった。そのゲームの名は「Goat Simulator」、直訳すると「ヤギシミュレーター」だ。
ヤギの誕生から、成長、恋愛、繁殖、そして世代交代に至るまでのヤギの一生をシミュレートしたゲーム……ではなく、オープンワールドで構築された小さな町の中でヤギが暴れまくりスコアを稼ぐという、名前からはまったく想像できないカオスなゲームだ。
開発したのはスウェーデンの「Coffee Stain Studios」というデベロッパーで、これまでに「Sanctum」シリーズなどを開発してきた、ごく普通の真面目なデベロッパーだ。
そんなデベロッパーがなぜこんなカオスなゲームを開発したのかというと、実は元々は社内のプログラマーの訓練のために開催した、社内のゲームジャムセッションで生まれた作品で、リリースする予定もなかったという。
だがそのトレーラーをYouTubeにアップしたところ、驚くほどのスピードで再生数が伸びていった。話題が話題を呼びリリースを望む声が寄せられたので、急遽発売を決定したのだという。
そういう誕生のきっかけもあって、かなり荒削りな作品でもある。開発元も「これは数週間で作成された小規模なゲームです、過大な期待をしないでください。正直このゲームに10ドルを使うなら『フラフープ』や『レンガの山』、『実際のヤギ』を買ったほうが良いでしょう」とまで書いている。
だが日本時間の4月2日に配信プラットフォーム「Steam」で配信されると、そのレビューは大絶賛の嵐となっている。スチーマー(Steamユーザー)の心を鷲掴みにする理由はどこにあるのだろうか。本誌では謎を解き明かすために早速プレイしたので、その模様をお届けしたい。
本作の舞台になるのは小さな町だ。民家が数件、ガソリンスタンド、工場、小高い山、工事現場などなど、それほど広くはないが、狭い範囲に色々な建物がある。民家の近くではバーベキューを楽しんでいる人々や、ドリフトに興じている若者、何かに対して抗議デモ中の住民と、生活感にあふれている。
ゲームルールはシンプルで主人公(?)のヤギを操り、街の中にある様々なオブジェクトに頭突きや後ろ蹴りをして、町中をグシャグシャに破壊することでできるだけ多くのスコアを稼ぐというオープンワールドのアクションゲームだ。基本的に時間制限はなく破壊の限りを尽くせるが、リセットボタンによって簡単に元の状態からスタートできるという機能もある。
本作では短期間でアクションを繋ぐとコンボが発生するため、コンボが途切れないように、多くのオブジェクトを破壊していくのが高得点を出すコツだ。またガソリンスタンドを爆破するなど、いくつかのアクションを起こすとボーナススコアが入ることもある。これらを組み合わせてハイスコアが狙える。
ゲーム内には「一定以上の高さまで飛べ」というものや「一定以上のスコアを取れ」という簡単なクエストも用意されており、目的を見失ってしまうこともない。オープンワールドゲームによく見られるコレクタブル要素も用意されているので、全てを達成しようとするとボリュームも手応えも感じられるはずだ。
しかし、本作の本当の面白さはそこではない。
先程も紹介したように狭い町だが、ありとあらゆる所に開発者の遊び心から生まれたオブジェクトが配置されている。バーベキューを楽しんでいる人々に巨大な岩を落としてパーティーの妨害をしたり、ジェットパック(!?)を装備して街中を飛び回ったり。ユニークなものになると魔法陣で怪しげな儀式を行なったり、UFOを呼んで宇宙に行ったり……と、ゲームの目的からは全く離れた意味不明なイベントが数多く用意されている。
読者自身の目で探して欲しいので、具体的な場所や方法についてはここでは紹介しないが、これらのオブジェクトを探して滅茶苦茶なアクションを起こしていくのが本当の面白さだ。
ヤギがジェットパックを装備している姿はそれだけでもシュールで笑えるのだが、ジェットパックのスイッチをオンにした瞬間、明後日の方向に飛んでいった時は不覚にも画面の前で爆笑してしまった。
ヤギのベロには吸着力があるのだが、ドリフト中の車にベロを出してしまってゴロゴロと巻き込まれ、振り回された時も笑ったし、住人をベロでずるずると引っ張ってたら、巨大な農機具の回転部分に人ごと巻き込まれる事故が発生、ハンマー投げの要領でヤギと人がボーンと空に打ち上げられた時は飲んでいたコーヒーを吹き出してしまった。
更に笑えるのがヤギの奇っ怪なモーションだ。開発者も笑えるバグはあえて残している(むしろ「ゲームをクラッシュさせる」という実績がある)そうで、ヤギのクビが伸びてあらぬ方向にグニャグニャと動いたり、ハシゴを上るモーションが用意されておらず、地上を歩くモーションと同じモーションでハシゴを登って行くなどシュールなシーンが沢山見られる。
筆者も天井にヤギの首が刺さり1歩も動けないバグや、本来は入れないはずの家の中に入り込むバグを見つけた。そういったバグも含めて笑い飛ばすというのが本作の楽しみ方だ。ちなみにメニューから1クリックでスタート地点から再開できるので、進行不能バグに遭遇してもまったく問題はない、思う存分画面の前で笑ってからリスポーンできる。
筆者は既に約5時間程プレイしているが、未だに新しい(しかも笑える)発見があってまったく飽きない。正直この数時間のプレイで3カ月分は笑ったと思う。
更にユーザー作成のMODやスキンなどをサポートする「Steam ワークショップ」にも対応しており、早速スキンやマップを公開しているユーザーも現われた。スチーマーの間では今まさに“ヤギ旋風”が吹き荒れている。
僅か9.99ドル(約1,036)円でこれだけ笑えるゲームは他にないだろう。あくまでも筆者の主観だが今年のGOTY(Goat of The Year)は間違いなく本作だ。PCゲーマー、スチーマー必携の本作、ぜひプレイして頂きたい。それと余計なお世話かも知れないが、プレイ中に何かを飲む場合は含んだものを吹き出さないよう十分に注意することを忠告しておきたい。