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【特別企画】「Goat Simulator」に負けるな! 良作からおバカゲーまで揃う本家「シミュレーター」の世界

「Steam」で遊べる変な「シミュレーター」特集。厳選した6タイトルを紹介

今年の春に突如として現われた「Goat Simulator」。本作が「シミュレーター」業界に与えた影響は色濃い

 唐突だが読者の皆様は「シミュレーター」という単語から何を連想するだろうか。

 GAME Watchの読者であれば都市シミュレーションゲーム「シムシティ」シリーズや、根強いファンの多い「Flight Simulator」シリーズなどを連想される読者が多いと思う。

 しかしPCゲームの世界は広く、「なぜその題材をシミュレーターにした」とツッコミたくなるタイトルもある。タイトルに「Simulator」と付くものを「Steam」で数えると、それだけでも30タイトルが存在していることがわかる。

 数カ月前、弊誌でも紹介し読者から多くの反応を頂いた「Goat Simulator」は開発の段階から“バカゲー”として作られた「シミュレーター」タイトルだ。最近ではこの勢いに乗じ、熊シミュレーター「Bear Simulator」、岩シミュレーター「Rock Simulator 2014」、草シミュレーター「Grass Simulator 2014」などタイトルからは内容が想像できない「シミュレーター」シリーズも続々と発表されており、盛り上がりを見せている。

 だがちょっと待って欲しい。「シミュレーター」の本来あるべき姿、真面目に作られた(と思われる)「シミュレーター」タイトルの中にも変態的で笑えるものがある!

 そこで今回は「Steam」で配信されている多くの「Simulator」と名の付くタイトルの中から特徴的な6つのタイトルを取り上げ、「良作」、「変態」、「おバカ&ダメダメ」と独自に分類して紹介していく。記事を通して、独自の進化を遂げている「シミュレーター」シリーズについて興味を持って頂ければ幸いだ。

【今回紹介する「シミュレーター」の皆さん】
タイトルによって若干異なるものの、ゴシックの太字斜体でタイトルロゴが表示されているのが「シミュレーター」シリーズの伝統。ちなみに「Goat Simulator」もそのスタイルだった

まずは軽いジャブ! 良作シミュレーターゲーム

 今回のラインナップから、まずは軽いジャブとして2作を紹介。シミュレーターとしてはもちろん、ゲームとしても普通に楽しめる作品。

自動車整備工シミュレーション、「Car Mechanic Simulator 2014」

 まず紹介するのは「Car Mechanic Simulator 2014」。「自動車工シミュレーター」といったところだろうか。価格は19.99ドル。

 自分で実際に車を運転するレーシングゲーム、レーシングシミュレーターは数あれど、自動車工になってプレイするゲームは本作くらいのものだろう。運転するのではなく、客から持ち込まれた車を注文通りに修理するのが目的だ。注文には「ブレーキパッドを交換して欲しい」という具体的な内容から、「テスト走行してみて調子が悪い部分を探して直して欲しい」というザックリとしたものまである。

 この「シミュレーター」は、本物志向の細かさが実にマニアックだ。先ほどのブレーキパッドの交換であれば、ボルトを回してタイヤを外し、ブレーキキャリパーを外し……と本物と同じように順番にバラしていく必要がある。もちろんパーツを交換した後は逆の順番で戻していく。

 修理は一筋縄ではいかず、ブレーキパッドの調子が悪いかどうかはタイヤを外してみないとわからなかったり、「ブレーキの調子が悪い」という言葉からアタリをつけて解体するような、バラしながら修理箇所を探していく過程はゲームとしても面白い。

 車の構造に疎い筆者には目的のパーツを外す方法がわからなくて四苦八苦したが、プレイしているうちに徐々に構造を掴めてきた。リアルな車でもサスペンションの交換くらいならできそうな位にはなったと思う。

 「シミュレーター」だからといって妥協せず、色遣いが派手で見やすいインターフェイスと、程よいゲーム性を持たせた本作はかなりの良作と感じた。レースゲームであればボタン1つで完結する“車の修理”という要素をここまで深く掘り下げようと思ったその発想を高く評価したい。

【スクリーンショット】
注文に応じて車を修理していく。ちなみに必要な注文はネットからオーダーする

長距離ドライブトラックシミュレーション、「Euro Truck Simulator 2」

 続いて紹介するのは「Euro Truck Simulator 2」。ヨーロッパを舞台に長距離トラックの運転手となり、街から街へと荷物を運ぶゲームだ。価格は24.99ドル。

 北はイギリス北部の町「アバディーン」から、西はフランスの「リヨン」、東はスロバキアの首都「ブラチスラヴァ」までが本作の舞台だ。我々日本人にはパッと出てこないがGoogleマップなどで実際に地図を見ていただけるとゲームのスケール感が伝わると思う。「Euro」と名付けるだけのことはある。

 走行距離に応じて経験値が入りプレーヤーのスキルが上がっていく事や、最初は雇われ運転手だが、ゆくゆくは自分の運送会社を持てるようになるなど、ゲーム的な要素があるにはあるのだが、基本は街から街へと荷物を運ぶだけだ。

 走っていると、都市部からハイウェイに入り、複数の国をまたぐ。ハイウェイを降りると田舎道が広がっていて、遠くには風車も見えてきたりする。そうこうすると雨が降ってくるのでワイパーを動かす……と、リアルな長距離運転手の気持ちとなって移り変わる景色の変化を楽しめる。

 流石にゲームなので現実世界ほど長時間の運転にはならないが、それでも距離によってはゲーム内時間で丸一日、現実時間でも数時間といった配送もある。ゲームなのになぜこれだけの長時間の労働を強いられるのか、と突っ込みつつも、街から街へ国を越え、流れ行く美しい景色に思わず目を奪われてしまう。なんだかんだ言いながら、ついつい荷物の運送に励んでしまうタイトルだ。

【スクリーンショット】
移動距離は長いが、徐々に落ちていく夕日や、天候の変化は癒しを与えてくれる。長い労働時間に疑問を感じながらも、今日も荷物の運送に励む

(八橋亜機)