ニュース
【Tankfest 2017】ボービントン戦車博物館の特別展示「The Tiger Collection」レポート
希代の名戦車ティーガーシリーズをコンプした魅惑のコレクションに密着!
2017年6月27日 07:00
既報のように、現在、Tankfest 2017の取材で英国のボービントン戦車博物館を訪れている。2017年4月からスタートした特別展示「The Tiger Collection」を観覧することができたのでレポートをお届けしたい。なお、常設展示については昨年のレポートを参照いただきたい。
「The Tiger Collection」は、ボービントン戦車博物館が世界に誇る、唯一稼働するTiger 131および、2種類のティーガーII、そしてティーガーIIの派生形であるヤークトティーガーという自前のコレクションを中核に、エレファントとシュトルムティーガーを加え、扇状にズラリと並べるという、ユニークな展示で世界のティーガーファンを誘う特別展示。スポンサーは「Tankfest 2017」と同様、Wargaming.netが単独で担っている。展示期間は2017年4月から2年間と、特別展示としては異例の長期間にわたる。
エレファントは、アメリカのアーミーヘリテージセンターからのレンタルで、ヴァージニアのフォートリーから船で約8,700kmの距離を35日間掛けて運ばれたもので、Wargamingはこのサポートも行なっている。
シュトルムティーガーについては、ボービントンには砲身しか残っていないため、こちらもドイツからレンタルする予定だったが、トラブルで借りられなくなったため、AR展示を行なっている。このARコンテンツの作成もWargamingが担っており、まさに両社の共同企画と言える特別展示となっている。
展示は左から順番に、ティーガーII(ポルシェ砲塔)、ヤークトティーガー、ティーガーII(ヘンシェル砲塔)、エレファント、ティーガー131、シュトルムティーガーの並びで、特別展示フロアの中央手前に設けられた高台から見た光景はまさに壮観だ。ただ、戦車との距離はかなり近いため、全景を写しきるには魚眼レンズが必要だ。
戦車の他にも、燃料タンクやレンジファインダー、ジャッキ、キャタピラ、砲弾などなど、ティーガーシリーズのアイテムが「Tiger Kit」として集められており知識欲を満たしてくれる。
それでは、各車輌を見ていこう。まず、中央に鎮座するティーガーII(ヘンシェル砲塔)は、世界の戦車ファンに愛されているツインメリットコーティングを施した迷彩のまま展示されており、圧倒的な存在感を放っている。
その左側に鎮座するティーガーII(ポルシェ砲塔)とヤークトティーガーは、昨年までの塗装が迷彩や車体番号含めてカーキ色単色に塗りつぶされてしまっている。新たな塗装を施す予備段階なのか、今回のコレクションをカーキ系のカラーに統一したかったのか、理由はちょっとよくわからなかったが、前の塗装が気に入っていた人にとっては残念な感じだ。ただ、これら3輌は、車体はまったく同じティーガーIIで、砲塔まわりが異なるだけのまさに3兄弟といった感じで、見ていて非常に楽しい。
ティーガーII(ヘンシェル砲塔)の右側にあるエレファントは、ティーガーIIでも、ティーガーでもなく、ポルシェティーガーからの改良型で、世界には現存しないポルシェティーガーの姿を現在に伝えてくれる。戦闘室の設計は、同じ駆逐戦車のヤークトティーガーと比較すると、継ぎ接ぎが目立ち、いかにも急ごしらえの印象だが、ドイツの駆逐戦車としては指折りの戦果を挙げ、連合軍に強い印象を残している1台だ。
そしてコレクションのレアリティとしては群を抜いているティーガー131。チュニジアに投入された砂漠戦仕様の単色塗装で、所々弾痕があり、70年数年前の戦闘直後の状態のまま保存されている。繰り返し述べているように、世界で唯一稼働可能な状態で保存されており、年に数回実施されるTiger Dayで走行展示される。
ちなみに「World of Tanks」では、コンソール版に2016年に初登場し、PC版にも今月実装されたばかり。コンソール版はTier VII重戦車Tiger Iに準ずる性能になっているのに対し、PC版はTier IVとひとつ下げての実装となる。塗装はPC版のほうがオリジナルに近い状態で、コンソール版は耐熱シートやカモフラージュ用の枝が添えられた状態で実装されている。ティーガーファンならぜひ押さえておきたい車輌だ。
最後にシュトルムティーガーは、実車がレンタルできず、ARでの実装となっているが、これがなかなかよくできている。シュトルムティーガーが地面に描かれたティーガー131の隣の空きスペースに専用のAR端末をかざすと、モニター内にシュトルムティーガーが現われる。今後はこういった最新テクノロジーによって、様々な不可能を可能にする展示が増えていきそうだ。