インタビュー

PS Vita「ファンタシースター ノヴァ」インタビュー

攻略方法の確立やタイムアタックが熱い! 戦略性の高い「ギガンテス」戦

攻略方法の確立やタイムアタックが熱い! 戦略性の高い「ギガンテス」戦

最大の敵となる超巨大生物兵器「ギガンテス」。闇雲に攻撃するだけでは倒すのは厳しい
ギガンテスを討伐するために生み出された大型投射決戦兵器「パイル」を撃ち、大ダメージを狙っていく
法撃武器「ヘイロウ」や消費アイテム「リングジェネレーター」で足場を設置して戦う

――生き延びるためにいろんなものを作って、自給自足していくわけですが……惑星マキアには「敵」がいたわけですよね。

都築氏:最初の調査では惑星マキアには生命や文明の痕跡はないという報告だったのですが、いざ惑星に近付いて見ると……突然攻撃され、艦は墜落してしまう。物語のプロローグはこういうものですが、調査では発見できなかった謎の存在がいて、なぜ攻撃してきたのか? 巨大なエネミー「ギガンテス」まで現われてしまう。そういう謎を解き明かすのが、重要な要素になっています。

 巨大エネミー「ギガンテス」は、開発当初からディレクターの山下が語っていたもので。「巨大な敵と戦うというのをやりたい」と。そこには、ただでっかい敵をひたすらに攻撃するだけではなく、戦略性も入れようという狙いもありました。

――巨大な敵に対して、どうやって倒すのかの組み立てが必要になってくるような。プレーヤー次第で倒し方がだいぶ変わってくるようなものでしょうか?

都築氏:人それぞれにかなり差が出ると思います。ギガンテス戦では足場を自分たちで作って、弱点を攻撃するのが有効な戦い方になっています。ただ闇雲に攻撃していても厳しいので、ちょっと遊びはじめだと理解するのが大変かもしれないですが、戦略のポイントを理解してからは、それこそ倒すまでのタイムアタックもやりこめるような、いろんな戦い方や組み立てのできるものにしています。

――攻略方法を作るのが楽しいというか、攻略しがいのあるゲーム性にしているというわけですね。

都築氏:山下は、“倒すための手順”というのを重要視していました。これまで配信していた「バトル体験版」で戦うギガンテスは、まだ序盤のものなので、ある程度がんばればどんな戦い方でも倒せるんです。でも、ゲーム本編の先ではもっと強いギガンテスが登場して、組み立てをしっかり模索しないと厳しくなっていきます。高火力で殴ればなんとかなる、というやり方では難しいですね。

 1人で遊ぶ時には、その戦いの組み立てを模索して楽しんでもらいたいですし、アドホック通信で友達と遊ぶ時には、互いに声を掛け合って、ハイスピードに倒すのを腕試し的に試してもらいたいですね。

――攻略パターンを試して見つけるという醍醐味がありそうですね。それこそタイムアタックが楽しいような。プレーヤー次第で組み立てが全然変わってくるぐらいに戦い方の自由度も設けられているのでしょうか?

都築氏:敵にもよるとは思うのですが、どういうプレイをされるか未知数ですね。もちろん、ある程度私たちでも戦略・戦法をいろいろできるようにしているのですが、プレーヤーさんはその想像を超えてくるというか、戦略を見つけますよね(笑)。私たちが想定したルートやパターンよりも速いものが出てくるのでは、と思います。

――予想外なものも出来ちゃうっていうのがゲームらしい面白さかなと思えます。そのあたりの深みや、いろいろと試す面白さがどれぐらい眠っているのかは大事だと思いますが、そのあたり開発がトライエースさんですし。期待できそうです。

都築氏:一方で、「ファンタシースター」シリーズは、アクションゲームではなく“RPG”であるところが重要で。装備は当然として、レベル上げは必要になってきます。じっくり取り組めば誰でも乗り越えられると思います。ゲームが上手い人なら推奨レベルに足りなくても勝てるかもしれないですが、勝てない時は推奨レベルまで上げてもらえれば。

――そこは大事なところですよね。いわゆる“狩りゲー”と「ファンタシースター」シリーズは、似ているようで実は全然違うというか。アクションの腕前に比重を置いているのか、RPG的な育成要素に比重を置いているのかがありますが、「ファンタシースター」シリーズは今もRPGですよね。

都築氏:そうですね。「ファンシースター」シリーズは過去から一貫して、ジャンルは「RPG」です。ゲームとしてはアクションRPGみたいに見えますが、ジャンルは常にRPGなんです。

 ただ、完全なRPGではないところも、もちろんあって。「PS NOVA」では移動や防御にアクション的な要素はありますが、そのあたりはゲームとしての幅を広くするためのものになっています。そこは「PSO2」とも共通するところです。アクションが苦手でもがんばって育成すればエンディングまでたどり着けるというものになっています。

――バトルではオリジナル武器の「パイル」も個性があります。「PSO2」や「PS ポータブル」シリーズでは、攻撃回数でチェイン数を伸ばして、最後にフィニッシュ的に技をぶつけると大きいダメージを稼げるというのが、タイムアタックのポイントになっていました。パイルはよりそれがわかりやすい装備なのでしょうか?

都築氏:はい。パイルは杭をエネミーに刺せる武器なのですが、杭を刺したところに攻撃するとチェイン数が通常の倍上がるようになっています。速く倒すための近道ですね。巨大な獸にモリをどんどん刺しているようなイメージですね。

 ただ、あまりにチェイン数を粘ると、途中で攻撃を喰らってしまってチェインが途切れることもあります。チェインはキャラクター全員で共有していますから、友達と遊ぶ時には声を掛け合ってチェイン数を稼いだり、レンジャーの射撃はチェイン数を稼ぎやすいので、役割分担して数を伸ばしたり。そういう遊びができるようになっています。

コールドスリープから目覚めさせることで多数のNPCキャラクターが登場

コールドスリープで眠る乗員300名。ゲーム内のポイントを使って目覚めさせる、いわゆる「ガチャ」になっているという
コールドスリープから目覚めさせたNPCは、戦闘に連れて行くだけでなく、ショップの店員にさせることもできる

――“コールドスリープから新キャラを目覚めさせる”という要素で、オリジナルのキャラクターをどんどん増やせるというものがありますが、これはどのようなものになっているのでしょう?

都築氏:コールドスリープはアイディアとしては「ガチャ」なんですよね。昨今のゲームによくありますが。あの「当たりが出る感覚は面白いよね」というところからのもので。もちろんコールドスリープは無料ですが、ゲーム中のポイントで回すというものになっています。

 私たちは「冷凍睡眠ガチャ」なんてしばらく呼んでいたぐらいなんですけど。回して「おー○○が出た!」というような、当たりを引き当てる面白さを入れています。コールドスリープのキャラクターは300名ほどいます。

――それだけいるとなると、どれぐらい個性がついているのかが気になるところです。例えば1人で遊んでいる時に戦闘で上手く動いてくれるのかなとか、動きがキャラクターごとに結構変わってくるのかなとか。

都築氏:さすがに300名全員を別々の思考にはできなかったのですが、戦闘ではプレーヤーの手助けをするような動きを中心にして、それぞれいろんなパターンを持って戦ってくれるものになっています。例えばギガンテス戦で足場を積極的に作ってくれたり、ダメージを受けていたら回復してくれたり。自分のプレイスタイルに合わせてチョイスできるようになっています。

――戦闘以外でもコールドスリープからのNPCキャラクターの活躍の場があるということですが、そちらはどのようなものでしょう?

都築氏:コールドスリープキャラには個性というか特徴が設定されていて、戦闘向きなキャラもいれば、拠点のショップ店員に向いているキャラもいます。戦闘では、実は主要キャラのルティナやセイルよりも強いキャラもいたりするんです。

 あと、拠点に建てたショップの店員にすると、プラスアルファの効果が付くキャラもいます。モノメイトを作るのにある素材が2個必要なところが、そのキャラが店員なら素材が1個で良かったり、そのキャラが店員になることでそのショップでできることが増えたり。

――(ゲーム画面を見せてもらいつつ)数値ではなく、「ロマンティスト」とか「商売上手」とか。言葉で特徴が載っているのが面白いですね。

都築氏:言葉で特徴をつけているので、プレーヤーさんそれぞれに「こいつはこういう奴だ」っていう物語やイメージを作ってもらえたらなと思います。コールドスリープをどんどん回して、面白い特徴のキャラをゲットしてもらいたいですね。

 主要キャラやコールドスープキャラの戦闘でのレベルは、プレーヤーキャラのレベルと同じになるのですが、特徴に「熟練アークス」というものが付いているキャラだと、プレーヤーキャラよりレベルが少し高かったり、逆に「見習いアークス」だとプレーヤーキャラより少しレベルが低かったりもします。熟練アークスでパーティーを揃えると頼もしいですよね。

グラフィックスはPS Vita版「PSO2」以上! オンラインではできない作り込みを実現

トライエース製のエンジンで作られており、ブルーム(光の広がりや漏れ)、フォグ(霧など)、被写界深度(視界がくっきり見える範囲)に「PSO2」との違いが。表示人数の違いによるマシンパワーの余裕を使い、よりクオリティを高めて作り込んでいる

――1人でじっくりと楽しめる要素がたくさんありますが、友達と一緒にアドホック通信で遊ぶ時はどんな遊び方になるのでしょう? 専用のクエストやモードがあるのですか?

都築氏:「PS NOVA」では、ストーリーとマルチプレイみたいにモードを分けていません。ホスト側のストーリーを一緒に遊ぶというスタイルです。ストーリーの進行度が互いに一緒なら、同時にイベントも発生してストーリーが進展します。

 ホスト側の拠点も利用できるので、ホスト側の拠点でアイテムを作らせてもらったりもできます。一緒にレベル上げする時に、レベルの高い人にくっついていけば楽だったり。そういうオンラインゲームっぽい遊びもできるようになっています。

 あとはやはりギガンテス戦ですよね。声を掛け合って連携して戦うことで、よりスムーズに速く倒せますし、一緒に戦略的な戦いをして、でっかいエネミーを倒すという爽快感が楽しめます。

――「PSO2」との差別化というコンセプトからすると変な話になりますが、オンラインプレイのインフラストラクチャー通信もできるようにもしてしまおうという話はありませんでしたか?

都築氏:差別化という点もありますが、ゲーム性としてもオンラインを可能にすると変えなくてはいけなくなるんですよね。通信によってレスポンスも変わってきますし。ギガンテス戦が特にそうですが、オンラインで不特定多数の人と遊ぶとなると戦略的な動きはしづらくて。リアルタイムに連携を取って遊ぶのを重要視しています。

――オンラインを排除しているぶん、戦略性の高い方向へがっちりと作り込める、というわけですね。

都築氏:そうですね。アドホック通信のみに特化させることで、グラフィックス周りであったり、通信の帯域であったりも余裕がありますので。その余裕の分も作り込めています。身近な人と一緒に遊ぶのに特化したぶんの作り込みですね。

――グラフィックスもPS Vita版の「PSO2」と比べると結構違いがあるんですね。

都築氏:比較すると、あらゆる面で「PS NOVA」の方がクオリティが高くなっています。「PSO2」はオンラインゲームですから、通信しながら多数のキャラクターを表示しなければいけませんから。解像度を控えめにしたり、テクスチャのクオリティを下げたりしなければならないです。

 それを排除しているぶん、「PS NOVA」の方が使えるメモリが多いので、グラフィックスが贅沢になっています。さすがにWindows PC版の「PSO2」と比べるのは勘弁してくださいというところなのですが。

 あと、そもそものグラフィックスのエンジンが、「PS NOVA」はトライエース製のエンジンを使っています。モデリングデータのベース部分は「PSO2」と同じものを使っているのですが、エンジンの違いからライティングやシェーダー周りも変わっていて、グラフィックスの印象が「PSO2」とはだいぶ違った見え方になっています。

――確かに、ブルームエフェクトもだいぶ違いがありますし、被写界深度の表現でギガンテスの巨大さもいい感じに出ています。印象がだいぶ変わっていますね。

都築氏:インターフェース部分を「PSO2」に近づけているので、スクリーンショット等でパッと見た印象は似たようなものに見えるかもしれませんが。実際に遊びこんでもらうとクオリティや表現に違いを感じてもらえると思います。

11月13日よりたっぷり遊べる「序盤体験版」を配信! まずはそちらをチェック

――発売後の展開についてですが、ファンが集まって一緒にギガンテス戦をプレイできるようなイベント展開を期待したいところがあります。そういった予定はありますか?

都築氏:「ファンタシースター感謝祭」的なものですよね。今のところはなんとも言えないのですが、要望をたくさん頂ければ……。何かしらやりたいというのはありますね。

 それとはちょっと違ったものですが、ギガンテス戦のタイムアタックイベントというものは、計画を立てています。今はまだ具体的な事を言える段階ではないのですが。腕を磨いて告知をお待ち頂ければ。

――ダウンロードコンテンツでの追加データ配信やアップデートの予定というのはいかがでしょうか?

都築氏:まだ言えないものも含めて、予定はあります。既に「End of Eternity」、「スターオーシャン4 THE LAST HOPE」、「ヴァルキリープロファイル -レナス-」の、トライエースさんが開発したタイトルとのコラボレーションは発表させて頂いてます。その他のものも順次発表させて頂こうと思います。

 アップデートでは、まず「バトル体験版」をプレイしたユーザーさんからの意見を、TGSバージョンや店頭体験会のバージョンで反映させました。今後は11月13日に「序盤体験版」を配信するのですが、それをプレイしたユーザーさんからの意見も、製品版発売以降にもできる限りアップデートして、反映させていきたいです。

――「序盤体験版」の存在はありがたいですね。キャラクタークリエイトもできるということですし。ちなみに「序盤体験版」はどれぐらい遊べるものなのでしょう?

都築氏:どれぐらいですかね。普通に全クエストを遊ぶだけでも2~3時間は遊べると思うのですが、キャラクタークリエイトができるので製品版への引き継ぎを見越してこだわったら、すごく時間がかかると思いますし。素材を集めていろいろと作ったり、各クラスのレベルを上限まで上げたりしていたら、それこそ製品発売までがっつり遊べると思います。

――わかりました。それでは、「序盤体験版」の配信や製品の発売を楽しみにしているユーザーの皆さんに、一言お願いできますか?

都築氏:はい。「ファンタシースター」の新しいプロジェクトとして、トライエースさんのテイストも出ている、これまでのシリーズ作とはまた少し毛色の違う作品です。「ファンタシースター」シリーズを応援頂いている皆さんも、トライエースさんのSFRPG作品が好きな人にも。これを機に興味を持ってもらえたらなと思います。

 「PSO2」を遊んでいる人だけでなく、「ファンタシースター」シリーズを遊んだ事のない人でも遊んでもらえるものにしていますので。まずは序盤体験版から「PS NOVA」に触ってもらいたいと思います。

――楽しみにしています。ありがとうございました。

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(山村智美)